【面接官必見!】知らないと失敗しちゃうかも?有意義な面接のためのアイスブレイクとは~質問例付き~

d’s JOURNAL(ディーズ・ジャーナル)編集部

面接におけるアイスブレイクとは?目的と効果

“アイスブレイク(ice break)”とは、「氷を溶かす」という意味。面接においては、初対面同士の人々が打ち解けやすくするために用いられるコミュニケーションの手法です。場の空気を和ませることで緊張をほぐし、面接官・候補者双方が自然な対話ができるきっかけづくりに行います。

面接を受ける候補者のほとんどは緊張しています。いきなり自己PRや志望動機を聞かれても、自分自身のことを思うように話せないものです。また、「機械的」「事務的」など会社にマイナスの印象を持たれてしまう可能性もあります。

そのため、面接の本題に入る前にアイスブレイクを入れることで、候補者が本音で話ができるような雰囲気をつくり、積極的に自己開示をしてくれるように働きかけることが大切です。

 

アイスブレイクの目的・効果は大きく3つあります。

(1)候補者の緊張を和らげること
(2)候補者の本音を引き出すこと
(3)会社に対して良い印象を持ってもらうこと

緊張を和らげることで、候補者自身がスキルや長所をしっかりアピールできるようにすることはとても重要です。また、リラックスして安心して話ができると感じてもらうことで、転職理由や本人の苦手な部分についても包み隠さず話をしてもらえるようにすることは、結果的にミスマッチの防止にもつながります。

面接官の態度や気遣いは候補者の会社への志望度に大きく影響するため、第一印象を決める最初のアイスブレイクで良い関係を築くことは、採用に向けた重要なポイントと言っても過言ではありません。

アイスブレイクを成功させるためのポイント

まずは来社のお礼と自己紹介から

面接やアイスブレイクを始める前に、まずは候補者へ来社いただいたことに対するお礼を伝え、簡単な自己紹介をしましょう。人事・採用担当者なのか、配属予定部署の同僚/上司なのか、または経営層なのか、どのような立場の方と話をしているのか、知っているのと知らないのとでは安心感が大きく変わります。

話の内容も重要ですが、「面接官の第一印象」は選考全体の流れを左右する最も重要なポイントと心得ましょう。

アイスブレイクを含めた時間配分

アイスブレイクにどのくらい時間をかけるかはあらかじめ決めておきましょう。話に盛り上がってしまい、面接時間が少なくなってしまっては本末転倒です。

面接の所要時間にもよりますが、3~5分程度の時間の中で候補者の緊張をほぐし、相手の様子を見ながら本題の質問を投げかけましょう。

オンライン面接で特に気を付けたいこと

 

新型コロナウイルス感染症の影響で、対面形式の面接からWeb面接へ選考フローを変更した企業も多いでしょう。オンラインのコミュニケーションにおいては、お互いの表情や雰囲気を直接確認することが難しいため、アイスブレイクの果たす役割はますます高まってきています。

オンライン面接において候補者が感じる不安として、「通信障害が起こらないか」「声がはっきり聞こえるか/聞こえないときはどうすればいいか」などがあります。

そのため、オンライン面接では以下の3つの点に配慮しましょう。

(1)最初にオンライン面接の接続状況や操作方法を確認する
(2)音声が聞き取りやすいように「声の大きさ」「抑揚」「話すスピード」に気を付ける
(3)相づちやうなずきなど、相手の話をしっかり聴いている姿勢を示す

「音声やカメラに問題はありませんか?」「音声が聞き取りづらい場合は、話の途中でもいいので遠慮なく教えてくださいね」「こちらは音声しっかり聞こえていますので安心してください」といった声掛けは候補者の安心感につながります。

「こちらの話すスピードは早過ぎませんか?」「こちらの声の大きさは小さくないですか?」など、候補者を気遣った声掛けも重要です。

「ここまでの話の中でわからなかったこと、確認しておきたいことなどはありますか?」など、面接の途中でも、接続状況に不安がないか、聞き取れなかったことがなかったか、わからないことや質問がないかなど、面接官側から候補者にコミュニケーションを取りましょう。

押さえておきたいアイスブレイクの鉄板ネタ5選

1.世間話(天気や気候、身近なニュースなど)

当日や最近の天気、身近なニュースなどは、アイスブレイクの鉄板の話題です。特に、オンライン面接などで遠方の候補者の場合は天候や気温の差も感じられるなど、意外と盛り上がります。

【アイスブレイクの例】

「だんだん暖かくなってきて、そろそろ桜の開花も近いですね。ご自宅の近くの桜はいかがですか?」

「ここ数日で一気に冷え込みましたね。そちらも寒いですか?」

「最近は雨が多いですね、週末は晴れるといいのですが・・・オンライン面接は雨でもぬれる心配がないのでいいですね」

 

2.趣味・特技

事前に履歴書を提出してもらっている場合は、趣味や特技など、履歴書の内容に触れてアイスブレイクするのも良いでしょう。

趣味や特技に関するネタは、会話が弾みやすい上に、共通点があった場合は親近感を持ってもらえるため、自己開示や安心感につながります。

【アイスブレイクの例】

「趣味は◯◯なんですね。いつごろからやっているんですか?」

「○○さんの特技は◯◯ですか、お休みのときも○○はよくされるんですか?」

「ゴルフが趣味なんですね、最近はいつ行かれたんですか?」

 

