【テンプレ付】目標管理シートの書き方や職種別の例文とポイントを解説

d's JOURNAL
編集部
「目標管理シート」は、従業員の主体性を高めつつ、個々のパフォーマンスを最大限に引き出せる大変有用なツールです。しかし、導入を検討している人事・採用担当者の中には、その詳細を把握していない方もいるでしょう。
そこで本記事では、目標管理シートの作成によって得られる効果と具体的な書き方をご紹介します。
目標管理シートを導入することで、目標設定や評価基準の透明性を高められます。
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目標管理シートとは
目標管理シートとは、従業員が目標を達成するまでのプロセスを可視化した資料のことです。具体的には数値目標や行動目標、評価基準などがまとめられており、従業員はこれによって自身の成長度合いを把握できます。
この資料は、従業員本人に作成を依頼することが一般的です。目標管理シートの作成は、現時点での課題や今後の行動指針について考えてもらう貴重な機会となるためです。
さらに、作成してもらったシートに上司が目を通すことで、業務に対する認識のずれがないかどうかも確認できます。
目標管理シートを作成する目的
目標管理シートを作成する目的として、組織と個人の目標達成力を高めることが挙げられます。企業と従業員が合意した目標を立てることによって、個々の従業員は「どのような目標を持って日々の業務にあたっていけば良いか」が明確になります。
上司からの指示だけで行動するのではなく、従業員自身が目標を設定することで、モチベーションが高まるでしょう。また、目標管理シートを基に人事評価を行えば、公平で納得感のある評価に結び付けやすいといえます。
目標管理シート作成による従業員の5つの効果
目標管理シートを作成することで、従業員は次の5つの効果を得られます。
1.現状把握ができる
2.目標を具体化できる
3.人事評価の振り返りに活かせる
4.自身の成長につながる
5.組織の成長につながる
1.現状把握ができる
目標管理シートは、従業員が現状の課題を把握するために必要な資料です。
作成時に「今の自分に足りないものは何か」「今後どのような取り組みを行えば良いのか」を言語化し、それを基に主体的に行動することで、業務改善を円滑に進められます。
2.目標を具体化できる
目標管理シートの作成時に現状の課題が明らかになることで、改善に向けた具体的な目標を立てられるようになります。目標が明確であれば今後の行動指針も定まるため、高いモチベーションを維持しながら業務に取り組めるようになるでしょう。
3.人事評価の振り返りに活かせる
従業員が人事評価の結果を振り返る際にも、目標管理シートは役立ちます。
目標管理シートの内容を基に、高評価を得られた理由、もしくは芳しくない結果となった原因を客観的に分析することで、企業側から求められているものが明確になるためです。
分析結果を基に各従業員がスキルや業務への取り組み方を改善していけば、各人に対する会社からの評価も上がっていくと考えられます。
4.自身の成長につながる
従業員が目標管理シートを作成し、達成した目標とそこに至るまでのプロセスを振り返れば、自身の強みを再確認できます。
また達成できなかった目標がある場合も、課題の把握が可能です。こうした情報を基に今後の行動指針を定め、自発的に仕事に取り組むことで、従業員自身の成長につながります。
5.組織の成長につながる
従業員一人ひとりのスキルが上がると、当然、組織全体のパフォーマンスも向上します。この点は企業にとって大きなメリットであるため、人事評価シートの導入は大変有意義だといえるでしょう。
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目標管理シートに記載する項目
ここでは、目標管理シートに記載する項目と、記載のポイントを紹介します。
●数値目標
●目標達成までの期限
●目標を達成するための行動目標
●評価基準の設定
●目標に対する結果
●結果の振り返り
数値目標
目標管理シートを作成する際は、可能な限り数値目標を定めることが大切です。目標を数値化することで、達成状況を視覚的に把握できるようになるため、従業員のモチベーションアップにつながります。
現状の課題を踏まえた上で、「売上を前年よりも10%伸ばす」「満足度調査で全体の80%以上の顧客から高評価を得る」などの具体的な数値目標を設定しましょう。
