「働きたい!」エンジニア転職“潜在層”から逆オファーが来るほど!採用~定着に効いている最強⁉オウンドメディアとは【隣の気になる人事さん】

2022.03.24
クラスメソッド株式会社

マーケティングコミュニケーション部 部長 嵩原將志(たけはら・まさし)

マーケティングコミュニケーション部 部長 嵩原將志(たけはら・まさし)
2005年、クラスメソッド株式会社に入社。営業やプロジェクトマネージャーなどを経て、現在はマーケティング部の部長を務める。技術ブログ『DevelopersIO』を運営。

クラスメソッド株式会社

エンプロイーサクセス部 部長 西博之(にし・ひろゆき)

IT企業や不動産会社等で十数年ほど人事を経験し、 2018年10月にクラスメソッド株式会社にAWS事業本部の採用担当として入社。エンプロイーサクセス部の部長を務める。

仕事中も自由にアウトプットできるようにして、エンジニアの学びを支援
オウンドメディアをきっかけに「転職潜在層」が集まる理由
大切なのはエンジニアが自由に楽しく書けること。採用目的を前面に打ち出す必要はない

気になるあの会社には、どんな秘密があるのか——?

先進的な取り組みを進める経営者や人事・採用担当者がバトンをつなぎ、質問をぶつけていく「隣の気になる人事さん」。第1回にご登場いただいた枌谷力さん(そぎたに・つとむ/株式会社ベイジ 代表取締役)が気になる企業として指名したのは、クラウド導入支援やビッグデータ基盤構築、モバイルアプリ開発などを手がけるクラスメソッド株式会社です。

枌谷さんが登場した第1回の記事はコチラ
コロナ禍でも社員が倍に!採用・エンゲージメントに効く「ベイジの日報」とは

枌谷さんが注目しているのは、クラスメソッドが運営する技術者向けブログ『DevelopersIO』。社内のエンジニアが興味のある技術テーマについて自由にブログを執筆し、これまでに発信された記事は累計3万本以上。なんと月間200万〜300万PVに達するのだとか。

 

『DevelopersIO』は、クラスメソッドのエンジニア採用にどのように役立っているのでしょうか。

仕事中も自由にアウトプットできるようにして、エンジニアの学びを支援

——オウンドメディア『DevelopersIO』は2011年に立ち上がっています。この取り組みが始まった背景をお聞かせください。

 

嵩原氏:エンジニアの学習効率を高めていくためのツールとして始めました。背景には、当社代表取締役である横田聡の「エンジニアは一生勉強とスキルアップを続けていくべきだ」という考えがあります。

エンジニアが学ぶ手段としては本を読んだり外部の勉強会に参加したり、あるいは自分でプログラムを書いてみたりと、さまざまな方法があります。ただ、どれだけインプットを繰り返しても、アウトプットをしなければなかなか学びが定着しません。そこで、自社のエンジニアが学んだことを定期的にアウトプットできる場として『DevelopersIO』を立ち上げたのです。

——エンジニアの間には、昔からブログやSNSを通じて積極的に情報発信する文化があると感じます。個人でブログを運営するケースもあると思いますが、あえて会社のメディアを用意したのはなぜでしょうか。

嵩原氏:個人のブログだと、仕事中に書くことができませんよね。業務の中で「これは新たな気付きだ!」と感じることがあっても、すぐに書き残すことができないんです。一方で『DevelopersIO』の記事を書くのは仕事の一環なので、当然仕事中に書いても構いません。エンジニアにとっては、これが大きなメリットになると考えました。

また、個人で運営するブログにたくさんの読者を集客していくのは簡単ではありません。1人で高い更新頻度を保つのも大変です。それに対して、会社の数十人のメンバーで書きつないでいくオウンドメディアではコンスタントに記事が生まれるので、サイト自体がどんどん強くなっていくんです。より多くの人に記事を読んでもらえる可能性が高いという意味でも、オウンドメディアがある意味は大きいと考えています。

——オウンドメディアの運用では、個人ごとに執筆数や投稿頻度などのノルマを設けているのでしょうか。

嵩原氏:ゆるい目標は設けていますが、ノルマというほどのものではありません。1人で月に何十本と書く人もいれば、時期によってまったく書かない人もいますが、ペースは個々人に委ねています。頑張ってたくさん書いてくれた人やPV1位を獲得した人を3カ月に1度の全社会議で表彰する程度。書くトピックについても、各執筆者に自由に決めてもらっています。

オウンドメディアをきっかけに「転職潜在層」が集まる理由

——採用を担当されている西さんに、ズバリお聞きします。オウンドメディアの存在は人材採用にプラスになっていますか?

