人事同士の交流を通じ採用力の向上へ。6社の事例共有も行われたdoda人事交流会

d's JOURNAL
編集部

2019年6月6日(木)、パーソルキャリア株式会社では、『doda人事交流会 ~他社の採用成功法とは~』を大手町オフィスにて開催しました。dodaサービスを検討・ご利用いただいている企業人事・採用担当者を中心に、当日は55社、66名もの経営者・人事・採用担当者が参加。大変な盛り上がりを見せた人事交流会について、今回はその様子の一部をご紹介します。

『人事交流会』開催の背景とは

経営者や現場、採用候補者と日々向き合っている人事・採用担当者。1人で人事や採用を担当しているというケースも多く、なかなか他企業の取り組み・事例を知る機会はないものです。しかし、同じように採用に関する悩みを抱えている人事・採用担当者同士が出会ったり、自社では取り組んでいない手法を利用して採用に成功している人事・採用担当者の話が聞けたりすれば、人材採用は今よりももっと多様化・効率化していくのではないでしょうか。そこで、「新たな採用手法や新しい情報との出会いにつながる、人事・採用担当者同士の情報交換の場」として、人事交流会を開催しました。

来場者傾向

役職別

役職者別

興味ある商材(複数回答)

興味ある商材(複数回答)

今回の人事交流会では、中途採用では最も一般的な手法である求人広告のみならず、ダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング)サービスや転職フェアなどさまざまな採用手法を紹介。6社の企業から取り組みについての発表がありましたが、利用しているサービスは多種多様です。そこで最初にdodaの営業部長である岡本より、講演の中で出てくる各サービスについて、簡単にその特徴の解説を行いました。その後、各社の取り組み発表がスタートしました。

転職フェア事例①:金子農機株式会社 町田氏

転職フェア事例①:金子農機株式会社 町田氏

課題:

私たちは農業機械をつくっている会社です。農業機械っていっても皆さんが想像される「トラクター」のようなものではなく、穀物用の乾燥機に特化しています。ただでさえ「農業は格好悪い」という印象があるのに、そこに拍車を掛けて人気がない分野ですね。そういった課題もあり、人材を募集しても応募がこない状態だったのです。その上、そもそも私たちの会社には人事部組織がなく、採用を戦略立てて行うことができておらず、人材不足が深刻化していました。

解決策:

うちは人の良さというか、雰囲気が良い会社なんですね。平均勤続年数も長いです。ただその良さがなかなか伝わりづらい。候補者と直接お話しができれば、その良さを伝えられるのではないかと思っていました。そこで転職フェアに参加することにしたのです。自社の良さを伝えられるように、そして「農業=地味」というイメージを払拭できるように、ブース内の装飾や自社の説明資料はすべて手作り。VRを使って乾燥機のダイナミックさを体感してもらったり、社内の経営陣を退治していくロールプレイングゲームで社内のアットホームさを伝えたり…。予算がないこともあったのですが(笑)、あえて緩いブースにして、候補者も肩肘張らず「ちょっと休憩しようかな」ぐらいの気持ちで立ち寄ってもらえるように意識しました。まずは「金子農機」という名前を知ってもらって、いろいろ体験してもらって、家に帰った後、「あの会社は面白かったな」「農業っていいかも」と頭の片隅にでも置いて思い出してもらえれば…という思いでしたね。

成果:

VRやアプリ、プログラミングゲームなどを体感していただきながら、素朴だけど人の良さ、温かみがある当社ならではの良さを、直接候補者に伝えられることができたのが何よりも大きかったですね。その後、転職フェアに参加したことを社内公式Instagramやtwitterに投稿したのですが、その後も継続的に、直接応募が来たんですね。「ブースではすごい人数で話が聞けなくて」「かなり人気の企業だと思って自分も興味を持ちました」など、ダイレクトメッセージで応募意思をいただいて。ありがたいことに余波や影響はフェア後も1〜2カ月は続きました。また、社内エンゲージメントの向上にもつながったことも大きな成果でした。“転職フェアに参加して▲▲人着席していただきました”と社内報を作って展開したら、「うちの会社ってすごいんだ」「こんなに応募があるなんて!」と社員の愛社精神が高まったことは、思わぬ副産物です。

金子農機株式会社 採用HP
事例紹介記事

転職フェア事例②:株式会社明治クッカー 西原氏

転職フェア事例②:株式会社明治クッカー 西原氏

課題:

