面接官の質問55選!本音を引き出すポイントと注意点

d’s JOURNAL編集部

採用活動において面接官は、応募者と直接的なかかわりを持つ重要な存在です。そのため不慣れな場合は、実際の面接でどのように振る舞えばいいのか不安に感じてしまう方も多いでしょう。

この記事では面接官の役割や面接の流れといった基本的な事柄を確認したうえで、具体的なテーマにあわせた質問の事例をご紹介します。

中途採用の質問事例もまとめたマニュアルガイドも紹介していますので、中途採用の面接準備にぜひ参考にしてみてください。

面接官の役割とは

採用活動において面接官の役割には2つの重要な側面があります。新たに面接官を務めたり面接官として人材を配置したりする際は、まずポジショニングを正確につかんでおくことが大切です。

自社に合った適正な人材であるかを見極める役割

面接官のもっとも重要な役割は、応募者が自社に合う人材であるかどうかの直接的な見極めであり、応募者との具体的な接点を持つ最初のポジションにあたります。

人材採用において、履歴書や職務経歴書といった書類だけでは応募者の実際的なスキルや対人関係能力まで判断できません。

書類からでは見えてこない部分は面接官が直接コミュニケーションを図り、見極める必要があります。話し方や聞き方、表情、振る舞いなど応募者の具体的な情報に触れられるという点で、面接官の役割は非常に重要といえます。

企業の顔としての役割

一般的な就職活動のスタイルでは、応募者が採用前に企業の内部環境に触れる機会がほとんどありません。多くの場合は応募者にとって、面接官は入社を志望する企業で最初に接する関係者です。

そのため、面接官が与える印象がよいと応募者の入社に対する意欲は自然に向上していくと考えられます。しかし、面接官の対応や発言に不適切な点がある場合は、企業のイメージが損なわれてしまう可能性も十分にあり得るため、注意しなければなりません。

特に現在では、面接時の不適切な対応がSNSなどで広がってしまうリスクもあります。面接官が与える印象次第で企業のイメージがプラスにもマイナスにも働くため発言や行動には十分に注意が必要です。

面接を行うときの基本的な流れ

面接をスムーズに行うためには場当たり的に進めるのではなく、しっかりと全体の流れを意識したうえでの進行が大切です。基本的なステップを押さえておけば時間内でより有益な情報を取得できるようになり、面接官の負担も大幅に軽減できます。

ここでは一般的な面接時の流れについて主なチェックポイントとともに確認していきましょう。

面接の流れ

 

アイスブレイク

「アイスブレイク」とは相手の緊張をほぐしたり場を和ませたりするための会話を意味します。質問事項などを丁寧に組み立てていても、応募者が緊張した状態のままではなかなか本音を引き出せません。

そのため、はじめは面接とあまり関係のないテーマで話を切り出し、応募者の緊張の和らげてあげることが大切です。

具体的なテーマとしては、以下のように天気や当日の来社方法といった当たり障りのない内容が適しており、志望動機や応募者の人となりのような核心的な質問は避けるのがポイントです。

<質問事例>
1:当社まで来られるのに道に迷われませんでしたか?
2:ご自宅から何分くらいかかりましたか?
3:あいにくの雨ですが、今日は電車で来られましたか?
4:就活中でお忙しいでしょうが、なにか息抜きはできていますか?
5:会社説明会はどうでしたか?

関連記事:【面接官必見!】知らないと失敗しちゃうかも?有意義な面接のためのアイスブレイクとは~質問例付き~

自己紹介・企業の説明

アイスブレイクが済んだ後は会社に関する具体的な説明を行い、応募者に自社の特徴を正しく理解してもらうことが大切です。一次面接の段階において自社はあくまでも応募者における就職先の候補のひとつに過ぎません。

会社説明を丁寧に行うと応募者の入社に対する意識を高められるため、事前に資料の準備をしておくとよいでしょう。自社が求めている人材や採用したい職種、主要な業務や取り扱うサービス・製品、今後のビジョンなどを通じて、過不足のない情報の伝達が重要です。

また、面接官自身の自己紹介も忘れずに行う必要があります。自身の入社動機や業務内容などを伺うなかで面接官の人柄を伝えられると、面接をよりスムーズに進めやすくなります。

事実の確認(履歴書・職務経歴書)

事実の確認のステップでは応募者の履歴書や職務経歴書に書かれている内容に沿って質問をします。記載内容に虚偽や誇張がないかをチェックするとともに、書類外から有益な情報を引き出す作業も事実確認のステップでは大きな目的です。

