ストレス耐性を面接で見極めるポイントとは?質問例や注意点を解説

d’s JOURNAL編集部

日々の仕事においては、あらゆる立場でさまざまな種類のストレスにさらされます。従業員に本来の実力を発揮してもらうためには、ストレスと上手に向き合い、コントロールできる能力も重要な資質になるといえるでしょう。

この記事では、採用時の面接において、応募者のストレス耐性を見極めるために押さえておくべきポイントをご紹介します。ストレス耐性に関する基礎知識やストレス耐性を見極める質問例、面接時に気をつけるべき点などを詳しく見ていきましょう。

ストレス耐性とは


「ストレス耐性」は一般的にも用いられる機会が多い言葉であり、そのまま「ストレスに対する抵抗力」を意味します。ここでは、仕事における重要性も踏まえて、ストレス耐性の基本的な意味を確認しておきましょう。

ストレス耐性の基本的な意味

ストレス耐性とは、ストレスとなる要因に対して、どれくらい耐えられるかを示す指標です。ストレスとは対象にかかる負荷のことであり、人間に対するものでは身体的なものと精神的なものの2つに大別できます。

睡眠不足による身体の不調や、不快な出来事による心のダメージなど、ストレスにはさまざまな種類とパターンがあります。ストレス耐性は、こうしたさまざまなストレスに対する耐性を幅広くまとめた用語といえるでしょう。

面接におけるストレス耐性の重要性

面接においては、応募者の資質の一つとして、ストレス耐性を把握しておくことも重要となります。仕事においては人間関係や成果へのプレッシャー、新しい環境への適応など、ストレスの要因となる要素が数多くあります。

特に、仕事の内容や立場、職種によっては、通常よりもハイレベルなストレスが加わるケースもあるでしょう。こうした環境で高いパフォーマンスを発揮するためには、これらのストレス要因にうまく適応することも重要な条件です。

一方で、過剰なストレスが加われば、従業員のメンタルヘルスに不調をきたしてしまうリスクもあります。そうなれば、採用した企業だけでなく、採用された本人にもマイナスの結果につながってしまうでしょう。

面接時にストレス耐性を見極めることができれば、任せたい業務やポジションとのマッチ度を測る指標の一つとなるのです。

ストレス耐性に影響を与える6つの要素


ストレス耐性は広範囲の意味を含む言葉であるため、単に「ストレス耐性」を見極めるといっても、どのような点に目を向ければよいのかは不透明です。そこで、まずはストレス耐性に関わる能力を6つに分け、どのような要素が求められるのかを明らかにしましょう。

(参考:『ストレス耐性とは?従業員のストレス耐性を高めるためのポイントと注意点 』)

感知能力

感知能力とは、ストレスの原因に気がつく能力のことを指します。感知能力が高い場合は、ストレスの要因に対してより敏感になり、同じ環境下でも周囲の人よりストレスを感じやすくなります。

反対に、感知能力が低い人はそもそもストレスの要因に気がつかないため、比較的にストレスを受けにくくなるのが特徴です。こうした能力は「鈍感力」とも呼ばれており、ストレス耐性に直結する能力として捉えられることもあります。

感知能力には、本来の性格も大きく関係していると考えられています。例えば、「細かな配慮ができる」「危機管理能力が高い」といった人は、普段から細かな点にも目を向ける傾向が強いため、感知能力も高くなりやすいといえるでしょう。

回避能力

回避能力は、その名の通りストレスを回避する能力のことです。ストレスの要因に対して、「そういうこともあるだろう」と割り切って考えられるスキルを指しており、回避能力が高ければストレス耐性も高くなります。

回避能力は本人の資質だけでなくそのときの体調にも関係しているとされており、心身ともに健康な状態であれば、回避能力も高くなると考えられます。

処理能力

処理能力とは、ストレスそのものを処理する能力のことです。ストレスの要因を避けたりかわしたりするのではなく、根本的な原因となっているものを処理することで、ストレスに対処する能力を指します。

