座談会とは?実施する目的やメリット・採用活動につなげるためのポイントを解説

d’s JOURNAL編集部

座談会とは、会社説明会などの就職活動イベントのあとに自社の社員と学生が交流する場のことを指します。

座談会を実施することによって、自社の従業員と応募する学生との間に接点をつくることができます。学生の目線に立って進めていくことで、自社に対する理解や働いたときのイメージをより具体的に持ってもらえるでしょう。

しかし、座談会を行う目的や従業員にその点を理解してもらっていないと、参加した学生の応募意欲を下げることにもつながるので注意が必要です。

この記事では、座談会を実施する目的やメリット、採用活動につなげていくためのポイントなどを詳しく解説します。

座談会とは

一般的に座談会とは、数人が顔を合わせて、特定のテーマについて語り合ったり意見を交換したりする場のことを指します。そのうえで、特にビジネスにおける座談会は、「就職活動において、説明会の直後に学生と従業員が話をする場」のことを示す場合が多いです。

ここではまず、人材採用における座談会の役割や目的について見ていきましょう。

座談会の役割

座談会の役割は、自社の従業員と応募者である学生との間で交流を結ぶことにあります。説明会は会社発信で行われるため、応募者に疑問点や不安があっても、一人ひとりの声を丁寧に拾い上げることはできません。

それに対して、座談会は学生が気になる点を企業に質問していく形式で行われるため、疑問や悩みをじっくりと解消することができます。また、学生一人ひとりと向き合うなかで、自社の魅力をきちんと理解してもらったり、応募者から見た自社のイメージや立ち位置を知ることができたりするのも重要な効果です。

学生自身が入社後の働くイメージを持つ機会となるだけでなく、自社の従業員にとってもモチベーションを高めるきっかけとなるでしょう。積極的に座談会を開催していくことは、企業の人材交流を活発化させる一助となります。

座談会を行う目的

従来の就職活動では、「企業が学生を選ぶ」という側面が強く、採用する側が採用される側を見極めるといった単一方向の関係性が成り立っていました。しかし、売り手市場が長く続く現代では、「学生側も企業を選ぶ」という双方向的な関係性が基本となっています。

こうした時代にあって、座談会の重要性はますます高まっていると考えられるでしょう。ここでは、座談会を行う目的を3つに分けて解説します。

学生に自社のことを知ってもらう

座談会のもっとも重要な目的は、「学生に自社の魅力や特長をきちんと理解してもらう」という点にあります。座談会は学生からのさまざまな質問をもとに、従業員個人が受け答えしていくスタイルで進んでいくのが特徴です。

組織があらかじめ用意した答えではなく、実際に働いている先輩従業員の声を届けられるため、企業風土や職場の雰囲気など、自社をより深く理解してもらいやすいのです。また、応募者との接点を通じて、自社に関心を持っている学生の傾向もより深く探れるようになります。

学部や学科といった基本的な項目だけでなく、価値観や興味・関心などのパーソナルな側面からもデータを集められるのは、座談会ならではのメリットだといえます。自社に関心を持つ学生の傾向を知ることで、今後の採用活動の見直しにもつなげていけるでしょう。

自社に関心の高い学生をクロージングする

座談会のもう一つの目的は、「応募者をしっかりとクロージングする」という点にあります。前述のように、現在は学生側も企業を選ぶことが前提となっているため、説明会に足を運んでもらったとしても、そのまま選考に進んでもらえるとは限りません。

むしろ、説明会の段階では、多くの企業のイベントに参加して比較検討を行っていると考えるのが自然です。学生とじっくりコミュニケーションを図れる座談会は、迷っている応募者に対して、自社での就職を前向きに考えてもらう大きなきっかけとなるでしょう。

座談会は人数も少なく、カジュアルな雰囲気で話せるため、自社の魅力を知ってもらうなかでクロージングを行うことも可能です。座談会を行う目的に合わせて、柔軟な姿勢で開催してみましょう。

採用担当者の一体感が生まれる

座談会の開催には、自社のさまざまな従業員の協力が必要となるため、採用担当者の間で自然と一体感が生まれていくのも特徴です。一般的に、人材採用は人事部が担当するなどの分業制になっていることが多く、他の部門のメンバーが強い関心を持てる機会は限られています。

