ダイレクトリクルーティングとは?人材紹介サービスとの違いや導入のメリット
d’s JOURNAL編集部
「ダイレクトリクルーティング」とは、企業から求職者へ能動的にアプローチする採用手法です。従来の方法と比べると、求職者のアクションを待たず、企業自ら行動を起こせる点に特徴があります。
人材獲得競争が激化する現代にあって、ダイレクトリクルーティングは知名度や資本力で不利になりやすい企業でも十分に有効活用できる可能性を秘めた手法です。今回はダイレクトリクルーティングの仕組みや特徴、料金体系・相場、導入するメリットなどをまとめてご紹介します。
弊社にも日本最大級のスカウト会員データベースに企業が直接アプローチできるダイレクトリクルーティングサービスがあります。興味のある方は下記から資料をダウンロードしてみてください。
ダイレクトリクルーティングとは
「ダイレクトリクルーティング」とは、企業が求める人材に対して、自ら直接アプローチを行う採用手法のことです。人材との接点をつくる経路にはさまざまなパターンが存在しますが、ダイレクトリクルーティングを扱う運営会社のデータベースを参照し、条件に合う人材をピンポイントで抽出するのが一般的です。
企業が関心を持った人材に対して、メールなどの方法でスカウトを行い、一対一でコミュニケーションを図りながら採用へと結びつけていきます。従来のような求人広告を打ち出して応募を受ける「待ち」の採用手法と比べて、企業自ら積極的に動けるため、「攻め」の採用手法と呼ばれることもあります。
転職顕在層だけでなく、転職潜在層に対してもアプローチできるため、採用の幅を広げられる点が大きな特徴です。
ダイレクトリクルーティングの種類
ダイレクトリクルーティングを扱う会社には、「新卒採用・中途採用向け」と「統合型・業務特化型」という2種類の区分があります。
ダイレクトリクルーティングの種類 | 2種類の区分の特徴 |
---|---|
①新卒採用・中途採用向け | ・新卒採用向け:就職予定の学生を対象としたサービス。学歴や専攻、留学経験、保有資格、部活動などの経験をもとに人材の条件を見極める ・中途採用向け:転職を希望する人材を対象に行うダイレクトリクルーティング。転職顕在層だけでなく、「機会があれば新たな環境にも目を向けてみたい」という転職潜在層も候補に含める |
②統合型・業務特化型 | ・統合型のサービス:業種に関係なくさまざまな職歴を持った求職者が登録されており、幅広い角度から自社に合う人材を見つけられる ・業種特化型:業界経験や特有のスキルを持った人材が登録されているため、よりピンポイントで自社が求める人材を絞り込める |
「新卒採用・中途採用向け」はポテンシャルを重視した採用から、即戦力を期待する採用まで、目的に応じて人材のタイプを選ぶことができます。
「統合型・業務特化型」は、ダイレクトリクルーティングを扱う会社ごとに、データベースに登録されている人材の傾向は異なるため、自社の目的に合わせて提携先を選定することが大切です。
ダイレクトリクルーティングはコストを抑えつつ人材採用できるので注目されている
ダイレクトリクルーティングは有効求人倍率が高まり、採用が難しい現況において、コストを抑えつつ最適な人材を採用できる可能性があるため注目されています。売り手市場で採用に苦戦する現況において、ダイレクトリクルーティングなら効率的な採用活動を行うことが可能です。
企業側から候補者に対して直接アプローチができるため、採用のミスマッチを減らし、入社後の定着率を高められるのがメリットだといえます。
(引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和6年8月分)について 』)
厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」によれば、有効求人倍率は平成25年度(2013)ごろを境に1.0を超え、令和6年(2024)現在までその状態が続いていることがわかります。平成30年度(2018)をピークに一度は倍率が下がり、現在は横ばい傾向にありながらも、令和4年(2022)以降も依然として1.2倍以上の状態が続いているのが現状です。
売り手市場が続く現代では、企業間における採用競争が激化するため、どうしても採用にかかるコストも増大していきます。その結果、資金力のある企業とそうでない企業とで格差が広がり、知名度や認知度に欠ける企業が十分な人材採用を行うのは難しくなるでしょう。
こうした状況のなかで、企業から人材に直接働きかけられるダイレクトリクルーティングは、コストを抑えながら人材を採用できる可能性がある手法として注目を集めているのです。
ダイレクトリクルーティングの市場規模は前年度比23.2%増の1,074億円
ダイレクトリクルーティングに対する注目度の高まりは、市場規模の変化からもうかがえます。株式会社「矢野経済研究所」の調査では、国内のダイレクトリクルーティングの市場規模(2024年度)は、前年度比23.2%増の1,074億円にまで急成長していることが示されています。
