その判断軸、間違ってます!面接官がやりがちアンコンシャス・バイアス<お役立ち資料付き>

d’s JOURNAL編集部

売り手市場が続く昨今、企業としては求める人材を確実に採用したいもの。そのためには、面接における見極めが重要です。

しかし、中には「自分が一次面接で合格を出した候補者がその後の選考で不採用になっており、自分のスキルに疑問を感じている」「DXやITエンジニアなどの専門領域の人材を採用する際には、詳しい人を面接に同席させているが、重視するポイントに不安がある」ということもあるかもしれません。

そこで今回は、面接で最低限押さえておきたいポイントを、人材採用に詳しいd先生に聞いてみました。面接に不慣れで自分のスキルが不安な方、面接官のスキルアップに悩んでいる方は必見です。

知らずにやっているかも。面接の落とし穴「アンコンシャス・バイアス」

Jさん
採用担当(以下、Jさん)
今度、一次試験の面接を担当することになりました!でも、初めてできちんと質問や評価ができるか不安で…。面接で最低限気を付けなければならないポイントって何ですか?
d先生
d先生
そうですね…ちなみにJさんは、どんな人に入社してもらえたらよいと考えていますか?
Jさん
Jさん
うーん…私はアウトドアが好きなので、キャンプやBBQが趣味な人に入社してもらえるとうれしいですね!すぐに仲良くなれそうだし、アウトドア好きな人って開放的な人が多いので、人とのコミュニケーションが円滑にできそうだなって思います。そういった性格なら、仕事にも熱心だと思いますし。
d先生
d先生
なるほど。まさに、いまJさんが言ってくれた部分が気を付けたいポイントなんです。「アンコンシャス・バイアス」というんですよ。
Jさん
Jさん
アンコンシャス・バイアス…?何ですか、それ?
d先生
d先生
「無意識の偏見や思い込み」という意味の言葉です。「無意識の」という言葉の通り、誰にでもあることですし、採用や面接の場面だけでなく、日常生活などさまざまな場面で見られるんですけどね。
Jさん
Jさん
知らなかったです…。具体的には、どういうことが挙げられるんですか?
d先生
d先生
例えば、「血液型で相手の性格を想像する」「モデルは背が高く、痩せ型の若い人だと思い込む」などが挙げられます。
Jさん
Jさん
じゃあ、「同じ趣味の人が入社してくれたら仲良くなれそう」「アウトドア好きな人は開放的な人が多く、仕事にも熱心そう」というのも…?
d先生
d先生
はい。趣味が同じであることは業務の遂行能力や仕事への意欲に直接関係がないですし、アウトドアが好きだからといって、必ずしも開放的でコミュニケーションが得意だとは言えませんよね。
Jさん
Jさん
確かに、趣味は業務に関係なかったです。それに、一人で静かにキャンプをするのが好きだという人もいれば、インドア派であってもコミュニケーションが得意な人はたくさんいますね。アンコンシャス・バイアスって、他にどんなことがあるんでしょうか。
d先生
d先生
一口にアンコンシャス・バイアスといっても、実際にはいくつかの種類があるんです。代表的なものと、面接や採用で起こり得る具体例を紹介しますね。

■アンコンシャス・バイアスの例

種別 概要 具体例
正常性バイアス 危機的な状況下であっても、自分にとって都合の悪い情報やデータを無視したり過小評価したりする ・面接で候補者が黙り込んでしまっても「自分の面接スキルには関係ない」と思い込む
・ミスを「今回たまたま起こっただけ」と受け流す
アインシュテルング効果 慣れ親しんだ考え方や視点に固執し、他の考え方や視点を認識しなかったり無視したりする ・前例がない面接方法を試そうとしない
・採用候補者に「似たタイプの知人」を投影する
確証バイアス 自分の仮説や価値観の正しさを証明する情報ばかり集め、反証する情報や意見を無視したり集めようとしなかったりする ・「体育会系の大学出身だから、根性があり礼儀正しい」と思い込む
・面接で「思い込み」を裏付けるデータを収集する
ステレオタイプバイアス 性別や年齢、国籍、職業などの属性ごとに「特定の特徴がある」とステレオタイプ的な判断をする ・「シニア層はパソコンやシステムの操作が苦手」と思い込む
・「外国人はマイペースな人が多い」と採用を避ける
慈悲的差別 少数派に対し、好意的ではあるものの勝手な思い込みをする ・子育て中の女性を残業・出張のある部署の候補から外す
・「高齢者だから」と外出の多い部署での採用を避ける
ハロー効果 好意や親近感を抱いた人に関する全てのことを好意的に捉える ・「出身地が同じ」という理由で評価を高くする
・「高学歴だから仕事ができる」と思い込む
d先生
d先生
先ほどのJさんの「同じ趣味の人が入社してくれたら仲良くなれそう」はハロー効果、「アウトドア好きな人は開放的な人が多い」というのは確証バイアスと言えそうです。この他にも、集団の意見に合わせてしまう「集団同調性バイアス」や、自分を過小評価する「インポスター症候群」などがあります。
Jさん
Jさん
こんなにもたくさん…。ギクッとする内容も多いです。子育て中の女性を残業・出張のある部署の候補から外すというのは、よい配慮だとすら思っていました。
d先生
d先生
必ずしも悪い、ということではないんですよ。大切なのは、「それを希望する人もいれば、しない人もいる」ということを認識した上で面接に臨むということです。
Jさん
Jさん
偏見や思い込みを排除して、候補者とフラットに向き合うということですね。