3.出身地

出身地についてもアイスブレイクの話題としてよく触れられます。候補者の出身地を聞くだけでなく、自分の出身地の話もできるため、お互いに自己開示がしやすいテーマと言えるでしょう。

【アイスブレイクの例】

「今のご住所は◯◯なんですね。ずっと◯◯市にお住まいなんですか?」

「◯◯県のグルメだと◯◯が有名ですよね。旅行したときに食べたことがあります。他にお薦めのものはありますか?」

 

ただし、出生地・本籍・家族に関する話題は、厚生労働省にて禁止されているため注意が必要です。

【NG質問】

「◯◯さんの本籍はどちらですか?」

「◯◯さんのお父様の生まれはどちらですか?」

公正な採用選考の基本(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm

【関連記事】
意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと https://www.dodadsj.com/content/171129_law08_interview/

 

4.当日の交通手段

対面形式の面接の場合は、当日の交通手段に関する質問もお薦めです。自宅からの通勤に不安がある方もいらっしゃるため、通勤時間帯の交通量や混雑しないわかりやすい道の話などをするのも良いでしょう。

【アイスブレイクの例】

「今日は電車でいらっしゃったんですか?混んでいませんでしたか?」

「自宅からここまでどのくらい時間がかかりましたか?」

「駅からの道はわかりづらくなかったですか?迷わずに来られましたか?」

 

5.自己紹介(面接官)

面接官本人の一歩踏み込んだ自己紹介から始めるのも、有効なアイスブレイクの一つです。これまで取り上げてきた1~4のテーマに関連した話をしても良いですし、募集部門の担当者であれば、これまで取り組んできた仕事や現在の状況について簡単に触れるのも良いでしょう。

自分の出身地の話や趣味や特技についての話、週末の天気に関連した休日の過ごし方など、面接官の自己開示があると、候補者も自分のことが話しやすくなり、質問もしやすくなります。

【アイスブレイクの例】

「○○部で○○の仕事をしている○○と申します。新卒/中途で入社し、今○年目になりました。本日はよろしくお願いします」

「履歴書で拝見したのですが、私も○○さんと同じで趣味はアウトドアでして、会社の仲間とBBQをする際は毎回幹事を務めています」

「○○(候補者の出身地)は○○で有名なところですよね。まだ行ったことがないんですが、一度訪れてみたいですね」

 

やりがちなアイスブレイク失敗事例・要注意なNGワード

 

候補者の緊張を和らげるために良かれと思って話をしたものの、かえって不信感や不快感を与えてしまうケースもあります。今回は、意図せずについやってしまいがちなアイスブレイクの失敗事例や要注意なNGワードをご紹介します。

「弊社を知ったきっかけは?」

自社を知ったきっかけを純粋に知りたくて質問するケースがよくあります。面接の合否を判断する意図がなくても、アイスブレイクでいきなりこの話題に触れるのは避けた方が良いでしょう。

なぜなら、「きちんとした志望動機や応募の理由を話さなくては」と、リラックスするどころか、緊張のあまりしどろもどろになってしまう可能性があるからです。

「自分も中途採用で入社したのですが、実は面接を受けるまで名前も知らない企業でした。○○さんはご存じでしたか?」といった話をきっかけに、自社の説明や理解促進につなげるのであれば、丁寧な対応に好感を持っていただける可能性が高まるでしょう。

政治、宗教、個人の思想に関する質問は禁止

これらの質問はアイスブレイクだけでなく、面接の中でも質問が禁止されています。時事ネタとしてアイスブレイクで取り上げた場合でも、世界のニュースや選挙の話題などの中には、「個人の思想」に触れてしまうケースもあるため注意が必要です。

「個人の思想」を聞き出そうという人はほとんどいないと思いますが、意図せず話題としてしまうことのないよう気を付けましょう。

ハラスメントと受け取られかねないプライベートな話題

特にオンラインでの面接では、背景にプライベートゾーンが入り込んでしまうといった状況も発生しかねません。「面白そうな本をたくさん読んでいらっしゃるんですね」「そのフィギュア(人形)って○○のアニメのものですか?」「後ろに写ってる○○って何ですか?」など、家の内部や個人的な話題に触れることは避けましょう。

他にも性別やセクシュアリティー、恋愛対象などに関する質問はハラスメントとなる場合があるので注意が必要です。

また、新型コロナウイルスや台風・地震などの自然災害、世間を騒がせている事件など、ネガティブな話題は人を傷つけてしまう恐れもありますので配慮が必要です。

【編集後記】

趣味や特技など、自分の好きなことで初対面の人と緊張せずに話ができる方は少なくないかもしれませんが、人生を左右するかもしれない面接となると緊張しない人の方が珍しいのではないでしょうか。スキル・経験だけでなく、働く姿勢や仕事のやりがいといったことも含め、面接をお互いの理解を深める場とするためにアイスブレイクをぜひ有効に活用いただければと思います。

文・編集/d’s JOURNAL編集部 白水 衛

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