(引用:株式会社矢野経済研究所『ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査を実施(2024年) 』)
ダイレクトリクルーティングはエージェントを介さずに求職者とマッチングでき、さらにAIの活用によってマッチング精度そのものも高められることから、利便性が急速に高まっているといえます。また、従来の手法と比べると、導入にあたって大きなコストが生じないため、活用できる企業の幅も広いのが特徴といえるでしょう。
実際のところ、2024年度においては地方エリアの中小企業や官公庁などでも導入が広がりつつあり、今後も成長が見込まれています。
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ダイレクトリクルーティングと他の採用手法との違い
ダイレクトリクルーティングの特徴について把握するうえでは、その他の採用手法との違いを比較していくのが近道です。ここでは、「人材へのアプローチ方法」「母集団形成のしやすさ」「採用工数」「採用にかかる費用」の4つのポイントを中心に、主な採用手法の特徴と違いについて見ていきましょう。
人材へのアプローチ方法 | 母集団形成のしやすさ、柔軟性 | 採用工数 | 採用にかかる費用 | |
---|---|---|---|---|
ダイレクトリクルーティング | 条件に合う「個人」にピンポイントでアプローチを行う | ◎
自社が求める人材にピンポイントでアプローチできる |
○
人材の選定からコンタクト、採用までを自社で担う必要があるが、対象人数が限られているため、慣れれば短時間で運用可能 |
◎
自社完結型で行うため、費用は比較的に安価で済む |
人材紹介サービス | 事前に登録された人材のなかから、条件に合う候補者をピックアップして紹介してもらう | ○
自社ではコントロールできないが、安定した母集団形成は可能 |
◎
多くの工程を運営会社に委託可能 |
△
成功報酬型であるため、採用人数が多いほどコストがかかる |
求人サイト | 自社で求人サイトを運営し、インターネットで求職活動をする人材に幅広くアプローチする | △
求人情報の書き方によってはコントロール可能だが、確実に応募が集まるとは限らない |
△
求人情報の準備や多数の応募者の選考が必要 |
○
自社で運営する限りはコストを抑えられる (ただし人件費は膨らみやすい) |
求人広告 | 既存のWeb広告媒体、あるいはタウン誌や交通広告などでアプローチを行う | △
求人情報の書き方によってはコントロール可能だが、確実に応募が集まるとは限らない (タウン誌・交通広告などは地域密着型で人材募集をかけるのに向いている) |
△
求人情報の準備や多数の応募者の選考が必要 |
△
広告媒体への出稿数に応じてコストがかかる |
スカウト型サービス |
条件に合う母集団に「まとめて」アプローチを行う | ○
条件に合う母集団にまで絞り込んでアプローチが行えるためコントロールしやすい |
○
一部特定は可能なものの、多数の求職者が集まる可能性もあるため、選考の工数は増えやすい |
○
母集団にまとめてアプローチできるため、大量に人材を採用するうえではダイレクトリクルーティングより費用対効果が高い |
リファラル採用 |
自社の従業員を通じて知人・友人を紹介してもらう | ◎
自社を理解した従業員による紹介のため、高いマッチング精度が期待できる (ただし、母集団には限りがあり、活用できる機会は少ない) |
○
ピンポイントでの採用活動となるため、全体の工数は抑えられる |
◎
基本的に採用にかかる費用は発生しないが、紹介した従業員にインセンティブなどを設けるのが一般的 |
人材紹介サービスとの違い
ダイレクトリクルーティングサービスと人材紹介サービスとの違いは、候補者へのアプローチ方法にあります。人材紹介サービスは、人材紹介するサービスを扱う運営会社に依頼し、企業が求める条件に合った人材とマッチングしてもらう仕組みです。
そのため、人材のピックアップやファーストコンタクトは運営会社に任せることになります。基本的には運営会社が保有する人材データベースをもとに、条件に合った人材を紹介してもらうこととなるため、スピーディに選考まで進められるのがメリットです。
また、専門職や経営層などの人材については、企業の条件に応じて特別にサーチしてもらうこともできます。ただし、その分だけ1人あたりの採用単価は高くなりやすいのが難点です。
一方、ダイレクトリクルーティングは企業が自らデータベースを参照し、直接アプローチを行っていく点に大きな違いがあります。人材紹介サービスのような手厚いサポートを受けることはできませんが、自社で動きをコントロールできる分、「マッチング精度を高めやすい」「費用を抑えやすい」のが特徴です。
求人サイトとの違い