しかし、座談会は現場の従業員も主体的にかかわるため、採用に対する意識が高まり、組織全体の一体感が生まれていくのです。その結果、採用活動そのものの質も向上していくのが座談会のメリットです。

座談会を通じて、自社の魅力を再発見する従業員が出てくることも期待できます。また、幅広い部署から参加者を募ることによって、部署間のコミュニケーションも活性化します。座談会はあくまで自社の従業員と学生が交流する場として設けるものですが、社内の人材同士の交流を促す一面もあることを押さえておきましょう。

座談会の形式と実施されるタイミング

座談会の役割や目的について把握できたところで、ここでは座談会の形式や実施するタイミングといった観点から、さらに理解を深めていきましょう。自社に合った形で座談会を開催することで、よりよい成果を期待できるはずです。


座談会の主な形式

「応募者と自社の従業員の交流」といった本来の目的を果たせるのであれば、座談会には特に決められた形式はありません。自社の風土や文化、求める人材の性質などから、最適な方法を見つけていくことが大切となります。

そのうえで、もっとも広く用いられているのは、「テーブル形式」の座談会です。「ワールドカフェ 」とも呼ばれており、数人ずつのグループに分かれて、カフェのようにお茶を飲みながらリラックスした雰囲気で対話をする形式です。

テーブル形式のメリットは、参加した学生が他の応募者とのやりとりも聞ける点にあります。自分とは異なる視点を持った応募者と、それに対する先輩社員の対応などを見て、企業への関心が自然と深まっていくのです。

テーブル形式は席の配置やグループ分けの仕方によって、効果が大きく左右されるのも特徴といえます。職種ごとにテーブルを分けたり、一定の時間がきたら席の入れ替えを行ったりと、グループの分け方を工夫しながら進めるのが効果的です。

もう一つのメジャーな形式として、「パーティー形式」が挙げられます。文字通り、パーティーのような立食形式で行われることが多く、参加者が自由に行動して、自発的にさまざまな先輩社員と懇談の機会をつくっていくのが特徴です。

また、自ら話を聞きに行けない学生に対しては、従業員のほうからもアプローチを促していくことで場を活性化することにつなげていけるでしょう。

座談会が実施されるタイミング

座談会は自社の社風や魅力を知ってもらうために行うものであるため、採用活動においては比較的早い段階で開催する必要があります。基本的には、一連の流れで参加してもらいやすいことから、会社説明会後にそのまま行うケースが多いです。

また、企業によっては、はじめから会社説明会と座談会をセットで開催するというケースもあります。全体を通してカジュアルな雰囲気でイベントを進められるため、応募者にもリラックスして臨んでもらえるのがメリットです。

その他のパターンとしては、インターンシップや一次選考後など、選考途中に行われることもあります。自社の採用活動の方針と照らし合わせたうえで、実施に適したタイミングをよく見計らってみましょう。

座談会を実施するメリット

座談会の開催は、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。具体的に次の3つのポイントが挙げられます。

座談会を実施する3つのメリット

・自社の魅力を知ってもらえる
・学生とのコミュニケーションを図ることができる
・採用のミスマッチを未然に防ぎやすくなる

それぞれのメリットについて、さらに詳しく解説します。


自社の魅力を知ってもらえる

座談会では、自社の魅力に自然な形で触れてもらえるのが大きなメリットとなります。一方通行の情報発信ではなく、質疑応答形式で学生の興味や疑問に合わせたアプローチが行えるため、企業の魅力を知ってもらえるよい機会となるのです。

また、社風や企業文化といった言語化が難しい魅力について、先輩社員の姿を通して自然と感じてもらえるのもメリットといえます。たとえば、「若手が生き生きと活躍している」「立場や役職にかかわらず対等に意見を出し合える」といった社風に強みを持つ場合、文字情報ではなかなかその魅力を伝えることができません。

座談会であれば、先輩社員の姿や表情に触れたり、その企業上司と部下のやりとりを見たりするなかで、自然と社内の雰囲気を感じ取ってもらえるのです。

学生とのコミュニケーションを図ることができる

選考のプロセスにおいて、応募者の本心や人柄に触れられる機会は、実のところそれほど多くありません。たとえば、結果を直接的に左右することから、応募者もなかなか本音で話せず、どうしても自社の従業員と学生の間には心理的な隔たりが生まれてしまいます。

