なぜOJTは失敗する? 「人によって言うことが違う」問題を防ぐ効果的な教え方とは【パーソル研究所調査】

パーソルキャリア株式会社

パーソル総合研究所は、過去3年以内にOJTを経験した20~59歳の正規雇用の就業者4,000人を対象に、「OJTに関する定量調査」を実施。OJTにおける課題が浮き彫りになったほか、OJTにおける効果的な教え方が明らかになりました。

現代のOJTにおける課題

新人側、教える側の双方が最も大きな課題として挙げたのが、「人によって指示や教える内容が異なっている」でした。また、中途では新人側、教える側双方で「マニュアルや書類・業務ツールがそろっていない」ことも多く挙げられており、OJTの属人化、非体系化が大きな負担になっていることがうかがえます。

新人側のOJTの課題感(複数回答)

一方で、教える側も大きな環境変化に直面しています。過去と比較して、「ハラスメントに気を付けなければいけなくなった」と回答した人は68.0%にのぼり、加えて「効率よく教えなければいけなくなった」(59.0%)、「新人に教える人が少なくなった」(53.1%)といったプレッシャーも強く感じているようです。

教える側のPJTの課題感(複数回答)

このようなOJTの属人化、ハラスメントへの懸念や教える側のリソース不足といった課題は、OJT全体の難易度を高めています。その結果、新人のパフォーマンス向上や組織、仕事、文化への適応などの組織社会に対して、悪影響を及ぼしていることが確認されました。

新人の成長を促進する、効果的な教え方

では、どのような指導が新人の成長に効果的につながるのでしょうか。本調査では、新人のパフォーマンス向上にプラスの影響を与える、具体的な4つの行動が明らかになりました。

(1)勇気づける:仕事ぶりをほめたり励ましたりする
(2)位置づける:担当業務が組織全体の中で持つ意味や役割を理解させる
(3)跡づける:短期、中期、長期と段階的な目標を設定し、進捗を確認しながら進める
(4)振り返る:行動や結果に対し、具体的な良い点と改善点を伝える(新卒に有効)

新人のパフォーマンスに影響するOJTにおける教え方

さらに、新人のエンゲージメントを高めるうえでは、社内のさまざまな人材を積極的に紹介する「出会わせる」行動が重要であることがわかりました。実際に、複数人から教わるほど、新人のパフォーマンスや組織社会化が促進されるというプラスの関連が見られます。

OJTのネットワーク効果

ただし、教わるネットワークが広がることには注意点も存在します。教わる人が多いほど、OJT最大の課題である「人によって指示や教える内容が異なる」課題が顕在化し、新人が混乱する「OJT迷子」の状態に陥るリスクが高まります。このようなOJTの散逸化を防ぐための施策として、「ソトの視点」を取り入れること、新人同士のチーム編成、新人向けアンケートやサーベイの共有、スキルを全体の中に「位置づける」教え方などが有効であることが示されました。

以上の結果から、現代のOJTは、指導者個人の努力に依存するのではなく、組織として体系的な育成の仕組みを構築することが不可欠であるといえます。

【おすすめ記事】
入社直後に転職サイトに登録した新社会人が過去最多に。「賃上げラッシュ」が転職期待を後押しか
20代は「給与」、30代は「労働時間」 年代別で見る最新「転職理由」ランキング【doda調査】
新人教育の目的とポイントとは?現場で活躍できる人材を育てるコツ

筆者/モリタアヤリ