例えば、業務負荷の多さがストレスにつながっている場合は、事前に調整して軽減をするといった行動が処理能力に該当します。ストレス要因にはさまざまなものがあるため、物事に対して臨機応変に処理できるかどうかが重要なポイントです。

転換能力

転換能力とは、ストレスの要因となる事象をよい方向に捉え、転換できる能力のことです。言い換えれば、物事のプラス面に注目して前向きに受け止められる力のことであり、転換能力が高いほどストレス耐性も高くなります。

例えば、仕事で失敗をしてしまっても、くよくよとマイナス面ばかりを気にするのではなく、学びの機会として捉えられれば本人の成長につながります。

経験値

人間には同じようなストレス要因に続けて直面していると、徐々に慣れてストレスを感じにくくなる性質があります。どのような内容によって、あるいはどのくらいの頻度によってストレス耐性が高まるのかには個人差がありますが、基本的にはストレス要因との繰り返しの接点が経験値として積まれていくと考えられます。

つまり、同程度の強度を持つストレス要因であっても、過去に経験がしたことがあるもののほうが、負荷は感じにくくなるということです。ただし、継続的に過剰なストレスを受けることで、かえってストレス耐性が低下してしまうケースもあります。

容量

ストレス耐性には、どれだけのストレスを受け止められるかという容量も大きく関係しています。ストレス容量が大きい人は、ストレスをため込んでいてもある程度まで耐えることが可能であり、心身にもそれほど大きな影響が表れません。

一方、ストレス容量が小さい人はストレスの蓄積による影響が起こりやすく、心身の不調をきたしやすくなります。このように、ストレス耐性に関する要素を細かく分解すると、どのような性質がプラスに働くのかを見極めやすくなるでしょう。

ストレッサーの種類


ストレス耐性について知るうえでは、ストレスの要因となる「ストレッサー」についても理解を深めることが大切です。どのようなストレッサーが悪影響を与えるのかを把握しておくことは、労務環境を改善する取り組みにもつながっていきます。

ここでは、代表的なストレッサーの種類を6つに分けて見ていきましょう。

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーとは、物理的な環境刺激によるストレス要因のことです。例えば、職場における悪臭や騒音、混雑した室内といった外部からの刺激が挙げられます。

また、長時間にわたるVDT作業(ディスプレイやキーボードといった機器を使用した作業)なども代表的な物理的ストレッサーです。それ以外の要因としては、飲酒や喫煙による身体への影響、睡眠不足、病気・ケガといったものも該当します。

生物的ストレッサー

生物的ストレッサーとは、生体の免疫反応を引き起こす刺激のことです。具体的には、ウイルスやほこり、花粉などが生物的ストレッサーに該当します。

生物的ストレッサーも、仕事でのパフォーマンスに大きな影響を与える要因です。例えば、現代では国民の3人に1人がスギ花粉症にかかっているとされており、花粉症による生産性の低下は、1日あたり2,215億円もの経済損失を招くと試算されています。

こうした生物的ストレッサーによる労働力の低下を防ぐためには、職場における労務環境の整備も重要な課題となります。

化学的ストレッサー

化学物質から受けるストレスのことであり、タバコの煙や工業で発生する有毒な物質などが挙げられます。特に業務で石綿や鉛、有機溶剤などを用いる場合には、定期的に特殊健康診断を行い、健康被害が生じていないかをチェックする必要があります。

特殊健康診断とは有害な物質を扱う業務に従事する労働者に対して行うものであり、医師による特別な項目が加えられた健康診断です。

心理的ストレッサー

心理的ストレッサーとは、怒りや悲しみ、不安、恐れ、焦りなどの感情によっておこるストレスのことです。一般的にストレスと表現するときには、心理的ストレッサーに起因するものが多く、精神的ストレスと呼ばれることもあります。

