人事の孤独を解消する。他社の成功事例やノウハウを共有し合う【doda人事交流会】

d's JOURNAL
編集部

空前の売り手市場と言われる昨今、企業が求める人材を採用するために、人事・採用担当者は常に試行錯誤を続けています。経営課題や求職者のニーズも多様化する中で、どうすれば採用がうまくいくのか、採用に成功している他社の取り組みを知りたいという人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。そこで、パーソルキャリア株式会社では2019年9月10日(火)、第二回『doda人事交流会 ~他社の採用成功法とは~』を開催しました。今回は、その様子の一部をご紹介します。

※第一回のレポートはこちら:『人事同士の交流を通じ採用力の向上へ。6社の事例共有も行われたdoda人事交流会

doda主催の『人事交流会』とは?

doda人事交流会とは、【採用の取り組みや成功事例を学び、共有することで、自社の採用力を高める】ことを目的としたイベントです。「採用担当者が1名で、ノウハウもマンパワーもない」「同業他社はどのように採用しているのか、なかなか情報が入ってこない」「現状の採用手法では頭打ちなので新たなことに取り組みたいが、対策が思いつかない」など、人事・採用担当者は様々な悩みを抱えているもの。そこで、「新たな採用手法や新しい情報との出会いにつながる、人事・採用担当者同士の情報交換の場」として人事交流会が開催されました。当日は人事担当者から現場担当者、経営者まで78名の幅広い役職の方々が参加されました。

来場者傾向

役職者別

役職者別

従業員規模

役職

当日は求人広告、ダイレクト・ソーシング、転職フェアなどさまざま採用手法で採用に成功している6社が登壇。どのようにして成功に至ったのか、運用体制や社内連携の方法など、各社独自のノウハウや手法を発表していただきました。

ダイレクト・ソーシング事例:株式会社フォーエス 田中氏

ダイレクト・ソーシング事例:株式会社フォーエス 田中氏

課題:

当社はIT企業で、社員の約8割がエンジニアです。IT業界はここ数年、深刻な人材不足に陥っております。当社はこれまで求人広告を中心に採用活動を行っていましたが、それだけでは必要な人材確保ができなくなっていました。また、人事・採用担当は私一人で、他の業務も兼務しています。さらに時短勤務ということから、採用にかけられるマンパワーにも限界がありました。何か新たな採用手法がないかと考えていたのです。

解決策:

その際、doda担当者に提案していただいたのが、doda ダイレクトというダイレクト・ソーシングサービスでした。導入に踏み切った理由は、まず当社がターゲットとするエンジニアの登録者数が多い点。そして、まだ転職意向が上がっていない潜在層に対してもアプローチできる点でした。

doda ダイレクトで短期間のうちに効果を得るために、いくつかの工夫をしました。その1つは、返信率の高いメールテンプレートの作成です。ダイレクト・ソーシングというと、一般的には一人ひとりに合ったメールを作成することが、返信率を高めるこつだと言われています。しかし当社のマンパワーは限られていて、工数を割くことができません。そこで、ターゲットを3つの年齢層に分け、それぞれに訴求ポイントを変えたテンプレートを作成しました。A/Bテストを繰り返しながら、より良い文面案へと検証していきました。
次に、ターゲットの志向性に合わせて、求人票も3つ用意。先ほどお話しした年齢別のメールテンプレートと合わせ、「ターゲットの年齢×志向性」と組み合わせを変更して送るようにしました。

また、現場エンジニアとの信頼関係やスムーズな連携も、採用成果を出すために重要なポイントです。日ごろからコミュニケーションをまめに取り、現場の仕事についてわからないことがあれば、すぐに聞くようにしています。エンジニアから聞いた情報はもちろん、自分でもIT業界の動向をキャッチアップして、求人票やメールテンプレート、面談時の話題に取り入れるように意識しました。

成果:

その結果、マネジメント・スペシャリスト双方で、意欲の高い人材を採用することができました。さらに、ハイスキルの潜在層へのアプローチにも成功しています。正直、導入時には時間がかかっていましたが、慣れてくると判断も早くなります。現在では、面接時間含めて週10時間程度で採用業務を回せるようになりました。そして何より、費用対効果が高かったことも満足している理由ですね。

株式会社フォーエス
事例紹介記事

ダイレクト・ソーシング事例:DOTワールド株式会社 亀山氏

ダイレクト・ソーシング事例:DOTワールド株式会社 亀山氏

課題:

当社は、医薬品を開発するときに行う治験業務(臨床試験)を、製薬会社から受託して行うCRO(Contract Research Organization)と呼ばれる企業です。CROには、治験が適切に行われているかどうかをモニタリングする臨床開発モニターという職種が不可欠ですが、経験者の採用は容易ではありません。特に当社が求めていたのは、「10年程度の経験豊富なリーダークラス」。最初は求人広告に特化して大手求人サイトに何度も掲載したのですが、ターゲットからの応募はありませんでした。次に人材紹介サービスを利用したのですが、なかなか求める人材を推薦いただけない。なぜなら当社が求める経験者は、CROよりも製薬メーカーへの転職を望む方が大半だから。そのため、採用はかなり難航しておりました。

解決策:

そこで「こちらからアプローチをかけよう」と、doda ダイレクトを利用することにしました。工夫したのは「ターゲットを絞り込んで」スカウトメールを「複数回送る」ことでした。採用できない状況が続くと、「経験者なら誰でもいいか」「未経験者も視野にいれるか」と、採用要件をどんどん緩和していきがちです。しかし当社はあえて条件を落とさず、勇気を持って「経験豊富なリーダー層」だけを狙っていきました。結果的に、メールを送ることができるターゲットはたったの40名でした。

しかし、無理に要件を下げることもできません。そのためこの40名に集中して、多い方には5~6通のスカウトメールを送りました。もちろん同じ文面ではなく、1通目は当社を認識していただける文面からスタート。そこから徐々に興味を深めていただけるように、業務内容や福利厚生、働き方など内容に工夫を凝らしました。そして、転職希望者の「応募したい!」というタイミングを逃さぬよう、定期的に配信を行っていったのです。

成果:

すると、これまでは決して出会うことがなかった、実務経験10年以上かつリーダー経験者からの応募がありました。応募者の中には、当社が求める「主体性がある方」が多かったですね。結果的に、2カ月間でリーダークラスの経験者を2名採用という成果を出すことができたのです。以前は、経験者1名を採用するのもやっとだった当社にとって、この結果はかなり大きなインパクトがありましたね。

本当に欲しい人材を採用するには、タイミングが大切だと思います。求職者の方も、一人ひとり転職に対するボルテージが上がる時期・下がる時期があるでしょう。「その時」を逃さずアプローチできるように、これからも戦略的にダイレクト・ソーシングを活用し、採用成功につなげていきたいです。

DOTワールド株式会社
事例紹介記事

転職フェア事例:株式会社K-pro 髙田氏

転職フェア事例:株式会社K-pro 髙田氏

課題:

私たちの課題は「いかに採用活動を効率的に進めることができるか」。というのも当社は17名の組織で、採用専任担当者がおりません。当社はイベント・展示会やセールスプロモーションの企画・運営を行っていますが、社員はほぼ全員現場に入っています。つまり採用活動にかける時間を捻出することが難しい状態なのです。また小さい会社であるが故に、既存手法では当社の魅力が伝わりにくく、差別化が図れないことから、思うように採用が進んでいませんでした。

解決策:

当社の魅力をいち早く伝えるためには、求職者の方々と直接コミュニケーションを取れる転職フェアが良いと考え、出展を決めました。そしてセールスプロモーション企業の強みを活かし、フェア当日の人員配置や動き、話す内容までしっかり計画するなど、事前準備に力を入れたのです。

特に気を付けていたのは、相手の都合も考えて、フェア中の面談に時間をかけ過ぎないこと。ブースでは「なぜ転職したいのか」「今までどんな気持ちで働いてきたか」など、相手の悩みや思いをしっかり聞いた上で情報をお伝えすることを心掛けていました。同時に、自社の状況を包み隠さず正直に伝えることも大切なポイントです。当社はベンチャー企業で、他社と比較すると制度や環境が整っていません。そうしたマイナス面を隠さず、誠意をもって説明していました。また、あえて転職フェアの場だけで全てを伝えないようにも意識していました。「少し話し足りないな」「もっと知りたいな」と思ってもらった方が、面接につながると考えたためです。

成果:

1回目の転職フェアで、4名を採用することができました。実は、その中の1人が私です(笑)。着席数は約100名で、そのうち36名の方に最終面接のご予約をいただきました。また、転職フェア当日に面接のご予約をいただけなくても、魅力的だと感じた方には後日個別でアプローチをして、後追いで面接設定を行いました。地道な努力の結果、半年間でトータル8名の採用に成功したのです。

転職フェアの良い点は、やはり直接コミュニケーションを取れることではないでしょうか。面談の時も私が社長をいじりながら和気あいあいと話をしていることが多いのですが、そういうフラットな雰囲気を直接伝えられるのは魅力ですね。それに当社は書類上の条件よりもコミュニケーション力を重視して採用を行いますから、履歴書では見えない求職者の姿がわかる転職フェアは、当社にとって非常に効率の良い採用手法だと思います。

