【社労士監修】退職証明書の正しい書き方と離職票との違い。フォーマット・記載例付

社会保険労務士法人クラシコ

代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

退職証明書とは?
退職証明書と離職票・在職証明書との違い
退職証明書が必要となるケース
退職証明書は発行しないと違法となる
退職証明書の発行は拒否できる?
退職証明書は離職票で代用可能?
【ダウンロードフォーマット付】退職証明書の書き方

退職した事実を証明するために、企業が発行する「退職証明書」。退職者(退職予定者)から依頼があった場合、企業は退職証明書を発行する義務があります。離職票のような決まった書式はありませんが、証明しなければならない項目において、退職者の要望に応じて記載するため、記載項目も変化します。今回は、退職証明書と離職票の違いや、退職証明書の書き方などを記載例とともにご紹介します。Excel・Word形式のフォーマットもダウンロード可能ですので、ご活用ください。

退職証明書とは?

退職証明書とは、文字通り「退職の事実を証明する」ために企業が発行する書類のことです。退職と同時に発行する必要はなく、従業員からの要請・依頼があった際にのみ発行することが義務付けられています。法的に決められた書式は特にないため、従業員の要望によって、退職証明書の記載項目は変化します。

退職証明書と離職票・在職証明書との違い

退職証明書と混同されやすいのが、離職票と在籍証明書です。それぞれの違いをご紹介します。

離職票との違い

「退職証明書」と「離職票」は、どちらも従業員の退職後に発行されるものですが、目的や発行元、発行するタイミングなどが異なります。退職証明書と離職票の違いは以下の通りです。

退職証明書 離職票
目的 退職の事実を証明するため 退職後の諸手続きのため
(雇用保険の失業給付、国民健康保険への加入など)
作成・交付元 企業 公共職業安定所長
公文書/私文書 私文書 公文書
書式・書き方 統一されておらず、企業の任意 統一されている
交付タイミング 退職者から依頼があったときに遅滞なく 退職(保険資格喪失日)の翌日から10日以内

在籍証明書との違い

退職の事実を証明する「退職証明書」と、在籍している、もしくは在籍していた事実を証明する「在籍証明書」は、実際のところ、ほとんど区別されていないようです。しかし厳密には、発行が法的に義務付けられているかどうかという違いがあります。退職証明書には労働基準法第22条第1項で発行義務があるのに対し、在籍証明書は発行義務が法的に定められていません。

退職証明書 在籍証明書
目的 退職の事実を証明するため 在籍している・在籍していた事実を証明するため
発行の有無 (従業員からの依頼があった場合)発行義務がある 発行義務はない

退職証明書が必要となるケース

どのような場面で、企業は退職者から退職証明書の作成を求められるのでしょうか。退職証明書が必要となるケースについてご紹介します。

ケース①:退職者が、転職先から退職証明書の提出を求められたとき

履歴書や職務経歴書の記載内容は、あくまで退職者が記載するもの。そのため、第三者にとって、それらの書類だけで間違いがないかどうかを確認することができません。履歴書や職務経歴書の記載内容、および退職した事実を確認するため、転職先から退職証明書の提出を求められるケースがあります。転職先は退職証明書により、「実務経験」「在籍期間」「給与」「退職理由」などに誤りがないかを確認します。

ケース②:諸手続きの際に離職票の代わりに提出したいとき

離職票を必要とする退職者は居住する市区町村にて国民健康保険、国民年金などへの加入手続きを行うことになります。その際、退職日を確認するための書類として離職票を提示するのが一般的ですが、離職票の発行には一定期間を要します。そのため、「すぐにでも手続きを行いたい」「手続きをしたいのに、手元に離職票がない」といった場合、離職票代わりに退職証明書を使うことがあります。

退職証明書は発行しないと違法となる

退職証明書の発行義務は、労働基準法第22条第1項で次のように定められています。

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
(労働基準法第22条第1項)

ここでの「退職」とは自己都合による退職、解雇、その他全ての退職が含まれるため、その理由にかかわらず、退職証明書を発行する義務があります。また、発行回数は決まっていないため、退職から2年間であれば、退職者の要請により何度でも発行しなければなりません。退職者から退職証明書の発行を求められた場合には、速やかに退職証明書を交付しましょう。理由もなく交付を遅らせた場合は労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される規定もあるため、注意が必要です。

退職証明書の発行は拒否できる?