目標達成までの期限
目標に対して、達成までの期限を設ける必要があります。達成すべき目標によっても期限は異なりますが、月単位や年単位をベースに期限を区切ることが大切です。
期限を設けて達成できない目標があるとすれば、実態に合わせた目標に修正することも必要です。
目標を達成するための行動目標
目標の数値と期限を決めたら、次は行動プロセスを明確にします。仮に、営業職で「1カ月に500万円を売り上げる」という目標を立てたとすると、1件当たりの顧客単価が25万円だとすれば、1カ月で20件の成約が必要であることがわかります。
成約率が20%であれば、1件成約するのに必要な商談数は5件のため、1カ月で100件の商談が必要になるでしょう。さらに週単位で見ていけば、25件程度の商談を行うという具体的な行動目標が定められます。このように、行動プロセスは具体的に記載することが重要です。
評価基準の設定
目標管理シートを作成するときは、評価基準の設定を行うことも重要です。評価基準を明確にしておけば、目標達成に向けたモチベーションの維持につなげられるでしょう。
具体的な評価基準は、職種によって異なりますが、目標を数値化できるものは数値として示しておくほうが明確になります。従業員と相談しながら、評価基準を定めてください。
目標に対する結果
目標管理シートには、目標に向かって取り組みを行った結果、どのような成果を得られたのかを記入する必要があります。設定した期間で得られた成果や目標達成の度合い、それらに対する評価などを記入します。
経年で評価を比較できるように、良い評価の順にA・B・Cに区分するなどして、シンプルに記入していくことが重要です。どのような評価の分け方を行うのかは、従業員とコミュニケーションを取りながら決めましょう。
結果の振り返り
目標の達成できた点、または達成できなかった点などを踏まえながら、目標管理シートの最後には結果の振り返りを記入する必要があります。目標を達成できた際には、なぜ達成できたのかを振り返ることも大切です。
また、達成できなかった目標があったとすれば、達成できなかった理由だけでなく、どのような課題が見つかったのかも記入してもらいましょう。従業員自身が振り返った結果を基にして、1on1などを通じてフィードバックを行い、次の目標に向けた取り組みの方向性を示していくことが重要です。
目標管理シートを導入することで、目標設定や評価基準の透明性を高められます。
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目標設定に役立つ3つのフレームワーク
目標設定は従業員の成長に欠かせない取り組みですが、明確な指標がない状態で行うことは容易ではありません。ここでは、目標管理シートの作成時に活用できる3つのフレームワークをご紹介します。
1.ベーシック法
2.ランクアップ法
3.SMARTの法則
1.ベーシック法
ベーシック法とは、目標設定の最も基本的なフレームワークであり、ほかのさまざまなフレームワークの基になっているものです。ベーシック法は、目標項目・達成基準・期限設定・達成計画の4つのステップで構成されており、それぞれのステップを自分なりに考えていけば、具体的な目標を立てることができます。
目標の項目は、「強化」「改善・解消」「維持・継続」「開発」の4つの種類に分けられますが、どれか1つに絞って目標を立てていくか、種類ごとに細かく設定すると良いでしょう。次に、どのような状態になれば達成とするかの達成基準を明確化します。
達成基準を定めるにあたって、まずは目標項目を数値化します。しかし、全ての項目を数値化できるわけではないため、目標項目の内容によって細かく判断しましょう。
そして、目標ごとの達成基準を定めたら、いつまでに達成するのかを明らかにするために期限を設けます。達成する期限を設けていないと、目標管理があいまいになってしまうため注意が必要です。
最後に、達成に向けたプロセスを明確にするために、達成計画を立てていきます。項目ごとのアクションプランや必要なツールなどを具体的に計画してください。
2.ランクアップ法
ランクアップ法とは、6つの構成要素から目標項目を設定していく方法のことをいいます。ベーシック法と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
