内定承諾後も不安だらけ? 転職者が入社前後に感じる不安と企業への要望を大調査

入社が決まっても、大半は会社が自分に合っているか不安を感じている
書類のやりとりだけじゃない。内定承諾から入社までに行えるサポートとは?
転職者の7割が、入社初日や研修期間に不安を感じたことがある
入社後のフォローの充実度は、その後の活躍人材への成長につながる
転職者の不安解消に効果的な「現場面談」、いつ行うのが望ましい?
選考中から入社後までの体験を通じて、転職者の不安を払拭できるようにフォローしていく

転職者は内定承諾をしてから入社まで、そして入社直後をどのような気持ちで過ごしているのでしょうか。新しい職場で働くことへの希望に満ちているのか、あるいは不安の方が大きいのか。それによって人事・採用担当者としてできることも違ってくるかもしれません。

最近では、「オンボーディング」「プレボーディング」など、いち早く活躍してもらうため、入社前~入社後にどのようなフォローやサポートを行うかどうかに注目が集まっています。

そこで、d’s JOURNAL編集部では、20代・30代のdoda会員302人を対象に、転職先企業に入社直前・入社直後にやってほしかったことや、やってもらってよかったことに関するアンケートを実施。内定承諾から入社直後のフォローまで、人事・採用担当者として対応できることがないかを探りました。

入社が決まっても、大半は会社が自分に合っているか不安を感じている

入社までの間、内定者はどのような気持ちを抱いているのでしょうか?

「早く入社したくてたまらない」という希望なのか、あるいは「次の職場でなじむことができるのか」という不安なのか。「内定承諾をしてから入社までの期間、転職先に対して何かしら不安を感じていたのか」「不安を感じていた場合、具体的にどのような点が不安だったのか」を、転職経験者に聞きました。

内定承諾から入社までに不安を感じたことがある人は8割以上

「内定承諾から入社までの期間に、転職や会社になじめるかといった観点で不安を感じたことはありますか?」と聞いたところ、「不安を感じたことがある」が55.0%、「どちらかというと不安を感じたことがある」が27.8%という結果になりました。転職経験者の8割以上が、内定承諾から入社までの期間に何らかの不安を感じているようです。

内定承諾から入社までに不安を感じたことがある人は8割以上

男女・年代別で見ると、「不安を感じたことがある」と回答した割合が最も多かったのは20代女性で62.7%。30代女性、20代男性、30代男性はいずれも50%程度で、さほど差は見られませんでした。また「不安を感じたことがある」「どちらかというと不安を感じたことがある」と回答した人の割合の合計は、年齢・性別を問わず8割前後でした。

男女・年代別

転職回数別で見ると、転職回数1~4回の人の8割以上、転職回数5回以上の人でも8割弱が不安を感じていたようです。このことからも、年代や性別、転職回数にかかわらず、転職者の多くは内定承諾後も何かしら不安を感じていることが見て取れます。

転職回数別

入社前に感じる不安の多くは「人間関係やカルチャーフィット、スキルマッチ」

では、転職者がどのような理由でこの時期に不安を感じたのか、または感じなかったのかを見てみましょう。

入社前に不安を感じていた理由として、「人間関係がうまくいくか心配だった」「会社の雰囲気・社員の人となりがわからない」「スキルがマッチしているか客観的に評価できなかった」「まったく違う業種に挑戦するため」「福利厚生を含めた待遇が前職より良いか不安に感じた」といった声が聞かれました。転職先の人間関係や職場の雰囲気といったカルチャーへの不安、求められるスキルや異業種へのチャレンジといった仕事への不安など、転職者の悩みはさまざまなようです。特に人間関係や職場の雰囲気・カルチャーになじめるかどうかを挙げている人は多く、「面接だけではわからない」「実際に入社してみないと本当に自分に合うかどうかわからない」という意見が多く見られます。自身のスキルが会社に適しているのか、あるいは会社から求められる期待値に応えられるかというのは、中途採用ならではの不安と言えそうです。

一方、入社前に不安を感じなかった理由は何でしょうか。「面接の時点で、なんとなく会社の雰囲気が伝わって自分に合っているように思えたから」「面接やその後の人事・採用担当者とのやりとりで不安が取り除かれていたため」「しっかり連絡を取ってくれていて安心感があったため」「面接の段階で入社後をイメージできる質問をし、納得できる回答を得られたため」といった回答がありました。このことから、面接での質疑応答や自社に関する情報提供、人事・採用担当者や面接官の受け答えなど、コミュニケーションを取る中で転職者の不安を和らげることができそうです。転職者(応募者)からの質問・疑問には丁寧に回答するとよいでしょう。

入社してみないとわからないことがあるのも、新しい環境に対して不安を感じるのも、ある意味「当然のこと」ではあります。ただ、人事・採用担当者として、転職者が安心して出社初日を迎えられるような仕組みやフォローを整えておくことが重要です。

書類のやりとりだけじゃない。内定承諾から入社までに行えるサポートとは?

