LGBTフレンドリーな企業が行っている取り組みとは。LGBTQやAlly(アライ)の意味も解説

d’s JOURNAL編集部

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの性的少数者の頭文字を取った言葉である「LGBT」。性のあり方や好意の対象は人それぞれであり、企業においては誰もが安心して働くことのできる環境をつくっていくことが大切です。「LGBTの当事者はどのような場面で困難を感じているのか」「多様な性のあり方に対応するため、どのような施策を行うとよいのか」などを知りたい人事担当者もいるのではないでしょうか。今回は、LGBTの概要や困難を抱える当事者の声、現状改善のために個人・企業が行える取り組みなどをご紹介します。

LGBTとは?

「LGBT」とは、「Lesbian(レズビアン・女性として女性を好きな人)」「Gay(ゲイ・男性として男性を好きな人)」「Bisexual(バイセクシュアル・異性を好きになることも、同性を好きになることもある人)」「Transgender(トランスジェンダー・生まれた時の性別と自身の認識する性が異なる人)」の頭文字を取った言葉です。

性のあり方には、「からだの性(生物学的特徴)」「こころの性(性自認)」「好きになる性(性的指向)」「表現する性(性別表現)」の4つの要素などがあります。「からだの性」と「こころの性」は、必ずしも一致するものではありません。「好きになる性」にも、対象には「異性」「同性」「両性」があります。また、「こころの性」が女性だからといって、誰もが好んでスカートをはくわけではないように、「表現する性」と「こころの性」は必ずしも一致しているわけではありません。だからこそ、多様なセクシュアリティの存在を理解し、尊重することが重要です。

LGBTとは?

LGBTQとは

「LGBTQ」とは、LGBTに「Questioning(クエスチョニング・性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていない人)」「Queer(クィア・LGBTのいずれにも属さない、もしくは包括的であると考える人)」の頭文字「Q」を加えたものです。多様なセクシュアルマイノリティに配慮する言葉として使用されています。

「アセクシュアル(他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かない人)」や「Xジェンダー(性自認が男女どちらでもない/ある人)」など、その他にもさまざまなセクシュアリティがあることを示すために、「LGBTQ+」と表現することもあります。

Ally(アライ)とは

「Ally(アライ)」とは、LGBTなどの「性的少数者(セクシュアルマイノリティ)」を支援したい、寄り添いたいという考えを持つ人のこと。「味方」や「同盟」を意味する、英語の「Ally(アライ)」が語源です。全ての人の価値観と向き合う姿勢があれば誰でも表明することができ、現在は「LGBTである・ないにかかわらずAlly(アライ)になろう」という動きが世界的に広まっています。6色(赤・だいだい・黄・緑・青・紫)のレインボーは「性の多様性」のシンボルとして普及しており、それ(レインボーカラー)を示すことは、Ally(アライ)を表明する手段でもあります。

LGBTフレンドリー

「LGBTフレンドリー」とは、LGBTに対して協力的な姿勢を示す個人や組織のこと。「Ally(アライ)」と類似した言葉ではありますが、「Ally(アライ)」は、一歩進んで、より積極的に支援や運動を行う人を指す場合が多いです。
「LGBTフレンドリー」は組織や団体に使用されることも多く、LGBTに配慮した環境や制度の整備などを行う企業のことを「LGBTフレンドリー企業」と言います。

LGBTフレンドリーな企業になるための具体的な施策や企業の取り組み事例は、後ほど詳しくご紹介します。

SOGI(ソジ)とは

「SOGI(ソジ)」とは、性的指向を表す「Sexual Orientation」と、性自認を意味する「Gender Identity」の頭文字を取った、人の属性を表す略称のこと。LGBTが特定の「人」を指すのに対し、SOGIは「どの性別を好きになるのか」「自分自身をどういう性と認識しているのか」という「状態」を示している言葉です。同性愛・異性愛にかかわらず、全ての人が持っている要素を表す言葉として使用されています。

なお、2020年6月1日(中小企業は2022年4月1日より適用)に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)では、SOGIに関する侮辱的な言動(SOGIハラ)や、他者のSOGIを本人の同意なく第三者に暴露する「アウティング」を社内規定で禁止することを義務付けています。