ダイレクトリクルーティングサービスと求人サイトとの違いは、「待ちの採用活動」か「攻めの採用活動」かという点です。求人サイトは自社で運営し、アクセスしてもらえた求職者を対象に人材を募集する方法だといえます。
求人サイトは立ち上げや運営・管理に多くの労力を必要としますが、一度スタートさせてしまえば、その後も長い期間にわたって運用できるのがメリットです。そのため、どちらかといえば毎年新卒採用を行うような大企業・中堅企業などで用いられています。求人サイトは自社で情報発信を行ってからは、基本的に求職者からのアクションを受ける「待ち」の採用活動であるといえます。
それに対して、ダイレクトリクルーティングは企業が自ら動く「攻め」の採用活動であるのが特徴です。候補者とスカウトメールなどを通じて、緊密にコミュニケーションを行うことで採用につなげていきます。
求人広告との違い
ダイレクトリクルーティングサービスと求人広告との違いは、自社に合った人材を集めやすいかという点だといえます。求人広告は既存のWeb媒体や、新聞折り込みチラシ、交通広告といったアナログの媒体を通じて情報発信し、不特定多数の人材を募集する方法です。
特に制限を設けずに広告を打ち出すため、多くの求職者との接点が生まれる可能性があり、母集団の数を獲得しやすいのが大きなメリットです。しかし、掲載情報の絞り込みが不十分であれば、自社に合った人材からの応募がなかなか集まらず、選考段階での負担が大きくなってしまう可能性もあります。
それに対して、ダイレクトリクルーティングでは初めからピンポイントで人材をピックアップするため、選考フローは比較的シンプルになります。自社が求める人材像に合った候補者を最初から見つけてアプローチを行うので、採用のミスマッチが生じにくいでしょう。
スカウト型サービスとの違い
ダイレクトリクルーティングサービスとスカウト型サービスの違いは、アプローチをかける人数にあります。一般的なスカウト型サービスは、条件に合った母集団にまとめてアプローチをかけるのが特徴です。
それに対して、ダイレクトリクルーティングは求職者個人にアプローチするため、対象はより狭まります。そのため、共通の母集団からまとめて採用を行いたい場合はスカウト型サービス、少人数の採用を行いたい場合はダイレクトリクルーティングのように、状況に応じて使い分けることが大切です。
リファラル採用との違い
ダイレクトリクルーティングサービスとリファラル採用との違いは、採用候補者の紹介を社内と社外のどちらに求めるかという点です。ダイレクトリクルーティングサービスでは社外に人材を求めるのに対し、リファラル採用では社内からの紹介で人材を求めます。
リファラル採用は、既存の従業員や退職者などを通じて、友人や知人を紹介してもらう採用手法です。すでに自社を理解しているメンバーが仲介役を担うため、マッチ度の高い人材を紹介してもらいやすいのがメリットといえます。
また、紹介される人材側も紹介者を通じて社内の実情や求められる役割などを細かく確認できるため、安心して入社に臨みやすいのが利点です。ただし、きっかけはあくまでも社内のメンバーに頼ることとなるため、そもそも活用できるチャンスには限りがあります。
それに対して、ダイレクトリクルーティングは外部の人材を対象とするため、リファラル採用と比べてより多くの求職者にアプローチできます。
ダイレクトリクルーティングの5つのメリット
ここでは、ダイレクトリクルーティングのメリットの5つのポイントに分けて解説します。
・転職潜在層にもアプローチできる
・即戦力となる人材を獲得できる
・採用のミスマッチが起こりづらい
・採用コストを抑えられる
・自社の採用ノウハウを高められる
転職潜在層にもアプローチできる
ダイレクトリクルーティングでは企業側から直接アクションを起こせるため、転職潜在層とも接点をつくれます。従来の採用手法では、転職について一定の意思を示している転職顕在層が対象となっていたので大きな違いがあります。
積極的に転職を考えていない人材でも、相性の合う企業からアプローチを受ければ、気持ちに変化が生まれる可能性は十分にあるといえます。通常なら手が届かない層にまで接点を拡大できるため、採用の幅が大きく広がるのが利点です。
即戦力となる人材を獲得できる
ダイレクトリクルーティングは転職潜在層にもアプローチを行えるため、即戦力の人材の獲得も期待できます。即戦力となる人材の多くは、すでに他の企業で活躍を果たしていることが多く、通常であれば労働市場には出てこないケースがほとんどです。
しかし、企業側から直接的にアプローチをかければ、そうした人材にも自社の魅力や条件などを見てもらえる余地が生まれます。きっかけづくりの機会が増えるため、即戦力人材の採用強化につながるのも大きなメリットです。
採用のミスマッチが起こりづらい
ダイレクトリクルーティングでは、企業側から自社に合うと判断した人材を見極めてアプローチを行うため、通常の採用手法と比べて、企業と人材とのミスマッチを起こしにくいのも特徴です。