株式会社K-pro
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転職フェア、求人広告事例:株式会社トライ・インターナショナル 中川氏

転職フェア、求人広告事例:株式会社トライ・インターナショナル 中川氏

課題:

「麺場 田所商店」という味噌らーめん専門店の経営を主体として、現在日本国内に110店舗、海外に16店舗の展開を行っています(2019年9月時点)。国内・海外ともに拡大路線で、採用に積極的に取り組んでいますが、店舗運営業務にかかわる採用に苦戦を強いられていました。その主な理由として、外食産業への転職希望者が少ないこと。そして選考期間が3~4週間と長く、選考途中の離脱が多かったことです。また、即戦力採用のために人材紹介サービスを多用することによる、採用単価の高騰も課題でした。

解決策:

当社では求人広告と転職フェアの2つの手法に絞って採用活動を行いました。まず求人広告ですが、外食業界の採用は厳しいため、店舗運営募集では、応募意欲を高めるキーワードが必要だと考えていました。そんな時dodaの担当者から「飲食業界にいる人材は、“海外志向が強い”傾向にある」と聞き、「英語が話せなくても、味噌らーめんで海外へ」というキャッチコピーを作成、展開しました。まさに当社の戦略や方向性とも重なり、会社としての強いメッセージになったと満足しています。

転職フェアに関しては、1日の平均着席数を50に設定しました。そうなると1時間当たりの目標着席数は8人以上、単純計算で1人にかける面談時間は7分ほど。なかなかタイトですね(笑)。そこで、待ち時間に記入してもらう「事前アンケート」を配布しました。それを基に面談をすれば短いやりとりで相手のことを深く理解することが可能です。また、「この人に来て欲しい」と思ったら、オリジナルで作成した面接確約カードをお渡しし、「あなたにはぜひ応募していただきたい」という特別感を演出しました。その他、サービスの利用と並行して、採用フローの短縮化、多様な働き方への対応、評価制度の見直しなどの施策も実施。そして労働環境を改善していることも、求人広告、転職フェアでアピールしました。

成果:

求人広告では70名ほどの応募がありました。転職フェアでは、2日間で目標を超える140名に着席していただきました。その中で「面接確約カード」をお渡しした方の8割以上と面接設定することができました。その結果、店舗運営スタッフ8名を含む、11名の採用に成功し、入社へとつながっています。

また、必要な時にその都度募集することをやめ、時期を集中して採用活動を行ったところ、対前年比で40%の採用コストを削減できました。さらに、求職者に寄り添う対応を心掛けたことで、内定承諾率が向上したのも大きいですね。飲食業界でも採用できると自信が付いた取り組みだったと思います。

株式会社トライ・インターナショナル
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求人広告事例:株式会社総合設計 服部氏

求人広告事例:株式会社総合設計 服部氏

課題:

水道施設の設計を中心に行う当社では、設計技術者の採用に大苦戦していました。その背景には、2つの理由があります。ひとつは、業界全体の高齢化による人材不足。業界全体の平均年齢が上がってきていると同時に、設計技術者を目指す若手も年々減少しています。もう1つの理由は、東京オリンピック開催に向けた需要アップ。ただでさえ少ない設計技術者の採用争奪戦がさらに激化し、まさに“採用戦国時代”ともいえる大変厳しい状況になっているのです。

解決策:

当社はこれまで、人材紹介サービスで年間3~4名の設計技術者を紹介していただいておりました。しかし、前述の状況からいよいよ間に合わないと考え、求人広告も利用することにしたのです。

求人広告では、当社の魅力を正しく伝える工夫を凝らしました。設計技術者には「残業が多い」というイメージがありますが、実は当社には色んな希望を持った人が活躍できるフィールドがあります。育児のために出退勤の時間をずらしている男性社員や、育児休暇を取得中の女性管理職もいる。意欲ある人材には難度の高いプロジェクトへのアサインなど、会社としてスキルアップを支援している。つまり、「ブラック」でも「ホワイト」でもなく、一人ひとり違う「カラフル」な働き方ができるんです。そこで、ライフスタイルや個性に合わせて働ける「カラフル企業宣言」をアピールしました。

また、選考においても工夫を凝らしました。1つは「面接フィードバックシート」です。これは、面接で感じた候補者の長所や期待、入社後のキャリアプランを具体的に、そして正直に記載したシートです。面接担当者にコメントをもらって、内定通知と一緒にお渡ししています。当社のような、まだまだ認知率の低い企業では応募の初期段階で第一志望として応募いただける候補者の方はなかなかいません。そんな方々に、どの企業よりも人に真剣に向き合う当社の姿勢を伝えています。そしてもう1つが、選考フローの柔軟化。当社の面接回数は通常2回ですが、逃したくない人材には面接1回にするなど臨機応変に対応したのです。また、内定後のフォロー面談や職場見学なども実施しました。