ランクアップ法の6つの構成要素は、「改善」「代行」「研究」「多能化」「ノウハウの普及」「プロ化」です。それぞれのポイントとして、以下の点が挙げられます。
1.改善:弱点を改善する
2.代行:スキルが高い上司や先輩社員の仕事を代行できるようにする
3.研究:特定のテーマについて研究する
4.多能化:現在持っていない他分野のスキルを身に付ける
5.ノウハウの普及:スキルや知識をノウハウ化して普及させる
6.プロ化:専門分野のプロを目指す
専門的でレベルの高い目標を設定したいときに、ランクアップ法は有効です。
3.SMARTの法則
SMARTの法則は、経営学者であるピーター・ドラッカーによって提唱されたフレームワークです。SMARTの法則の意味は、それぞれ以下の通りとなります。
【SMARTの各アルファベットが表す意味】
●S(specific):具体的でわかりやすい
●M(measurable):測定可能である
●A(achievable):達成可能である
●R(relevant):関連している
●T(time-bound):期限が明確である
SMARTの法則を用いれば、誰が見た場合でも明確な目標を定めることができるでしょう。目標設定を行う上で、基本的な捉え方として活用してください。
【職種別】目標管理シートの例文を紹介
続いて、目標管理シートを記入する際の例文を職種に分けてご紹介します。
●営業職の例文
●エンジニア職の例文
●企画・マーケティング職の例文
●クリエイティブ職の例文
●コンサルタント・研究職の例文
●サービス職の例文
●管理部門・バックオフィス職の例文
●事務職の例文
営業職の例文
営業職は数ある職種の中でも、比較的目標を立てやすい職種だといえます。毎月の売上や成約件数、成約率などを数値目標として掲げやすいため、設定した数値目標を達成するための具体的な行動を決められるでしょう。
例えば、以下のような目標設定を行うことができます。
目標:売上1,000万円(顧客単価100万円)を達成する
行動:新規顧客5件、既存顧客5件を目安として契約件数を増やしていく
目標:前年同月比で115%の成約を獲得する
行動:アポイントを取るために訪問回数を増やす、月の商談を15%増やす、商談のスキルを磨くためにロープレの回数を増やす
ポイントとしては、掲げた目標に対して行動指針を明確にすることです。日々の業務で取り組むことを具体化すれば、目標達成に向けた行動を起こしやすいでしょう。
また、評価基準についても「売上1,000万円達成でA評価」「売上600万~1,000万円でB評価」「売上600万円未満でC評価」というように、客観的に判断しやすい評価基準を設けることが可能です。
エンジニア職の例文
エンジニアなどの技術職は、営業職のように売上ベースで目標を設定することが難しい職種です。そのため、納期を短くしたり、バグが発生する回数を減らしたりといった観点から目標を設定してみると良いでしょう。
目標:顧客が希望する納期に作業を全て完了させる
行動:作業手順の確認や調整に取り組む、生産管理に関するスキルを身に付ける
目標:作業工程を全て一人で担えるように、社内テストに合格する
行動:社内テストを6カ月以内にクリアできるように、月30時間を学習に充てる
目標:1つの案件で、バグの発生回数を1回以下に抑える
行動:納期の2日前には完成させる、バグのテストは必ず2回以上行う
上記のように、納期やスキル、品質管理といった観点から目標を設定してそれに基づいた評価を行っていくことが大切です。
企画・マーケティング職の例文
企画・マーケティング職は目標を立てやすい職種ではありますが、どの部分に目標を設定するかは精査しておく必要があります。
例えば、SNSの運用を目標にする場合、フォロワーの獲得が目標なのか、SNSを通じてコンバージョンを増やすことが目標なのかで意味合いが違ってきます。
自社が掲げる目標と照らし合わせた上で、適切な目標設定を行うことが大切です。具体的な目標と行動は、以下のようなものが挙げられます。
目標:LINEで月50人の友だち登録を獲得する
行動:LINE以外のSNSで毎日3回投稿する、月に1回ウェビナーを開催する
目標:X(旧:Twitter)から自社の商品を購入してくれる人の割合を3%増やす
行動:商品の魅力や使い方に関する投稿を毎日2回投稿する、毎週1本は動画を投稿する
登録者数やコンバージョン率などで判断できるため、客観的な評価を行えます。
クリエイティブ職の例文
