コンピテンシーモデルとは?目的や活用例、作成方法を解説

d’s JOURNAL編集部

コンピテンシーモデルは、仕事で成果を上げる従業員(ハイパフォーマー)の行動に見られる特性を洗い出し、「理想の社員像」を策定することを指します。

自社独自のコンピテンシーモデルを明らかにすることで、採用活動や人事評価、スキルの開発といった部分で信頼性の高い評価基準として活用可能です。

しっかりとしたコンピテンシーモデルを作成するには、具体的な作成手順や注意点などを押さえておく必要があります。この記事では、コンピテンシーモデルを作成する目的や活用例、作成方法などを詳しく解説します。

コンピテンシーモデルとは

コンピテンシーを実務で反映させるには、概念を具体的に表したお手本を用意していくほうがスムーズです。コンピテンシーをモデル化したものが、コンピテンシーモデルということになります。

しかし、いくらお手本が必要だからといって、他社や他部署のものをそのまま真似ようとしても、思うように成果を上げられません。なぜなら、置かれている環境や条件などによって、成果を上げられるかがどうかは異なってくるからです。

そのため、会社や業種、職種に応じたコンピテンシーモデルを作成していく必要があります。作成にはそれなりに時間と手間がかかりますが、よりきめ細かく考えていくことで、実践的なモデルを策定できるようになります。

コンピテンシーの意味と定義

コンピテンシーは、社内で成果を上げている従業員(ハイパフォーマー)に共通する行動特性のことを指します。高い成果を出すことができる従業員には、共通した行動パターンや思考が見られることがあります。

たとえば、顧客の要望を熱心に実現しようとする忍耐強さや、次の仕事の準備を前日までには済ませておくなどが挙げられるでしょう。コンピテンシーを評価基準として設定をすることで、採用面接や人事評価、配置転換など人材活用の場面でよい効果を期待できます。

優秀なスキルや学歴、職歴などを持っている従業員であっても、実際に成果に結びつけられるかは別問題だといえます。持っている能力を成果につなげる行動に紐づけられるかが重要であり、そこでコンピテンシーという捉え方が重要になるのです。

コンピテンシーモデルの目的

コンピテンシーモデルは1970年代前半のアメリカにおいて、人材採用に関する調査結果をもとに生まれた概念です。従来は学歴などを重視した採用基準を用いていましたが、仕事のパフォーマンスとの関連性を調べたときに、次の点がわかりました。

・人材のパフォーマンスと、学歴や知能にはあまり相関性が見られない。
・ハイパフォーマーは特有の行動をしており、それに結びつく思考パターンや性格などにも特徴がある。

この調査結果の内容が、コンピテンシーの基本的な考えとなっています。そして、コンピテンシーをモデル化することで、社員教育や人事評価に活かせるようになり、会社全体の人材育成にもつながっていきます。

従業員一人ひとりのモチベーションを高め、生産性を向上させるきっかけになるはずです。

コンピテンシーモデルの種類

コンピテンシーモデルは、到達すべきモデルの捉え方によって異なります。大きく分けると、次の3つが挙げられます。

コンピテンシーモデルの3つの種類

・理想型
・実在型
・ハイブリッド型(実在型+理想型)

それぞれどのような特徴を備えているかを解説します。

理想型

理想型のコンピテンシーモデルは、企業が求める理想の社員像をもとに作成するモデルを指します。経営方針や事業戦略などから、人材に求める条件を洗い出してモデル化していきます。

特徴は、社内にモデルとするべきハイパフォーマーがいないときに有効な手法という点です。ただし、理想を追い求めるあまり、実現不可能なモデルを作成してしまうことがあるので注意しなければなりません。

理想型でモデルを作成するときは、自社の現状を踏まえたうえで、現実に沿った形でモデルづくりを進めていく必要があります。

実在型

実在型は最もオーソドックスな方法であり、社内で実際に成果を上げている従業員にヒアリングを行ったうえでモデル化するものです。実在する人物を対象とすることで、現実に合わせた形でモデルの設計が行えます。

また、成果を上げるために必要な行動特性をイメージしやすく、他の従業員の納得感を得やすいのもポイントです。ただし、モデルとなる従業員と他の従業員との間に大きな乖離が見られるときには、採用しづらい部分があります。