日常生活でも比較的に身近な要因ともいえ、「物事が思い通りに進まないことによるいらだち」や「先行きが見えないことによる不安」などは、比較的多くの人に当てはまるストレッサーといえるでしょう。

社会的ストレッサー

社会的ストレッサーとは、人間関係に起因するストレスのことです。プライベートにおいては、友人関係のトラブルや恋愛の失敗などが代表的な例として挙げられます。

また、仕事においては、部署の異動や配置換え、業務への評価、転職、職場の人間関係などが社会的ストレッサーの代表例です。また、職場におけるハラスメントも、重大なストレッサーとしてたびたび問題視されています。

また、もともと、人間は新しい環境にストレスを感じやすい生き物であり、たとえ変化がポジティブなものであってもストレッサーになる場合は大いにあります。例えば、栄転による職場環境の変化、昇進・昇格、収入の増加などもストレッサーになる可能性があるとされているのです。

そのため、特に仕事の環境が変わりやすい4月や秋ごろなどは、注意が必要なタイミングであるといえるでしょう。

環境的ストレッサー

環境的ストレッサーとは、気候の変化や照明の度合いなど、周囲を取り巻く環境に起因したストレスのことです。また、通勤の満員電車や道路の渋滞などのストレスも、環境的ストレッサーとなります。

労働安全衛生規則では、オフィスで最低限必要な明るさとして「最低照度」が定められています。作業区分によっても具体的な数値は異なりますが、一般的な事務作業であれば300ルクス以上が基準です。

また、「JIS Z9110 」では執務スペースごとに推奨照度が示されており、設計・製図などを行う執務スペース、事務室、役員室などは750ルクスとされています。このことからもわかるように、基準値よりも低い照度はストレッサーとなり、生産性を大きく低下させる要因にもなり得ます。

ストレス耐性が高い人・低い人の特徴


それでは、実際にストレス耐性の度合いはどのような形で表れるのでしょうか。ここでは、ストレス耐性が高い人・低い人の特徴や傾向についてご紹介します。

ストレス耐性が高い人の特徴

ストレス耐性が高い人の特徴としては、次のようなものが挙げられます。

ストレス耐性が高い人の特徴
・マイペースで周りの評価を気にしない
・集中力がある
・前向きに物事を考える

何事にもマイペースに向き合う人は、周囲の変化に振り回されずに淡々と業務を進められるため、ストレス耐性が高いといえます。ほかの人がストレスに感じてしまうような場面でも、それほど感情が左右されず、冷静に対処できるのが強みです。

また、常に自分がすべきことに集中できる人は、ストレスによる影響を小さくとどめられる傾向にあります。抱えている業務に向き合うときは、直接的に自分が関わらないものや周囲の評価を気にせずに専念できるため、ストレスを感じるきっかけが少なくなるのです。

そして、ストレス耐性に関する要素のうち、特に転換能力と深い関係性を持つのが前向きさです。前向きで楽観的な人は、ストレスに感じがちなミスや失敗もポジティブに受け止め、成長へのきっかけに変えることができます。

また、楽観的な人はストレス容量も比較的に大きく、多少のストレスでは精神的に追い込まれることがありません。ピンチにも動じないため、逆境でもきちんと自分のパフォーマンスを発揮できるのも特徴です。

ストレス耐性が低い人の特徴

一方で、ストレス耐性が低いとされる人には次のような特徴が当てはまります。

ストレス耐性が低い人の特徴
・真面目で完璧主義
・責任感が強い
・過度に協調性が高い
・マルチタスクが不得意

仕事に対して過度に真面目であり、少しもミスも認められない完璧主義である人は、ストレスをため込みやすい傾向があると考えられます。「責任感が強すぎてキャパシティを超える業務を引き受けてしまう」「小さな失敗で自分を責めてしまう」「必要に応じて人を頼れない」といった行動は、ストレスの肥大化を引き起こしてしまいます。