また、説明会も基本的には企業が主体となって進めることから、応募者は受け身にならざるを得ません。しかし、座談会であれば、学生の本音に近い部分に触れることができ、人柄についてある程度の理解を深められます。

そのため、企業からすれば、今後の採用活動に役立つ重要な機会となるでしょう。また、学生が自社をどのように見ているのか、就職においてどのような点に不安を感じるのかなど、貴重なデータを収集できる機会でもあります。

採用のミスマッチを未然に防ぎやすくなる

人材採用においては、採用のミスマッチを防ぐことも重要です。特に新卒者の場合、「イメージしていた業務内容と違っていた」「思い描いていたキャリアと乖離があった」「社風と合わなかった」など、自身と企業の方向性とのミスマッチが離職につながるケースも少なくありません。

人材が定着しなければ、再度採用を行わなければならないため、採用コストなどの損失が生じてしまいます。座談会では企業と学生の相互理解を深めることができるため、採用のミスマッチ予防も期待できるのがメリットです。

(参考:『ミスマッチとは?新卒・中途採用の早期離職防止に有効な原因別の対処方法を紹介【資料付】』)

座談会を成功に導くポイント


説明会は、あらかじめ進め方や伝える内容を決めておけるため、ある程度準備がしやすい面もあります。それに対して、座談会は学生の主体的な行動によって流れが変わるため、どうしても不確定要素が多くなるのが特徴です。

企業側でのコントロールが難しい部分もあるため、成功を収めるためにはいくつか意識しておきたいポイントがあります。ここでは、座談会を成功させるために、どのような点に気をつければよいかについて見ていきましょう。

質問をあらかじめ想定しておく

学生の自由な質問に答えるとはいっても、座談会は採用活動の一環として行われるため、ある程度テーマや内容が絞られてきます。そのため、座談会に参加する従業員に対しては、想定される質問をいくつか提示しておくとよいでしょう。

日頃はあまり就活生とかかわる機会がない従業員にとって、臨機応変な振る舞いが求められる座談会はプレッシャーとなります。あらかじめ質問の傾向がわかっていれば、回答も事前に用意しておけるため、心理的な負担を軽くできます。

座談会では次のような内容の質問が多くなるため、あらかじめ具体的な回答例を準備させておくとよいでしょう。

よくある質問例

・主な業務内容にはどのようなものがあるか
・社内はどのような雰囲気か
・現場や組織の人間関係はどのような雰囲気か
・必要な資格やスキルはどのようなものか
・福利厚生の内容はどのようなものか
・転勤はあるか
・どのようにキャリアを形成しているか
・仕事ではどのようなやりがいが得られるか
・業務で経験した大変なことは何か
・入社後にどのような苦労をしたか
・上司や先輩との交流はどのように行っているか
・一緒に働くメンバーにはどのような人物像を求めるか

また、参加者の傾向をつかんでおくため、座談会の担当者には応募してきた学生のプロフィールなどもあらかじめ共有しておくことが大切です。

テーマを明確にしておく

座談会を価値あるものにするためには、企業側である程度の道筋をつくっておくことも大切です。せっかく座談会の場を設けても、参加者や担当者に丸投げするだけでは、単なる雑談になってしまう可能性もあります。

そこで、まずは自社が学生に伝えたいことを明確にしたうえで、座談会のテーマを設定することが重要です。たとえば、具体的なテーマ例としては次のようなものが挙げられます。

主なテーマ例

・仕事で感じられるやりがい
・自社の仕事と社会とのつながり
・実際の仕事現場の様子
・社風や働き方の魅力
・各部署の業務内容
・自社の未来像や発展のための取り組み

何のために実施するのかを十分に検討し、担当者ともきちんと共有し合っておくことで、より実りの多い座談会を開催できるようになります。

時間配分に気を配る

スムーズな進行を行うためには、時間配分にもしっかりと目を向けることが大切です。時間の設定をあいまいにしたまま開催すると、「従業員が一方的に話をしてしまう」「1人の学生の質問に時間を使い過ぎてしまう」など、参加者に不満を感じさせてしまうリスクが高まります。

そのため、司会者や主催者は各プログラムの時間を明確に決めておき、スケジュール通りに進めることが大切です。たとえば、テーブル形式で進めるのであれば、従業員が1つのテーブルに滞在する時間を設定しておき、時間になったら話の途中でも区切るといった具合です。