デザイナーなどのクリエイティブ職は、売上などの数値では目標を設定することが難しい職種だといえます。マーケティングに関する部分も含めて考えれば、数値目標を立てられないわけではありませんが、クリエイティブが売上に対して直接的にどの程度の影響を与えているのかを測定することは難しいでしょう。
そのため、クリエイティブ職の目標設定を行うときは、エンジニア職と同じように納期や修正回数などで考えていくほうが無難です。
目標:顧客が求めている納期で、全ての案件を対応する
行動:納期の2日前には制作物を完成させる、仕上がりに問題がないかどうかを2回以上チェックする
目標:毎月の修正回数を、1つの案件で1回以下に抑える
行動:デザインのラフの段階で修正回数を決めておく
作業効率を高め、顧客満足度にどれくらい貢献できたのかを評価基準にすると良いでしょう。
コンサルタント・研究職の例文
コンサルタントや専門分野を取り扱う研究職などは、顧客にどの程度貢献できたのかを数値目標にしましょう。具体的には、以下のような目標が挙げられます。
目標:顧客企業の売上を20%向上させる
行動:競合他社の研究を行った上で最低10個のプランを考える、チームで連携して提案内容に磨きをかける
目標:商品Aの開発チームに加わり、顧客企業の利益率を2%高める
行動:顧客企業が製造している商品Aを精査して、生産ラインの見直しを図り、製造コストを10%抑える
サービス職の例文
サービス職の場合は、販売を担当している商品の売上や顧客数など、数値目標として設定できる項目は多いといえるでしょう。
逆に、多くの目標を立ててしまう恐れもあるため、目標の数や難易度が適切なものであるかどうかを精査する必要があります。
目標:担当している売り場の売上を10%向上させる
行動:1日に15人の顧客に自ら話しかけに行く、接客に関するロープレを毎週1回は行う
目標:担当している商品の売上を5%伸ばす
行動:商品に関する知識を深めるために外部の勉強会に月1回は参加する、商品の魅力をわかりやすく伝えられるように話し方のロープレを毎週1回行う
成果を挙げている従業員のノウハウなどを共有することで、目標達成に結び付けやすい環境を整えていくことも大切です。
管理部門・バックオフィス職の例文
人事部などのバックオフィス業務を担う職種は、社内環境を整える役割であるため、売上などの数値を目標にすることは難しいといえます。
そのため、従業員の満足度や業務の効率化などを数値目標として定めると良いでしょう。
目標:離職率を5%未満に抑える
行動:全ての従業員と面談を行って不満を把握する、社内アンケートを実施して3カ月に1回はレポートにまとめる
目標:給与明細書の作成に関する業務時間を50%削減する
行動:手作業を減らすために給与計算システムを導入する、紙の書類のやりとりを全体の10%以下に抑える
上記のように、具体的な数値目標を定めることで、業務の効率化を推進していけます。
事務職の例文
事務職は一見すると数値目標を立てにくいイメージを持ってしまいますが、業務効率を高めたり、ミスを減らしたりするなどの部分で目標設定が行えます。
具体的な目標の例は、以下の通りです。
目標:資料作成にかかる時間を15%削減する
行動:資料作成に必要なデータを一元管理する、関係者とリアルタイムで情報共有できるようにクラウドサービスを利用する
目標:経費精算に関するミスを月3回まで減らす
行動:手入力の作業を行わないで済むようにペーパーレス化を進める、経費精算の期日を設けて全ての従業員に徹底してもらう
【役職別】目標管理シートの例文を紹介
次に、役職別に目標管理シートの例文をご紹介します。
●新入社員の例文
●中堅社員の例文
●チームリーダーの例文
●管理職の例文
新入社員の例文
新入社員は、達成の難易度が低い個人的な目標を設定すると良いでしょう。
目標:配属3カ月以内に新規顧客から2件以上の成約を獲得する
行動:配属1カ月以内に商材知識の社内テストに合格するために自己学習を行う、社内のロープレ会に参加する
目標:配属3カ月以内に先輩社員の案件を1件引き継ぐ
行動:先輩社員とコミュニケーションを積極的に取る、一人で提案書を作成できるようになる
小さな目標をクリアして成功体験を積んでいき、次のステップへ移るための準備を進めることが大切です。
中堅社員の例文
中堅社員には、自身の目標を達成することはもちろん、教育を担当している新入社員のマネジメントも求められます。下記のように、「プレイヤーとしての目標」と「指導者としての目標」を立てて、両方の達成を目指しましょう。