では、実際に転職者は内定承諾から入社までの間、転職先にどのようなサポートをしてもらったのでしょうか?やってもらいたかったことと併せて、転職経験者の声をご紹介します。

入社前の企業とのやりとりは“必要最低限”?

まず、内定承諾から入社までの期間に「会社からやってもらったこと」について聞いたところ、「手続きの書類などの連絡」(73.2%)と「メールや電話などでの相談対応」(44.4%)が大半を占めました。「こまめな連絡」「飲み会・食事会への招待」「配属先のメンバーとの面談」といった他の対応は、どれも1割未満にとどまっています。また「何もやってもらっていない」「入社日まで放っておかれた」といった声も一部から上がっていますが、大半の企業は必要最低限の連絡にとどめているのが実情だと言えそうです。

入社前の企業とのやりとりは“必要最低限”?

(数値は回答数)

入社前の企業とのやりとりについて満足度を聞いたところ、内容にかかわらず「何かフォローしてもらったこと」に対する転職者の満足度は総じて高いことがわかりました。特に満足度が高かったのは「飲み会・食事会への招待」や「内定者同士の交流会」。それに対して、不満と回答した人は1人もいませんでした。どの程度までフォローするかは、人事・採用担当者や現場の受け入れ体制によるところも大きいと思いますが、丁寧なフォローや会社を知る機会が増えることに対して転職者側はポジティブです。入社前のフォローはやらないに越したことはないので、まずはトライしてみることで転職者の不安を一掃できるのではないでしょうか。

満足と答えた人の中には、「入社後の教育カリキュラムの説明」「オフィスツアーやチームの紹介」「電話やメールでの定期的なフォロー」「上司からの手紙」「取るべき資格の提示による必要なスキルレベルの把握」など、積極的にサポートしてもらえたという声も聞かれました。

先ほど紹介した入社前の不安の原因と照らし合わせると、オフィスツアーやチームの紹介、上司や同僚とのメッセージのやりとりを通じて、人間関係に対する不安を軽減できそうです。また、必要となる資格やスキルを共有しておくことで、期待値をお互いに擦り合わせることができます。入社後に即戦力として活躍できる可能性も増え、企業側・転職者側の双方にメリットがあるのではないでしょうか。未経験者の採用や異業種からの採用の場合にも、業界を知ってもらうための本や資格を共有しておくと、入社後もスムーズに現場に入れそうです。

入社前までに企業側がやるべきことは「働くイメージ」を醸成させること

次に、「企業からはやってもらっていないが、実際にやってもらえたらうれしかったこと」を聞いたところ、以下のような意見が上がりました。

 ・配属先の様子を内定後に見たかった
 ・担当の仕事の詳細を教えてもらえればよかった
 ・配属先のメンバーとの顔合わせや交流会
 ・こまめな連絡

現場への負担が増えてしまう懸念があるかもしれませんが、「メンバーとの顔合わせの場」を入社前のフォローとして組み込むのは効果的だと言えるでしょう。しかし、内定者は在職中の方も多いため、「不要なコミュニケーションがなくて良かった」という声があるのも事実です。相手の状況を把握した上で、どこまでのフォローをどういった形で行うか、しっかりと考えていく必要がありそうです。
(参考:『内定者フォローの8つの手法。メール、SNS、イベント等いつどんな方法で実施する?』)

転職者の7割が、入社初日や研修期間に不安を感じたことがある

入社前は不安を抱えている転職者ですが、入社したらその不安はなくなるのでしょうか?いきなり職場に溶け込み、活躍できるのでしょうか?ここでは、「入社直後から1カ月くらいまでの期間に不安を感じたことがあったか」「具体的にどのような不安だったのか」などといった転職経験者の声をご紹介します。

7割以上が、入社後も不安を抱えたまま仕事をしている

「入社直後から1カ月くらいまでの期間に、会社や配属先になじめるか不安だなと感じたことはありますか?」と聞いたところ、「不安を感じたことがある」が48.3%、「どちらかというと不安を感じたことがある」が26.5%という結果になりました。入社前よりその割合は若干少ないものの、転職経験者の7割以上が入社後も不安を感じています。

入社直後から1カ月までに不安はあった?

