今うちの組織がヤバい状況です…そんなときに読みたいマンガ5選

マンガを介したコミュニケーションが生まれる状況をつくることを目的に活動しているユニット。小さな複合書店『マンガナイトBOOKS』の展開に加え、レビューや論評などの執筆活動、ワークショップの開催を行っている。

会社のエースが退職するらしい…『左ききのエレン』(原作:かっぴー・漫画:nifuni/集英社)
問題を起こすメンバーがいるけど、どうしよう…『鈴木先生』(武富健治/双葉社)
会社の雰囲気がなんかちょっと…『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)
会社の業績が悪くてつらい…『進撃の巨人』(諫山創/講談社)
もしかしたら組織ってこんなものかも?…「イヤなイヤなイヤな奴」(『藤子・F・不二雄 異色短編集 3:箱舟はいっぱい』収録/小学館)

エース社員の退職、問題のあるメンバー、組織での居心地の悪さ、会社の業績不振…。このような兆候が見られた場合、組織崩壊が起こる可能性が高いです。
そのまま会社に所属し続けるのか、それとも転職するのか。自分の身の振り方に悩んでしまいますね。そんなときには、ちょっとした息抜きに、こんな作品を読んでみてはいかがでしょうか? おすすめのマンガ5作品をご紹介します。

会社のエースが退職するらしい…『左ききのエレン』(原作:かっぴー・漫画:nifuni/集英社)


はじめにご紹介するのは、『左ききのエレン』です。天才画家の山岸エレンと、世界レベルのトップデザイナーを夢見る朝倉光一の二人を主人公に、学生時代から卒業後の人生を描いた作品です。光一は広告代理店に入社し、社内のエースである神谷の下で仕事に励みますが、神谷は独立してしまいます。

エースが会社を辞めてしまうと、組織は不安定になります。光一のように「自分もあの人みたいなエースに早くなってみせる」と思いたいところですが、個人の立場として肝に銘じておきたいのは、神谷の後任として上司となった柳の「サラリーマンには4種類いる」というお話です。

サラリーマンは、「替えが利かない有能」「替えが利く有能」「替えが利かない無能」「替えが利く無能」のどのタイプなのか。柳は「替えが利かない有能」が会社を支えているのではなく、「替えが利く人」がいるからこそ、会社組織が成り立っていると話します。

現状の自分がどこにいて、何を目指し、なぜ会社に所属しているのかを考えるきっかけになるエピソードです。

問題を起こすメンバーがいるけど、どうしよう…『鈴木先生』(武富健治/双葉社)


問題を起こすメンバーが組織にいると、それだけで仕事が回らず、周囲のイライラも募ります。しかし、少し問題があるからといって、簡単にクビすることはできません。すると、周りの人たちもますますイラついてしまい、組織の雰囲気がどんどん悪くなってしまうでしょう。

そんなときにおすすめしたい作品が、『鈴木先生』です。中学校教師の鈴木先生は、生徒たちに向き合いながら、クラス内で起こる問題を解決していきます。

鈴木先生に見習いたいのは、「問題を起こしている人=悪い」と決めつけない点です。鈴木先生は、生徒と会話をしながら状況を探り、何が彼・彼女にそのような行動をさせているのかをじっくりと考察していきます。

問題を起こすから「悪い人だ」と思わずに、鈴木先生のように、時には問題を抱えた人の行動にどのような意図があって、何を主張したいのかを探ってみてもよいかもしれません。

会社の雰囲気がなんかちょっと…『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)


社内の会話や雑談が減って「なんかちょっと居心地が良くないんだよね」というときは、組織が良くない段階にある証拠かもしれません。そういうときには、『ダンジョン飯』でのコミュニケーション方法を参考にしてみましょう。

主人公ライオスを含む冒険者の一行がダンジョン深層を探索していたところ、壊滅寸前となり、ライオスの妹・ファリンがダンジョンに取り残されてしまいます。ファリンを助けるため、魔術師でエルフのマルシル、鍵士でハーフフットのチルチャック、そして新たに加わった料理研究家でドワーフのセンシとともに、食費節約のために魔物を食べながら深層を目指します。

パーティーのメンバーはそれぞれ違った文化を持ち、性格も大きく異なっていて、時には対立することもあります。しかし冒険しながら自分のことを明かしていき、仲間と共有することでお互いに違う種族なのだと認識・理解し合って旅を続けていきます。

昨今、リモートワークによって働く環境が大きく変わり、同じ会社で働いている人たちの様子がわからないという状況も増えてきたことでしょう。時には、同僚に仕事以外の話や自分のことを積極的に伝えることで、働きやすい組織に変わっていくかもしれません。

会社の業績が悪くてつらい…『進撃の巨人』(諫山創/講談社)


会社の業績が悪いときには、「このまま今の会社にいていいのかな…」と不安な気持ちに陥ることもあるでしょう。そこで転職や身の振り方を変えることも一つの手ですが、自分の理念のために、「成果が得られない」中で進み続けることを選ぶ人もいるかもしれません。

そんなときには、『進撃の巨人』を手に取ってみてはいかがでしょうか。舞台は、巨人が入らないように人々が壁の中で暮らす世界。主人公エレンは幼い頃、壁の外で唯一、巨人の捕獲や生態調査を行うことができる「調査兵団」を羨望の眼差しで見ていました。しかし、何の成果も得られない兵士たちは、国民から「税金の無駄遣いだ」と非難されてしまいます。

現実でも同じように、いくら誠実に仕事に取り組んでも結果につながらないことがあります。『進撃の巨人』で、エレンは周りから冷遇された時代を過ごしましたが、物語が進むにつれて立場も変わっていきます。時には目の前の業績だけにとらわれず、長い目で世界を見て、仕事に邁進するパワーも必要ではないでしょうか。

もしかしたら組織ってこんなものかも?…「イヤなイヤなイヤな奴」(『藤子・F・不二雄 異色短編集 3:箱舟はいっぱい』収録/小学館)


最後にご紹介するのは、『藤子・F・不二雄 異色短編集 3 箱舟はいっぱい』に収録されている作品「イヤなイヤなイヤな奴」です。

物資を積んだ宇宙タンカーに乗っている6人の乗務員が、1年半かけて地球まで戻ってくるという設定ですが、その乗務員の中に一人、問題を起こす「イヤな奴」が出てきます。彼がなぜそのような行動を取るのか…。

最後に判明したのは、彼は仕事として依頼され、「イヤな奴」をわざと演じていたということ。その結果、彼がいることでチームの中に共通の敵が生まれ、ある意味「必要とされる存在」となっていました。

人間組織というのは、共通の敵がいる方が組織としてまとまりやすくなるのかもしれません。今、組織がヤバい状態であれば、「共通の敵」となる存在をつくったり、あるいは自分が演じたりするのも手なのかも…? 

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