今採用活動していなくても、いざまた始めるときのために!優秀人材を“逃がさない”採用手法とは
d’s JOURNAL編集部
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“採用したいタイミング”で、必要な人材とコンタクトを取ることができる採用手法として「タレントプール」が有効
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データベース構築や管理など、ある一定工数・コストは掛かってしまうが、タレントプールに特化したサービスもあるため活用するのも◎
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採用成功につなげるためには、採用したいと考えたときに候補者とも良好な関係が築けているよう定期的な発信をし、“候補者とも”つながり続けていることが重要
優秀な人材の採用を目的に活用されているツールの一つに、「タレントプール」があります。タレントプールは、データベースを活用して候補者にアプローチをかけられるため、採用したいタイミングで、必要な人材とコンタクトを取れることが魅力です。採用難易度の高い状況が続く現在、採用のニーズが発生してから動き出すのではなく、求める人材を”つなぎ留める”工夫をしておくことが大切になります。
今回は、タレントプールのメリットや運用フローなどについて、人材採用に詳しいd先生に聞いてみました。採用の頻度が少なく、「採用のノウハウが蓄積されない・風化してしまっている」とお悩みの方も、ぜひ参考にしてください。
「タレントプール」とは
う~ん……。
Jさん、何か困りごとですか?
ここ数年の求人倍率を見ているんですが、改めて企業に厳しい状況が続いていると思いまして。我が社も今は採用活動が落ち着いていますが、いざ人手や即戦力となる人が必要になったときに、求める人材を採用できる自信がありません…。
それなら、優秀な人材を採用する方法の一つとして、「タレントプール」という方法を知っておくといいですよ。
タレントプール、ですか…?
タレントプールは、人材や才能を意味する 「タレント(Talent)」と、蓄えを意味する「プール(Pool)」を組み合わせた言葉です。過去に自社と何らかの関わりがあった優秀な人材をデータベース化することにより、適切なタイミングで、適切な人にアプローチを行うことができ、採用を成功につなげることができます。
<タレントプールの対象者の例>
●以前、採用に至らなかった人
●以前、採用を辞退した人
●自社を退職した人
●自社のイベントやセミナーに参加した人
●問い合わせページやSNSからコンタクトがあった人 など
アルムナイとの違い
自社と関わりのあった人材の情報をデータベースに蓄えていくんですね。その点で言うと、「アルムナイ」と同じような気もしますが…。
アルムナイは「卒業生」を意味する言葉で、退職者の集まりを指します。両者の違いは、対象者と運用の目的です。アルムナイでは、優秀かどうかを問わずに「退職者」の情報をデータベース化していきます。人材の補填だけでなく、協業や業務提携といった目的もあることが特徴です。
アルムナイの目的は採用だけではないんですね。
そうですね。中には、アルムナイに既存従業員のメンターを依頼する企業もあります。一方、タレントプールでは、退職者に限らず、経験や技術、実績などの条件面で「高いポテンシャルを持った人材」の情報を蓄積し、新規事業の立ち上げや配置換えに伴う人材募集の際、適した人物にアプローチすることが一般的です。
■参照:
・アルムナイとは?注目される理由とメリット・デメリットを解説
・採用コストを掛けられない、即戦力の人材を獲得したいという採用担当者の方へ。中小企業こそやるべき!?「アルムナイ採用」の設計ノウハウ
タレントプールがおすすめの理由
現在採用活動をしていなくても、タレントプールを始める必要はありますか?