目標:今期の売上750万円を達成する
行動:自身の時間管理や作業効率について毎日振り返る、毎日100件以上テレアポを行う
目標:担当の新入社員に、1年以内に売上500万円を達成させる
行動:新入社員との1on1を毎週実施する、新入社員を自身の訪問営業に3回以上同行させる
チームリーダーの例文
チームリーダーは、組織の成長につながる目標を設定する必要があります。
目標:今年度の顧客満足度を前年比15%以上改善する
行動:教育方針や業務フローを改善する、各メンバーに業務報告書を毎週提出してもらう
目標:今年度のチームでの売上を前年比20%以上改善する
行動:隔週でロープレ会を開催してメンバーの接客スキルを伸ばす、業務報告書の内容を基にトークスクリプトやロープレの資料を作成する
こうした目標を達成し、企業に貢献することで、より大規模な組織の統率を任されるようになります。
管理職の例文
組織全体の指揮を執る役割の管理職は、企業方針や事業計画を基に数値目標を設定します。
目標:営業2課の粗利目標6,000万円を達成させる
行動:商談数や成約率のデータを参照してKPIを見直す、インサイドセールスやマーケティング部門とのミーティングを隔週で行う
目標:営業2課の月平均残業時間を25時間以内に抑える
行動:業務フローを見直して適正化を図る、チームリーダーを通じて残業時間が多いメンバーのサポートを行う
「売上を伸ばすにはどうすれば良いのか」「業務をより効率化する方法はないか」といった考えに基づいて行動し、企業の発展につなげられると理想的です。
目標管理シートを導入することで、目標設定や評価基準の透明性を高められます。
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目標管理シートを上手に作成するための6つのポイント
目標管理シートをうまく作成するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
1.組織の目標と擦り合わせる
2.目標は適切な数に絞り込む
3.定量的な目標が含まれていることを確認する
4.目標の難易度に問題がないようにする
5.目標自体がノルマにならないようにする
6.成功体験を積ませるための目標も設定する
各ポイントについて解説します。
1.組織の目標と擦り合わせる
目標管理シートの作成時は、企業が目指す方向性と乖離(かいり)したものになっていないかどうかをチェックすることが大切です。従業員の個人的な目標だけで設定してしまっては、いくらシート通りに取り組んだとしても組織の成長には結び付きにくいでしょう。
従業員が目標管理シートを作成する際は、目標の立て方や数値設定、行動プロセスなどに問題がないかどうかを上司が一緒になって確認していく必要があります。必要に応じてアドバイスを行い、組織が掲げる目標と従業員が立てた目標の擦り合わせを行いましょう。
2.目標は適切な数に絞り込む
従業員が意欲的に目標に向かって挑戦していくことは良い点だといえますが、目標の数を適切に絞り込むことも重要です。本人の実力以上に多くの目標を設定してしまえば、個々の目標に対する取り組みが中途半端なものになってしまうでしょう。
一方で、目標の数が少な過ぎると、十分な達成感が得られずに不満がたまってしまう原因になる恐れがあります。従業員との面談を通じて、現時点で設定する目標の数が適切なものになっているかどうかをチェックすることが大切です。
3.定量的な目標が含まれていることを確認する
目標はただ設定すれば良いというものではなく、定量的な部分が盛り込まれているかどうかをチェックする必要があります。数値化できるものは、可能な限り数値として目標を掲げるほうが目標の達成具合を把握しやすくなります。
公平な評価にもつながりやすいため、従業員自身の納得感も増すでしょう。ただし、職種によっては目標の達成度を数値化することが難しいものもあるため、状況に応じて定性的な部分も取り入れていく必要があります。
4.目標の難易度に問題がないようにする
目標の方向性や数に問題がなくても、目標の難易度が適切なものでなければ、モチベーションの低下を招く原因となるため注意が必要です。目標設定が高過ぎても低過ぎても、思うように成果を出せなくなってしまう恐れがあります。
従業員の実力を踏まえた上で、実力以上の難易度の目標も織り交ぜながら、全体のバランスを考えましょう。努力すれば達成できる範囲で目標を立てるほうが、モチベーションの維持につながるはずです。