また、過度な協調性もストレス耐性を低下させる要因です。周囲の雰囲気に合わせて、自分の気持ちや考えを抑圧してしまう傾向にあるため、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまうのです。

それ以外の特徴としては、「マルチタスクが不得意」という点が挙げられます。仕事をこなすうえでは、同時に複数の業務を進めなければならない場面も多く、マルチタスクの能力が求められます。

「同時に複数のプロジェクトを進行できない」「多くの仕事を一度に任されると混乱してしまう」という場合は、職種によっては強いストレスを感じてしまうでしょう。

面接時にストレス耐性を見極める質問例


これまで見てきたように、ストレス耐性はさまざまな要素によって形成されるものであるため、面接で見極めるためには工夫が必要となります。基本的には、ストレス耐性に関する要素を分解して捉え、それぞれについて関連性のある質問を投げかけてみるのがよいでしょう。

ここでは、各能力に関する具体的な質問例をご紹介します。

感知能力を把握する質問例

応募者の感知能力について知りたい場合は、次のような質問例が考えられます。

質問例
・仕事ではどのような場面でプレッシャーを感じますか?
・仕事以外でストレスを感じるのはどういうときですか?
・あなたにとって作業に集中しやすい環境とはどのような状態を指しますか?

これらの質問に対して、自社で行う業務と関連性の高い回答があった場合には、ストレス耐性について注意する必要があります。

回避能力を把握する質問例

回避能力を知るためには、次のような質問を投げかけてみるとよいでしょう。

質問例
・取引先から理不尽な要求をされたときにはどのように受け止めますか?
・クレームを受けたときにはどのように対処しますか?
・ストレスを感じたときの気分転換はどのようにしていますか?
・ 休日はどのように過ごしていますか?

仕事をするうえでは、ときとして顧客からの理不尽な要求やクレームにさらされることもあります。回避能力が高ければ、こうした場面においてもいくつかの選択肢を用意できるため、それほど大きな負担には感じません。

また、シンプルに「ストレスを感じたときの気分転換はどのようにしていますか?」と尋ねてみるのも効果的です。回避能力が高い人は、自分なりの気分転換方法を見つけていたり、気持ちを安定させるためのルーティンを確立させていたりする傾向が強いです。

処理能力を把握する質問例

処理能力については、過去にストレスを感じた出来事とその対処法について尋ねてみるのが近道といえます。

質問例
・社内の人間関係でトラブルに見舞われたことはありますか?そのときはどのように対処しましたか?
・苦手な相手との関わりで心掛けていることはありますか?
・これまででもっとも大きな挫折はどのようなものですか?そのときはどのように乗り越えましたか?

ストレスの処理能力は、他者とのコミュニケーションにおいて特に重要性が高いスキルといえます。仕事において、人間関係は特に大きなストレスを生み出す要因となっているため、自分なりの向き合い方を確立しているほうがストレス耐性は高いと判断できます。

また、挫折を味わった経験について尋ねることで、その人なりの苦境の乗り越え方を教えてもらうのも有効な方法です。

転換能力を把握する質問例

転換能力については、処理能力と同じように挫折やトラブルの受け止め方について尋ねてみるのが有効です。

質問例
・これまでに仕事で失敗をしたと感じた出来事はありますか?
・失敗をしたときにどのように受け止めましたか?
・ミスをした同僚や部下にはどのような声をかけますか?

前述のように、転換能力とはストレッサーを真っすぐに見つめ、ポジティブに転換していく力のことです。そのため、失敗をした経験とそのときの受け止め方・捉え方について尋ねてみるのがよいでしょう。

「学びの機会として捉えられている」「成長への転換点にできた」といった回答があれば、転換能力がある可能性が高いと判断できます。また、失敗の捉え方を教えてもらうという意味では、他者のミスにどのように向き合うのかを聞いてみるのも一つの方法です。

他者にどのような言葉をかけられるかによって、その人の失敗に対する本質的な考えを知ることができます。

経験値を把握する質問例

経験値については、そのまま過去の経験について尋ねるのが有効といえます。

質問例
・仕事において数値目標をどのようにクリアしましたか?
・重要なプレゼンやコンペにはどのように挑みましたか?
・学生時代にどのような壁にぶつかりましたか?

