労働施策総合推進法の改正でパワハラ防止が義務化に。企業が取るべき4つの対応

第一東京弁護士会労働法制委員会、日本CSR普及協会(雇用労働専門委員)、経営法曹会議等に所属。経営者側労働法を多く取り扱い、労働審判・労働訴訟等の係争案件、団体交渉(組合・労働委員会)、労災(行政・被災者対応)、労務DD対応を得意とする。
経営課題を抽出し、依頼者のニーズを踏まえたベストプラクティスの提案を心掛ける。
主著に『労働行政対応の法律実務』(中央経済社 共著)、『「働き方改革実行計画」を読む』(月刊人事労務実務のQ&A 2017年7月号 日本労務研究会 共著)など。

「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が2020年6月1日より施行
労働施策総合推進法:主な改正内容
労働施策総合推進法:第30条の2、3に基づいた企業が取るべき4つの対応
労働施策総合推進法で定義される「パワハラ」
職場における「パワハラ」の種類
労働施策総合推進法に違反した場合の罰則は?
「パワハラ」を起こさないために、すぐできる取り組み

近年社会問題となっている、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)。2020年6月1日より改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行されました。改正法では、パワハラの防止対策が大企業の義務として定められています。今回の記事では、労働施策総合推進法の改正ポイントや企業が取るべき4つの対応、労働施策総合推進法におけるパワハラの定義などについてご紹介します。「社内研修フォーマット」もダウンロードできますので、社内の啓発活動にぜひご活用ください。

「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が2020年6月1日より施行

2019年5月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、これにより「労働施策総合推進法」が改正されました。改正労働施策総合推進法は2020年6月1日から施行され、「職場におけるパワーハラスメント対策」が事業主の義務となったことから「パワハラ防止法」とも呼ばれています。ここでは、労働施策総合推進法が改正された背景や目的、対象となる企業について解説します。

労働施策総合推進法が改正された背景と目的

労働施策総合推進法の正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」です。2019年5月の改正に当たり、新たにパワハラの防止に関する規定が新設されたため、別名「パワハラ防止法」と呼ばれています。

労働施策総合推進法が改正された背景には、職場での「いじめ」や「嫌がらせ」についての相談件数が年々増加していることが理由の一つとして挙げられます。2016年に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワハラを受けたことがあると回答した人は全体の32.5%。全体の約3分の1がパワハラを経験していることから、従業員にとってパワハラは身近な問題だと考えられます。また、パワハラの予防・解決のための取り組みに関して、実施していると回答した企業は52.2%である一方、特に取り組みを考えていないと回答した企業は25.3%と、いまだパワハラ防止対策を講じていない企業も少なくないようです。

労働施策総合推進法の基本理念は、労働者が生きがいを持って働ける社会の実現です。近年の日本企業が課題としている「長時間労働の是正」「非正規雇用労働者の待遇の改善」「多様な働き方の推進」を解決するとともに、労働者の仕事へのモチベーションや生産性などを向上させることを目的に、同法が策定されました。
(参考:平成28年度 厚生労働省委託事業『職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』)
(参考:『【5つの施策例付】生産性向上に取り組むには、何からどう始めればいいのか?』)

労働施策総合推進法の対象となる企業

労働施策総合推進法は全企業が対象となりますが、企業規模によってパワハラ防止対策に関する義務化の開始時期が異なります。大企業においては、2020年6月1日から職場におけるパワハラ防止対策が義務付けされました。中小事業主(中小企業)については、努力義務期間が2022年3月31日まで設定されており、2022年4月1日から義務化の対象となります。労働施策総合推進法における中小事業主の定義については、下記の通りです。

●中小事業主(①または②のいずれかを満たすもの)

業種 ①資本金の額または出資の総額 ②常時使用する従業員の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業
(サービス業、医療・福祉など)
5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種
(製造業、建設業、運輸業など
上記以外の全て)
3億円以下 300人以下

(参考:厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)『職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~』)

労働施策総合推進法:主な改正内容

2020年6月1日より施行された改正労働施策総合推進法では、条文の新設によって「パワーハラスメント対策の法制化」が図られています。今回の改正で新設された「第30条の2(雇用管理上の措置等)」「第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)」についてご紹介します。