(参照:『アンコンシャス・バイアスとは?職場での具体例とともにわかりやすく解説<研修資料付き>』)

アンコンシャス・バイアスが与える影響

Jさん
Jさん
アンコンシャス・バイアスを排除した方がよい、ということはわかりました。でも実際のところ、共通点があった方が話題も生まれるし、距離も縮まって仕事がしやすくなる気もするのですが…。
d先生
d先生
確かに、そういう面もあるかもしれません。でも、それは裏を返すと、そうでない人が圧迫されてしまう可能性もあるということなんです。
Jさん
Jさん
あ…それは考えていなかったです。
d先生
d先生
仮に、面接官が自分と同じような性格や趣味の人ばかりを採用したとします。そうすると、組織の多様性が失われ、結果的にイノベーションの創出が阻害されてしまうかもしれません。それが続くと、パワハラなどのハラスメントが起きやすくなったり、コンプライアンス違反を誘発したりする可能性も出てきます。
Jさん
Jさん
自分のことばかりでなく、チームや組織全体を考えることが大切なんですね。
d先生
d先生
そうですね。アンコンシャス・バイアスによってミスマッチが生まれる可能性もありますし、入社後、育成や配置などの場面でもアンコンシャス・バイアスが作用することで、入社者のモチベーションの低下や離職率の増加などにつながるかもしれません。
Jさん
Jさん
アンコンシャス・バイアスが面接と採用に与える影響がとてもよくわかりました。

面接で正しく見極めるための対策

Jさん
Jさん
実施の面接でアンコンシャス・バイアスを排除し、人材を正しく見極めるためには、どのような対策をするとよいのでしょうか。
d先生
d先生
「構造化面接の実施」「アンコンシャス・バイアス研修の実施」などが挙げられます。

構造化面接の実施

Jさん
Jさん
構造化面接って、あらかじめ設定しておいた評価基準や質問項目を基に、決まった順番で質問をしていく面接のことですよね。
d先生
d先生
そうです。誰が面接官を務めても一定の基準で応募者を評価できるので、アンコンシャス・バイアスを排除した状態で面接を進められます。
Jさん
Jさん
面接官による評価のばらつきを防げるということですね。面接に慣れていない人でも安心して進められそうです。
d先生
d先生
はい。面接に役立つホワイトペーパーがあるので、そちらもチェックしてみてください。

(参照:『構造化面接とは?どんな質問をすべき?半構造化面接との違いやメリット・デメリットを解説』)

アンコンシャス・バイアス研修の実施

d先生
d先生
そもそも面接を担当する人が「アンコンシャス・バイアス」を知らない可能性もあるので、研修を実施し、理解を深めるのも有効です。
Jさん
Jさん
確かに、どのようなアンコンシャス・バイアスがあるのかを知ることで、自分が当たり前だと思っていたことに疑問を持てるようになる気がします。面接だけでなく、日頃の言動についても気を付けたいと思いました。
d先生
d先生
アンコンシャス・バイアス解消のスキルセットが形成されることで、徐々にアンコンシャス・バイアスが払拭されていくはずです。アンコンシャス・バイアスの研修資料もあるので、ぜひ活用してください。

【採用担当(Jさん)の感想】

面接で当たり前のように重要視していたポイントが、思わぬ落とし穴になることもあると気付くことができました。イノベーション創出の促進やミスマッチ防止のためにも、面接の際は、自分の「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」を排除する必要があります。面接資料や研修資料を活用し、フラットな目線や考え方で適切に人材を見極められるようになりたいです。

(企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社はたらクリエイト

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