これらの質問は、緊張感のある場面やプレッシャーのかかる環境での経験について教えてもらい、応募者のストレス経験値を把握するのが狙いです。このときには、単なる事実や出来事の羅列ではなく、心理状態の変化についても深掘りして尋ねてみるのが理想です。

例えば、目標に対するプレッシャーをどのようにはねのけたか、緊張感のあるシーンでどのように心を落ち着けたかなども聞いてみると、よりストレス耐性について深く知ることができます。なお、新卒採用であれば、学生生活を通じて得られた経験について尋ねてみるとよいでしょう。

例えば、部活やサークル活動の中心的な立場で壁を乗り越えてきたという経験がある応募者は、ストレス耐性も高いのではないかと推察することができます。

容量を把握する質問例

ストレスの容量については、経験を重ねるたびに広がる場合もあるため、過去について尋ねても具体的な回答を得るのは難しい面があります。そのため、直近の様子に焦点を当て、次のような質問を投げかけてみるとよいでしょう。

質問例
・どのようなときに眠れなくなることがありますか?

あくまで一例ではありますが、回答によってはストレスにどの程度まで耐えられるのかを端的に把握することが可能です。

面接を行うときに気をつけておきたい点


ストレス耐性を把握しようとすれば、自然と応募者の内面に踏み込むこととなるため、方法や度合いが不適切であれば大きなリスクにつながる可能性もあります。ここでは、面接時に注意したいポイントについて見ていきましょう。

圧迫面接にならないように注意する

いくらストレス耐性を見極めたいからといって、厳しい質問などで過度なプレッシャーを応募者に与えてしまうと、相手を必要以上に委縮させてしまいます。そうなれば、本来の能力や人柄も覆い隠され、人物を把握するうえでかえってマイナスに働いてしまうでしょう。

そもそも、面接時に不当な圧迫を与えれば、企業イメージそのものが損なわれる可能性もあります。ハラスメントがあったことなどがSNSや口コミで広がれば、企業全体の信用を損なうリスクもあるので、過度に踏み込んだ質問や威圧的な態度は避けましょう。

例えば、次のような質問は応募者の人格を否定することにもつながりかねないので注意が必要です。また、厚生労働省の『公正な採用選考の基本』では、就職差別につながるNG項目が規定されているので、それに関連する質問も避けるべきです。

NG質問の具体例
・あなたを採用することで当社にはどのようなメリットがありますか?
・自分の生き方についてどう考えていますか?
・あなたの信条としている言葉は何ですか?

すべてを把握しようとしない

前提として、短い時間の面接ですべてを把握しようとするのは限界があるという点を押さえておくことが大切です。ストレス耐性はさまざまな要素によって決まるものであり、経験によって今後も強化される可能性は十分にあるでしょう。

面接で得られたデータのみを参考にすると、本来は自社との相性がよく、優れたパフォーマンスを発揮するはずの人材もはじいてしまう恐れがあります。特に、社内カルチャーとのマッチ度や価値観、思考特性などは、一度の面接で見極めるのが難しいといえます。

そのため、面接時の応対は、あくまで参考資料の一つとして捉えることが大切です。

総合的に判断を行う

これまでご紹介したように、限定的な要素のみでストレス耐性の有無を判断するのはあまり適切といえません。例えば、面接時にあらかじめ用意した質問について、受け答えがあまり思わしくないものであったとしても、それだけストレス耐性が低いとは断定できません。