また、候補者とは自社の担当者が一対一で接点を持ち、丁寧にコミュニケーションを図りながら採用へと結びつけていきます。疑問がある場合は、すぐに受け付けることができるため、不安をすっきりと解消した状態で入社に臨んでもらえるのもメリットです。
反対に、相性が合わない要素があれば、内定前の段階でお互いに見極めることができます。そのため、採用後のミスマッチによる早期離職などは起こりにくいといえるでしょう。
採用コストを抑えられる
その他の採用手法と比べて、採用にかかるコストを抑えられるのもダイレクトリクルーティングのメリットです。詳しい料金相場については後述しますが、ダイレクトリクルーティングでは基本的に「人材データベース利用料+成功報酬」の料金体系となっており、それぞれの金額も人材紹介サービスと比べると低めに設定されています。
人材を探したり、コミュニケーションを図ったりする業務は自社で担うため、比較的に安価なコストで利用できるのです。
自社の採用ノウハウを高められる
ダイレクトリクルーティングは取り組みを重ねるなかで、採用のためのノウハウが蓄積されていけるのもメリットです。ほとんどの業務を外部に委託する人材紹介サービスと異なり、ダイレクトリクルーティングは自社が主体的に動くことで初めて成果につながります。
仮に採用がうまくいかなかったとしても、それほど多くの損失がないため、PDCAサイクルを回しながら施策をブラッシュアップしやすいといえます。
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ダイレクトリクルーティングの3つのデメリット
ダイレクトリクルーティングの導入を検討するうえでは、デメリットも頭に入れておく必要があります。代表的な注意点として、ここでは次の3つのポイントについて見ていきましょう。
・採用担当者の業務が増える
・成果が出るまでに時間がかかる
・社内体制を整える必要がある
採用担当者の業務が増える
ダイレクトリクルーティングの採用経路はスカウトメールが中心となるため、スカウトメールを送る対象者の選定作業や文面の作成、対象者とのやりとりなどで採用担当者の業務が増えてしまうのがデメリットです。
ただし、採用業務の負担増は、「採用管理システム(ATS(※))」を導入するといった方法で対策することも可能です。
(※)ATS・・・候補者の個人情報や選考の進捗などをまとめて管理し、関連業務を効率化するためのシステム
ATSを活用すれば、スカウトメールの作成や発信、管理もある程度は自動化できるため、人的リソースの節約につながります。なお、ATSの利用料金は、「初期費用+月額料金」のケースが多く、月額料金はサービス提供会社ごとに異なるものの、「2~10万円程度」が目安です。
定額プランであれば、応募者の登録人数にかかわらず費用は一定になるため、多くの人材をスカウトするのであれば、社内の人的リソースを活用するよりもATSのほうが金額面でお得になるといえます。採用予定人数と社内の人的リソースを踏まえて、適した運用方法を検討するとよいでしょう。
成果が出るまでに時間がかかる
ダイレクトリクルーティングでは、施策を実行してもすぐに希望する人材を採用できるとは限らないため、成果が出るまでに時間がかかります。転職潜在層も対象とするため、企業側がアプローチをしてもすぐに転職を考えてもらえる可能性は高くありません。
また、求職者をじっくりと選定したうえで、候補者一人ひとりと丁寧にコミュニケーションをとっていく必要があるため、どうしても時間や工数はかかってしまう側面があります。そのため、短期間での採用につなげたい場合は、他の方法も併用してみるのがおすすめです。
短期での採用に適した手法
・人材紹介サービス:必要に応じて依頼可能であり、紹介がすぐに受けられれば、短期間での採用が行える
・転職フェア:フェアの当日に面談を実施することができるため、採用スケジュールを短縮できる
・リファラル採用:入社意欲の高い人材が応募してくるため、採用にかかるまでの期間を短縮できる
・人材派遣:条件に合う人材であれば、早期での就労が可能
上記の方法は、いずれも採用工数が少ないため、比較的に短期で人材獲得が見込めます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、状況に応じて適した方法を選ぶとよいでしょう。
社内体制を整える必要がある
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、実施に向けて社内体制を構築する必要があります。取り組みを進めるには、人事部門のみならず経営層のサポートも必要となります。
なぜなら、候補者が自社に合った人材かどうかを見極めるため、役員などにも面談や面接に参加してもらう必要があるからです。また、細かな採用要件の策定には、現場の担当者の意見をヒアリングすることも大切です。
多くのポジションや部門の担当者を巻き込む必要があるため、社内体制を整えるまでに時間がかかってしまう点もデメリットの一つとして理解しておきましょう。社内体制をできるだけ速やかに構築していくために、経営層にも積極的に動いてもらえるように提案を行うことが大切です。