新設:第30条の2(雇用管理上の措置等)※一部抜粋

第30条の2 
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

新設された「第30条の2(雇用管理上の措置等)」では、事業主に対して、職場におけるパワハラ防止対策が法的に義務付けられました。また、同条第3項を受けて厚生労働大臣が定めた指針には、事業主が雇用管理上講ずべき措置の具体的内容が規定されています。これらの定めに基づき、事業主は、パワハラに関する社内方針の明確化や周知が義務となります。対処内容の例として、従業員からのパワハラの相談を受けられるようにし、問題が発生した場合は解決に向けて対応できる体制を整えなければなりません。また、パワハラの相談をしたことによる解雇や不利益な取り扱いも禁止されています。
(参考:厚生労働省『厚生労働省告示第五号』)

新設:第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)※一部抜粋

第30条の3
国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行ってはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。

2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。

3 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。

新設された「第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)」では、パワハラに当たる言動を行ってはならないことや、そのような言動に起因する問題(優越的言動問題)に対して従業員が関心と理解を深めること、他の従業員に対する言動について注意を払うように研修を実施することなどが事業主の努力義務として定められています。

セクシュアルハラスメント等防止対策の実効性の向上

労働施策総合推進法の改正と同時期に、男女雇用機会均等法と育児・介護休業法も改正され、セクシュアルハラスメント(セクハラ)やマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止に関する国・事業主・労働者の責務が明確化されました。それにより、これまで事業主に課されていたセクハラなどの防止措置に加え、パワハラ対策と同様に、セクハラなどについても事業主に相談した従業員等に対する不利益な取り扱いを禁止することが法律に明記されることとなりました。このように、「セクシュアルハラスメント等防止対策の実効性の向上」が図られたことも、今回の法改正のポイントとなります。

労働施策総合推進法:第30条の2、3に基づいた企業が取るべき4つの対応

厚生労働省が発行しているリーフレットをもとに、企業が取るべき4つの対応をご紹介します。
(参考:厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)『職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~』)

社内方針の明確化と周知・啓発

パワハラ防止法の対策としてまず取り組むべきなのが、社内方針の明確化と管理監督者を含む従業員への周知・啓発です。職場における「パワハラ」の定義などを就業規則に定めることで、社内方針を明確化しましょう。社内方針の明確化とあわせて、パワハラの内容と発生原因、背景などを従業員に周知・啓発します。周知・啓発する際には、厚生労働省のリーフレットなどを活用するのもよいでしょう。

●具体的な取り組み例

・就業規則に「パワハラ」の定義、行為者への厳正な対処方針を規定し、従業員に周知・啓発する。
・社内報やパンフレット、社内ホームページに「パワハラ」に対する対処方針を掲載する。
・啓発の資料にパワハラの内容と発生原因や背景を記載し、配付する。
・パワハラの内容や社内方針を周知・啓発するための研修や講習などを定期的に実施する。

また、パワハラ対策にあわせて妊娠、出産、育児休業などに関するハラスメントに対応する場合は、社内方針とあわせて利用できる制度(育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定労働時間の制限など)を周知・啓発しましょう。

ダウンロードして、社内研修資料としてご活用ください。

相談に適切に対応するための体制づくり

パワハラを防止するためには、苦情などに対する相談体制の整備が欠かせません。あらかじめ相談窓口を設置し、従業員に周知しましょう。窓口では適切な対応ができるように、「担当者を定める」「相談に対応するための制度を設ける」「外部機関に窓口・相談対応を委託することも想定する」などが必要となります。また、口頭では伝えづらい相談があることも想定されるため、電話やメールなど複数の方法で受けられるように工夫しましょう。相談内容や状況に応じて適切に対応できるような、フォロー体制づくりにも取り組むことが求められます。

●具体的な取り組み例

・相談に対応する担当者を定める。
・相談に対応するための制度を設ける。
・外部の機関に相談への対応を委託する。
・相談内容に応じて、相談窓口の担当者と関係者が連携を図れる仕組みをつくる。
・相談窓口の担当者に対し、対応方法に関する研修を行う。

パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応

パワハラが発生してしまった場合は、相談窓口の担当者が状況に応じて、事案に関わる事実関係を迅速かつ正確に確認する必要があります。事実関係を確認する際は、相談窓口の担当者や人事担当者または専門の委員会などが相談者と行為者の双方からヒアリングを行いましょう。また、担当部署との連携や対応の手順などを明確に定めておくことでスピード感をもって対処でき、被害の継続や拡大の防止が期待できます。