ハイパフォーマーの行動特性について、再現性が可能かどうかをよく検討することが大事です。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、実在型と理想型を組み合わせた方法です。まずは実在型のモデルを作成し、そこに理想型モデルの要素を組み込んで完成させます。

2つのモデルのよい部分をうまく取り入れられるため、他の従業員だけでなく、ハイパフォーマーにとっても役立つものです。どのようなレベルの従業員にも適用できるという点において、ハイブリッド型のモデルは優れています。

コンピテンシーモデルの作成方法

コンピテンシーモデルを作成するときは、以下の5つのステップに沿って進めてみるとスムーズです。

コンピテンシーモデルを作成する5つのステップ

1.事前準備
2.調査
3.コンピテンシー項目の明確化
4.コンピテンシーのレベル分け
5.コンピテンシー評価シートの作成

各ステップのポイントを解説します。

ステップ1:事前準備

コンピテンシーモデルを作成し、自社に合った運用を行うには、事前に準備をしておくことがあります。それは、コンピテンシーをどのように活用するかを明確化する点です。

企業としての経営方針や事業戦略などと照らし合わせて、その実現のためにどのような人材が必要なのかを明らかにする必要があります。自社が求める人材を具体化する方法として、コンピテンシーモデルを活用することが大切です。

最初に目的をはっきりさせておくことで、自社独自のコンピテンシーモデルを作成しやすくなると同時に、当初の目的を見失わずに運用が可能です。

ステップ2:調査

高い実績を上げるハイパフォーマーを選定したら、行動特性について調査を行っていく必要があります。調査方法としては2つあり、本人へのヒアリングと周囲へのアンケートの実施です。

ヒアリングは職種や役割ごとに行い、ハイパフォーマーが社内でどのような印象を持たれているかを確認してみましょう。調査は時間や手間がかかる部分もありますが、丁寧に行うことでコンピテンシーモデルの精度が高くなるので、じっくりと取り組んでみましょう。

ステップ3:コンピテンシー項目の明確化

次に、調査結果の内容をもとに、ハイパフォーマーに共通する行動特性を洗い出していきます。この段階で役立つのが、コンピテンシーディクショナリーです。

コンピテンシーディクショナリーとは、コンピテンシーを6つの領域、20項目に分類したものです。それぞれの項目と調査結果を照らし合わせることで、調査結果の情報を整理したり、自社が目指すコンピテンシーモデルの方向性が見えてきたりします。

ただし、コンピテンシーディクショナリーに挙げられている項目をそのまま評価項目として設定するのではなく、あくまで自社の実態と目指すべき方向性に沿っているかを一つずつ検証していくことが大事です。

そして、理想型・実在型・ハイブリッド型のいずれかのモデルを選び、具体的な作成作業を進めていきます。

ステップ4:コンピテンシーのレベル分け

コンピテンシーモデルでは、項目ごとにレベル分けを行うことが大切です。レベル分けを行うことによって、対象者がどのコンピテンシーをどこまで達成しているのかが把握しやすくなります。

一般的には、次の5段階でレベル分けする形が多いため参考にしてみてください。

「自己認知」に関する項目のレベル分け

レベル1:理想とする姿やロールモデルを持っている、日々感じるさまざまな気持ちを周囲に的確に伝えている
レベル2:自身の長所や短所を明確に把握する、他者のフィードバックを冷静に受け入れる
レベル3:感情をコントロールする、他者の強みを理解・活用する
レベル4:肯定感を持ちつつ、内省と自己変革を進める
レベル5:外部ネットワークを持ち、価値、立ち位置を比較し、自己認知を深める

ステップ5:コンピテンシー評価シートの作成

コンピテンシーモデルを採用面接や人事評価で活用するには、結果を記録するために、コンピテンシー評価シートを作成しておくと便利です。記録をつけていくことで、複数人で面接を行うときなどに役立ちますし、振り返りの機会を持ったときにも効果を発揮するでしょう。

コンピテンシー評価シートには、評価項目・評価軸・評価レベル を盛り込むことが大切です。詳しくは、d’s JOURNAL編集部が作成した「コンピテンシー項目一覧サンプル」を参考にしてみてください。

コンピテンシー項目の具体例

コンピテンシーモデルの作成では、項目の設定が重要です。以下の項目では、d’s JOURNAL編集部が作成した「コンピテンシー項目一覧サンプル」をもとに、コンピテンシー項目の具体例について紹介します。

