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仲間の存在は、組織の枠を超える。「ALIVE」が考える、これからのリーダーシップ

PROFILE

一般社団法ALIVE

代表理事 庄司 弥寿彦

1995年サントリー株式会社入社。人事課長時に、ALIVEの前身となる次世代リーダー研修「モルツ・プロジェクト」を企画。2017年ALIVEを発起人として立ち上げ、駐在中のNYから参画。2018年4月サントリーを退社しALIVEの代表理事に就任。5月、社会課題解決などのプロジェクトマネジメントの受け皿として合同会社CONNECTIVE創立。2019年5月、ダイバーシティについてのアカデミアの知見と企業のニーズをつなぐ、一般社団法人組織変革のためのダイバーシティ(OTD)普及協会を設立し、代表理事に就任。

企業の一員として働くだけではなく、個人が存在感を持ちながら働く重要性が高まっている現代。企業の枠組みを超えて、個人同士がつながりプロジェクトを進める場面もよく見られるようになりました。

多様性が受け入れられる一方で、多様性のある集団をまとめるリーダーシップは、日本人がこれまでスタンダードと考えてきたそれとは少し違った意味を持ちます。

本記事でお話を伺った「ALIVE」では、異業種混合型リーダーシップ開発プログラムを展開しています。今回は、今後のビジネスマンに必要となる視点や素質に注目しながら、「ALIVE」の活動内容について詳しく伺いました。

4つのセッションとリフレクションで構成されたプログラム

「ALIVE」ではさまざまなビジネスパーソンを集めて、リーダーシップの育成を行っていらっしゃいますよね。プロジェクトの具体的な内容を伺いたいです。

4つのセッションとリフレクションで構成されたプログラム

庄司氏:「ALIVE」は“社会的団体の想いに、ビジネスのリソースをつなげ企業人・企業・世の中に変化を巻き起こしたい”と考え運営しているプロジェクトです。企業内の次世代リーダーのリーダーシップ育成の側面と、企業のリソースを活用した社会課題の解決にフォーカスを当てています。

社会課題の解決、というと?

庄司氏:たとえば、「レストランで補助犬の同伴拒否をゼロにするにはどうしたら良いか」や「山形県のとある村のにぎわいをどう取り戻すか」、「芸術関連団体が持続していくためにはどんな新規ビジネスが必要か」などがあります。ヒト・モノ・カネのリソースは十分ではないが、強い想いをもとに社会の課題に立ち向かっている、そういった方々を「答申先」として、プロジェクトにお呼びしています。

プログラム自体はどのように行われているのでしょうか。

庄司氏:一回あたり、ビジネスパーソン約60名を集めて開催しています。4〜5名ずつ15チームにわかれてもらい、上記のような社会課題解決に向けたプレゼンをつくっていくのです。期間は全体で3カ月。その間に4つのセッションを設けて、最終プレゼンに向けた提案をまとめていきます。また、各チームにはフィードバックを担うサポーターも置いています。

プログラム

(ALIVE提供写真)
4つのセッションはどういった流れで進めているのでしょう。

庄司氏:セッション1では解決するべきテーマの共有、セッション2は「課題」と「解決の方向性」をショートプレゼン形式で発表。その後、セッション3でさらに提案内容をブラッシュアップした中間プレゼン、さらにセッション4にて最終プレゼンと評価発表などを行います。なお各セッション内では、周囲からのフィードバックも含めたリフレクションで、一人ひとりが自分のリーダーシップやチームとの関係性を見つめ直す時間を設けることを大切にしています。

リフレクションを取り入れることで、参加者の行動や言動などに変化は見られますか?

庄司氏:そうですね。自分自身の強みと弱みを理解し、リーダーとしてどの部分を伸ばしていきたいのかも見えてきます。また副次的には、各参加企業の人事担当が中心となって構成される事務局メンバーも、そのような参加者の変化を目の当たりにして、人の変化や成長について考えさせられます。一例としては、こういうことがありました。以前の参加者の中でおひとり、なかなかプロジェクトに取り組む熱量が見えにくい方がいました。非常に優秀で、必要なことは効率的に取り組むけれど、ところどころで「本業が忙しくて…」と一線引いてしまうような方で。基本的に参加者の皆さんはほぼ全員が、答申先の真摯な想いに触れることで熱量が上がっていく様子がわかるのですが、その方については当初「モチベーションがもとから低く冷めているのだろうな、変化もなかなか出にくいだろうな」と思っていました。しかし、最終プレゼンのあとのリフレクション、さらにその終盤で彼の変化が見えてきたのです。