ダイレクトリクルーティングの費用相場と料金体系
ダイレクトリクルーティングサービスの料金体系には、大きく分けて「成功報酬型」と「定額型」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴と費用相場について詳しく見ていきましょう。
費用相場 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
成功報酬型 | ・年収の15~30%程度 | 基本的に初期費用がかからない | 内定承諾時の費用は割高になる |
定額型 | ・新卒採用:年100万円前後
・中途採用:年300~400万円前後 |
採用人数によらずコストが一定 | 採用に至らなくても費用が発生する |
成功報酬型
成功報酬型とは、採用候補者の入社が決まった段階で費用が発生する仕組みのことです。成功報酬型には、初期費用などが一切かからない完全成功報酬型のタイプと、データベース使用料などの名目で基本料金が発生するタイプの2種類に分かれます。
完全成功報酬型の大きな特徴は、採用に至るまでコストが発生しない点にあります。無理に採用しなくても損失が起こらないため、採用のミスマッチを防いだり、ニッチな採用ニーズに対するリスクを軽減できたりするのがメリットです。
一方、採用した場合の単価は高くなる傾向にあるため、複数名を採用する場合に費用がかさんでしまいがちな面もあります。また、早期離職してしまった場合の返金規定が設けられていることもあるため、利用時にはルールをチェックしておくことが大切です。
例えば、中途採用でエンジニアのダイレクトリクルーティングを扱うA社では、「採用された人材の年収30%」を基準に、ランクに応じた成功報酬を設定しています。初期費用や広告掲載費用は一切設定されない完全成果報酬型のため、費用対効果を計算しやすい仕組みとなっています。
定額型
定額型は、サービスの利用期間や採用予定者数などに応じて一定の金額が発生する料金体系であり、基本的に費用はサービス利用開始前に支払う必要があります。
例えば、統合型のダイレクトリクルーティングを扱うB社では、利用期間やスカウト通数に応じた3つのプランが設定されているのが特徴です。
① ベーシック/80万円:利用期間3カ月間・最大400通までのスカウトが可能
② アドバンス/180万円:利用期間6カ月間・最大1,000通までのスカウトが可能
③ プロ/330万円:利用期間12カ月間・最大2,000通までのスカウトが可能
定額型なら事前にいくら費用が発生するのかを把握できるので、採用にかかる費用の見通しが立てやすいのがメリットです。
また、何名採用しても金額が一定であるため、複数人採用では1人あたりの採用単価を下げられるのも利点といえます。一方、採用の有無にかかわらず料金が発生するため、成果が出なければ投資金額をロストしてしまう点に注意が必要です。
参考までに、1年かけて「年収600万円の人材を2人採用するケース」を例に、成果報酬型と定額型の費用を以下の条件で比較してみましょう。
シミュレーション条件
1年かけて年収600万円の人材を2人採用する
■成果報酬型
・採用された人材の年収のうち30%が手数料となる完全成果報酬型
■定額型
・年間330万円の定額型
この場合、成果報酬型の費用は「600万円×30%×2件=360万円」となります。一方、定額型は年額330万円の固定料金となるため、このケースで見れば定額型のほうが30万円お得ということになります。
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ダイレクトリクルーティングに向いている企業の特徴
ここまでの内容を踏まえて、どのような企業がダイレクトリクルーティングに向いているのかを整理してみましょう。
専門的な人材を採用したい企業
専門分野に特化した人材を採用したい企業にとって、ダイレクトリクルーティングは合理性の高い選択肢といえます。専門スキルを備えた人材は数が限られているため、通常の採用手法では思うように人材が集まらないばかりか、企業の情報を届けるのも難しい場合があります。
ダイレクトリクルーティングであれば、企業側から転職潜在層にもアプローチが行えるため、専門職の獲得チャンスが大きく広がるでしょう。
採用のミスマッチを防ぎたい企業
ダイレクトリクルーティングは、採用のミスマッチを防ぎ、従業員の定着率を高めたいと考えている企業に向いています。あらかじめピンポイントで接点を持つ人材を絞り込むため、企業側が採用要件を明確にすれば、マッチングの精度を事前に高められます。
また、内定を出す前にしっかりと関係性を構築できる点も、ミスマッチの予防に役立つのも特徴です。入社後の不安や疑問を解消した状態で選考を進められるため、採用候補者が入社後に活躍しやすい環境を整えられるでしょう。
採用ノウハウの蓄積を考えている企業
