採用に時間も費用もかけられない!そんな企業こそ活用したい「副業人材活用」とは

パーソルキャリア株式会社

HiPro Direct for Local 渉外マネージャー 片山 真平

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  • 「副業人材活用」は、企業課題の解決のために、スキルやノウハウを持つ人材を一定期間活用する方法であり、現在は企業が優秀な人材を選びやすい状況である
  • 「副業人材活用」は、プラットフォーム掲載での募集、オンライン上で面談・契約・支援が一般的であり、費用は副業人材に支払う報酬と、サイト活用費であることが多い
  • 中小企業の人事・採用課題の解決策として「副業人材活用」が増えており、実際に中途採用支援、新卒採用支援、人事評価制度設計などでも活用されている

パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」では2030年に約644万人もの人手が不足すると予測されるなど、依然として採用難の状況が続く中、企業には採用・人事課題への対策が求められています。

そのような中、採用・人事課題を抱える企業の「副業人材活用」が増えています。今回は、「HiPro Direct for Local」で地域企業における経営課題の解決をサポートしている片山氏に、副業人材活用のメリットや費用感、具体的な活用事例について聞きました。

採用に苦戦する中小企業の中で、「副業人材活用」のニーズが高まる

まずは、現在の採用・転職市場の近況をお話しいただけますか。

片山氏:労働人口減少に加え、コロナ禍が落ち着いて企業の採用活動が積極化していることで、人材の採用に苦戦している企業が多いです。2025年問題や2030年問題が叫ばれているように、少子高齢化が加速すれば、より厳しい採用状況が待ち構えているだろうと捉えています。

また、中小企業の中には総務と人事・採用担当を兼務するなど、専任の人事担当者がいないケースもあり、「採用の必要性は高いものの、採用業務だけに注力できない」「人事のノウハウがなく、採用の成功につながらない」といったお話もよく伺います。そういった企業が「副業人材を活用」し、課題を解決するケースが増えています。

「副業人材活用」とはどのような手法なのでしょうか。

片山氏:「採用力を向上させたい」「営業組織を強化したい」「業務効率化に取り組みたい」といった企業の経営課題解決を目的に、「正社員」ではなく、必要なスキルやノウハウを持った「副業者」のようなプロ人材を、期間を定めて活用することです。

採用に苦戦する中小企業の中で、「副業人材活用」のニーズが高まる

中小企業の人事・採用課題に対して、「副業人材活用」が増えている理由を教えてください。

片山氏:特に中小企業の場合、そもそも大手企業と比べると採用頻度が少なく、先に申し上げた通り、専任の人事担当者がいない場合も多いです。そのため、採用・人事課題を抱えていても、「自社の採用競争力を上げるためのノウハウがない」「課題解決に向けた施策を検討・実行するリソースがない」といった企業が多いように感じています。

そういった状況から、採用したい人材や自社の魅力の整理、募集チャネルの選定、選考フローの見直しといった採用・人事課題に対する、具体的なアドバイスやノウハウを得られる副業人材活用が注目を集めているのかと思います。

さらに、必要な期間だけ依頼できるのもメリットです。採用・人事ノウハウを持つスキルの高い方を雇用契約で採用するより、費用面で安価であることも活用が増えている理由だと思います。

副業人材活用の利用実態はどのような状況ですか?

片山氏:増えているとは申し上げたものの、東京都内の中小企業に実施したアンケートの結果を見ても、約9割の企業が「副業人材を活用したことがない」と回答している状況です。そもそもサービスを知らない、もしくは、何をしてくれるのか・副業人材をどうやって見つければよいのかがわからない企業も多いのではないかと思います。

一方で、副業を望む個人の方は増えています。理由は大きく2つあり、1つは新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及したこと、もう1つは、働き方改革の一環で2018年に厚生労働省のモデル就業規則が改定され、大手を中心に副業を容認する企業が増えたことです。自身のスキルアップ・キャリアアップなどのために他の企業で副業をすることが重要視されるようになったこともあり、特に副業人材活用は、現在買い手市場(企業優位)で、企業が優秀な人材を選びやすい状況にあると言えます。

副業人材活用の仕組みや費用の相場、利用時のフロー

副業人材活用の仕組みや費用の相場、利用時のフロー

副業人材活用の仕組みを教えてください。

片山氏:一般的な方法だと、オンライン上のプラットフォームに企業の募集記事を掲載し、副業人材から応募が来て、企業と副業人材の方が直接契約して支援開始となります。弊社サービス「HiPro Direct」の場合、企業に所属しながら別の企業でも活動したいという副業人材の方に、多く登録いただいています。年齢層は30、40代の方々が中心ですね。

先ほど買い手市場と申し上げましたが、1つの募集に対して10~20名の応募があるケースもよく見られます。都心部の大企業に所属している方、その領域で長く活動している方など、課題に対するノウハウを保有する方が多くいらっしゃることも副業人材活用のメリットです。

どのような形で支援をしていただけるのでしょうか?

片山氏:副業人材の方たちは、本業があるため活動時間に限りがあり、オンラインでの支援が中心です。例えば、企業との打ち合わせを毎週もしくは隔週に1回設け、その他の時間は事前調査や実際の作業、会議に諮るための資料づくりなどに充てていらっしゃいます。

実際に企業が活用したいと思ったときには、どのようなフローになりますか?