当社はもともと人材紹介サービスをメインに採用を行っていました。つまり、成果報酬型ですね。はじめは「うちのような小さい零細企業でも働いてみたい」と言ってくれる人であれば、正直誰でもいいと思っていたんですね。しかし、会社経営をしていくうちに、私が目指す方向やビジョンに共感し、共に走ってくれる人と働きたいという気持ちに変化していきました。ただ、人材紹介会社から推薦していただいた方たちは、こぞって「明治の子会社だと聞いています」「安定的な事業基盤と伺いました」と言う。当社は明治の子会社でもないですし、安定的な事業基盤でもありません。牛乳宅配業界が縮小傾向にある中で、「変えていきたい」という気概が何よりも必要なのに…と、大きなギャップを感じていました。

解決策:

そこでチャレンジしたのが転職フェアでした。正直、結構大きな額を一括で払うため、うちぐらいの規模の企業だとかなりの死活問題です(笑)。有名企業でもないし、身分不相応だなと。その一方、お互いフィルターがかかっていない状態で、良いと思ったらすぐに口説けるというのは大きいと思ったんです。第三者を挟まないからスピード感も違いますよね。
工夫した点は、「求職者へのフック」です。「うちってすごいんですよ」という格好つけた会社紹介なんてしません。牛乳屋なんて誰も就職したいと思ってないわけですから、そこを正直にお伝えするんです。「牛乳配達を好きこのんでやりますか?」って。候補者は「なんでこんなマイナスなこと言うのだろう。変わっているな」と不思議がる。これがフックとなるわけです。採用はフィフティーフィフティー。候補者の方に「うちに応募してくださいよ」と、へりくだる必要はありません。正直にお話しして、その上でビジョンに共感された方に入社していただく方が、ミスマッチ防止にもなりますからね。

成果:

結果、転職フェアでは、130人の方にブースに座っていただき、そのうち選考に進んでいただいたのが11人、最終的に1人の方を採用することができました。もう少しターゲットを絞った転職フェアセレクトでは、20人の方とお話しして、そのうちの2人選考に参加。結果として1人の採用が決まりました。私自身がブースに座っていたこともあり、良い人材に早期からアプローチできたのは大きかったと思います。大事にしていたのは「格好つけずに等身大をお伝えすること」。それが今回の大きなポイントだったと思います。

株式会社明治クッカー 採用HP
事例紹介記事

求人広告事例①:税理士法人レガシィ 小林氏

求人広告事例①:税理士法人レガシィ 小林氏

課題:

トップから「総務が1名産休に入ることになったので、採用するように」と言われまして。その頃の総務は社員1名、あとはパートの方、派遣の方のみで構成されていたんですね。その社員が社内総務の仕事すべてを把握し、メンバーに指示を出すという重要なポジションを担っていました。つまり、次に採用する人も誰でもいいわけでもなく、プラス思考でレガシィにとって優秀な方でないといけない。レガシィの基盤を担うといっても過言ではないぐらい、今回の採用には力を入れる必要がありました。そこで、さまざまな人材サービス会社のお話しを伺い、営業担当者の対応が丁寧で熱意のあったdodaに依頼することに決めました。

解決策:

今回は求人広告サービスを利用しました。税理士法人の総務というと働くイメージが付きにくいので、こだわったところは「自分が応募者の立場だったら、何に興味を持ち、どの部分を具体的に見る、見たいだろうか」と、応募者目線を意識して原稿を作成すること。そして、同時に「私たちはこういうことをやっていて、こういう人材を求めている」という要素をきちんと盛り込んだことです。ここさえ押さえておけば、ミスマッチは防げるだろうと、候補者にとって魅力ある原稿作りを第一に考えました。仕事におけるやりがいや期待、ワークライフバランスを意識した経営を打ち出すことはもちろん、社内はどんな雰囲気なのかありのままを伝えられる自然体の写真も盛り込みました。
dodaの担当者と一緒に原稿作りをしたことは大きかったですね。職場見学してもらったり社員と話してもらったりと、私たちのことを理解してもらえたのはよかったと思っています。広告掲載後も、週1回の応募状況を共有、原稿の見直し、改善策を検討・提案してくれるなど、パートナーとして伴走いただけました。

成果:

ありがたいことに2回の募集で670名もの方にご応募いただき、結果4名の採用となりました。良い人材が集まったことで、組織を強化できたのは良かったですね。今は売り手市場ですから、「待ちの採用」ではうまくいきません。私たちも、面接回数を1回にしてスピードアップを図ったり、希望者には職場見学をして入社後をイメージいただけるように意識したり、応募者から我々も選考されているという意識で面接に臨むなど工夫を凝らして。でも一番は「自分が応募者だったら…」という視点を忘れなかったことが大きな要因だったと感じております。

税理士法人レガシィ 採用HP
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求人広告事例②:株式会社スープストックトーキョー 村上氏