退職者からの要請があった場合、企業側には退職証明書の発行義務があるため、その発行を拒否することはできません。退職証明書の発行を拒否すると、労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される規定もあるため、注意しましょう。ただし、退職証明書の発行義務は退職から2年間のため、退職から2年以上経過している場合には、交付を拒否することができます。

退職証明書は離職票で代用可能?

既にご紹介した通り、役所などでの諸手続きの際には、退職証明書を離職票の代わりに提出することが可能です。一方で、転職先の企業に提出する退職証明書を離職票で代用できるかどうかについては、転職先の判断に委ねられます。「働いていた期間」「賃金」「退職理由」などは退職証明書でも離職票でも確認できるものの、「どういった業務に従事していたか」「どういう役職に就いていたか」は退職証明書でないと判断できないためです。退職証明書と離職票はあくまで別物ですので、退職者から退職証明書を求められた際には、必ず発行しましょう。

【ダウンロードフォーマット付】退職証明書の書き方

退職証明書に法的に記載すべきとされている項目は、「使用期間」「業務の種類」「その事業における地位」「賃金」「退職の事由」の5つのみです。また、労働基準法第22条第3項により、労働者が請求した項目以外を記載してはならないと定められています。

退職証明書には所定の書式がないため、退職者から依頼があった際にすぐ作成できるよう、フォーマットを用意しておくと便利です。退職証明書のフォーマットはこちらからダウンロードできます。Word版・Excel版それぞれに日本語バージョンと英語バージョンがありますので、ご活用ください。

サンプルイメージ

①:使用期間

退職者が自社に在籍していた期間を記載します。「2000年4月1日~2019年10月31日」といったように、具体的な期間を記入すると良いでしょう。なお、試用期間を経て正式採用になった場合、試用期間を含めて記載するかどうかは企業の任意となります。

②:業務の種類

退職者が担当していた仕事内容を記載します。「事務職」「営業職」「企画職」といったように、職種を記載すると良いでしょう。

③:その事業における地位

退職者が就いていた役職を記載します。「●●部長」「▲▲課長」といったように、どの部署でどのような役職ポジションに就いていたかを記載すると良いでしょう。なお、いつどういった役職に就いていたかなどの詳細ではなく、退職する時点での最終的な役職を記載するのが一般的なようです。

④:賃金

退職者がどのくらいの給与を支払われていたのかを記載します。「退職時の基本給や手当金額」「前年の年収」などを記入するのが一般的ですが、退職者の依頼内容をよく確認して、求められた事項のみを記載するようにしましょう。

⑤:退職の事由(退職の事由が解雇の場合は、その理由を含む)

退職者が仕事を辞めた理由を記載します。理由に応じて、以下のような形で記載すると良いでしょう。

退職の事由の記載例

 ●退職者の個人的な理由により退職した場合:「自己都合による退職」
●企業側が退職を促したことにより退職した場合:「当社の勧奨による退職」
●定年年齢を迎えたことにより退職した場合:「定年による退職」
●契約社員などが雇用契約期間を終了したことにより退職した場合:「契約期間の満了による退職」
●上記4項目に該当しない理由により退職した場合:「その他(具体的には●●●による)」
●解雇していた場合:「解雇(具体的には▲▲▲による)」
※注意:労働者側が解雇された事実のみの証明を要請し、理由の記載を希望しない場合には、退職証明書に解雇理由を記載することは許されません。

【まとめ】

退職証明書は、「退職者が転職先から提出を求められたとき」や「諸手続きの際に離職票の代用として提出したいとき」などに使われる、退職者にとって重要な書類です。退職後2年間は交付義務があるため、退職者から作成を依頼された場合には、退職証明書を交付する必要があります。今回ご紹介した書き方やフォーマットを参考に、退職者から依頼された項目のみを記載した退職証明書を速やかに作成しましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/社会保険労務士法人クラシコ、編集/d’s JOURNAL編集部)