①自己の成熟性・自己認知(例:思いやり、誠実さ、ビジネスマナー)

自己の成熟性・自己認知とは、「自分の能力や言動を、現実的・客観的に認知する」「周囲に与える影響を理解しながら、社会人として行動できる」といったことを意味します。具体的な項目の例としては、次のとおりです。

・相手の状況や立場を理解したうえで発言、行動ができる「思いやり」
・誰に対しても誠実な対応ができる「誠実さ」
・社会人として必要な「ビジネスマナー」

自己の成熟性・自己認知に関する項目は、職種・役割を問わず、全従業員に求められるコンピテンシーです。

②変革志向性・意思決定(例:素直さ、目標達成への執着、チャレンジ精神)

変革志向性・意思決定とは、「自分の意思で決断し、結果に責任を負う」「諦めずに、粘り強く実行する」「現状に満足せず、改善や改革を積極的に行う」といったことを意味します。具体例としては、次のものが挙げられます。

・アドバイスや意見を受け入れる「素直さ」
・困難な状況に直面しても諦めずに最適解を導き出し目標を達成する「目標達成への執着」
・新たなプロセス・テーマを検討し実行に移す「チャレンジ精神」

変革志向性や意思決定に関する項目も、職種・役割を問わず、全従業員に求められるコンピテンシーだといえます。

③顧客志向性・対人(顧客)(例:第一印象度、プレゼンテーション力)

顧客志向性・対人(顧客)とは、「顧客から信頼されるビジネスパートナーを目指す」「顧客の声に耳を傾け、期待を上回る行動をする」「顧客の課題を理解し、問題を解決する」といったことを意味します。項目の例としては、次のものが挙げられます。

・初対面の相手に対して、好印象を与える身なり・言動ができる「第一印象度」
・的確に内容を伝えて、相手に理解・納得してもらうことができる「プレゼンテーション力」

顧客志向性や対人に関する項目は、営業職や販売職など、顧客と接することの多い職種に求められるコンピテンシーです。

④組織、チームワーク(例:ムードメーカー性、コミュニケーション)

組織、チームワークとは、「組織全体の方向を踏まえたうえで、協力・支援する」「生産性の高いチームづくりに貢献する」といったことを意味します。具体例として、次のものが挙げられます。

・自身の言動・行動によりチームの目標達成意欲を高める「ムードメーカー性」
・相手に伝わる言葉とストーリーで論理的な対話ができる「コミュニケーション」

組織やチームワークに関する項目は、チームで行動する機会が多い従業員に求められるコンピテンシーです。

⑤業務遂行(例:文章力、計画性、安定運用)

業務遂行とは、「業界において最先端、トップレベルの知識を保有する」「コストを意識した業務遂行をする」「迅速・適切に業務処理を行う」といったことを意味します。主な例としては、以下のとおりです。

・明確、簡潔に文章を書くことができる「文章力」
・優先度を考えたうえで滞りなく計画的に業務遂行ができる「計画性」
・業務の流れを理解したうえで正しく安定した運用ができる「安定運用」

業務遂行の項目は、主に管理職や管理部門の担当者に求められるコンピテンシーです。

⑥戦略志向(例:分析思考、論理的思考、アイデア思考)

戦略志向とは、「問題を要素分解し、主要な原因を正確に捉える」「問題を解決するための具体的な手段を体系的に導き出す」といったことを意味します。主なものとして、以下のものが挙げられます。

・問題を掘り下げて本質を見極めたうえで問題解決を行う「分析思考」
・客観的な視点で物事を捉え、問題解決への道筋を立てる「論理的思考」
・新たな発想の業務への活用を考える「アイデア思考」

戦略志向の項目は、企画職やクリエーティブ職に求められるコンピテンシーです。

⑦情報(例:情報収集力、情報整理力)

情報とは、状況や目的に合わせて情報の収集・活用などができることを意味します。具体的なものとして、次の点が挙げられます。

・数ある情報源のなかから正しい情報をより早く、広く収集する「情報収集力」
・収集した情報を状況・目的に応じて整理する「情報整理力」

特に、社内での情報・ノウハウの共有が必要な管理職や幹部候補の従業員に求められるコンピテンシーです。

⑧指示/統率(例:業務管理力、指揮・指示の徹底)

指示/統率とは、「明確な成果基準を設定し、その基準通りにメンバーに行動してもらう」「チーム全体の方向を踏まえたうえで、生産性の高いチームづくりに貢献する」「チームを統率・先導する」といったことを意味します。主なものとしては、以下の点が挙げられます。