リフレクション

他のチームメンバーからの心のこもったフィードバックを受け取ったとき、それまで熱量を感じなかった彼の言葉にいきなり感情が込もり、この期間の彼の変化があふれだしたかのように自分の考え、悩み、困りごとを話してくれました。期間中彼の言動を静かに注視していた事務局メンバーも、まったく予想していなかった変化でしたね。どんなタイミングでリフレクションが活きてくるのかは人によって違うだろうとは思っていましたが、継続し積み上げることで、それぞれのタイミングで徐々に内面の変化が芽生え、自分をしっかりと見つめ直すきっかけになると実感したエピソードです。

「当たり前」が当たり前ではないことを知るために、プロジェクトが立ち上がった

そもそもの話に戻りますが、庄司さんはどういった経緯で「ALIVE」を立ち上げられたのでしょうか。

庄司氏:根本をたどると、2013年、私の前職であるサントリー時代までさかのぼります。それまで私はマーケティングや事業開発を担当しており人事には縁もゆかりもなかったのですが、サントリー食品インターナショナルのグローバル化推進の中で立ち上がった、グローバル人事グループのマネージャーに就任しました。当初は「KEY(京橋・英語・やってみなはれ)プロジェクト」など英語強化メニューの導入を担当していたのですが、そのうち、グローバル化には語学に加え多様性の中でのリーダーシップが必要だという認識が高まっていきました。そして2016年に「ALIVE」の前身である「モルツ・プロジェクト」を立ち上げたのが、今につながるきっかけですね。サントリーからの選抜メンバーが20名いたので、彼らをマイノリティにするために、他社から40名の参加者を集め、現在と同様60名ほどのメンバーを集めてプログラムを開催しました。

自社のメンバーがマイノリティになるメンバー構成なのですね。

庄司氏:そうです。いつもの当たり前が通じない環境でもリーダーシップを発揮できるような人材を育成したいと考えていたので、サントリーが主催であっても他社から倍の人数お呼びして、サントリーのルールが通用しないようにしました。

どうしてマイノリティだとリーダーシップが発揮しづらいのでしょう。

庄司氏:一般的には自分の当たり前が通じる環境の方が、何をやるにしてもやりやすいですよね。リーダーシップを発揮してまとめていくとなると、自分の土俵の方が尚更やりやすい。ここには、日本人らしさも関係してくると思います。日本人は、昔から同質民族とされています。いわば、言葉では伝えない「察する」文化が育っている。マジョリティが言葉に出さないことを当たり前としているため、マイノリティは意見を言うことすらできないケースが多いです。そして、その同調圧力は正義にすらなっています。

リーダーシップの発揮

庄司さんはなぜ、そんな状況を変えたいと思うようになったのでしょうか。大企業の中にいると当たり前が浸透するあまりに、課題を気づきにくいようにも感じます。

庄司氏:もともとは自分自身も極めてドメスティックな人間で、英語が話したくないからサントリーに入ったという人間でした。しかし、とあるセミナーを受けたことで、「自分はグローバルでも活躍したい」と本気で考え、そこから毎日コツコツと努力を重ねていったのです。英語が話せるようになってきたことと、サントリーのグローバル化の加速が影響したこともあって、外国人との会議に参加する機会も増えてきました。その際、日本人と外国人とで、会議の進め方があまりにも違うことを実感して。たとえば、外国人のメンバーは「違う」と感じると、その場の空気に関係なく「自分の意見は違う」とはっきり言うのです。どちらが良い悪いではありませんが、日本人のあり方とは違うことを強く感じ、今まで自分自身が当たり前だと感じていた意見の出し方やリーダーシップについても、他のやり方があることを常に意識するようになりました。

そして、これからの時代、日本・外国に関わらずいろんな多様性を受け入れることが当然になっていく中で、自分の当たり前だけを真だと考えてしまうと周囲に影響を与えるリーダーシップは発揮できないとも思うようになったのです。

人の想いが人を動かす。「ALIVE」が目指す、次世代のリーダー育成

「ALIVE」の取り組みを伺っていると、リーダーシップは管理職のみならず、ビジネスパーソンならば誰もが持つべきスキルのようにも感じます。その上で考えられる、今後の社会に必要なリーダー像とは、どのようなものなのでしょうか。