求人広告事例②:株式会社スープストックトーキョー 村上氏

課題:

当社の企業理念は「世の中の体温をあげる」です。スープを食べていただくと物理的な体の体温が上がるのですが、店舗に来てくださったお客様が、癒されたり、ホッとしたり、忙しい時間を一瞬でも忘れることができたり…と、心の体温をあげてもらうことを目指しています。そんな当社の採用課題は、大きく3点ありました。1つ目が、中途社員の入社前離脱。2つ目が中途社員の早期離職。そして3つ目が、採用媒体における反応の鈍化でした。私たちはサービス業ですから、店舗で働く社員の採用は重要ミッションです。継続して利用していた他社サービスの応募が鈍っていたこともあり、採用の見直しが必要なタイミングではないかと考えておりました。

解決策:

そこで、初めてdodaの求人広告サービスを利用しました。今回の目的は、「応募数をあげる」ではなく、「当社のミッションに共感し活躍してくれる人材の採用(=質を上げる)」です。そのために行ったことは、「自社の採用の最重要ポイントを明らかにし、記事づくりの基軸に置く」ことでした。会社の魅力や福利厚生だけではなく、企業理念が何よりも大事であることを盛り込むことを徹底したのです。そして、応募者の反応や特徴を踏まえて原稿内容をブラッシュアップ。例えば、“トップ写真はロゴにしたほうが視認性が高まる”、“福利厚生紹介部分を、理念が伝わるエピソードに変更”など、dodaの営業担当者と一緒に応募者の傾向を見ながら、私たちが求める人材にご応募いただけるよう原稿の改善に取り組んでいきました。そして、応募者とのコミュニケーションも意識しましたね。選考案内のメールに、私たちの思いをご紹介いただいた記事リンクを貼るなど、応募後の理念共有も徹底し、面接でのコミュニケーションの質の向上も目指すなど、それぞれのプロセスに工夫をしてミスマッチが防げるように努めました。

成果:

結果、dodaへの掲載12週間で、ビジョンにご共感いただけた、価値観の合う方5名を採用することができました。もしかしたら、少ない人数だと思われるかもしれませんが、私たちが今回こだわったのは、「アンマッチによる離脱・離職を防ぐ」こと。あくまでも質を重視していましたから、とても良い結果でした。求人広告は企業のブランディングにもつながりますが、弊社で働く社員を登場させ、まさに「働く人たちの体温」を感じてもらえたことで、良いマッチングが生まれたと感じております。

株式会社スープストックトーキョー 採用HP
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ダイレクト・ソーシング事例①:株式会社アピリオ テイラー氏

ダイレクト・ソーシング事例①:株式会社アピリオ テイラー氏

課題:

当社は採用担当が1人もいなかったんですね。労務担当者が、片手間に採用を行っていました。その者も採用業務は一切わからないわけですから、人材紹介にジョブディスクリプションを送って紹介を待つ…という状態に陥っていたのです。当社は人材紹介会社40社を利用しているのですが、ターゲットにあっていない候補者を紹介されることも多かった。つまり、候補者の数が少なく、パイプライン(候補者との接点)がまったくない危機的状況だったのです。候補者をプールできるよう、もっと候補者にアプローチしていくことが急務でした。

解決策:

そこで求人広告でブランディング、スカウトでハンティングを同時に行いました。特に注力したのはスカウトメールの開封率・応募率を上げていくことです。この中で、スカウトメールもらったことがある方も多いと思いますが、やはり応募したくなるメールとそうでないメールってありますよね。それを参考にするのです。「長いメールは読まれない。忙しい候補者を想定し、できるだけ簡潔に書く」「要件は明確に。このメールで何を求めているのかを記載する」ことが効果的でした。
さらに重要なのは配属先となる現場社員に登場してもらうこと。求人広告やスカウトメール内で現場社員に登場してもらい、リアリティのある内容を届けられるように心がけています。採用担当者だけがいくら頑張っても、仕事の詳細やスキル確認には限界がある。一緒に働くメンバーこそ一番候補者のことをわかっていますし、候補者も「どのような人がいて、一緒に働くことができるのか」が知りたいはずで、現場が登場することが一番魅力ですからね。

成果:

結果、今まで0だったパイプラインが、常に10名以上を維持できる状態になりました。人材紹介サービス以外から採用決定するケースが増えたことで、コスト削減にもつながっています。求人サイトに継続的に広告を掲載することが「自社の採用ブランディング」に効果的だということもわかってきました。求人広告はスカウトメールを受け取った候補者が「どんな企業だろう?」と興味を持った際の受け皿としても有効だということもわかり、相乗効果を見込んで利用しています。安定した応募者を維持できたことで余計な業務も削減でき、タスクの効率化を実現できました。