 

西氏:大いに役立っていますよ。当社へ応募いただく方の中で、「クラスメソッドを知るきっかけがオウンドメディアだった」という割合は実に8割近くに上ります。競争が激しいエンジニア採用市場で、当社を知っていただく強力なツールがあることはとても心強いです。

特にうれしく思っているのは、現に転職活動をしている顕在層の方々だけでなく、今すぐに転職を考えているわけではない潜在層の方々もオウンドメディアを読んで当社に興味を持ってくれること。そうした方は転職活動を積極的にしていない状況でも当社だけに応募してきて、「もし採用してもらえるなら入社したい」と言ってくれるんです。

——他社と比較するのではなく、クラスメソッドだけを見て転職を検討してくれるのですね。

西氏:はい。「転職先を探してクラスメソッドを知った」ではなく、「クラスメソッドを知って転職したいと思った」というケースが増え続けています。

また、オウンドメディアで当社メンバーの技術や組織風土を知り、興味や共感を持って入社する人が多いことは、定着率向上にも寄与していると考えます。

嵩原氏:確かに「入社前後のギャップが小さかった」という声はよく聞きます。それに、身に付けた技術や知見を活かすために事業会社へ転職していく人も一定数いますが、同時に戻ってくる人も多いんですよ。昨年は当社内でちょっとした「出戻りブーム」が起きていたくらいです。外部を一通り経験しながらも『DevelopersIO』をチェックし続けて、再び技術を追求するために戻りたいと感じる人が多いのかもしれません。

大切なのはエンジニアが自由に楽しく書けること。採用目的を前面に打ち出す必要はない

——これまでに掲載された記事が累計3万本を突破し、月間200万〜300万PVに達しているという点にも驚かされます。『DevelopersIO』は、なぜここまでエンジニアに読まれるメディアになったのだと思いますか。

 

嵩原氏:『DevelopersIO』では「やってみた」をコンセプトに、エンジニアが実際に手を動かして得た学びをアウトプットしています。読者のエンジニアにとっては、困り事をピンポイントに解決してくれる記事と出会える場になっているんです。

そうした意味では、『DevelopersIO』はマス向けのメディアではありません。エンジニアに役立つ記事、エンジニアが読む意味のある記事だけをアップしているので、非エンジニアの方にとってはまったく興味を持てない内容が並んでいるかもしれませんね。

エンジニア向けといっても扱うテーマは増えていて、たとえば2020〜2021年にかけては当時の事情もあってリモートワークやAmazon WorkSpacesに関する記事がよく書かれていました。リモートワーク自体は非エンジニアの方にも感心があるテーマですから、より幅広い方に読んでもらえるようになったと思います。

西氏:クラスメソッドのメンバーがAWS関連の記事を投稿していった結果、「AWSについて検索するとほとんどが『DevelopersIO』の情報だ」「『DevelopersIO』を運営するクラスメソッドってどんな会社なんだろう?」と興味を持ってくれた社外のエンジニアがたくさんいました。

これこそ、エンジニアが純粋な興味で最新トレンドを追い掛け、つまずいたことや発見したことについて発信しているからこその成果でしょう。

——今後の採用戦略としては、オウンドメディアをどのように活用していく予定ですか?

 

西氏:転職を考えずに『DevelopersIO』へたどり着いた潜在層のエンジニアに、転職の動機付けをするような情報発信をしていきたいです。せっかくの貴重な接点なので、会社説明会などの機会に参加していただく入り口にできればいいなと。

ただ、思い切り採用目的を前面に打ち出すような記事は必要ないとも思っているんです。あくまでも社外のエンジニアとの接点をつないでいく程度。だから、メディア運営方針についての採用側からの要望は特にありません。

嵩原氏:当社ではこれまでも、記事を書くスタンスとして採用や営業につなげることは意識してきませんでした。エンジニアが楽しく記事を書いてアウトプットすることが第一ですから。

運営側の立場としては「数字が伸びやすいエンジニア初学者向けの記事が増えたらいいな」と思うこともあります。でも結局のところ、エンジニア自身が自由に楽しく書けないと、良い記事は生まれないんですよね。エンジニアが、純粋な思いでエンジニアのために書く。そんなメディアだからこそ、採用にも寄与し続けているのではないでしょうか。

 

取材後記

クラスメソッドでは、経営の優先順位として「社員とその家族」を第一に置き、その先に顧客・コミュニティ・社会へ価値提供することを大切にしているそうです。人事部門が「エンプロイーサクセス部」(従業員の成功)と名付けられていることは、この考え方を如実に表していると感じました。

同社のオウンドメディア運用が人材採用を後押ししているのも、従業員の成功を第一義としているからではないでしょうか。自社のエンジニアにとって価値のある取り組みだからこそ、社外のエンジニアにも興味と共感を持ってもらえるのだという大切な視点を教わりました。

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Vol.1 コロナ禍でも社員が倍に!採用・エンゲージメントに効く「ベイジの日報」とは

企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、野村英之(プレスラボ)、取材・文/多田慎介、撮影/中澤真央

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