成果:

過去には3カ月で応募が5名程度、採用ゼロということもありました。しかしdodaに掲載したことで、応募が30名以上、そして将来性の高い優秀な若手から中堅社員まで4名の採用に成功しました。求人広告の内容を工夫したことのみならず、社員への向き合い方や働き方へのスタンスをしっかりと候補者の方々に伝えた結果だと考えています。

株式会社総合設計
事例紹介記事

求人広告等事例:株式会社ADDIX 加藤氏

求人広告等事例:株式会社ADDIX 加藤氏

課題:

当社は、企業向け新規デジタルビジネス実行支援を行う企業です。80名ほどの規模ですが、日本を代表する大手企業と直接取引しており、面白いプロジェクトを担当しているんです。しかし、それがなかなか伝わらないという問題がありました。当時のコーポレートサイトを見ると、Web制作会社だと勘違いされがちでしたし、何をやっているのかがわかりづらかったんです。そして伝わりにくさ故に、人材紹介会社からの推薦もなかなか上がってこない状態でした。つまり、転職マーケットや転職希望者に、当社の正しい情報が届いてなかったんです。そして、人材紹介会社の方に頑張って支援をいただいても、採用までのリードタイムが長すぎることが問題になっていました。こうした状況を改善するには、自分で直接マーケットや転職希望者に伝えるしかないと思ったんです。

解決策:

そこで利用したのは、求人広告、転職フェア、doda ダイレクトです。私は人材サービス企業での経験が長いため、そのノウハウをフルに活用していきました。まず、“採用=営業”だと思っていますから、「この人に入社して欲しい」と思ったら、1次面接からとことん口説きます。面接1時間のうち最初に15分はその人のことを聞き。残りの45分は応募者の質問に答えながら当社について話します。その際、型通りの会社説明をしても意味がありません。転職で重視することは一人ひとり違いますから、最初の15分で聞いた候補者の志向や希望に合わせて、話す内容や強調するポイントを変えるんです。その人にとって魅力的な情報をしっかり伝えることで、最終面接の前に入社意向が高まり切った状態にするよう心掛けていました。

成果:

正直なところ、当社が求めるようなスキルの高い経験者の採用は、求人広告では難しいと考えていました。しかし予想を裏切る成果を得られたのです。1回目の掲載では、総合広告代理店や有名ネット企業出身者など4名の採用に成功。2回目は、GAFAクラスのエンジニアや大手SIのエンジニアなど3名を採用。そして3回目は名古屋で広告代理店出身者を2名採用することができました。

続いて転職フェアに出展したところ、営業1名と、非常に優秀なPythonエンジニア1名の入社が決まりました。王道の採用なくして優秀な人材は採用できない。今まさに経験者の採用に苦労されている企業には、dodaの活用をお勧めしたいですね。

株式会社ADDIX
事例紹介記事

業界別・課題別に情報交換が盛り上がった、第二部の交流会

doda編集長である大浦

軽食を交えながら参加者同士が交流できる第二部は、doda編集長である大浦による乾杯のあいさつからスタートしました。業界別、課題別でグループが分けられ、それぞれのグループで活発な意見交換が行われました。

アンケート内容(一部抜粋)

「中小企業の成功事例が多く、かつ懇親会では同業者の方々の話を聞けました」
「業種を超えて人事・採用を担当する方々と意見交換ができたのは貴重でした」
「聞きたいサービスを活用している方の意見は特に参考になりました」
「懇親会で近い企業規模の方と知り合えたこともありがたかったです」
「他社の人事・採用担当者を通して採用課題に対する解決方法を幾つか学ぶことができました」

約3時間にわたる人事交流会でしたが、人事・採用担当者同士の話は尽きず大盛況に終わりました。

【取材後記】

採用市場がますます激化する中で、自社にあるノウハウだけで採用成功を目指していくのは困難になってきたように感じている人事・採用担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。人材サービス会社はもちろんのこと、他社の人事・採用担当者との交流を通じて、自分たちがどのような採用を行っていけばいいのかを考える機会が求められているのだと感じます。

dodaではこの他にも、人事・採用担当者向け無料セミナーやオンラインセミナーを開催しております。「少しでも気付きが欲しい」「何かヒントとなる情報を得たい」とお考えの方は、ぜひこのような機会を利用してみるのはいかがでしょうか。

(文/佐藤 瑞恵・齋藤 裕美子、取材・編集/齋藤 裕美子、撮影/西村 法正)