今注目が集まるWeb面接サービス『harutaka』。アフターコロナ時代の新たな採用前線とは

株式会社ZENKIGEN

代表取締役CEO 野澤 比日樹(のざわ ひびき)

新卒で株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に入社した後、創業期の社員数10人未満の時代にサイバーエージェントに入社。大阪支社を立ち上げ、社長室、事業責任者としてマザーズ上場を含む会社の急成長に貢献する。2011年にはソフトバンクアカデミアに外部1期生として参加し、孫正義会長から声が掛かり、ソフトバンクグループの社長室へ。電力事業であるSBパワー株式会社の設立、事業立ち上げに営業責任者として関わり、電力小売事業を立ち上げる。2017年10月に株式会社ZENKIGENを創業し、現在に至る。

アフターコロナでは、オンライン面接がスタンダードになる
オンライン面接で培ったノウハウを人事制度に反映させる

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、従来の対面による採用面接からオンラインでの採用面接へシフトする企業が急増しています。Web面接サービス『harutaka(ハルタカ)』を提供している株式会社ZENKIGENの代表取締役CEO・野澤比日樹氏(以下、野澤氏)に新型コロナウイルス感染拡大によって大きく変化している採用戦線の現状や課題について伺いました。

アフターコロナでは、オンライン面接がスタンダードになる

新型コロナウイルスの感染拡大によって、採用の現場に大きな変化が起こっていると思います。オンライン採用の現状について教えてください。

野澤氏:オンライン採用とは、できるだけインターネット上で採用活動を行うことを指します。初期のころは、応募者のエントリーをネットで受け付け、以降の面接などは実際に会って実施していました。「録画自撮りエントリー」と呼ばれる方法もあります。それが近年、『Zoom』や『Skype』などを通じて面接もオンラインで行い、実際の対面は最終面接のときにだけ行う企業が増えている状況です。これまでは採用活動の全てをオンラインで完結させる企業は少なかったのですが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、採用活動をフルオンラインで行う企業も増えました。新型コロナウイルス感染症がまん延した3月以降、弊社のWeb面接サービス『harutaka』への問い合わせ数は6.5倍に。実際に導入していただいたお客さまの数は、直近3カ月の実績が起業から2年半の実績に対して2倍になりました。

オンライン面接を導入したお客さまの反応はいかがですか。

野澤氏:これまでもエントリーシートは従来通りの紙媒体で、1次面接は自撮り動画で行うお客さまはいらっしゃいましたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、採用のワークフローを根本から変えたいというお客さまが急増しています。具体的には1次面接、あるいは2次面接までをオンラインで行って絞り込み、対面は役員との面接時のみ行うというお客さまも増えている状況です。新型コロナウイルス感染症による変化は、オンライン面接でも採用活動に支障のないことを体験する契機になったと考えています。この変化は一時的なものではないでしょう。3月以降、企業は『Zoom』などを利用したオンライン会議を増やし、オンラインでの業務進行が可能であることを知りました。オンライン面接も実際に体験されることで、まったく採用活動に支障がないことを実感していただけると、定着していくと思います。

アフターコロナでは、オンライン面接がスタンダードになる

オンライン面接での課題点は何かありますか。

野澤氏:学生の場合、特に1人暮らしの学生は、通信環境が悪い場合も少なくありません。実家ならWi-Fiが完備されていることも多いのですが、1人暮らしだとスマホのテザリングなどで対応する学生も多く、面接の途中で通信が切れてしまうこともあるようです。Wi-Fi環境を整えようにも、費用や時間がかかるのでなかなか難しい問題だと思います。社会人の中途採用の場合は、通信環境が課題になるケースは少ないのですが、学生の場合は環境に配慮する必要があるでしょう。

一方、企業では、新型コロナウイルス感染症がまん延する中でも、対面での面接にこだわるという場合もあります。ただ、こうした企業は応募数が減少しているようです。相変わらず対面での面接にこだわる企業は、実際に会ってみないと面接はわからないと思い込んでいて、まだオンライン面接でのメリットに気づいていないのだと思います。オンライン面接になれば、応募者にとって交通費はかからず、移動の時間もかかりません。大学生の就職活動においても、対面では交通費・宿泊費などがかかり、決して負担は小さくありません。オンラインになれば、こうした費用は大幅に減りますから、採用を行う企業だけでなく、採用される側にとってもメリットは大きいと言えるでしょう。また、オンライン面接を積極的に取り入れている企業は、「応募者の利便性も考えて、選ばれる会社になろう」という意識が強いと思います。もし企業側でオンラインでの採用選考に不安があるなら、面接の回数を増やすとよいでしょう。オンラインなら何回でも、手軽に面接を実施できます。あるいは、最終面接までの間に、1回だけ対面を入れるなどの方法で、不安は解消できるはずです。

オンライン面接の導入が、応募者の立場に立って考えるという姿勢につながるのですね。

野澤氏:『harutaka』の機能においても、そのような点をきめ細かく対応できるように設計しています。たとえば、通信速度の調整を行う機能があります。これにより相手先のネット環境に応じて通信速度の調整を行い、切断リスクを抑えることが可能です。通信速度が低速となると、画質は落ちてしまいますが、音声が途切れるリスクは大幅に抑えられます。また、通信切断時の対応として『harutaka』はURLをもう1回クリックするだけで、すぐに再接続されるように調整しています。『Zoom』をはじめとする他社のオンライン通信システムでも最近ようやく対応してきたようですが、『harutaka』はいち早く設計していました。オンライン面接ですぐに再接続ができる環境はとても重要だからです。その他にも、オンライン面接に特化した募集内容の作成からオンライン面接中の録画機能、録画データのアーカイブ化による社内共有や採用候補者とのチャット機能など、採用に関わるフローのほとんどを一元管理できます