そのため質問項目はその場で考えるのではなく、事前にある程度は整理しておく必要があります。

応募者の意欲や展望に関する質問

応募者の意欲や展望に関する質問は応募者の意欲や入社後のビジョンを直接確かめられる重要なステップです。入社した場合にどのように働きたいか、自社でどのように活躍の場を広げたいかなどを通じて自社と本人の将来像がマッチしているかをチェックします。

また、自分の言葉で語れているか、自社の業務について認識のズレはないかなども同時に目を向けておくと優秀な人材の確保につながります。

応募者からの質問

コミュニケーションが一方的になってしまうのを避けるために、面接時は必ず応募者から質問ができる機会を設けましょう。質問時間は応募者の不安を解消したり、自社とのミスマッチを防いだりするうえで重要なステップです。

応募者からの質問を効果的に引き出すためには、質問までのやりとりにおいて発言しやすい雰囲気をつくっておくのがポイントです。あらかじめ「最後に質問の時間を設けてあるので、気になる点があれば遠慮なくお尋ねください」と伝えておくのもよい施策のひとつといえます。

事務的な連絡と確認

応募者からの質問を終えた後は事務連絡と確認を行って面接は終了です。応募者に不安な点が残らないようにするためにも、なるべく不透明になりそうなポイントの解消が大切です。

入社日や勤務体制、シフト、内定後のスケジュールなどは事務連絡するタイミングで伝えましょう。また、応募者が複数社の選考を受けているケースを想定して合否連絡の方法や目安日程の伝達も重要です。

具体的な質問事項とポイント

面接の成否は「どのような質問を用意しておくか」によって左右されてしまうといっても過言ではありません。限られた時間のなかで最適な人材を見極めるためにも、あらかじめ目的に合った質問項目の整理が重要です。

面接のシーンごとに具体的な質問例を以下の項目でご紹介します。

コミュニケーションスキルに関する質問

コミュニケーションスキルの見極めは対面での選考を行う目的のひとつともいえる重要な項目です。しかし、具体的な数値でのスキルの明確化は難しいため、面接官によって評価基準にバラつきが出やすい傾向があります。

面接時に見極めたいポイントとしては「伝えるべきポイントを端的にまとめられる力」や「相槌や表情といった幅広いコミュニケーションツールを使える力」「自己を客観的に表現する力」などが挙げられます。「話がうまい」などの単一のスキルではなく、聞く力や場を和ませる力などを含めた総合的な判断が大切です。

具体的な質問項目としては以下の内容が挙げられます。

<質問事例>
6:周囲からどのような人だと言われますか?
7:チームで仕事をするときに、どのような役割で仕事をすることが多いですか?
8:コミュニケーションで特に重視している点はなんですか?
9:1分間で自己紹介を行ってください。
10:これまでの経験で達成感を覚えたエピソードを聞かせてください。

価値観や志向性に関する質問

価値観や志向性については「応募者が自社の社風とマッチしそうか」「既存のメンバーと良好な関係を築いていけそうか」の判断がポイントです。また、入社後の配属先や業務適性を考えるうえでも有効な判断材料になります。

価値観や志向性を確かめる質問としては以下のようなテーマが効果的です。

<質問事例>
11:仕事でやりがいを感じるのは具体的にはどのようなときですか?
12:自分のモチベーションはなんだと思いますか?
13:ご自身の仕事ぶりや性格について、周囲からどのような評価を受けることが多いですか?
14:苦手なタイプはいますか?それはどのような人ですか?
15:価値観が異なる人物と協力するときに心がけていることはありますか?
16:5年後にはどのような仕事をしていたいですか?
17:自由に選べるとしたら、どのような会社で働きたいですか?
18:転職を考えた理由はなんですか?
19:転職のタイミングを現在に決めた理由はありますか?

入社意欲に関する質問

入社意欲や志望理由に関する質問は応募者の志望度合いや自社に対する関心度を確かめるために重要です。ただし、一次面接の段階では応募者の心情と面接官の間に温度差が生まれてしまう可能性があるため、質問するタイミングや相手に合わせた調整が求められます。

具体的な質問例としては以下のような内容が挙げられます。

<質問事例>
20:当社に興味を持った理由を教えてください。
21:当社にはどのような印象をお持ちですか?
22:当社では具体的にどんな業務に携わってみたいですか?
23:会社選びで重視していることを教えてください。
24:転職を通じて、当社に期待することはどのようなことですか?
25:当社でどのような経験、スキルを身につけたいですか?

スキルや経験に関する質問

スキルや経験については履歴書や職務経歴書からもある程度の情報をキャッチできるため、面接時に質問をする際はより踏み込んだ内容にフォーカスしたほうが具体的に応募者の能力を把握できます。

特に中途採用の面接時では即戦力となるかどうかを確認するうえで、応募者のスキルや経験は重要な採用基準となります。以下の例を参考にしながら、自社が求める人材を適切に見極められる質問を検討しましょう。

<質問事例>
26:担当していた業務で成果を出すためにどのような工夫をしていましたか?
27:これまでの仕事でもっとも誇れる仕事はなんですか?
28:業務において得意なこと、苦手なことはなんですか?
29:これから学びたいこと、身につけたいスキルを教えてください。
30:リーダーとして業務にあたったご経験はありますか?
31:会社から与えられていた目標はどのようなものでしたか?