・メンバー一人ひとりの意欲やスキルに応じた適切なリソース配分と業務管理を行う「業務管理力」
・規則やルールなどを自身がまず体現したうえでメンバーにも守ってもらう「指揮・指示の徹底」

指示/統率の項目は、リーダーシップが必要とされる職種に求められるコンピテンシーです。上記のコンピテンシー項目はあくまで一例であるため、具体例を参考にして自社に合ったコンピテンシー項目を作成してみましょう。

コンピテンシーモデルの活用場面

コンピテンシーモデルの活用方法として一般的なのが、人事評価制度への活用です。人事評価制度は、従業員の業務内容やその成果を評価する「評価制度」、従業員の等級を決める「等級制度」、従業員の給与や賞与を決める「報酬制度」の3つに分けられます。

以下の項目では、等級制度や報酬制度のもととなる評価制度への活用方法について紹介します。

人事評価制度への活用

人事評価制度は評価制度・等級制度・報酬制度の3つに分けられますが、コンピテンシーモデルを具体的に活用するためのポイントを押さえておきましょう。主なポイントをまとめると、次のとおりです。

1. コンピテンシーモデル・項目を評価基準にする
2. 人事評価を行う
3. フィードバックをする

1.コンピテンシーモデル・項目を評価基準にする

コンピテンシーを評価制度に活用する際は、コンピテンシーモデル・項目を評価基準にします。従業員には、コンピテンシーモデルに近づけるよう、自らの目標を設定してもらいましょう。

「コンピテンシー評価シートサンプル」をもとに、目標の設定方法を紹介します。

目標の設定方法の例

①コンピテンシー群:「自己の成熟性・自己認知」
②行動特性/レベル・グレード別:「理想とする姿やロールモデルを持っている」「日々感じているさまざまな気持ちを周囲に的確に伝えている」
③目標設定:「身近な人の行動を観察し、自分のロールモデルをつくる」「先輩や上司と関わりながら仕事を進めていく」「上司との1on1で自分から発言するよう心がける」

上記のように、コンピテンシー群やレベル・グレードに応じた行動特性とリンクさせる形で目標を設定することが大事です。

2.人事評価を行う

人事評価のタイミングになったら、「目標としていた思考ができるようになったか」「どの程度まで、ハイパフォーマーの行動特性に近づけたのか」といった観点で、評価を行います。評価理由を添えて、1~5までの「5段階評価」を行いましょう。

また、従業員の自己評価の他、一緒に働く同僚や上司からの評価も取り入れることで、「評価のブレが小さくなる」「従業員が評価に納得しやすくなる」といった効果が期待できます。

3.フィードバックをする

評価が決まったら、従業員一人ひとりにフィードバックをします。目標をクリアできた項目については、前回立てた目標より1段階上の目標を設定してもらうよう、従業員に働きかけるとよいでしょう。

一方で、目標をクリアできなかった項目については、「目標を達成できなかった理由は何か」「次回の評価時期までに、どのような思考・行動が必要となるか」などを、従業員と共に話し合うことが重要です。それらを意識することにより、従業員のさらなる成長につながっていくでしょう。

採用評価・面接への活用

コンピテンシーモデルは、採用や面接の場面でも活用できます。面接や採用での活用方法について紹介します。

面接でコンピテンシーモデルに絡めた質問をする

自社での活躍が期待できる人材を獲得するためには、「応募者の本質を見極める」ことも重要です。コンピテンシーを面接に取り入れることで、「行動」だけでなく、その根底にある「思考」を把握することが可能です。

面接時にコンピテンシーを活用する際は、「直近1年以内に、最も成果を上げたエピソードについてお聞かせください」「どのような成果を上げることができましたか」など、具体的な成果について質問します。そのうえで、「なぜ、そうしようと思ったのですか」「成果につなげるため、どのような工夫をしましたか」「同様に、他の場面でも自分の力を発揮できたことがありましたか」など、掘り下げた質問を行いましょう。

それにより、応募者のコンピテンシーを把握でき、自社に合った人材かどうかを判断しやすくなる効果が期待できます。

採用評価軸にコンピテンシーモデルを活用する

自社に合った人材を獲得しようと考えた際、まず重要となるのが「採用基準を明確にする」ことです。採用基準を設ける際には、仕事における価値観である「Be」、担当の職務・業務で成果を出すための行動特性を意味する「Do」、有しているスキルや経験といった「Have」という3つの基準がありますが、コンピテンシーはこのうちの「Do」に該当します。

