ミートアップとは?採用における役割や実施ステップを解説

d’s JOURNAL編集部

ミートアップとは、共通の目的で人々が集まる交流会を意味する言葉であり、採用手法の一つとして取り入れられています。集まった人たちに対して、自社の魅力をしっかりと伝えられるので、採用ブランディングを効率よく進められる手法として注目されています。

近年では労働人口の減少などの影響によって、企業が必要な人材を確保するのが難しい状況となっており、従来の採用手法にとらわれない取り組みが重要性を増しているといえるでしょう。

この記事では、ミートアップの基本的な捉え方やメリット・デメリット、導入までのステップなどを解説します。

ミートアップとは


ミートアップを正しく取り入れるためには、まず基本的な意味を押さえておく必要があります。注目される背景なども含めて解説します。

ミートアップの概要

「ミートアップ」(meetup)とは、共通の目的を持った人たちが集う交流会を意味する言葉であり、2002年に米国企業が始めたサービス名に由来します。近年では、交流会の場そのものをミートアップと呼ぶようになっており、イベントの主催者がテーマやスケジュールなどをSNSで事前に告知し、興味を持った人たちが集まる形式であるのが一般的です。ミートアップはカジュアルな雰囲気で開催されることに特徴があり、共通の目的に関心がある人同士が出会い、情報交換・共有を行う場となっています。

採用におけるミートアップ

ミートアップは採用の現場でも取り入れられており、少ないコストで採用ブランディングを行えるとして、多くの企業で注目されています。集まった人たちに対して、自社の魅力を直接アプローチできる機会となるため、企業としても情報発信の場として活用できるでしょう。

ミートアップを採用手法として導入する場合は、交流会や勉強会、説明会などの形式に分けられます。採用したい人材像や職種などに応じてうまく使い分けてみると、効果的な手法として活かすことができるはずです。

ミートアップ採用が注目される理由

ミートアップを採用の現場に取り入れる企業が増えている理由として、労働人口の減少によって採用活動のハードルが上がっている点があげられます。厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況 」によれば、有効求人倍率は1.32倍(2023年4月時点)であり、売り手市場の状況が続いています。

同業他社との間において、人材の獲得競争は激しさを増しており、「この会社で働きたい」と思ってもらえる採用ブランディングへの取り組みが企業として欠かせなくなっているといえるでしょう。企業自らが情報発信を行い、求職者に直接アピールしていけるミートアップは、そうした採用活動との相性がよいといえます。

募集要項などだけでは伝わりにくい、企業文化や働きがいをアピールするきっかけとして、ミートアップが注目されているのです。転職市場に存在している求職者だけにアプローチを行うのではなく、転職潜在層にも働きかけていく取り組みが求められています。

ミートアップのおもな種類


ミートアップは一つの形式だけにとらわれるものではなく、目的に応じていくつかのタイプに分けられます。また、オンラインでの開催にするか、オフラインでじっくりと取り組むかなど開催方法にも幅があるといえるでしょう。

ここでは、3つの形式についてそれぞれ解説します。

交流会型

参加者同士の交流をおもな目的としたものが、交流会型のミートアップです。従業員と参加者が軽食などをとりながら、自由な雰囲気で話をすることができます。

リラックスした雰囲気のなかで自社の社風を伝えたり、参加者からの質問を受け付けたりすることによって、自社に対する理解をより深めてもらうことを狙いとしています。交流会型においては、自社の認知度を高めることを目的としているので、広く参加を募る形で行われるのが特徴です。

勉強会型

あらかじめ設定したテーマに沿って、参加者と学びを深め合う目的で行われるのが勉強会型のミートアップです。ポイントとしては定期的に勉強会を開催することであり、参加者が興味を持った段階で参加しやすい状況を整えることが大切です。

交流会型と比較をすると、参加者のスキルや職種などを絞り込んで開催することができるため、採用活動の一環として一歩踏み込んだ形で行えるのが特徴でしょう。

説明会型

企業が取り組んでいる事業などの説明を行う場として設けられるのが、説明会型のミートアップです。面談時や面接時において、個々の候補者に対して企業説明を行う手間を軽減する目的で行われるのが一般的です。