男女・年代別で見ると、女性の方が不安を感じていた人がやや多かったものの、大きな差はありませんでした。また転職回数別に見ても、転職の多い・少ないによる違いはほとんどありません。このことからも、年齢・性別や転職回数に関係なく、入社直後に不安を抱えている人が一定数いることが見て取れます。

入社直後のコミュニケーションやフォロー体制は、転職者の不安解消の鍵

では、転職者がどのような理由でこの時期に不安を感じたのか、または感じなかったのかを見てみましょう。

不安を感じた理由としては、「他の人と交流する機会がなかったのでなじめるか不安だった」「社内で関係者に紹介してもらえない」「業務外のコミュニケーションがほとんどなかったため」「上司が自分とは合わないような人だった」といった声が聞かれました。入社前・入社後にかかわらず、職場でのコミュニケーションや人間関係に不安を抱えやすいことが見て取れます。また、「前職と業務が異なる一方、即戦力として期待されているから」「転職者ということで仕事が早くできなければならないと思い心配だった」というようなプレッシャーから不安を感じる人もいます。

一方、不安を感じなかった人たちは、「出社初日からチームの雰囲気の良さを感じたから」「配属された部署がとてもいい方ばかりだったため」「皆さんがとても親切に業務について教えてくれたので」「先輩方の手厚いフォローがあったため」といった理由を挙げています。また、「きちんとした説明を受けていたから」「入社前のイメージとギャップがなかった」という声もありました。こういった声が中途入社者から上がる企業は、選考中を含めた入社前までの段階で「転職者に何を伝えていくべきか」が戦略的に考えられていることが予想されます。

こうして見てみると、企業側、特に現場の受け入れ体制が整っているかどうかは、入社後の不安やチームになじむ速度などに大きく関わっていると言えそうです。特に大事なのは初日の対応でしょう。転職者が居場所をつくれるように、チーム内や関連する部署にしっかりと紹介してあげるなど、新しい人間関係を構築するためのアシストをしてみるとよいのではないでしょうか。また、改めて会社の事業内容、所属チームの立ち位置、目標などを説明する場を設けて、その上で転職者に何を期待しているのか、どのくらいのスピード感で成長していってほしいのかを伝えれば、「早く成果を出さなければ」という余計なプレッシャーから解放されるかもしれません。

こういった「現場での受け入れの仕方」については、人事・採用担当者から社内に発信し、社風として根付かせていく必要があります。自社の受け入れ体制、フォロー体制を中途入社者はどのように感じているのかをヒアリングしてみることで、その課題が見えてきそうです。

入社後のフォローの充実度は、その後の活躍人材への成長につながる

では実際に、転職経験者は入社直後から1カ月くらいまでの期間に、企業からどのようなサポートをしてもらったのでしょうか。やってもらいたかったことと併せて、転職経験者の声を聞きました。

現状の説明では不足している?社内用語や社内ツールの説明には不満の声を上げる人も

まず、入社直後から1カ月くらいまでの期間に実施された「会社のフォロー」について聞いたところ、「配属先の事業説明・業務説明」(57.9%)、「歓迎会などの親睦を深める会」(50.3%)といった回答が多数でした。次いで多かったのが、「会社の説明会」(40.7%)、「ツールなどの説明会・研修」(38.7%)という回答です。一方、「何もやってもらっていない」という回答が15.6%あることから、転職者へのフォローが十分でない企業もあることがわかります。

この他、現場案内や社内見学、入社後の定期面談、キャリア採用者のみを対象とした研修、本の支給、勉強会などを実施している企業もありました。

入社直後から1カ月くらいまでの期間に実施された「会社のフォロー」

(数値は回答数)

また、それに対する満足度を聞いたところ、満足度が総じて高かった入社前とは異なり、内容によって差があることがわかりました。ほとんどの人が満足と回答したのは「配属先のメンバーとの現場面談」。一方、「ツールなどの説明会・研修」や「社内用語や規定などの説明」に不満を感じた人は20~30%ほどいます。社内用語や社内ツールは、慣れてしまうと「わからないことが、わからなく」なります。実際にアンケートを受けてくれた中途入社者の声を基に、「入社したばかりの人が見てもわかりやすいこと」を意識して、内容の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

みんなが常識して持っている前提知識を教えつつ、とにかくコミュニケーションを取る機会を

次に、「やってもらっていないがやってほしかったこと、やってもらえればうれしかったこと」を聞いたところ、「社内用語や社内ルールの説明」「OJTでの研修の実施」「1on1」「配属先での飲み会」「他部門との交流」といった声が寄せられました。このことから、実務に直結した説明・研修や、コミュニケーションの活性化につながる取り組みを希望している転職者が多いことがわかります。

転職者の不安解消に効果的な「現場面談」、いつ行うのが望ましい?