庄司氏:想いを持って、自分の当たり前に安住せず、リスクをとって飛び込んでいける人物なのではないかと考えています。リーダーシップの必要性は、今大企業でこそ次々と語られていますよね。

というのも一見、大企業では多くの人が安心安全な環境で働いているように見えますが、その分一個人が及ぼす影響の範囲が小さいようにも見えますよね。自分の発言や行動が、直接消費者に届く実感もあまりないかもしれません。そのため、旗を立てて想いを届けようと考える人が減ってしまっているのかなと感じます。

しかし、ダイバーシティが謳われる今だからこそ、自ら声を挙げる力は誰しも必要です。今は、そのためのサポートを「ALIVE」を通してできたらと思っています。

サポートする

(ALIVE提供写真)
想いありきで旗を立てられることが、今後のリーダーに求められていくのですね。

庄司氏:そう思っています。「ALIVE」に参加する方は、各企業のエース人材であるケースがほとんど。誰と話していても、本当に優秀だと感じます。そして、そんな彼ら彼女らはひょっとすると会社内で認められている分、新たなことに挑戦する必要性をあまり感じていないかもしれません。そんな彼ら彼女らの想いがALIVEの中で迸るのは「答申先の人たちのために」と強く思えた瞬間です。自分では決して突っ込んでいかないような、そんな厳しいハードルに自ら飛び込んでいく答申先の人の想いに打たれたときに、彼ら彼女らもリーダーとして一緒に飛び込んでいくのです。

とくに大企業では、声を上げることそのものがハードルになりますよね。

庄司氏:そうですね。大企業は今まで勝ち続けてきた分、強固なシステムができあがっています。それは失敗が少なく安全である反面、新たに声を上げることに対してのハードルにもなり得る。社内で新たに声を上げて挑戦することは、バンジージャンプのようなものだと思うんです。遠くから見ると楽に飛べそうな高さでも、いざジャンプ台に立ってみると怖くなりますよね。危険がないとわかっていても、命綱があって絶対安全だとわかっていても、なかなか一歩を踏み出せない。会社内でも同じことがよく起こっているんじゃないかと思っています。未知のことに踏み出す時、絶対安全だと知っていても恐怖を感じて、ジャンプ台を降りてしまうケースは多いと思うんですよ。新しい試みをしたいと思っても、恐怖を感じた時に、恐怖で立ちすくむ自分を認めるのが嫌で、その気持ちごとなかったことにしてジャンプ台を降りてしまう。それが会社の中で積み重なった結果、いつの間にか「飛びたい」と思ったその想い自体を芽の段階で摘んでしまって、ジャンプ台に立つことをあきらめてしまってはいないか、と。

自分自身にもそんなことはよくあります。私が大切にしていることは2つです。1つ目は、「怖い」と思った自分をきちんと認めてあげること。高所恐怖症の自分は実際のジャンプ台には決して立ちたくないですが、その弱さを持った自分がジャンプ台に立ちたいと思うこと自体がすばらしいことだと考えるようにしています。そして2つ目は、仲間と一緒に取り組むこと。自分が怖いと思ったことでも、他の人はその点に関しては怖さを感じにくいかもしれません。自分が飛び降りるのが怖いなら、それを怖いと思わない仲間と協力すれば良い。自分の得意な“高さ”で貢献すれば良い。それにひょっとしたら、仲間の声援によって強い自分になることができるかもしれない。

ALIVE立ち上げ時のコアな運営メンバー自体もそんなつながりだと思っていますし、運営を担ってきてくれた各社の人事担当とも、みんなの得意分野のジャンプを組み合わせて、ここまで来ました。ALIVEには、いま年間にして180名が参加しています。それぞれの企業人の間でこのようなつながりを生み出せるなら、今後も「ALIVE」の価値はあり続けるし、重要性はより増していくと思っています。

リーダー論

【取材後記】

「今後を担うビジネスパーソンに必要な素質とは、一体なんだろう」

取材前、そんなことをふと考えました。英語力、コミュニケーション力、個性、いろいろな言葉が頭をよぎりましたが、今回庄司さんから伺った「想い」については、正直なところ想像もつきませんでした。

昭和が平成に、平成が令和にと、時代は常に前へと進みます。ただし、人のあり方が急激に変わることは、実はそうないのかもしれません。人の強い想いが、人を動かしていく。シンプルな連鎖に、胸を打たれた取材の時間でした。

(取材・文/鈴木 しの、撮影/黒羽 政士、編集/檜垣 優香(プレスラボ)・齋藤 裕美子)

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