LGBTを取り巻く問題について

現在、日常生活の中では「ホモ・オカマ・レズ・おなべ・そっち系・おとこおんな」など多様な性に対して侮蔑的な言葉や、男女はこうあるべきだというジェンダー規範などがあふれています。いまだに差別や偏見が根強く、当事者はさまざまな困難に直面することがあります。また、企業や個人は、「L」「G」「B」「T」それぞれで直面する困難が異なることも、理解する必要があります。当事者が抱えている困難を、シーン別にご紹介します。

学校生活において

性的指向や性自認について、幼いころから悩みを抱えるケースもあります。学校における困難な場面を、当事者の声を引用してご紹介します。

当事者の声

●男女で分けた授業や種目、体育祭、部活動において、性自認と戸籍性の不一致のために自分のやりたいことを選択できなかった。

●同性愛者であることを明らかにして学校生活を送っていたところ、一部の同級生によって学級会の議題にされ、クラス全員の前で「話し方がオカマっぽくて気色悪い」等の批判を受けた。教員からも「本人は治そうと頑張っているんだから応援しよう」という逆に人格を否定するフォローを入れられ、自尊感情を深く傷つけられた。

(参考:LGBT法連合会『性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版)』)

学校生活においては、性別を基準とした名簿や制服、トイレ、授業、部活などの区別が悩みの元となっているようです。また、「男子生徒/女子生徒はこうあるべきだ」というジェンダー規範意識への悩みも挙げられています。

職場において

職場においても当事者は、さまざまな困難に直面します。

当事者の声

●就業規則などで性的指向や性自認に関係する差別を禁止することが明確にされておらず、職場で差別があったのにうやむやにされた。

●職場に性的指向や性自認について対応できる相談窓口がなく、相談することができなかった。

●使用者に対して、パートナーやその父母の介護休業・介護休暇を取得しようとしたが、配偶者ではないことを理由に拒否された。

●トランスジェンダーであることを人事にカミングアウトしたところ、別のトランスジェンダーの社員について「あの人もトランスなんですよ」と言われた。自分のセクシュアリティもこうやってアウティングされるのではないかと不安になった。

●性別変更したことについて、会社から「絶対に他の社員に言わないように」と口止めされた。

(参考:LGBT法連合会『性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版)』)

「差別が禁止されていない」「相談窓口がない」「福利厚生を受けられない」といった環境・制度面で悩む他、他者によるアウティングや不用意な発言など、対人関係で「不安」や「不快感」、ときに「絶望感」さえ抱くことがあるようです。

日常生活において

日常生活においては、利用する施設によって、さまざまな困難に直面することがあるようです。

病院において

当事者の声

●性別適合手術を終えているが、戸籍の性別を変更していないため、身体の状態と保険証の性別との違いから、他の病気等の際に受診しづらかった。

●救急車を呼んだ時に性同一性障害であることを理由に「どう対応したらいいかわからない」と言われ、搬送されるまでに時間がかかってしまった。

●パートナーが入院したが、病室での付き添いや看護をさせてもらえなかった。

(参考:LGBT法連合会『性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版)』)

病院の受診時には、からだの性とこころの性の違いによる悩みに直面することがあるようです。また、同性間の婚姻関係が認められないことによって、「同性パートナーの手術や入院に付き添えない」「手術の説明を受けられない」などの困難があるという声もありました。

不動産賃貸において

当事者の声

●パートナーと二人の名義で住居を借りようとしたところ、ルームシェアが可能な物件にしか入居できず、年齢等の条件も含めると、入居が可能な物件がほとんど見つからなかった。

●住居を借りる際、住民票と性別記載が外見と異なることを理由に大家から断られた。

(参考:LGBT法連合会『性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版)』)

不動産のオーナーによっては、法的な婚姻関係にない同性同士のカップルの入居を認めていないところもあるようです。他には「外見と戸籍上の性別の違いから入居を断られてしまう」といった声もあり、LGBTそれぞれの悩みが発生しています。

一人一人が今すぐ取り組めること

性的マイノリティを取り巻く課題に対し、個人としてどのようなことができるのでしょうか。一人一人が今すぐ実践できることを、3つのステップに区切ってお伝えします。

【ステップ①】多様な性についての知識を得る

まずは、「当事者の本を読む」「専門家や当事者から話を聞く」「研修会に参加する」など、性自認や性的指向に関する知識を持つ機会を設けましょう。まだまだ自分には知らないことがあるのだと意識して、柔軟に学ぶ姿勢が大切です。

