ダメ面接官のやりがちNGアイスブレイク質問例 ~すぐ使えるトーク付~


d’s JOURNAL編集部
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面接でのアイスブレイクは重要だが、不適切な質問は応募者を緊張させ、逆効果。NG質問例は、本籍や家族、個人的な思想、他社選考などに関するもの
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NG質問は応募者の差別やプライバシー侵害、不快感につながる可能性があるため、面接官は注意が必要
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アイスブレイクの主な目的は、面接会場の雰囲気を和ませ、応募者を話しやすい状態にすること。そのためには答えやすい質問を事前に準備しておくのが大切
採用面接で応募者をリラックスさせるために行うアイスブレイク。でもその質問、逆に応募者を固まらせてしまうかも…。面接官が何げなく聞いてしまいがちな逆効果アイスブレイクの実例と、ダメな理由を解説。あわせて、応募者の緊張をほぐす質問例もご紹介しますので、面接時の参考にしてください。
そもそも面接にアイスブレイクって必要?その目的とは
「アイスブレイク」とは、その場の硬い雰囲気や参加者の緊張感などを「アイス(氷)」に例え、それを「ブレイク(ほぐす、壊す)」するという意味のコミュニケーション手法。採用面接でのアイスブレイクには、面接会場の雰囲気を和ませ、応募者を話しやすくする目的があります。
アイスブレイクは必ずしも必要ではありませんが、面接の場づくりのために取り入れている企業も多いです。しかし、不適切なアイスブレイクは逆効果となり、応募者をさらに緊張させてしまうかもしれません。面接の前に、避けるべき質問をしっかりと把握しておくことが大切です。
アイスブレイクでそれを聞いちゃダメ!NG集とその理由
では、どのような質問がNGなのでしょうか?避けるべき質問例とその理由をご紹介します。
本籍や出生地に関する質問
- 【NG例】
「今のお住まいは◯◯なんですね。生まれた場所も同じですか?」
「◯◯出身の方って△△なイメージがありますけど、あなたは当てはまりますか?」
応募者の能力や適性と無関係な質問は基本的にNGです。厚生労働省が示しているガイドライン「公正な採用選考の基本」では、本籍や出生地を問うことは就職差別につながるおそれがあるとしています。
履歴書を参考にしながら、現在の居住地について話題にする程度ならOKですが、書類に記載されていないことを質問するのは避けましょう。
恋愛、結婚、出産に関わる質問
- 【NG例】
「恋人はいますか?」
「ご結婚なさる予定はありますか?」
「お子さんのご予定はありますか?」
プライベートに関する質問は、本人が開示しない限りすべきではありません。特に女性に対して上記の質問をすることは、男女雇用機会均等法に抵触したり、ハラスメントと捉えられたりするおそれがあります。
家族に関する質問
- 【NG例】
「親御さんはどのようなお仕事をされていますか?」
「祖父母の方々はご一緒にお住まいですか?ご家族の介護は必要な状況ですか?」
家庭の背景や社会的地位を探るような質問は、応募者に階層的な評価をされていると感じさせ、不安を与えてしまいます。
健康状態に関する質問
- 【NG例】
「最近の体調はどうですか?」
「定期的に通院されている持病はありますか?」
一見気遣いと思える質問でも、医療情報は極めてプライベートな質問です。健康状態を詳しく尋ねることは、応募者のプライバシーを侵害するおそれがあります。
政治や宗教に関わる質問
- 【NG例】
「最近の政権についてどう思いますか?」
「尊敬する人物や宗教的な信条はありますか?」
政治や宗教に関する質問も、「公正な採用選考の基本」では本来自由であるべき事項とされています。個人の自由な思想・信条に関わるものは質問するべきではありません。
思想に関わる質問
- 【NG例】
「普段はどのような本を読みますか?」
「尊敬する人物はいますか?」
これらの質問も個人の思想の自由に関わる質問です。応募者の思想を推測しようとする意図があると捉えられる可能性があるため、避けましょう。
他社の選考に関わる質問
- 【NG例】
「他社の選考状況はいかがですか?」
「ほかの会社からすでに採用通知を受け取っていますか?」
これらはアイスブレイクではなく、選考に関わる質問です。応募者に不安を抱かせるだけではなく、逆にプレッシャーを与えかねません。
ネガティブなニュースに関する質問
- 【NG例】
「◯◯県といえば昨年大きな災害がありましたね。あなたやご家族は大丈夫でしたか?」
「このごろは◯◯病がはやっていますね。あなたはどう思いますか?」
ポジティブな話題なら問題ありませんが、感染症や災害などのネガティブな話題は、応募者本人や身内の方が罹患・被災している可能性があり、傷つけてしまうおそれがあるので避けたほうがよいでしょう。
はい/いいえでしか答えられない質問
- 【NG例】
「緊張していますか?」
「この会社が第一志望ですか?」
はい/いいえでしか答えられない「クローズドクエスチョン」は会話を広げられず、むしろ応募者の緊張を高めてしまう可能性があります。「何が」「なぜ」「どのように」で始まる「オープンクエスチョン」を心がけましょう。
ただし、まずは答えやすいクローズドクエスチョンから始め、より具体的な内容をヒアリングするためにオープンクエスチョンにシフトしていく方法が有効な場合もあります。臨機応変に、質問の内容をアレンジしましょう。
NGを避けたアイスブレイクのトーク例
ここまでご紹介したNG例を避けた、アイスブレイクでよく使われているトーク例をご紹介します。