ハラスメントの事実が確認できた場合は、速やかに企業として取るべき措置を考えます。その上で、相談者とパワハラ行為を行ったとされる相手の双方に、会社側がどのように判断し、どういった措置を講じたのかを説明し、理解してもらいましょう。また、行為を行ったとされる相手には、どういった言動が問題だったのかを伝え、今後同様の問題が起こらないように継続的なフォローアップを行います。社内で二度とパワハラが起きないように、再発防止の教育を行うことが望ましいでしょう。

●具体的な取り組み例

・相談者および⾏為者の双方から事実関係を確認する。
・目撃者の有無やメールなどの客観的資料の有無を確認する。
・確認した事実関係を踏まえて、会社としてパワハラが行われていたのか否か、またその内容などについて事実認定を行う。
・事実認定の結果に応じて、パワハラ行為を行ったとされる相手への注意・指導、相談者への謝罪、人事異動、懲戒処分などの必要な措置を検討・実施する。
・再発防止に向けて、改めてハラスメントに関する社内方針を周知・啓発する。
・研修や講習を実施し、ハラスメントに関する意識を啓発する。

(参考:『【弁護士監修】懲戒処分とは?種類と基準―どんなときに、どんな処分をすればいいのか―』)

あわせて講ずべき措置

当事者のプライバシー保護のために、事業主は必要な措置を講じ、その旨を従業員に周知することも重要です。例として、「当事者のプライバシー保護のために必要な事項のマニュアル化」「相談窓口の担当者に対する研修の実施」などが挙げられます。また、ハラスメントの相談や協力などを理由に従業員の解雇や不利益な取り扱いをしないことを定め、周知・啓発することも重要です。そうした措置を講じることにより安心して相談できる環境となり、従業員はパワハラ被害を訴えやすくなるでしょう。なお、このプライバシーには、「性的指向・性自認」「病歴」「不妊治療」などの容易に察することができない個人情報も含まれます。

●具体的な取り組み例

・相談者、⾏為者などのプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定める。相談窓⼝の担当者が相談を受けた際にはそのマニュアルに基づき対応する。
・当事者のプライバシー保護のために、相談窓⼝の担当者に必要な研修を⾏う。
・相談窓口においては、当事者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていること、パワハラ申告を理由に不利益な取り扱いをしない旨を、社内報やパンフレット、社内ホームページなどで広報する。

労働施策総合推進法で定義される「パワハラ」

労働施策総合推進法では、「①優越的な関係を背景とした言動」「②業務上必要な範囲を超えたもの」「③労働者の就業環境が害されるもの」の3つの要素を全て満たすものを「パワハラ」と定義しています。一方で、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワハラに該当しません。ここでは、①~③の要素について具体的な内容を見ていきましょう。

①優越的な関係を背景とした言動

優越的な関係を背景とした言動とは、職場での地位や優位性といった権力関係を背景に行われるものを指します。「優越的な関係」のわかりやすい例として、「上司と部下」「先輩社員と後輩社員」「特定の業務におけるベテランと新人」などが挙げられます。しかし、優越的な関係は、役職や在籍年数といった肩書上の地位だけではなく、専門性や経験、学歴などさまざまな要素から構築されるため、「同僚間」や「部下から上司」という関係も考えられます。

優越的な関係を背景に、「業務上必要な知識や豊富な経験を持ちながらも協力せず、業務の円滑な遂行を妨げる」「部門の部下全員が上司を非難・無視する」などした場合、パワハラに当たり得ます。

②業務上必要な範囲を超えたもの

業務上必要な範囲を超えたものとは、通常業務の範囲を超えた指示や強要を指します。「業務上必要な範囲」には明確な基準がないため、ケースごとに判断します。上司や先輩社員には、「部下に指示を出す」「注意や指導など教育を行う」といった役目がありますが、明らかに度を超えた指示・教育は、パワハラと認定されることがあるため注意が必要です。例として、「業務とは無関係のことを無理やりやらせる」「無理なノルマを押し付ける」「謝罪の際に土下座を強要する」などが挙げられます。

また、指導の内容が相手の人格・尊厳を侵害するような言動であれば、相手を侮辱する動機・目的で行われた業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動となるため、パワハラに当たり得ます。例として、「侮辱」「暴言」「隔離」「人間関係からの切り離し」などが挙げられます。