将来的に自社での採用活動をメインにするなど、採用ノウハウの蓄積を求める企業にもダイレクトリクルーティングは適しているといえます。人材要件の設定や応募者の選定、スカウトなどを自社で行うため、回数を重ねるほど活きた採用データが蓄積されていきます。
候補者とのコミュニケーションを通じて得られたデータは、次回以降の採用活動にそのまま活かせるため、社内のレベルを高める財産となるでしょう。
ダイレクトリクルーティングの具体的な5つの方法
ダイレクトリクルーティングを「求職者に直接働きかける」という広義の意味で捉えれば、さまざまなアプローチ方法が存在します。ここでは、具体的な方法を次の5つに分けてご紹介します。
・人材データベースの利用
・スカウト機能の活用
・SNSでの情報発信
・採用イベントでのアプローチ
・リファラル採用の実施
人材データベースの利用
代表的な手法として挙げられるのが、人材データベースの活用です。具体的には、ダイレクトリクルーティングサービスを扱う運営会社のサポートを受け、独自に構成された人材データベースにアクセスをして、スカウトする人材を探し出すという方法です。
データベースには転職顕在層から潜在層まで、幅広い人材の経歴やスキルなどの情報が細かく記載されています。求人する企業は、それぞれの内容をチェックして自社に合った人材を見つけ、自社から直接アプローチをかけるという仕組みです。
データベースの費用については、前述の通り利用すること自体に料金がかかるケースもあれば、人材を採用する際に成果報酬としてまとめて支払うケースもあります。
スカウト機能の活用
他社が運営する求人サイトには「スカウト機能」が搭載されているものがあり、スカウト機能を活用すれば、求人サイトに登録されているユーザーをピックアップして、企業側からスカウトメールを送ることが可能です。
そこで好意的な反応があった求職者とコンタクトをとり、面接などの選考へ結びつけていくのが一般的な流れです。スカウト機能はあくまでも求人サイトの機能の一つであるため、求人広告との併用が可能な点がメリットといえます。
スカウトを送った相手が自社に興味を持った場合は、求人広告を通じて詳しい情報をチェックしてもらえるため、確かなアピール効果が期待できます。
SNSでの情報発信
近年では、SNSを採用活動に活用する企業も増えてきています。SNSは幅広いユーザーに情報発信が行えるとともに、第三者のユーザーによる拡散効果も期待できるのがメリットです。
そのため、企業が自社の価値観や理念、働く場としての魅力を定期的に発信していけば、採用ブランディングを効果的に進めることができます。さらに、SNSは企業と個人ユーザーが一対一でコミュニケーションを図れるのも利点です。
興味を持ってもらえたユーザーと接点を築けば、ダイレクトリクルーティングのツールとしても十分に活用できます。
採用イベントでのアプローチ
より直接的なアプローチができるという点では、採用関連のイベントも重要な機会となります。採用イベントの大きなメリットは、意欲の高い求職者との接点を築けるという点にあります。
転職フェアなどでは多くの転職顕在層が集まるため、出展すれば採用に結びつく確度の高い接点が期待できるでしょう。また、対面した状態でコミュニケーションを図れるため、自社の誠意や熱意が伝わりやすいのも利点です。
求職者の質問や相談もその場で受け付けられるため、丁寧に応答すれば自社のイメージを向上させることができます。
リファラル採用の実施
すでにご紹介したように、リファラル採用は既存の従業員などから友人・知人などを紹介してもらう手法です。求職者と直接関わりを持てるという点から、リファラル採用もダイレクトリクルーティングに含まれるケースは多いです。
リファラル採用では、紹介者となった従業員のフォローやインセンティブの設定などが重要なポイントとなります。単に社内で応募を呼びかけるだけでは効果が出ないケースもあることから、リファラル採用向けの専門的なサービスを提供している会社もあります。
ダイレクトリクルーティングを成功に導く5つのコツ
これまで見てきたように、ダイレクトリクルーティングはほとんどの工程を自社で担うため、成功させるには確かな実行計画が必要となります。ここでは、ダイレクトリクルーティングで成果を上げるためのポイントを5つに分けて見ていきましょう。
・自社が求める人材像を明確にする
・採用候補者に合ったスカウトメールを作成する
・専任担当者を配置する
・全社的な取り組みとして推進していく
・定期的に効果分析を行い改善する
自社が求める人材像を明確にする
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、自社が求める人材の要件を明確にする必要があります。人材像が明らかでなければ、自社に合った人材を取りこぼしてしまう恐れがあるからです。
ダイレクトリクルーティングでは、どの候補者をスカウトするかを見極めるところからスタートします。そこで重要となるのが、「採用ペルソナ(※)」の設定です。