ただし、一般的な企業説明会と比べて、リラックスした雰囲気で行われるのが特徴としてあげられます。実際に働いている自社の従業員の話や会社が目指すビジョンなどを伝えていきます。

説明会型のミートアップにおいては、参加者自体が自社に対して興味を抱いているケースが多いので、説明会を行うことでその後の採用につなげやすいのが特徴としてあげられるでしょう。

ミートアップを採用に活かすメリット


ミートアップを採用活動に活かすことのメリットとして、次の点があげられます。

・求める人材の確保につなげやすくなる
・低コストで実施ができる
・自社のファンを育てることにつながる

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

求める人材の確保につなげやすくなる

ミートアップを実施すれば、自社が求める人材の確保に結び付けやすくなります。情報発信という観点だけ見れば、ホームページやSNSなどを通じて企業は情報を伝えていくことができます。しかし、一方的な発信となってしまいがちであるため、自社の魅力が十分に伝わらない部分もあるでしょう。

ミートアップであれば、参加者とやりとりを重ねながらコミュニケーションを取れるので、リアルな情報を参加者に伝えることができます。参加者に自社の雰囲気やビジョンなどをしっかりと理解してもらっておけば、採用活動におけるミスマッチが起こりづらくなり、結果として求める人材の確保につながっていくはずです。

低コストで実施ができる

ミートアップは大がかりなものでなければ、低コストでの開催が可能です。自社のスペースをうまく活用したり、オンラインで開催したりすれば場所代を気にする必要もないでしょう。

交流を目的としたミートアップであれば、カジュアルな雰囲気で行えるレンタルスペースでの開催も視野に入れてよいでしょう。ミートアップは少ない予算でも開催できるのが魅力であり、企業の採用ブランディングを強化する取り組みとして活用してみてください。

(参考:『採用コストの平均相場は?コスト削減の施策や計算方法を解説』

自社のファンを育てることにつながる

ミートアップを行うことによって、自社のファンの獲得につなげることが可能です。自社の従業員と参加者が交流する場を設ければ、直接コミュニケーションを取ることができるので、相互理解が深まっていくでしょう。

また、参加者が満足するようなプログラムを用意すれば、競合他社との差別化を図ることにつながり、採用ブランディングとして役立つはずです。定期的にミートアップの場を設ければ、今まで自社に対して興味を持っていなかった転職潜在層にもアプローチを行うことができ、自社のファンを獲得するよい機会となります。

(参考:『採用コストの平均相場は?コスト削減の施策や計算方法を解説』

ミートアップのデメリット


ミートアップには多くのメリットが存在しますが、いくつか注意しておきたい点も存在します。どのような点に気をつければよいかを解説します。

準備をするための手間がかかる

ミートアップは低コストで開催できる分だけ、準備にそれなりの手間や時間がかかります。参加者の興味を引くための企画を考え、スケジュールを調整する作業などに労力がかかる点を押さえておきましょう。

また、人事担当者だけでなく、役員や現場の従業員に協力を依頼する場合もあります。開催するテーマに合わせて、社内での調整を行う必要があるので余裕を持って準備を整えていくことが大事です。

そして、ミートアップの開催を告知したとしても、初めのうちは必ずしも予定通りの参加者が集まるとはかぎらないでしょう。参加者を地道に増やしていくためには、自社のホームページやSNSなどを通じて積極的に情報発信を行っていくとともに、求人広告なども活用して参加者を増やしていく努力が求められます。

短期的には成果が見えづらい

企業側としてはミートアップを採用活動の一環として活用したいという目的はあったとしても、すぐに成果が出るとはかぎらない点に注意が必要です。ミートアップはあくまで、自社の従業員と参加者が交流を深める場であり、目に見えた成果が出るまでには一定の時間がかかります。