自社との相性に関する質問

採用後からスムーズに働いてもらうためには自社の業務と応募者の相性にも目を向ける必要があります。企業風土や社内メンバーの特性なども踏まえて、親和性を見極められるような質問を検討しましょう。

具体的な質問例としては以下のようなテーマが挙げられます。

<質問事例>
32:当社にはどのような印象をお持ちですか?
33:当社の企業理念をどのように感じられましたか?
34:業務環境で重視するものはありますか? その理由はなんですか?
35:組織に必要不可欠と考えるものはなんですか? それはなぜでしょうか?

企業と応募者の相性は採用後の定着率を高めるうえでも重要な課題となります。面接の機会をきちんと活かすためにも、あらかじめ関連する質問の精査が大切です。

ストレス耐性に関する質問

ストレス耐性に関する質問では自社の業務との相性やセルフマネジメント能力を確認できます。ストレス耐性は管理職などの立場への適性度を測る重要な資質のひとつです。

一方で、ストレス耐性に関する質問は内容によっては過度に応募者のプライベートに踏み込んでしまうリスクがある分野であるため事前の精査が重要です。後述する「面接官が聞いてはいけない質問」を参考にしながら、適切な範囲の質問ができるよう入念な準備が大切です。

具体的な質問例としては以下のような内容が挙げられます。

<質問事例>
36:トラブルにあったときにはどのように対処しますか?
37:これまでに大きな挫折をしたことがありますか? その際に、どのように解決しましたか?
38:ストレスを感じるのはどのようなときですか?
39:ストレスを感じたときにはどのように向き合いますか?
40:前職でもっとも負担に感じたことはなんですか?

関連記事:【面接質問集あり】注目の「レジリエンス」とは?「ストレス跳ね返し人材」の見抜き方

面接官が聞いてはいけない質問

面接官は応募者の適性を見極める役割だけでなく、企業の顔としての責務も担います。応募者に不快な思いをさせてしまったり、企業のイメージを損なってしまったりしないためにも、あらかじめ「面接におけるタブー」の理解が大切です。

ここでは聞いてはいけない質問事項とともに、行ってはいけないNG行為や不適切な質問をしてしまったときの対処法をご紹介します。

聞いてはいけない質問事項

聞いてはいけない質問事項には大きく分けて以下の3つが挙げられます。

・本人に責任のない事柄
・本来自由であるべき事柄
・男女雇用機会均等法に抵触する可能性がある事柄

それぞれの内容について以下の項目で解説します。

関連記事:面接で聞いてはいけない質問・会話のNG行為とは?リスク回避のための具体的な対策

本人に責任のない事柄

本人に責任のない事柄とは以下のような項目です。

本人に責任のない事柄
・出生地や本籍
・家族や家業に関する質問
・住宅の所有関係に関する質問
・生活環境に関する質問

具体的な質問例は以下のとおりです。

<質問事例>
41:あなたの出生地、本籍はどちらですか?
42:ご両親はご健在ですか?健康状態はいかがですか?
43:ご両親が離婚されているようですが、お母さまお一人で育てられたのですか?
44:あなたの配偶者のご職業はなんですか?
45:あなたの自宅は賃貸ですか?持ち家ですか?
46:あなたはご長男ですか?
47:家業を継ぐことは考えていますか?

本来自由であるべき事柄

本来自由であるべき事柄とは個人の思想信条にかかわる項目であり、以下のような質問内容が挙げられます。

本来自由であるべき事柄
・宗教に関する質問
・支持政党に関する質問
・人生観、思想に関する質問
・社会運動に関する質問
・尊敬する人物に関する質問
・購読している新聞や愛読書に関する質問

具体的な質問例は以下のとおりです。

<質問事例>
48:あなたが信仰している宗教はなんですか?
49:選挙には投票に行っていますか?
50:支持政党はありますか?
51:あなたの人生観について聞かせてください。
52:尊敬する人物はいますか?
53:多様性についてあなたはどのようにお考えですか?

個人の思想や信条に関する項目には応募者を理解するために質問してしまいがちなテーマも含まれていますが、本来選考とはかかわりのない分野としての切り分けが大切です。

男女雇用機会均等法に抵触する可能性がある事柄

男女雇用機会均等法に抵触する可能性がある事柄とは主に結婚や出産に関する質問項目を意味します。

具体的な質問例としては以下のような内容が挙げられます。

<質問事例>
54:結婚のご予定はありますか?
55:出産後も仕事は続ける予定ですか?