(※)採用ペルソナ・・・採用したい人材の特徴を年齢・性別、経歴、スキル、価値観、コミュニケーションのスタイルといった細かな項目にわたって洗い出し、実在の人物のように描き出したイメージ像
採用ペルソナを明らかにしておけば、採用チーム内でも情報共有が正確に行え、人材のスクリーニングが行いやすくなるでしょう。なお、採用ペルソナの検討にあたっては、「自社で活躍している人材の特性を洗い出す」のも効果的な方法とされます。
すでに理想的な活躍を果たす人材の行動特性を抽出し、データとして活用すれば候補者のピックアップがスムーズに行えます。また、必要な人材については、過去のデータや目先の状況だけでなく、将来的な事業展開なども検討しましょう。
採用候補者に合ったスカウトメールを作成する
転職潜在層も対象にするとなると、スカウトメールの内容にどれだけこだわれるかが成功を大きく左右します。ダイレクトリクルーティングでは、そもそも候補者との接点を獲得することが一つのハードルとなります。
対象者に一律で同じスカウトメールを送信しても、なかなか印象には残らず、そこから関係を築いていくのは難しいといえるでしょう。採用候補者の属性や価値観に応じて、心を引きつけられるようなメールを作成しましょう。
候補者の特徴を踏まえたうえで、自社で働くことで得られるメリットや候補者が自社にマッチしている理由、自社が高く評価しているポイントなどを盛り込み、一人ひとりに向けて送っているという「特別感」を持たせるのがコツです。
専任担当者を配置する
ダイレクトリクルーティングでは、候補者との緊密なコミュニケーションも重要になるため、専任の担当者を配置しておくのが望ましいです。スカウトメールの作成・送信から内定を出すまでに、さまざまなタスクが発生するからです。
ダイレクトリクルーティング専門の担当者がいれば、一つずつの施策に専念できるため、自然と取り組みの質も向上していきます。
全社的な取り組みとして推進していく
採用活動は人事部門や採用部門が中心で進めるものですが、新たにダイレクトリクルーティングを導入する際は、全社的な取り組みとして向き合っていくことが大切です。例えば、具体的に必要な人材の要件を定義する段階では、現場をよく知る担当者の意見が欠かせません。
各ポジションの業務内容や、現場における仕事の魅力などは、実際にそこで働く人のほうが詳しく知っているでしょう。また、経営幹部や管理職層などの候補者を対象とする際には、通常の採用ルートよりも早い段階で経営層との面談を行ってもらうのが効果的な場合もあります。
このように、各所の協力が必要不可欠となるため、あらかじめ全社に取り組みの目的や方向性を共有しておくとよいでしょう。
定期的に効果分析を行い改善する
採用活動を成功させるためには、定期的に効果測定を行い、結果を分析したうえでブラッシュアップにつなげることが大切です。特に、ダイレクトリクルーティングでは多くの工程を自社で担うため、細かなデータを収集しやすいのが特徴でもあります。
どのようなスカウトメールが効果的であったか、どのような候補者が採用まで進んでくれたのかなど、各プロセスにおけるデータを集めることで次回以降の取り組みに活かすことができます。PDCAサイクルを回すなかで、着実に施策の質が向上していくので、定期的にデータ管理や分析が行える体制を整えましょう。
ダイレクトリクルーティングの成功事例
最後に、ダイレクトリクルーティングを活用した成功事例を3つご紹介します。各社の取り組み方を参考にしながら、自社の採用計画に活かせるヒントを探ってみましょう。
アセック株式会社(メーカー)|月の数人の候補者が10倍以上にUP
以前の取り組み | ダイレクトリクルーティングを導入した成果 |
---|---|
・ハローワーク経由では成果が出なかった。
・人材紹介サービスを利用するが、多くても月数名程度の候補者しか集まらなかった。 |
・91名の候補者を見つけることができ、候補者数が10倍以上になった。
・10年以上の経験を持つ人材を獲得でき、結果に満足できた。 |
工業用接着剤メーカーのアセック株式会社では、ダイレクトリクルーティングの実施によって、候補者数を月の数人から10倍以上に増加させることに成功しました。同社では、事業拡大に伴う開発担当者の増員を課題として抱えていました。
受注する案件の量に対して、開発部門の人手が足りておらず、10年程度の開発経験がある即戦力となる人材を求めていたのです。
初めはハローワーク経由で取り組もうとしたもののうまくいかず、その後は人材紹介サービスを利用しましたが、候補者の推薦は多くても月に数名程度という状態が続いていました。知名度不足から、思うように求人が集まらないという状態を抱えていたといえます。
さまざまな手法を調べているうちに、ダイレクトリクルーティングにたどり着き、可能性のあるキーワードで候補者の検索と選定に取り組みました。特にスカウトメールの文面作成に力を入れ、土日なら読んでもらえるという仮説を立てて、送信するタイミングを週末の18時ごろとしました。