入社前・入社後ともに、転職者側からやってほしいという希望が多かった「現場面談」。仕事への理解が深まったり、配属先のメンバーと交流できたりと、転職者の不安を解消するのに効果的な現場面談ですが、いつ行うのが望ましいのでしょうか?

6割以上が内定承諾までに現場面談を希望している

「現場面談は選考中から入社後のどの段階で実施されるのが適切と思いますか?」と聞いたところ、「選考中」が33.1%、「オファーから内定承諾までの期間」が31.8%、「内定承諾後から入社までの期間」が21.5%、「入社後」が13.6%という結果になりました。早い段階での実施を希望する声が比較的多いものの、転職者によって意見はさまざまなようです。それぞれの時期を選んだ理由を見てみましょう。

現場面談いつが最適なのか

「選考中」や「オファーから内定承諾までの期間」を希望した人は、「人事・採用担当者や上司だけでなく、現場スタッフと話をした方が入社してからのミスマッチがなくなる」「2次面接に進むかどうかの検討材料となり得る」「お互いの認識ズレがないかの確認」「入社を決断する1つの判断材料になるため」などを理由として挙げています。つまり、転職者側としても転職先を見極めるために現場面談をしたいということです。面接として実施するか、あるいは選考には関係ない面談として実施するかは別として、一緒に働くメンバーとしても、どんな人が候補に挙がっているのかを知ることはマイナスにはなりません。お互いのギャップやミスマッチを減らすには、できるだけ早期の段階で現場面談を行うのがよさそうです。

「内定承諾後から入社までの期間」を希望する人たちは、「入社するまでの不安が多少解消される」「ある程度の現場の雰囲気を配属前に知ることで心の準備ができる」などの理由を挙げていました。この時期の現場面談は、不安解消や入社に向けた準備に役立っているようです。一方で、「仕事を実際にしてみないとわからないので、上司との面談は入社前を希望するが、同僚との面談は入社後を希望する」という意見もあります。

「入社後」を希望した人からは、「現場の方に本業以外の時間を取らせるのは申し訳ない」という配慮の声や、「入社前に面談しても、実際に入社して一緒に仕事をしないと本当のところはわからない」というシビアな意見も出ています。企業が抱える課題や転職者の状況などを考えた上で、どのタイミングで現場面談を実施すればいいかを決めるとよいでしょう。

選考中から入社後までの体験を通じて、転職者の不安を払拭できるようにフォローしていく

転職は、その人にとって大きな決断であり、変化です。知らない環境で知らない人たちの輪に入り、しかもすでに人間関係が構築されている中では不安が伴うのも当然です。そんな転職者にとって、人事・採用担当者は一番初めにやりとりをした相手だったり、一番頻繁にコンタクトを取った相手だったりするでしょう。最近はオンボーディングといったキーワードもよく耳にするようになりましたが、入社後だけでなく、選考中から入社して会社やチームに打ち解けるまでの一連の体験を通して、転職者が不安を抱かないようにするという視点を持ってみてもいいのではないでしょうか。

 ・現場面談の希望を聞き、できる限り入社前までのタイミングで調整する
 ・未経験者や異業種からの転職者には、資格や本など必要なスキル・知識を事前共有する
 ・契約関係や会社の制度など、転職者の質問には丁寧に対応していく
 ・現場での受け入れをどうしてほしいか、既存のメンバーに伝えていく
 ・社内用語や社内ツール、事業説明などの研修内容や資料をブラッシュアップし続ける

特に人間関係やカルチャー、自分のスキルに対する不安は入社後もつきまといます。人事・採用担当者が丁寧なコミュニケーションやフォローをすることで、いざというときの頼れる存在として人事部門がある、という認識を持ってもらえるようになるのも1つの方向性かもしれません。

まとめ

転職回数にかかわらず、転職者は入社直前・入社直後に人間関係やコミュニケーションなどさまざまな不安を抱えています。入社後のミスマッチや早期離職を防ぎ、いち早く活躍人材として成長してもらうためには、「現場面談の実施」「歓迎会の開催」「フォロー体制の構築」などに、既存社員との交流を深める取り組みが重要です。何をどのタイミングで行うのかを採用・教育計画の一環として考え、現場の社員と共に転職者を受け入れる体制を整えてみてはいかがでしょうか。

 

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、企画/d’s JOURNAL編集部 齋藤 裕美子)