【ステップ②】習慣・常識を変える

次に、身の回りの習慣や自分自身の中で常識となっている考え方を一度見直し、「性自認や性的指向に関する差別やハラスメントにつながるものはないか」「改めるべきものはないか」を考え、行動に移します。

例えば、「旦那さん」や「奥さん」ではなく「パートナー」「ご家族の方」というように、性別を前提としない言葉へ言い換えることができます。あるいは「男らしい」「女らしい」と他人の行動を規定しないなど、身近なところから少しずつ実践していきましょう。

【ステップ③】理解者を増やす

最後に、性自認・性的指向に関する知識を持つ理解者を増やす取り組みを行います。支援の輪を広げ、当事者が家族や学校、職場内において「自分の居場所がある」と実感できる機会を増やしていくことが大切です。

また、当事者からカミングアウトを受けた際には、信頼して話してくれたことに対して「ありがとう」と伝え、「何かできることはあるか」尋ねてみましょう。当事者の中には、困っていることがありカミングアウトをする場合もあるためです。そして、本人が希望しない限り、他者に口外することは避けましょう。

企業によるLGBT支援の取り組み

続いて、現状改善のために企業が行える施策を紹介します。企業が行える取り組みは、LGBTに対する誤解や偏見を解消し、理解を促すことを目的とした研修や周知活動をはじめ、多岐にわたります。以下の項目を参考にしつつ、まずは自社の状況に合わせ、必要な取り組みを検討してみましょう。

1.方針の策定・周知や推進体制づくり
2.研修・周知啓発などによる理解の増進
3.相談体制の整備
4.採用・雇用管理における取り組み
5.福利厚生における取り組み
6.トランスジェンダーの社員が働きやすい職場環境の整備
7.職場における支援ネットワークづくり

LGBT支援の取り組み

(参考:厚生労働省『多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて~ 性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内 ~』)

方針の策定・周知や推進体制づくり

企業としてLGBTQなどの性的マイノリティに関する方針を明文化し、広く社内外に打ち出すことが大切です。会社としての行動を宣言していくことにより、当事者を含めた従業員からの信頼を得ることができるでしょう。さらには、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーからの信望を集めることも期待できます。

研修・周知啓発などによる理解の増進

まずは社内で研修や周知啓発の取り組みを行い、LGBTに関する知識や適切な対応について学ぶ場を設けましょう。学びを通じて、「性的マイノリティの人にはこうすべきだ」といった決めつけをせず、「抱えている困難や必要とする対応は個々人によって違うこと」や「性的マイノリティであるかどうかにかかわらず、誰もが安心して過ごせる環境づくりが重要であること」を共有することが大切です。

相談体制の整備

相談窓口を設置することも重要です。実際に相談やSOGIハラが起こった際適切に対応できるよう、担当者への研修を実施したり、ハラスメントが起こった場合の対応フローをまとめたりしておきましょう。その際、相談内容や関係する情報をどの範囲にまで共有するかや、具体的な対応策について、本人に説明し、必ず了承を得るようにしましょう。プライバシーや本人の意向を尊重しながら、問題解決に向けて動くことが大切です。

採用・雇用管理における取り組み

採用応募者の中に、性的マイノリティの当事者がいる可能性があります。特に面接の場で、意図せず相手を傷付けてしまわないよう、日ごろから適切な知識や対応方法を学んでおくことが大切です。もしも、採用時にカミングアウトがあった場合など、採用プロセスにおいて知り得た機微な個人情報については、慎重に取り扱う必要があります。この他、採用ポリシーに性的指向・性自認に関する差別を行わないことを明記している企業の事例などもあります。

福利厚生における取り組み

結婚、出産あるいは介護などの休暇・休職制度や、家族手当や家賃補助などの支給金など、性的マイノリティの当事者が制度を利用しにくいことがないよう、見直しを行っている企業があります。また、従業員が福利厚生の各種制度を利用する場合に、申請方法や情報の取り扱い、情報を知りうる人の範囲について配慮するなど、意図せざるカミングアウト(またはアウティング)につながらないよう配慮することも大切です。