片山氏:「1.ヒアリング」「2.面談」「3.契約」というステップが一般的です。

まずは、「どのようなことに取り組みたいのか」「副業人材に何をお願いしたいのか」を整理します。次に、整理した内容で副業募集の原稿を掲載し、応募があった方の中から面談候補者を選定し、オンラインで面談を実施します。その後、副業人材と契約し、支援がスタート。支援実施後に費用が発生するプロセスです。

費用はどのような仕組みになっていますか。

片山氏:主に「副業人材(個人)に支払う報酬」「サイト活用費」の2つがあります。

「個人への報酬」は、案件内容によっても異なりますが、副業人材の場合、月々4万~10万円程度が多いです。活動月数は、ひと月単位で決めることもでき、4カ月程度が平均的な期間です。

また、一般的にプラットフォーム型で発生する「サイト活用費」は、原稿の掲載料は無料のケースもあります。その場合には、契約が成立し支援が開始したタイミングで活用費として手数料が発生します。

副業人材活用を利用する際の注意点

副業人材活用を利用する際の注意点

副業人材を活用する際には、どのような点に注意するとよいでしょうか。

片山氏:時間的な拘束が常に発生するような「作業のための人員確保」や、チラシのデザインといった「成果物の提出のみ」の依頼であれば、副業人材ではなく、クラウドソーシングサービスなどを利用する方が適していると思います。また、「解決したいゴール」や「やりたいこと」「どの部分を副業人材にお任せしたいか」が明確であること、かつシンプルな方が、支援の成功までつながりやすいという傾向があります。

自社に適した方を選ぶためのポイントはありますか?

片山氏:「HiPro Direct」の場合、副業として登録されている方が大半ですので、場合によっては打ち合わせの時間が夕方や、企業の休業日になる可能性もあります。お互いの食い違いがないように、人柄はもちろんですが、関わり方、打ち合わせの時間・実施方法を、面談時に確認しておくとよいと思います。

また、「その企業の一員としてサポートをしている」というスタンスの方が非常に多いので、企業側も業務を切り出してお願いするだけではなく、チームの一員として丁寧なコミュニケーションをとっていただけるとよいかと思います。

採用・人事課題に対して副業人材を活用した企業事例

採用・人事課題に対して副業人材を活用した企業事例

採用・人事課題に対しどのような支援が行われたのか、企業の事例を教えてください。

全面的なサポートにより、契約終了後も自走できる体制を構築

片山氏:従業員数50名以下の製造業の事例です。社長が人事や採用も担当していましたが、募集をしても応募がほぼなく、応募があれば即採用という状況が続いていました。人材が定着せず、既存社員の高齢化が進むことも課題となっていたことから、副業人材活用を決断。とある企業で総務部長を務めていた副業人材の方に支援を依頼しました。

実際に依頼した具体的な内容は、採用サイト選定や採用サイトの効果分析など、採用プロセス全般です。結果、5カ月間で約20名の応募が集まり、3名の採用、2名の内定に成功しています。また、副業人材は、適宜考え方や進め方といったノウハウの提供を行い、活用後に社内メンバーが自走できるような体制も構築しました。

実施経験のなかった新卒採用を、副業人材の知見で軌道に乗せる

片山氏:従業員数50名以下のあるメーカーでは、新卒採用の知見・ノウハウを得るために、副業人材を活用しています。新卒採用は採用活動日程を順守する必要があったり、大学のキャリアセンターに通ったりもしますので、どの時期に何をやらなければいけないのか、キャリアセンターへのアプローチの仕方などを把握する必要がありました。

そこで、新卒採用経験があった他、人事制度の構築や育成、採用ホームページ作成などの経験値が高い方にサポートを依頼。ホームページづくりのノウハウや採用フロー構築などをレクチャーいただきました。結果、3カ月で新卒応募者は13名になりました。契約期間を延長し、今後は面接官への指導も行う予定です。

あいまいな人事評価制度を見直し、定量・定性両面の仕組みをつくる

片山氏:2つの会社が統合したことで人事規定や評価制度があいまいになってしまい、等級制度や賃金規定の見直しを目的に副業人材を活用した事例もあります。

中堅・中小企業で人事制度の構築実務を多数経験されている方に依頼し、定量・定性両面の評価の仕組みを構築しました。新評価制度の導入に向けた管理職向け研修も実施予定です。

社内のリソースだけで採用力向上や人事制度の設計を行うことは、非常に難しいことですが、スポット的な副業人材活用がこうした場面でも有効に働くことは、参考にしていただけるのではないかと思います。

副業人材活用サービスのご案内

パーソルキャリア株式会社では、副業人材活用も含むプロ人材活用をサポートするサービスを提供しています。採用についてお悩みの方は、ぜひご活用ください。

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取材後記

副業人材活用によって、「自社に必要な人材要件は何か」「そのために必要な採用手法には何があるのか」「自社の魅力や他社にないポイントはどこにあるのか」といった棚卸しや、スキルやノウハウを習得できる機会をつくれることがわかりました。

工数や費用も最低限に抑えることができるため、採用に苦慮している方は、一度副業人材活用サービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

(企画・編集/田村裕美(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社mojiwows

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