5.目標自体がノルマにならないようにする
目標管理シートで設定した目標は、ノルマではありません。ノルマとしてプレッシャーを与えてしまうと、モチベーションの低下を招いたり、本来の実力をうまく発揮できなくなったりするケースがあるため注意しましょう。
目標に向かって行動していく本質的な部分を従業員に理解してもらい、ノルマ化しないよう、上司や先輩社員が適切なフォローを行っていくことも大切です。
6.成功体験を積ませるための目標も設定する
目標を設定する際は、つい大きな目標を立てることばかりに意識が向いてしまいますが、小さな目標も適切に設定していくことが重要だといえます。目標が大きなものであるほど、達成するまでには時間や労力がかかってしまうため、仕事を通じた充実感を得られにくくなるでしょう。
特に経験の浅い分野に取り組む従業員については、成功体験を積ませて自信を持ってもらうためにも、小さな目標の設定が欠かせません。比較的達成しやすい目標を盛り込んでおくことで、途中経過を振り返りやすく、大きな目標に取り組んでいく意欲を維持できるはずです。
目標管理シートを活用するための5つのポイント
本項では、目標管理シートの効果を最大限に得るために押さえておきたい、5つのポイントをお伝えします。
1.導入目的を従業員に周知する
2.主体的に取り組める目標を設定してもらう
3.定期的に進捗状況を確認する
4.PDCAサイクルを回していく
5.目標の修正も柔軟に行う
1.導入目的を従業員に周知する
目標管理シートの導入時には、その目的を従業員に説明することが重要です。シートを記入する従業員が目的を理解していなければ、認識のずれやモチベーションの低下を招きかねません。そうなると、導入の効果は薄れてしまいます。
ミーティングや1on1の際に目標管理シートの重要性をしっかりと伝え、従業員が納得した上で導入しましょう。
2.主体的に取り組める目標を設定してもらう
従業員自身が「達成したい」と思える目標を設定してもらうことも、目標管理シートを導入する際のポイントとして挙げられます。
目標管理シートを導入する主な狙いは、従業員の自主性を高め、成長を促すことにあります。主体的に取り組める目標を定めなければ、モチベーションが上がらないため、取り組みの成果を十分に得られないでしょう。
こうした事態を避けられるよう、目標管理シートには、従業員自身の持つスキルや適性に合う目標を記載してもらう必要があります。
3.定期的に進捗状況を確認する
目標管理シートを従業員が作成したら、定期的に進捗状況を確認しましょう。従業員に任せきりにしてしまうと、設定した目標と異なる方向に動いてしまう可能性もあります。
また、予想外のトラブルなどに見舞われて進捗が遅れている場合には、どのように対応すれば良いのかがわからなくなるかもしれません。
従業員のモチベーションを低下させないためにも、1on1ミーティングなどの定期的な面談を通じて、しっかりとチェックしていくことが重要だといえます。適切なフィードバックを行うことで、従業員は安心して自分の目標に向かって努力を重ねていけます。
(参考:『1on1ミーティングとは|目的や得られる効果と導入・実施方法を解説』)
4.PDCAサイクルを回していく
どれほど綿密に目標管理シートを作成しても、実際に行動してみなければわからないことも多いものです。そのため、目標管理シートを作成して従業員が設定した目標に向かって取り組みを始めたら、内容をチェックして改善点を洗い出しましょう。
実際の取り組みを行いながら、修正を加えていくことで目標の達成により近づいていけるはずです。PDCAサイクルを回していく中で気付いたさまざまな点を活かしながら、目標達成に向けて着実な行動を重ねていけるように、従業員にアプローチしましょう。
5.目標の修正も柔軟に行う
目標管理シートで設定した目標に向かって努力を重ねていても、前提となる条件や本人の実力が伴っていないなどの理由から、「目標達成が困難だ」と感じることもあるでしょう。
設定した目標に向かって努力していくことは大切ですが、今の時点で達成できなさそうな目標は、修正していくことも検討してください。
実力に見合わない目標を掲げて行き詰まるよりは、小さな目標を達成して成功体験を積み重ねていくほうが、長い目で見れば人材育成につながることも多いものです。従業員とのコミュニケーションを重ねながら、目標が見合ったものであるかどうかをチェックしましょう。