トランスジェンダーの社員が働きやすい職場環境の整備

特にトランスジェンダー(性同一性障害を含む)の方は、自認する性の容姿や服装での勤務や、トイレや更衣室といった施設を自認する性で利用を希望する場合などに、配慮が必要となることがあります。大きくは、以下の4つの項目について整備の検討を行う必要があるようです。

職場環境の整備項目

●配置における配慮、配置・昇進・昇格などにおける公平な評価、ハラスメント・アウティングの防止
●トイレや更衣室の利用、健康診断の受診
●通称名の使用、服装規定、性別の取り扱い
●ホルモン治療、性別適合手術への対応

職場における支援ネットワークづくり

最後に、職場における支援ネットワークづくりを推進することが挙げられます。この取り組みは、当事者コミュニティの立ち上げと、社会貢献活動の2つの活動から成り立っています。

当事者コミュニティの立ち上げ

まずは、社内にLGBTの当事者サークルや、Ally(アライ)のコミュニティをつくるという方法があります。LGBTの当事者によっては「セクシュアリティに関する悩みを当事者間で共有したい」「Ally(アライ)であることを表明してくれるコミュニティがあることで安心できる」という人もいます。カミングアウトを強制しないことを前提としつつ、当事者の心のよりどころを設けられるとよいでしょう。

社会貢献活動

また、LGBTフレンドリーな企業の中には、各地で行われるLGBTイベントへの出展や協賛を行う企業もあります。これは、社会の理解促進に貢献する他、イベント参加を通じて、まだ活動に積極的ではない社員に興味・関心を持ってもらうことなどを目的に取り組んでいるケースもあるようです。

SOGIハラスメントの防止について

2020年6月1日(中小企業は2022年4月1日より適応対象)に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行され、「SOGIハラ」や「アウティング」を含めたパワーハラスメントへの対策を講ずることが事業主の義務となりました。企業には多様な性のあり方に配慮した環境をつくる上で、措置義務を順守することも求められます。企業が行うべき具体的な施策は、次の図の通りです。

企業が行うべき具体的な施策
(参考:厚生労働省『2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!』)
(参考:『労働施策総合推進法の改正でパワハラ防止が義務化に。企業が取るべき4つの対応』)

【ステップ①】方針明確化と周知・啓発

SOGIに関するハラスメントを防止するために、まずは社内方針を固め、社内に周知します。既存の就業規定を見直し、必要に応じて改定を行いましょう。規則内に「性自認・性的指向に関するハラスメントの禁止」を明記するだけでなく、どのような言動が「SOGIハラ」や「アウティング」に当たるのかを記載すると、個人による認識のズレやその後のトラブルを防ぐことにつながります。

「SOGIに関する規定」の例

(その他あらゆるハラスメントの禁止)
第15条 第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

(参考:厚生労働省『モデル就業規則(令和3年4月版)』)

【ステップ②】相談対応・体制整備

次に、相談窓口を設置し、苦情に対する相談体制を整えます。口頭では伝えづらい相談があることも想定し、電話やメールなど、複数の相談手段を選択できるよう工夫しましょう。相談内容や状況に応じて適切な対応ができるよう、フォロー体制を整備しておくことも大切です。

【ステップ③】ハラスメント対処

SOGIハラやアウティングが発生してしまった場合は、相談窓口の担当者が迅速に事実関係を把握し、被害者・加害者への対応を行います。また、今後同様のハラスメントが発生しないよう、継続的なフォローや再発防止の教育を行うことが望ましいでしょう。

【ステップ④】併せて講ずる措置

その他、「当事者のプライバシー保護のために必要な事項をマニュアル化する」「ハラスメントの相談などを理由とした従業員の解雇や不利益な取り扱いを禁止し、周知・啓発する」などの対策も重要です。そのような措置を行うことで、従業員が安心して相談することができるでしょう。

自治体によるLGBT支援の取り組み

国内の自治体では、性的指向や性自認に関する理解の増進に向けて「条例の制定」や「住民、学校などの公共機関、法人に対する啓蒙活動や環境整備のための支援」などが行われています。例として、東京都では民間企業や団体を対象とした「性自認及び性的指向に関する企業等研修」や、都民・東京都職員それぞれに向けた「啓発資料の作成」などを実施しています。

その他、性的マイノリティの当事者が働きやすい職場環境に向けた施策を行っている企業を認証、公表する制度などを設けている自治体もあります。

パートナーシップ制度とは?