実際に自社で活躍している従業員のコンピテンシーや、将来新しくコンピテンシーを採用する際の評価軸としましょう。そうすることで、入社後の活躍が期待できる人材を見極めやすくなる効果が期待できます。

能力・キャリア開発への活用

コンピテンシーモデルは、従業員の能力開発やキャリア開発にも役立ちます。能力開発やキャリア開発での活用方法について紹介します。

コンピテンシー研修を開催し目標を設定する

「どういった思考のもと、どのような行動をすれば高い成果につながるのか」をテーマに開催するのが、「コンピテンシー研修」です。コンピテンシー研修では、まず、コンピテンシーモデルや具体的なコンピテンシー項目を従業員に示しましょう。

そのうえで、「どういった行動ができるようになりたいか」「その行動ができるようになるために、どのような思考を身に付けたいか」といった目標を、参加者一人ひとりが設定します。目標を自ら設定することで、「自分の決めた目標を達成しよう」と積極的・自発的な行動が促され、従業員の成長につながります。

目標の達成状況を定期的に確認する

コンピテンシー研修の効果をより高めるためには、振り返りの機会を持つことが重要です。「研修で決めた目標をどの程度達成できているか」「今後、どういったことを改善すれば、目標の達成に近づくのか」といったことを定期的に確認しましょう。

目標の達成状況を確認する機会としては、研修の数カ月後に行う「フォローアップ研修」や、上司と部下との「1on1ミーティング」などが挙げられます。

コンピテンシーモデルを作成する際の注意点

コンピテンシーモデルを作成することで多くのメリットが得られますが、いくつか注意しておきたい点も存在します。主な注意点として、次の3つが挙げられます。

コンピテンシーモデル作成時の3つの注意点

・導入までの時間とコストを想定する
・定期的な内容の更新が必要
・ハイパフォーマーの行動を真似るだけで成果が出るとは限らない

それぞれの点について、さらに詳しく解説します。

導入までの時間とコストを想定する

コンピテンシーモデルを作成するには、多くの時間とコストを必要とします。ハイパフォーマーへのヒアリングや各項目の設定、評価基準などを一つずつチェックして完成させる必要があるからです。

事業規模や部署の数などによりますが、導入を開始してから完成するまでに1年以上かかることもめずらしくありません。多くの時間や手間を必要とするのは、他社でうまくいっているモデルを導入しようとしてもうまくいかず、自社に合ったものを練っていく必要があるからです。

そのため、実際の導入を始めるまでには、一定の時間とコストがかかることを理解しておきましょう。

定期的な内容の更新が必要

コンピテンシーモデルは一度つくって終わりではなく、数年単位で見直していくことも必要です。経営環境が変化すれば、会社が求める人材のあり方も自ずと変わります。

そうした変化に対応させる形でコンピテンシーモデルを変えていかなければ、実態にそぐわないものとなってしまいます。そのため、経営戦略や事業戦略を見直すときには、コンピテンシーモデルについても同時に再検討をすることが大事です。

ハイパフォーマーの行動を真似るだけで成果が出るとは限らない

コンピテンシーモデルを作成しても、表面的な部分だけをなぞっているだけでは、思うような成果にはつながりません。また、一定の成果を上げた行動であっても、状況が変わると通じないこともしばしばあります。

「どのような状況下で、なぜその行動をとったのか」に意識を向けてみましょう。ハイパフォーマーが行動を起こした理由や経緯を知ることで、より実践的なコンピテンシーモデルを作成することにつながるはずです。

まとめ

コンピテンシーモデルは目覚ましい成果を上げる従業員の行動特性を分析して、理想の社員像としてモデル化することをいいます。

会社によって望ましい社員像というのは異なるため、時間をかけて作成していく必要があるでしょう。

初めから完ぺきなものをつくろうとするのではなく、定期的に改善を加えながら、少しずつ自社に合った形にしていくことが大事です。

作成のための基本的な手順や注意点を押さえたうえで、現場の従業員の意見なども交えながら作成してみましょう。

(制作協力/株式会社アクロスソリューションズ、編集/d’s JOURNAL編集部)

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