【完全版】「あの人はなぜ落ちた?」人事と担当間の評価のブレをなくす、面接管理のやり方(評価・質問例付)
d’s JOURNAL編集部
編集記者 鈴政武尊
企業における採用面接は、一般的に「カジュアル面談」「一次面接」「最終面接」などのステップによって、その採用基準や目的が散漫になりがちです。そのためせっかく人事担当者が求人票などで応募者を集めても、人事担当者と採用担当者の双方で、情報共有の溝が生まれてしまうのです。
採用面接を行う際には、評価における「項目(カテゴリー)」と「基準」を可視化する面接評価・採点シートをつくることが大切です。面接評価シートは、自社の求める採用したい人物を採りきるために、ステップごとで主観的になりがちな評価基準を統一できるメリットがあります。自社の要件に合致した人材を見極め、客観的でいて正確に評価する重要な物差しとなるため、ぜひ自社で用意しておくことをおすすめします。
採用面接の現場でもっとも重要なことは、応募者の評価基準について担当者間で目線が統一されている点。そして面接を行った担当者間でその評価と採点結果を共有することです。
「あの人はどういう基準でこの人を合格させたのだろう?」
「どうしてこの人が最終面接で落ちてしまったの?」
「せっかく集めた応募者を個人の主観で合否判断しないで!」
――などなど、人事担当者であれば一度や二度、このような思いや疑問を持ったはず。客観的かつ正確に評価することが、求める人物像を採用する最大のポイントですが、評価・採点結果のほか担当者間で質問項目も共有するべきなのです。それが採用のミスマッチを防ぐ対策にもつながります。
そこで今回は、面接評価・採点シートのメリットやその活用のポイントとつくり方、ステップ別担当者間での共有のやり方などを、doda求人制作ディレクターが紹介していきます。すぐにダウンロードしたい方は下記からも実行いただけます。
求人ディレクターが教える「ターゲットを明確に」「担当者で共有すること」
面接評価・採点シートを採用の現場に導入することによって得られるメリットは、主に5つとなります。
・自社の求めるターゲット(人物像)について、面接担当者全員の目線と認識を統一できる
・主観に頼りがちな面接官ごとの評価を客観的に実施できる
・カジュアル面談や一次面接で使用するシートが共通なのでスムーズに連携
・履歴書や職務経歴書では見えない応募者の人柄を可視化できる
・面接の記録を残し、評価ポイントの振り返りやデータ化ができる
求める人物像を明確に
採用計画において、目指したい目標や成果に向けたマーケティングやブランディングの観点で採用ターゲットやペルソナを設定することは、より具体的な求める人物像をイメージするためには必要な作業です。そして、もしこれらのターゲティングやペルソナ設定を間違えると、これまで進めていた戦略とは違った方向へ進んでしまい、予定していた計画が的外れになり、かつ面接で採用したい人物をロストすることにつながってしまうでしょう。
ですから、求める素養や優先する条件はもちろん、志向性からスキルまで細かく設定する必要があります。また配属先にマッチした人物像をつくりあげていくためには、現場のメンバーや上長ポジションに当たるキーパーソンにもヒアリングすることで、より精度の高い人物像を確定できます。
求める人物像(ターゲット・ペルソナ)の設定については、以下の資料をご活用ください。
自社の魅力に添う評価と質問が大事
さて、自社の求める人物像(ターゲット・ペルソナ)を定めたら、求める人物に合わせた自社の魅力も同時に見出し、面接担当者間で共有しなければなりません。これは自社の理念や社風、文化・風土、環境、制度といった事柄が会社のPRポイントにもなり、応募者のマッチングに大変重要な役割を果たすためです。こうしたポイントを押さえておくことで、面接で行う質問事項の精度向上やより自社にマッチした人物を探し出すための要素となり得るのです。まずは会社の魅力を再確認して、面接で効果的となりそうな質問項目を決めていきましょう。それが確定すると、求人票や採用ページにも活用できますのでおすすめです。