特定の質問だけではストレス耐性を測れないことを前提にし、いくつかの質問や自然な会話のなかで、できるだけ総合的に判断することが大切です。

ストレス耐性を見極めるためのポイント


面接時に応募者のストレス耐性を見極めるには、どのような点を意識すればよいのでしょうか。ここでは、具体的なコツやポイントを3つに分けて見ていきましょう。

質問を掘り下げてアプローチする

面接では複数の質問をバラバラに行うよりも、一つの話題を丁寧に掘り下げてアプローチするほうが有益な回答が得られやすいです。例えば、過去の失敗経験について尋ねる場合は、出来事の前後にもしっかりと目を向けて質問を重ねてみるとよいでしょう。

「どのような経緯でミスが生まれたのか」「どのように対処したのか」「関係者へのフォローや謝罪はどのように行ったのか」などを詳しく尋ねることで、その人がストレスとどのように向き合っていたかを間接的に把握できます。また、基本的な質問に対しては、応募者も前もって回答を用意しているケースがあり、あらかじめ多少の加工が行われている可能性も考えられます。

掘り下げた質問に対しては臨機応変に対応するしかないため、応募者の人となりが見えやすくなるのも重要な効果です。

ストレス耐性のテストなどを活用してみる

ストレス耐性のチェック方法として、さまざまな企業から提供されているストレス耐性テストなどを活用してみるのも有効です。例えば、ダイヤモンド社が提供する「DIST(自社採点方式)」では、1人あたり10分程度の時間で社内での診断が行えます。

手軽な方法で、さまざまな角度からストレス要因に対する耐性などを診断できるため、面接時に導入することも十分に可能です。採用予定者数が多い場合は、「DIST-COM(コンピュータ診断方式)」を活用すれば、応募者のデータを一括処理することもできます。

また、エン・ジャパン株式会社が提供する「Talent Analytics(旧3Eテスト)」でもストレス耐性を測ることが可能です。Talent Analyticsでは応募者の知的能力と性格・価値観をそれぞれ測ることが可能であり、ストレス耐性については「人付き合い」「仕事の負荷量」「理想と現実のギャップ」「評価・評判」の4つの項目から測れます。

受験時間は約35分とされているため、採用担当者・応募者のどちらにとっても負担が少ないのが利点です。分析結果についても、難解な専門用語はほとんど使われず、得点とグラフで示されるのでデータ抽出の手間もかかりません。

なお、作為的な回答による影響を防ぐロジックが導入されているため、応募者が自分をよく見せようと偽りの回答をした場合でも的確に見抜くことができます。

ストレスに強い人材の特徴をきちんと押さえる

ストレス耐性について見極めるためには、面接官や採用担当者自身がストレスに強い人材の特徴を押さえておく必要があります。今回ご紹介したように、一般的にストレス耐性が強いとされる人材には「周囲の評価を気にしない」「集中力がある」「前向き」といった特徴が見られますが、これらはあくまでも一般的な例にすぎません。

自社で発生するストレスは、業務の内容や業種、置かれるポジションなどによっても異なるので、採用向けにカスタマイズして分析することが大切です。ストレス耐性の分析には、社内ですでに活躍している人材の特徴や行動特性も参考になるでしょう。

採用活動がスタートする前に、自社なりのストレス耐性チェック項目などを作成しておき、面接時の負担をできるだけ軽減することが大切です。

まとめ

人材育成を行ううえでは、社内の労務環境を改善し、ストレスなく働ける職場をつくることが重要です。しかし、現実に業務を進めるうえでは、人間関係や外的環境などによってさまざまなストレッサーにさらされる場面もあるでしょう。

そのため、採用活動においては、応募者の「ストレス耐性」にも目を向けることが大切です。ストレス耐性には大きく分けて6つの要素が関係しているため、まずはそれぞれの特徴を押さえ、ストレス耐性が強いとされるのはどのような人材なのかを明らかにする必要があります。

そのうえで、自社の実情に合った見極め方や質問例を導き出し、しっかりと準備したうえで採用面接を行いましょう。

(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)

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