パートナーシップ制度とは、同性のカップルを婚姻に相当する関係であると公認する制度のこと。自治体が発行した「パートナーシップ証明書」を提示することで、従来は法的な婚姻関係にある異性カップルに限られていた行政・民間のサービスの一部を、同性カップルも受けられるケースが徐々に増えています。

受けられるサービスは自治体や企業によって異なりますが、「公営住宅や賃貸住宅への入居」「入院時や手術の際の付き添い」「携帯電話や入場料などの家族割引の適用」などが可能となるケースが多いです。2022年1月時点で、147の自治体が同制度を導入しています。

他社はどうしている?企業によるLGBT支援の事例

性的マイノリティの人が安心して働くことのできる職場をつくるため、社内の環境整備や、Ally(アライ)を表明する従業員を増やす取り組みを推進している企業もあります。

パーソルグループの事例

総合人材サービスを展開するパーソルグループでは、DI&E(ダイバーシティ、インクルージョン&イクオリティ)の一環として、多様性への正しい理解と受容などを目的としたリテラシー教育を実施している他、グループ横断でAlly(アライ)活動を行う有志のコミュニティ「RainbowPERSOL」を組成。セクシュアルマイノリティである・ないにかかわらず、誰もが楽しく、幸せな気分になる世界・カルチャーづくりを目指しています。

パーソルグループの事例
パーソルキャリア 人事部 西出彩香、東京レインボープライド共同代表理事 杉山文野さん
社内イベント「 杉山文野さんと一緒に『性とはたらく』を考える 」の様子

また、パーソルキャリア株式会社パーソルダイバース株式会社(旧社名:パーソルチャレンジ株式会社)では、同性パートナーシップ婚をした社員が異性同士の法律婚と同等の福利厚生を受けられる「同性パートナーシップ婚制度」を導入。同社は、LGBTなどのセクシャルマイノリティに関する取り組み指標である「PRIDE指標2021」において、2年連続となる「ゴールド」を受賞しています。会社内のAlly(アライ)コミュニティ「P-Rainbow」の活動推進や、「LGBT当事者×障害者のための転職・就職支援サービス」を展開していることが評価されました。

野村グループの事例

投資・金融サービスを提供する野村グループでは、LGBTを含む多様な社員の活躍推進を全社的に審議する委員会やワーキンググループを設置。ワーキンググループ内で審議した各テーマをトップダウンで推進するとともに、社員ネットワークによる啓発活動でボトムアップ化し、両輪を回すことで多様な働き方や考えを活かせるグループ全体の環境づくりに努めています。

セクシュアリティに関しては「LGBTの当事者が安心しやりがいを持って働ける環境を整えることで、多様な社員の安心感と活力が引き出せる」という考えの下、グループ内で以下の取り組みを行っています。

野村グループが実施している取り組み

●LGBTへの差別禁止をグループの行動規範に明記
●ダイバーシティ研修やLGBT勉強会の実施
●同性パートナーでも利用できる福利厚生制度の整備
●「トランスジェンダー対応ガイドライン」の策定
●相談窓口の設置
●社員ネットワークによる理解促進の活動

社員ネットワークでは、「アライになろう!」をスローガンとして、「差別的な言動の認知や当事者での理解を促進する映像やポスター、虹色のコーンなどを本社カフェテリアで展示する」「虹色のステッカーでアライを表明する」などの啓蒙活動を実施。これらを受けて、野村ホールディングスは「PRIDE指標2021」において、ゴールドを受賞した企業の中から、コレクティブ・インパクト型の取り組みを実施する企業を表彰する「レインボー」を同時受賞しています。

野村グループの事例
「アライになろう!」と呼び掛けるリーフレットと虹色のコーン

まとめ

一口にLGBTと言っても、当事者が困難に感じる場面や抱えている不安はそれぞれ異なります。一人一人の違いを尊重しながら、個性や能力を発揮できる社内風土を醸成し、個別の事案に応じて、性的指向・性自認に関する悩みを抱えた社員の心情等に十分に配慮した対応を行うことが重要です。「Ally(アライ)のコミュニティをつくる」「社内制度を見直す」といった取り組みにより、LGBTを含む全ての人が自分らしく生活できる企業を目指してはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

全31項目!企業によるLGBT支援の取り組み実施状況チェックリスト

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