③労働者の就業環境が害されるもの

労働者の就業環境が害されるものとは、当該言動によって従業員の業務が滞り、かつ心身に不調をきたす恐れがあるなど、従業員が就業する上で見過ごすことのできない程度の支障が生じることを意味します。身体的もしくは精神的に苦痛を与える言動として、「暴力により傷害を負わせる行為」「著しい暴言を吐くなどして人格を否定する行為」「何度も大声で怒鳴ったり、厳しい叱責を繰り返したりして恐怖を感じさせる行為」などが挙げられます。

また、「長期にわたる無視」「能力に見合わない仕事の付与」などにより就業意欲を低下させる行為が行われた場合、就業環境を害する行為に当たると考えられます。

(参考:『【弁護士監修】パワハラ防止法成立。パワハラ問題へ企業はどう対応する?対策法を紹介』)
(参考:厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)『職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~』、厚生労働省『パワーハラスメント対策導入マニュアル~予防から事後対応までサポートガイド~第4版』)

職場における「パワハラ」の種類

厚生労働省では、職場におけるパワハラを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。職場でのパワハラの状況は多岐にわたりますが、代表的な行動例は次の6種類に分けられます。

●代表的な6つのパワハラ行動例

①身体的な攻撃:暴行や傷害といった暴力。
②精神的な攻撃:侮辱や暴言、脅迫といった心の暴力。
③人間関係からの切り離し:無視や仲間はずれ、隔離といったように、相手に疎外感を与えるような行為。
④過大な要求:一人では遂行不可能な量・質の業務や、業務上明らかに不要なことを押し付けるといったように、相手に無理難題を与える行為。
⑤過小な要求:明らかに本人の能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないといったように自尊心を傷つける行為。
⑥個の侵害:業務とは無関係のプライベートな領域に過度に立ち入るような行為。

(参考:『【弁護士監修】パワハラ防止法成立。パワハラ問題へ企業はどう対応する?対策法を紹介』)

職場におけるハラスメントには、「パワハラ」や「セクハラ」の他に「マタハラ」や「モラルハラスメント(モラハラ)」もあります。上下関係などの職務上の地位に関係なく、精神的な苦痛を与えるハラスメントで、周囲からはわかりにくいという点がパワハラとは異なります。

労働施策総合推進法に違反した場合の罰則は?

改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に違反した場合、改正法が施行された2020年6月1日時点では、法的な罰則は設けられていません。ただし、労働施策総合推進法第33条に「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる」と規定されているため、場合によっては、助言・指導・勧告が行われる可能性があります。勧告などに従わない場合は、労働施策総合推進法第33条の2により、「勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる」と定めています。これらは企業のレピュテーションに大きな悪影響を与え得るため、注意が必要です。

「パワハラ」を起こさないために、すぐできる取り組み

パワハラが起こらない職場にするために、企業ができる予防法として最も大切なことは、「日頃からの社員教育」です。就業規則などで社内方針を明確化して周知・啓発するとともに、従業員にしっかり伝えるための社員研修も有効です。管理職など部下を持つ従業員にのみ研修を行っている企業もあるようですが、パワハラは「同僚同士」など上司と部下以外の関係でも発生すると考えられます。そのため、全従業員に受講させ、定期的に繰り返して実施することが重要です。

●パワハラを起こさないために、すぐできる取り組み例

①就業規則や労使協定を制定して社内方針を明確化し、周知・啓発する。
②パワハラ防止を周知・啓発するための社員研修を定期的に実施する。
③社内におけるパワハラの実態や、パワハラに関する意識調査のためのアンケートを実施する。
④問題の深刻化を防ぐために、気軽に相談できる窓口を設置する。

(参考:『【弁護士監修】パワハラ防止法成立。パワハラ問題へ企業はどう対応する?対策法を紹介』)

まとめ

2020年6月1日より施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)では、パワハラの防止が企業の義務として定められています。パワハラを防止するために企業が取るべき対応は、「社内方針の明確化と周知・啓発」「相談に適切に対応するための体制づくり」「パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応」、あわせて講ずべき措置として「当事者のプライバシー保護」の4つです。今回の記事を参考に、実際にどのような措置を講じるべきかを検討した上で、パワハラ防止対策を推し進めてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/弁護士 藥師寺正典、編集/d’s JOURNAL編集部)