そのため、中長期的な視点に立ってミートアップを行っていく必要があるでしょう。定期的に継続して開催することによって、口コミの広がりや知人の紹介といった流れに結び付いていきます。

ミートアップを行うまでのステップ


ミートアップを円滑に実施するためには、基本的な流れを押さえておくことが大事です。実際にミートアップを行うときの手順について解説します。

開催する目的を明確にしテーマを設定する

ミートアップを実施するには、まず開催する目的を明確にして、テーマを設定する必要があります。開催の目的が単に、「自社に応募してほしい」というだけでは、ミートアップの効果を活かすことができません。

職種や参加者が関心のある領域ごとにテーマを決めて開催する必要があり、「どのような人に参加してほしいか」「参加後にどうなってほしいか」を十分に検討しておきましょう。そして、設定した目的を達成するための企画を考えていきます。

ミートアップの目的とプログラムの内容にギャップが生じていると、参加者の満足度は低下してしまう恐れがあるので、事前によく検討しておくことが大切です。

参加者を募る

ミートアップをどのような形で行うかを決めたら、次に告知や集客方法について考えます。一般的には、自社のホームページやSNSにミートアップの詳細情報を記載して、情報発信を行っていきます。

さらに、従業員にも協力してもらって情報を拡散したり、求人広告に情報を掲載するときにミートアップに関する日程を一緒に伝えたりするのも一つの方法です。そして、参加を希望する人とのスムーズなやりとりが行えるように、あらかじめメールのテンプレートなどを用意しておくとよいでしょう。

開催日までに準備を進める

告知や集客などを行いつつ、スムーズにミートアップを開催できるように、開催当日の準備も並行して進めていきます。勉強会型や説明会型のミートアップを行う場合、スライド資料や説明資料などの準備が必要になります。

開催目的とプログラムの内容にズレが生じていないか、資料のチェックを複数人で行っておきましょう。ミートアップは自社の魅力を直接アピールすると同時に、参加者に自社を深く理解してもらうことが目的としてあげられます。

そのため、参加者に伝えたいことを事前に整理し、当日の段取りや時間配分などを決めておくとトラブルを未然に防げるでしょう。

実施日

開催準備を整えて、ミートアップの開催日を迎えたら、事前に取り決めた段取りに沿ってプログラムを進行していきます。参加者の満足度を高めるために、当日参加することでしか得られない情報を提供していくなどの工夫もしてみましょう。

ホームページやSNSでは得られない情報を伝えたり、現場の従業員のリアルな声を聞いてもらったりすると効果的です。また、参加者が質問しやすいような雰囲気づくりにも努めてみましょう。

さらに、ミートアップを開催した後にはアンケートを実施すると、次回以降の改善点を把握するのに役立ちます。ミートアップに参加をしてよかった点やどのような情報をもっと知りたかったかなどを尋ねる項目を用意しておくと、参加者の率直な意見を聞けるでしょう。

課題を振り返り次につなげる

ミートアップは継続して行っていくことで、徐々に成果へとつながっていきます。アンケート結果を集計して、次回以降に実施する企画を練ってみましょう。関心の高かったテーマをさらに掘り下げたり、豊富なコンテンツを用意したりするなどして、参加者の満足度を高めていく施策を実行することが重要です。

また、社内の従業員などの声も聞いて、認識を共有していくことも大切だといえます。ミートアップをよりよいものにしていくには、会社が一つになって取り組んでいくことが大事です。

まとめ

ミートアップは共通の目的を持った人たちが交流する場を意味しており、企業の採用活動の一環として役立てられます。交流会型・勉強会型・説明会型のそれぞれで特徴があり、どのような目的でイベントを開催するのかを決めてから準備を整えてみましょう。

また、ミートアップは準備にそれなりに時間がかかり、短期的には効果が見えづらいといった部分もあります。他の採用手法とうまく組み合わせながら、自社に合った形で取り組みを進めてみてください。

(制作協力/株式会社アクロスソリューションズ、編集/d’s JOURNAL編集部)

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