特定のジェンダーロールを前提とした質問は労働差別として受け取られてしまうリスクがあるため、面接時において特に注意すべきタブーといえます。

やってはいけないNG行為

その他、面接時に行ってはいけないNG行動としては「履歴書や職務経歴書などを面接の場で細かく確認する」「すでに記載されている事項について質問をする」などが挙げられます。

面接官の準備不足を示す行為にあたり、応募者の就職意欲を低下させてしまう原因となるため注意が必要です。また、「目的意識に欠けた質問をする」「答えを強いる・誘導する」など面接の目的とはかけ離れた行動もNGです。

間違って質問したときの対処法

面接の流れのなかで万が一不適切な質問をしてしまった場合は迅速な訂正が重要です。応募者が答える前に「申し訳ありません。こちらの質問は不適切でした」と謝罪をしたうえで、応答する必要がない旨を伝える必要があります。

面接時の不適切な対応は企業イメージの低下につながるため早期の対応が肝心です。基本的にはあらかじめ精査した質問内容に沿って面接の流れを進め、不要なトラブルの回避を心がけましょう。

面接の精度を高めるための方法

面接官に求められる役割や力量は時代の変化にともなって高度化されていく傾向にあるため、面接官個人の資質のみに頼るのではなく、ある程度のシステムを整備して属人化を防ぐ必要もあります。

ここでは面接の精度を高めるための工夫について確認していきます。

マニュアルをきちんと整備する

面接の精度を高めるためには不慣れな社員に向けてマニュアルの整備が重要です。面接における基本的な流れや自社が行う目的、想定される質問例などを記載しておくと社員は事前に面接のポイントを理解できます。

さらにマニュアルには面接のクオリティを均一化して、不要なリスクを回避するメリットもあります。前述したように面接時はタブーとなる質問や行為に注意する必要があるため、マニュアルを通じて基本的なルールの徹底が重要です。

ただし、細かい部分まで記載するとかえって目を通しづらいため、ポイントのみをまとめて記載したり、図解にしたりするなどの工夫が欠かせません。

質問事項や評価基準を精査しておく

マニュアルを整えるうえで聞いてはいけない質問をしてしまわないように、あらかじめ質問事項を精査しておく必要があります。企業によって適した項目は異なるため、具体例を参考にしながら自社に合った質問内容を検討しましょう。

また、適した人材かどうかを公平に見極めるために評価基準の明確化も大切です。さらに具体的な評価基準に沿って面接評価シートを作成しておくと、応募者を公平に評価しやすくなり、面接のクオリティ向上と安定化が期待できます。

面接官のトレーニングを行う

面接官を担当してもらうメンバーにはしっかりと研修の機会と時間を確保してトレーニングを行う必要もあります。トレーニングは講義形式やロールプレイング形式などで行うのが一般的であり、企業の魅力を伝える力や応募者の本音を引き出す力などを身につけてもらうのが目的です。

オンライン面接を行うときの注意点

面接の段階や企業の考え方によってはオンラインでの面接を実施する場合も考えられます。オンラインで行う際は対面するとき以上に面接官のスキルが重要となるため事前に注意点の把握と理解が大切です。

オンライン面接の注意事項

 

準備に関する注意点

オンライン面接ではツールについての正しい理解が求められます。面接官はもちろん、応募者にも使い方を丁寧に案内しておき、当日は余裕を持って5~10分程度前に開始時間を設定するとスムーズに面接を進行できます。

また、応募者の許可を得て当日の面接を録画しておくのもひとつの方法です。後からデータを振り返り面接内容や応募者の印象などの客観的な確認により、問題点を改善できます。

面接中の注意点

対面と比較して緊張感が持続しやすいため通常よりも丁寧にアイスブレイクを行う必要があります。基本的なやりとりについても、通常より相槌の回数を増やしたり意識的にカメラに視線を合わせたりなど、オンラインならではの注意点がいくつかあります。

また、表情やアクションなども普段よりややオーバーにすることを意識すると、応募者が話しやすい雰囲気づくりが可能です。

まとめ

面接官は応募者にとって志望する企業で最初に顔を合わせる社内の人物となるケースが多い傾向にあります。企業の顔として重要なポジションを担う存在でもあるためきちんと研修を行い、スムーズかつ有意義な面接が行えるよう入念な準備が大切です。

特に面接の成否を決める「質問項目」については事前に精査しておく必要があります。面接の全体的な流れを把握し、細かなタブーも意識しながら具体的な質問事項を洗い出しましょう。

【Excel版】「採用目的別」面接質問例

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