株式会社アピリオ 採用HP
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ダイレクト・ソーシング事例②:株式会社フィエルテ 金丸氏

ダイレクト・ソーシング事例②:株式会社フィエルテ 金丸氏

課題:

当社は連結決算アウトソーシングを行っていて、大手上場企業の経理部が主な取引先です。おかげ様で毎年120%のペースで事業成長を続けていまして、採用は会社として重要指標。事業成長に合わせて適切なタイミングで人員を調達する必要があります。しかし、前年度の中途採用者のうち人材紹介サービス経由の決定が約8割だったこともあり、採用コストが大きくかかっていた。経営陣から「人事もプロフィットとして成果を出してほしい」と言われていたこともあり、コストを30%下げることが私のミッションでした。

解決策:

そこで、dodaのダイレクト・ソーシングサービスを併用することにしました。このサービスのメリットは、ずばり「はやい・うまい・やすい」です。まず「はやい」ですが、早期接触ができ、直接候補者とやり取りできることでスピーディーに進めることが可能です。売り手市場において競合他社も候補者獲得に必死ですから、いかに早く進めていけるかがカギだと思います。そして、「うまい」。人材紹介パートナーへの要件説明や広告掲載の取材調整などの工数が不要になりますし、「本気で採用したい!」と思って自分で選定した候補者とのコミュニケーションのみに集中でき、効率よく行動ができます。そして最後の「やすい」。他社サービスだと成功報酬型が多いですが、dodaは前課金サービス。採用すればするほどコストが抑えられますので、採用費用が課題となっている人事の方は検討してみるといいかもしれません。
もちろん、ダイレクト・ソーシングは人事・採用担当者の工数がかかるというデメリットもあります。しかし、①事前準備の徹底(自社の優位性・差別化の洗い出しや、候補者のペルソナ設定)、②可能な限りのルーティン化、③動機づくりやクロージングに注力する、などの地道な活動を続けていけば、余計な工数も見直せますし、徐々に慣れていくと思います。

成果:

結果、ダイレクト・ソーシング経由で9名を採用することができました。もともと採用コスト30%の削減が目標でしたが、人材紹介サービスとコスト比較すると、約75%削減に成功しました。従来よりも手間がかかるというのは事実ですが、dodaの担当者の方からの助言ももらえますし、自分たちで工夫・試行錯誤していくことで自社の採用力が高まります。ダイレクト・ソーシングは、自社の強みや魅力を改めて考える良い機会ではないでしょうか。

株式会社フィエルテ 採用HP
事例紹介記事

第二部の交流会では、各社の悩み・取り組みの共有を

第二部の交流会では、各社の悩み・取り組みの共有を

第二部では、軽食を交えて参加者同士が交流できる時間となりました。「うちも同じ採用手法を行っていますが、こんなところで悩んでいます」「今は人材紹介サービスしか使っていないのですが、転職フェアも検討してみたい。実際使ってみてどうですか?」「転職フェアに出るならどんな社員を連れていけばいいですか?」など、発表内容をもとにさまざまな情報交換が行われました。人事担当者同士で、採用についてアドバイスをし合っているシーンも見かけられました。

アンケート内容(一部抜粋)

「各社の成功例をお聞きし、弊社でも行ってみてもよいかと思いました」
「他社の人事関係者との交流というのはめったにない機会で、有意義な時間となりました」
「さまざまな事業フェーズ、採用規模で戦っている人事・採用担当の方と多くの交流ができた」
「中小規模の企業の取り組みを具体的に知ることができたので、自社でも参考になる情報を収集できました」

【取材後記】

「人事・採用部門が戦略を考え、自社の採用力を高めていく」ことが求められるようになっている昨今。会社や経営陣、現場社員と向き合うことも重要ですが、同時に他社とも交流を図り、より自分たちのやり方をブラッシュアップしていくことが重要になってくるのではないでしょうか。「人事・採用部門は自分だけなので、他社がどのような取り組みをされているのか知りたかった」という方も多くいらっしゃいました。企業規模や業種、職種ごとにさまざまな悩みがある中で、業種は違っても同じような悩みを抱える企業や一歩先行く企業の取り組みを聞くことで、複雑な採用課題の解決方法が見えてくることもあるのではないでしょうか?ぜひ積極的にこのような機会を利用してみてください。
dodaではこの他にも、人事・採用担当者向け無料セミナーを実施しております。ぜひご参加ください。

(取材・編集/齋藤 裕美子、撮影/西村 法正)