反応があった候補者に対して、メールや電話でのフォローをきめ細やかに行い、面接にまでつなげていったことが成功のカギとなりました。結果として、ひと月あたり数人しか集まらなかった候補者数を、10倍以上に増加させることができました。
(参照:d’s JOURNAL『期待半分、不安半分。管理部門35年のベテランが挑む初めてのダイレクト・ソーシング 』)
S&J株式会社(情報セキュリティサービス)|半年間で0名が2カ月で5名の採用
以前の取り組み | ダイレクトリクルーティングを導入した成果 |
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・新卒採用は行わず、中途採用のみだった。
・人材紹介サービスを利用していたが、専門性の高い職種を募集していたこともあり、次第に候補者が集まらなくなった。 ・求人広告も利用したが、条件に合う候補者を見つけられず、採用につながらなかった。 |
・2カ月で5名の採用につながった。
・一人ひとりの候補者とのコミュニケーションを重視した。 |
情報セキュリティソリューションサービスを提供しているS&J株式会社では、ダイレクトリクルーティングによって候補者とのコミュニケーションを重視し、2カ月で5名の採用を達成しました。以前は新卒採用を行っておらず、中途採用のみを実施していたそうです。
人材紹介サービスを利用して採用を行っていましたが、専門性の高い職種を募集しているということもあり、次第に候補者の数が少なくなっていきました。
他にも、求人広告などを利用して多くの応募を集めたものの、条件に合う候補者を見つけられず、1人の採用にも至りませんでした。採用手法について模索しているうちに、dodaダイレクトというダイレクトリクルーティングサービスにたどり着きました。
結果として、2カ月ほどで5名の人材を採用することに成功しました。大きな成果を出せた理由として、ダイレクトリクルーティングサービスを通じて同社が求める職種の人材が採用市場に少ないことを知り、一人ひとりの候補者とのコミュニケーションを重視したことが挙げられています。
(参照:d’s JOURNAL『経験の浅い人事こそ「ダイレクト・ソーシング」を。マーケットの理解が採用の近道に 』)
株式会社エージェントグロー(IT/通信)|応募者と採用が約2倍にUP
以前の取り組み | ダイレクトリクルーティングを導入した成果 |
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・求人広告では知名度の低い企業にとって不利だと感じており、金銭的な負担も気になっていた。 | ・ITエンジニアにとって魅力のある会社づくりや採用候補者へのアプローチ方法を工夫した。
・応募者数と採用人数が倍増するという結果を得られた。 |
SES(システム・エンジニアリング・サービス)とSaaS事業を手がける株式会社エージェントグローでは、ダイレクトリクルーティングの実施によって応募者数と採用が約2倍となりました。以前は、ITエンジニア不足という課題を抱えていたそうです。
知名度の低い企業にとって求人広告では不利になりやすく、金銭的な負担も気になっていました。さまざまな採用手法を検討するうちに、dodaダイレクトのダイレクトリクルーティングサービスを見つけたそうです。「狙った候補者に対して、直接アプローチできる」という点に魅力を感じ、必要なサポートを受けながら取り組みました。
その結果、応募者数が6名から10名になり、採用人数が月1名から2名に倍増するという成果に至りました。採用に成功したポイントとして、ITエンジニアにとって魅力的な会社づくりを行っていた点や、採用候補者に合わせてアプローチ方法を徹底的にカスタマイズしたことなどが挙げられています。
(参照:d’s JOURNAL『ダイレクト・ソーシングを活用し毎月2名以上の経験者採用を実現。doda担当者との強力タッグでスカウト成功率をアップ! 』)
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、企業から候補者へ主体的にアプローチできる「攻め」の採用手法です。従来の「待ち」の採用手法と比べると、転職潜在層にまで接点を広げられるため、採用の可能性を大きく拡大できるのが特徴です。
また、スカウトから選考までを自社で幅広く担うため、取り組んだ分だけノウハウを蓄積していけるのもメリットといえます。ダイレクトリクルーティングの仕組みと特徴をおさえて、採用戦略への導入を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社にも日本最大級のスカウト会員データベースに企業が直接アプローチできるダイレクトリクルーティングサービスがあります。興味のある方は下記から資料をダウンロードしてみてください。
(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)
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