目標管理シートでよくある失敗例
目標管理シートの導入は、以下のミスによって失敗に終わってしまう可能性があります。
●設定する目標の数が多過ぎる
●達成意欲が薄い目標を設定している
●具体性がない目標を設定している
「導入したけれど、思うような成果が得られなかった…」と後悔しないよう、本項で対策を確認してください。
設定する目標の数が多過ぎる
一度に多くの目標を立てると、達成させるための施策や行動指針が複雑化し、やり遂げることが困難になります。目標を達成できなければモチベーションが下がるため、かえって従業員の成長を妨げてしまうかもしれません。
設定する目標を3つ程度に絞った上で、取り組みの中で成功体験を積み重ねてもらうことが、目標管理シートの導入を成功させる鍵といえます。
達成意欲が薄い目標を設定している
従業員が主体的に取り組めない目標を設定することも、目標管理シートの導入時に起こり得るミスの一つです。前述の通り、従業員が前向きに取り組める目標でなければ、設定しても十分な効果は得られないでしょう。
目標管理シートを導入する際は、取り組みを通じて従業員自身が成長できるような目標を立ててもらうことが重要です。
具体性がない目標を設定している
目標管理シートを記入してもらう際は、「具体的な内容が記載されているか」を確認することも不可欠です。目指す目標が明確でなければ、達成に向けた取り組みもあいまいなものとなってモチベーションが下がり、途中で挫折してしまう恐れがあるためです。
このようなリスクを回避できるよう、目標管理シートには数値目標や達成までの期限を明記させ、取り組みの具体的なイメージをつかんでもらいましょう。
目標管理シートを活用した効果的なフィードバックの方法
目標管理シートに記載してもらった内容に関するフィードバックを行う際に、意識したいことをご紹介します。
●落ち着いて話せる場所を用意する
●時間に縛られずに納得するまで対話する
●フィードバックは月1回を目安に実施する
落ち着いて話せる場所を用意する
従業員へのフィードバックは、プライバシーに配慮して個室で行いましょう。人目に付く場所で実施すると、従業員が集中できず、話の内容が適切に伝わらなくなってしまう可能性があります。
また、個室を確保すると、従業員にフィードバックの重要性を意識させることができます。「わざわざ個室を用意するということは、重要な話をされるのだな」という心持ちで参加してもらえるため、フィードバックを円滑に進められるはずです。
時間に縛られずに納得するまで対話する
従業員が納得するまで対話を重ねることも、フィードバックの際に意識したいところです。中途半端な状態でフィードバックを終えると、従業員が今後の行動指針を定められないため、パフォーマンスの低下を招いてしまうかもしれません。
もし面談の時間が足りず、切り上げざるを得ない場合は、再度面談の時間を取れるようにお互いのスケジュールを調整しましょう。
フィードバックは月1回を目安に実施する
フィードバックの面談は、適切な頻度で行うことが大切です。高頻度で面談を実施すると、従業員がストレスに感じ、むしろモチベーションを下げる恐れがあるためです。
こうした事態を避けられるよう、フィードバックは月1回を目安に行うことをお勧めします。この程度の頻度であれば、従業員のモチベーションを下げずに取り組みの方向性を正せるでしょう。
まとめ
目標管理シートの作成を通じて、従業員自らが目標を設定することになるため、課題が明確になり、仕事へのモチベーションを高めることにつながるでしょう。また、目標管理シートがあれば従業員一人ひとりの状況を把握できるので、公平な人事評価や適切なフィードバックにも役立つはずです。
目標として設定する内容は職種によって異なるため、しっかりと精査していく必要があります。定期的に進捗状況を確認しながら、PDCAサイクルを回していけるように従業員をサポートしましょう。
目標管理シートを導入することで、目標設定や評価基準の透明性を高められます。
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(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)
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