最近のできごとや面接官との共通点
天気、季節の話題、最近のできごと(ただし意見が分かれにくいもの)などは、誰もが共感しやすい話題です。
また、事前に履歴書を提出してもらっている場合は、趣味や特技など、履歴書の内容に触れるのもよいでしょう。その中に面接官と共通の話題があれば、話を展開できます。こちらから自己開示することで応募者も話しやすくなり、自然とリラックスできるでしょう。
- 【質問例】
「最近は桜が見ごろですね。◯◯さんのお気に入りのお花見スポットはありますか?」
「先日開催されたオリンピックはメダルラッシュでしたね。◯◯さんが興味を持った競技は何ですか?」
「履歴書を拝見したところ、出身地が△△とありますね。私も以前住んでいたことがあるんですよ。あのあたりで、◯◯さんがよく出かける場所はどこですか?」
休日の過ごし方
最近のできごとや趣味と同様、休日の過ごし方に関する質問もアイスブレイクにおすすめです。応募者のライフスタイルを垣間見ることができ、親近感が生まれるきっかけにもなります。
通常の土日以外にも、ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始といった長期休暇が近い時期であれば、休日の予定やどのように過ごしたかを聞いてみるのもよいでしょう。
- 【質問例】
「◯◯さんは普段、お休みの日はどのように過ごされているんですか?楽しみにしていることやリフレッシュする方法があれば教えてください」
「先日の年末年始は、家族と△△県へ温泉旅行へ行っていました。◯◯さんはどのように過ごしましたか?」
GOOD&NEW
集団面接やグループディスカッションの際に適したアイスブレイクネタが「GOOD&NEW(グッドアンドニュー)」です。最近あった、よかったこと・嬉しかったことや新しい発見を、1人ずつ発表してもらいます。ポジティブな話をすることで、明るい雰囲気をつくりやすくなるでしょう。
また、面接官が先に自身のGOOD&NEWを共有することで、よりオープンなコミュニケーションを促すことができます。
- 【質問例】
「最近何か『GOOD』だったこと、または『NEW』な発見はありましたか?どんな小さなことでも構いませんので、お一人ずつ発表してください」
「例えば私の場合だと、最近自動調理器を買いました。食事の準備時間が減って、その分ゆっくり読書ができるようになりました!このようなイメージで簡単に話していただければと思います」
なお、より多くのテーマとトーク例を記載した資料は、下部より無料ダウンロードできます。ぜひ最後までご覧ください。
面接前に押さえておきたい、アイスブレイクを成功させるコツ
ここまで、面接本番前のアイスブレイクが、応募者・企業側双方にとって重要であることをお伝えしてきました。最後に、その効果を最大限に高めるためのコツを4つご紹介します。

コツ1:アイスブレイクの時間配分を決めておく
面接全体の時間配分は、あらかじめ決めておきましょう。全体の時間から、アイスブレイクにどのくらい時間をかけるかを決めます。
目安としては、長くとも面接時間の5~10%程度を想定するとよいでしょう。面接時間が30分ならアイスブレイクは2~3分ほど、60分であればアイスブレイクは3~6分ほどが目安となります。
ただし、時間はあくまで目安です。アイスブレイクは応募者の緊張をほぐすことが目的のため、そのときの応募者の状況に合わせて質問の個数や時間を調整しましょう。
コツ2:面接官から自己開示する
アイスブレイクは、面接でのコミュニケーションの第一歩。緊張している応募者へ一方的に質問を投げかけるだけでなく、面接官が簡単な自己紹介や最近のできごとを積極的に話すことで、応募者も心を開きやすくなります。
ただし、上で述べたようにアイスブレイクの時間は限られているため、あまり自分語りが長くなりすぎないよう注意しましょう。あくまでアイスブレイクの一環として、短めに、かつ親しみやすい雰囲気づくりに役立つ範囲で自己開示するのがポイントです。
コツ3:アイスブレイクが面接の結果に関わらないことを伝える
アイスブレイクに入る前に、面接前の質疑応答は面接の合否に影響しないことを応募者に伝えておきましょう。
応募者からすると、アイスブレイクでの質問も「面接の結果に響くのでは」と警戒してしまう可能性があります。
そのため、はじめに面接官から「アイスブレイクは選考にまったく影響ありませんので、気軽にお話ししてくださいね」といった言葉を最初に軽く付け足します。そうすることで、応募者もリラックスしてコミュニケーションが取れるでしょう。
コツ4:事前にシミュレーションをしておく
アイスブレイクを成功させるためには、事前にシミュレーションをしておくことが大切です。質問をいくつか決めておけば、先ほどご紹介したNGの質問をしてしまうトラブルも回避できます。
面接本番前に、面接官同士でアイスブレイクを含めてシミュレーションしておきましょう。時間が許せば、面接官役と応募者役に分かれてロールプレイングをしておくとより安心です。
以下のリンクから、面接時に手元で参考にできる質問例を無料でダウンロードできます。上述したNG例もあわせてリスト化していますので、ぜひ面接時にお役立てください。
【無料ダウンロード】面接官のためのアイスブレイク質問例
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まとめ
面接冒頭のアイスブレイクは、応募者の緊張を和らげるために重要ですが、不適切な質問はむしろ逆効果になりかねません。今回ご紹介したNG例を避けつつ、応募者がリラックスして会話に臨めるよう、質問をいくつか準備しておきましょう。アイスブレイクを成功させるためには、事前の共有やシミュレーションが大切なポイント。ぜひダウンロードした資料を手元に置き、適切なアイスブレイクから面接へとつなげてください。
(企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社mojiwows)
面接官のためのアイスブレイク質問例(ポイント・NG例付)
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