今後、オンライン面接をどう使いこなすかが、採用の肝になりそうですね。

野澤氏:これからは、採用業務を最初から最後まで、全てオンラインで行えるフルオンライン採用を導入する企業が相次いで誕生してくるでしょう。昨年まで弊社の実績では、フルオンライン面接の導入事例は1社にとどまっていました。しかし新型コロナウイルス感染症のまん延後、途中まではオンライン、最終面接のみ対面で行っていた企業が、方針を変え始めています。こうした変化は数年以内に訪れるだろうと予想していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一気に加速しました。そしてこの急激な変化に対応するため、本来は発注いただいてから導入まで2週間かかるところを、現在は3日で導入作業が完了できるように対応しています。お客さまも新たな採用方式の導入に苦慮されていると思うので、スピード感のある対応は重要です。

新型コロナウイルス感染症への対応としてだけではなく、企業価値の向上や応募者への配慮など、オンライン面接はさまざまなメリットがありそうですね。

野澤氏:オンライン面接を始めたお客さまに伺うと、採用のスピードが上がったことが最大の成果のようです。面接から社内での情報共有もスムーズになり、採用決定までの大幅な時間短縮ができているとのお声を頂きます。企業にとって最適な人材は取り合いになりますから、早い決定は重要です。人材募集の広告も短い期間で済むため、広告費用の削減にもなるでしょう。「年間で1億円ぐらいの費用削減につながった」というお客さまの話も伺いました。

アフターコロナでは、オンライン面接がスタンダードになる

オンライン面接で培ったノウハウを人事制度に反映させる

御社自体の採用はどうですか。新型コロナウイルス感染拡大の前後で何か変化はあったのでしょうか。

野澤氏:新型コロナウイルス感染症が拡大する以前から、1次、2次面接まではオンラインでしたが、今年3月からはフルオンラインで行っています。エントリーから採用まで、一度も直接会わないまま入社というケースもよくあります。新型コロナウイルス感染症の拡大で採用活動を止めざるを得なかったお客さまが多くいらっしゃったので、こういったときこそ、私たちが役に立たなければいけないという意識を持ち、積極的に採用を行っている状況です。また、フルオンライン後は、弊社にとって最適な人材からよく応募されるようになりました。

入社後の人材育成についてはいかがですか。

野澤氏:入社後はバディ(先輩社員『トレーナー』と新入社員『トレーニー』とで組み、新入社員をサポートする制度)を付けて伴走しますが、今はそれもオンラインなので「オンライン・バディ研修」とでも言うのでしょうか。これは必須です。弊社代表の私から会社概要や経営方針をオンラインで説明していますが、その後に行う部門ごとの業務説明もオンラインです。当初は「ランチに行こう」といった感じの、リアルコミュニケ―ションが取れないことへの不安の声もありましたが、やってみると特に大きな問題もありませんでした。人材教育も採用と一緒で、オンラインでは「場所」と「距離」の壁が取り払われますから、その分だけ「時間(回数)」を増やす、つまりコミュニケーションの数を増やしています。毎朝・毎夕の定時ミーティング、全体会議など、オンラインでも回数を増やして社員をきちんとフォローすれば、特に支障はありません。弊社は今後インターンシップもオンラインで実施しようと考えています。オンライン会議への同席や、与えられた課題にオンラインで取り組んでもらい、後日成果物を提出するような流れです。このオンラインインターンを今年から採用する予定です。

成長が見込まれる御社でオンライン業務が増えるとすると、オフィス事情はどのようにお考えですか。

野澤氏:最低限のハブとして、オフィスは必要だと思いますが、広いオフィスは不要ですね。今のオフィスは30人程度でいっぱいなので、今年の後半には2倍の広さのオフィスを借りる予定です。社員数が2倍までは大丈夫ですが、今後の予定ではさらに社員を増やします。しかし、オフィスを大きくするつもりはありません。在宅のオンラインで十分に対応できる仕事も多いため、そこで浮く不動産の費用や通勤の費用を他に活用しようと考えています。具体的には、全国10カ所にワーケーションの拠点を設ける計画です。候補地は千葉、鎌倉、金沢、宮崎、そして企業誘致に熱心な徳島などです。今後はこのような地方にもオフィスを構える会社に、最適な人材が応募してくれるのではないでしょうか。オンライン上での飲み会も最近、弊社で増えていますが、そういった飲み会の補助なども検討しています。社員にアンケートをしてみましたが、以前のようにフルタイムで会社に行って仕事をしたい、と答えた人は0人でした。今起きているオンライン化への流れを、私たちがさらに加速させていきたいですね。

オンライン面接で培ったノウハウを人事制度に反映させる

取材後記

アフターコロナ時代の採用活動で、多くの企業が導入を検討する「オンライン面接システム」を、いち早く提供したZENKIGEN社が話題を呼んでいます。新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、「オンライン面接のメリット」を細部まで追求し設計されたシステムだからこその反響なのでしょう。結果として“時代が求めるサービス”となった「オンライン面接システム」を担う同社。今後の躍進から目が離せません。

取材・文/柴田雄大、編集/d’s JOURNAL編集部