先ほどJさんが言っていたように、労働人口の減少によって採用競争が激化しており、特に専門性の高い人材や即戦力となる人材の採用が難しくなっています。現在の採用頻度が少なかったとしても、いざ人材の採用が必要となったときに苦戦しないよう、準備しておくことは大切だと思います。
確かに、受け身の姿勢で応募が来るのを待つだけではなく、自社から候補者にアプローチする方法も知っておけるといいですね。
タレントプールは過去に接点があった優秀な人材のデータを集約するので、効率的な採用活動ができますし、採用の質の向上にもつながります。また、近年は人的資本(※)の考え方も高まっていますよね。タレントプールは中長期的な視点を持ちながら最適配置を検討することが可能なので、結果的に企業の成長も期待できます。
※人的資本:従業員の知識やスキル、資質などを、有形資産と同様、企業に利益をもたらす価値のあるものとする考え方のこと
タレントプールのメリットとデメリット
タレントプールを活用することで、企業にはどのようなメリットがあるでしょうか。
主なメリットは次の3つです。
<タレントプールのメリット>
①優秀な転職潜在層にアプローチが可能
②採用コストの削減
③ミスマッチの防止
まず、データベースを活用することで、さまざまな理由で採用に至らなかった優秀な人材に、スムーズにアプローチができます。求人広告の掲載料や人材紹介サービスの手数料などをカットできることもメリットです。また、定期的な接点を持つことで双方の情報共有が行われるので、採用後のミスマッチ防止効果も期待できます。
コストを抑えながら優秀な人材を採用できて、さらにミスマッチも防げるなんて、いいことばかりですね!早速取り組んでみたくなりました。
ただし、タレントプールにはデメリットもあるので、きちんと確認しておきましょう。
<タレントプールのデメリット>
①アプローチのタイミングが見極めにくい
②データベースの管理工数が必要
候補者の転職意欲がわからない以上、アプローチのタイミングが難しいと言えますし、アプローチをしてすぐに採用できるとも限りません。それから、人材要件は常に変化するので、随時グループや優先順位を設定し直したり、情報を更新したりする必要もあります。これらの手間やコストが掛かることも踏まえて検討することが大切です。
タレントプールの運用方法
タレントプールのメリットとデメリットを理解しました。実際に運用するには、どのような手順を踏んだらよいでしょうか?
一般的なフローをご紹介します。
<タレントプールの運用フロー>
①人材要件の定義
②人材データベースの構築、情報の蓄積
③候補者との定期的なコミュニケーション
④適切なタイミングでの求人案内
最初に自社の求める人材を定義し、それに準じた方の情報を蓄積していくことになります。データベースはゼロから構築すると手間もコストも掛かるので、タレントプールに特化した採用管理システムやサービスを利用するのも一つの方法です。
候補者の情報を蓄積するにはどのような手段がありますか?
「採用サイトに登録ページを設置する」「SNSでコミュニティへの参加を呼びかける」などの方法があります。採用がかなわなかった場合は、不採用通知に「機会があればぜひご連絡させていただきたい」と一文添えるだけで、受け手の印象も変わり今後の連絡が取りやすくなりますよ。
候補者の転職意欲が読み取れないと、いつ、どうやってコミュニケーションを取ったらいいか悩ましいのですが…。
あまり難しく考えなくても大丈夫ですし、常に採用情報をアピールする必要もありません。コミュニケーションの方法には次のような例があります。
<定期的なコミュニケーションの例>
●WebサイトやSNSによる社内情報の発信
●メールマガジンの配信(社内情報やコラムなど)
●社内セミナーや勉強会への招待
●個別連絡による近況確認 など
大切なのは、採用したいと考えたときに良好な関係が築けているよう、定期的な発信をすることです。候補者の転職ニーズはいつ発生するかわからないですし、時間の経過とともに自社への関心も薄れてしまいます。採用のニーズが発生したとき以外でも自社に興味を持ってもらえるような関わり方をしましょう。
具体的にアプローチするタイミングはどう見極めたらよいでしょうか。
専用のツールなどが必要になりますが、メールマガジンの開封率やメッセージに対する返信回数、社内セミナーへの参加率などを計測し、候補者がどの程度の転職意欲を持っているかを分析すると、タイミングを逃さずアプローチできる可能性が高まりますよ。
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【採用担当(Jさん)の感想】
自社と関わりのあった優秀な方とのご縁を一度で終わらせてしまうのはもったいないですし、タレントプールという手法を利用することで、つながりを維持できることもわかりました。採用が必要なタイミングになった際に最適な人材を採用するためにも、メリット・デメリットを理解した上で、今から準備を進めていきたいと思います。
(企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社mojiwows)
doda 転職求人倍率レポート(2024年1月号)
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