一方で、採用の合否を決める際、面接担当者同士で「評価基準」に基づいた客観的な検討を成立させることが面接評価シート導入の目的と言えます。再度お伝えしますが、面接評価シートは面接担当者全員の「評価・採点の目線と基準」を合わせるためのものです。そのためなぜこの項目が必要なのか、なぜこの項目が優先事項なのかなど、意図や目的をしっかりと摺合せする必要があるのです。
では、会社の魅力にも紐づく質問項目とはどのようなものがあるのでしょうか。おおよそ下記に記したカテゴリーに分類できそうです。
第一印象
コミュニケーションスキル
志向性
カルチャーマッチ
ストレス耐性
スキルマッチ
仕事の進め方
志望度・意欲
クリティカルシンキング
問題解決力
メタ認知・メタラーニング力
仕事・技術への好奇心
将来やキャリアの明確性 など
これらの大カテゴリーを確定できた後は、各カテゴリーに即した小カテゴリーや詳細な質問項目の決定へと進めていきましょう。その際、配属先のメンバーや活躍しているメンバーからのヒアリングを敢行すると良いでしょう。例えば、「どのような人と働きたいですか?」などの質問から導き出される、「自分が成長したと感じた時はどんなときですか」「どんなタイプの人が苦手ですか」「チームで活躍するのが得意ですか?それとも個人で活躍する方が得意ですか?」などの質問です。いずれにしてもその質問をする意図と目的をはっきりさせることが必要でしょう。
一次、二次、最終…。評価基準の目線合わせをする
「1次面接を通した人物が最終面接で落とされてしまった。あの人はどこを評価ポイントにしたのだろう?」
社長や役員が登場することも多い最終面接。これまでのステップと違って、質問の内容や意図がまったく異なり、せっかく良い感じで選考を突破してきた応募者を突然最終面接で不合格にしてしまう――。このような事例を、人事・採用担当者であれば何度も目の当たりにしたのではないでしょうか。これは一般社員と社長・役員などは、見ているポイントも評価する内容も違うからです。
そこで面接評価・採点シートの一括管理が必要になるというわけです。一括管理には、「自社の求める人物像」を判断するための評価項目を誰が見ても、ステップごとの面接担当者が見てもすぐに理解できるシートでなければなりません。面接評価・採点シートの活用法としては、ステップごとに異なる質問項目、評価基準を1枚のシートとして管理して、使用する項目や箇所以外はグレーアウト表示するなどのテクニックを駆使するとより”使えるシート”となるでしょう。
大事なのは、どの面接担当者が、どんな質問をして、どのような評価を付けたか。またその評価・採点結果を担当者全員で共有しているかです。この一括管理が面接評価・採点においてはもっとも重要な根幹となるのです。人材要件によって都度作成し、常にアップデートしていってください。
ただし、専門性を問う職種の採用活動の場合、身につけているスキルや経験、ポートフォリオの内容などが非常に重要となってきます。そのためポートフォリオチェックを行う専門の担当者や「バーレイザー(英:Bar raiser)」(※)と呼ばれるポジションを独自に設置して、専門の質問シートで管理することもひとつの手段です。ただし、その際も一元管理して評価基準を違わせないよう注意してください。
(※)米Amazon社が採用選考時に設定する独自のポジション。面接の水準を高く維持する役割などを持つ
まとめ【面接評価・採点シートをダウンロード】
さて、いかがだったでしょうか。最後に、身だしなみやコミュニケーション能力といった評価基準があいまいなものから、メタ認知や問題解決力など詳細スキルを見ることのできる面接評価・採点シートをご用意いたしました。面接シートに盛り込む評価項目は、自社の「求める人材像」によって異なりますので、これらの資料を活用して、採用基準を満たした自社オリジナルのカスタマイズを施してください。
テンプレートは、こちらからダウンロードできます。
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