あらかじめ決めたタイムテーブルは、事前に全体へ知らせておき、参加者にも協力してもらえるような体制を整えておくとよいでしょう。

参加者全員が発言できるように工夫する

充実した座談会を実施するためには、すべての参加者が発言できるように心がけることも大切です。たとえば、テーブル形式の座談会であれば、テーブル内で1人あたりの持ち時間を決めておくなどの工夫が求められます。

また、一部の学生に発言が偏ってしまうのを防ぐために、順番で話せるような仕組みを整えることも重要です。そのうえで、なかなか質問が出ないなど、いま一つ盛り上がりに欠ける場合は、司会者が明るく和やかな雰囲気をつくって質問や話の展開を促す必要もあります。

座談会にふさわしい従業員を選定する

担当する従業員の選定も、座談会のクオリティを左右する重要なポイントとなります。参加する学生からすれば、座談会を担当する従業員は、その企業で初めてじっくりと接点を持つ存在です。

それだけに、担当者の言動がそのまま企業イメージとなり、その後の応募意欲を左右してしまうといっても過言ではありません。そのため、まずは学生が憧れを抱けるような従業員を担当者に選定することが大切です。

また、実際のやりとりにおいては、現場に関する質問にも的確に対応できる資質が求められます。応募者にとっては、現場の最前線で働く従業員の声も重要な情報となるため、各部門の管理者などと連携を取り、幅広い人材を配置できるように努めましょう。

参加者はテーマによって柔軟に選ぶ

担当者の選定については、テーマも踏まえて考えることが大切です。たとえば、テーマの中心を福利厚生に置くのであれば、育休から復帰した女性社員などに担当してもらうと、応募者にとって有益な情報を提供しやすくなります。

また、社内の人間関係や上司との関係性については、フランクに話を聞ける若手従業員を配置したほうが、リアルな意見として受け止めてもらいやすくなるでしょう。一方、社内でのキャリア形成や自社と社会とのつながりなどをテーマにするのなら、ある程度の経験を積んだ中堅以上の従業員が適しているといえます。

開催時期や形式をよく検討する

座談会の参加率は、開催時期や開催形式によって大きく異なる場合があります。前述のように、座談会は応募者に自社をじっくりと理解してもらうことを目的としているため、採用活動の早い段階で行う必要があります。

本格的な選考がスタートしてしまう前に、会社説明会や一次面接の直後などで行うとよいでしょう。また、開催方法には対面形式とオンライン形式の2通りがあり、どちらも異なるメリットを持っています。

対面形式は、自社の雰囲気をよりダイレクトに感じてもらえるのが利点であり、応募者もリラックスして参加しやすいのが特徴です。一方、オンライン形式はどこでも気軽に開催可能であり、会社説明会などのイベントのタイミングを気にせずに実施できるのがメリットです。

また、人数を細かく区切り、複数回に分けて開催できるのもオンライン座談会の利点といえます。エリアや対象人数によっても、適したタイミングや形式は異なるので、自社の実情に合った方法を検討しましょう。

座談会の基本的な流れ


滞りなく座談会を進めるためには、全体の流れを把握しておくことも大切です。ここでは、座談会の具体的な手順について解説します。

受付を行う

座談会を開催する場合は、事前に応募者に対して連絡をしておく必要があります。たとえば、「説明会後には座談会を開催する予定です」といった内容を事前に通知しておくと、学生側にもしっかりと準備をして臨んでもらうことができます。

そのうえで、当日の参加人数を把握しておくために、メールなどで参加の可否を確認しておくとよいでしょう。当日は参加者の把握ミスなどを防ぐために、専門の担当者を配置して、受付の段取りを整えておくことも大切です。

参加予定者が多い場合には、QRコードや整理番号などを事前に発行し、受付に時間がかからないように配慮しておきましょう。

グループに分かれてもらう

受付が終わった学生に対して、まずは座談会に関する全体的な説明や注意事項などを伝えます。その後に、座談会に参加する自社の従業員に自己紹介を行ってもらいましょう。

学生が後から質問しやすいように、所属部署や経歴などを手短に伝えてもらいます。自己紹介が済んだら、学生を5~10人程度のグループに分け、それぞれの従業員を取り囲むように車座になって椅子に座ってもらいます。

質疑応答を行う

学生が席に着いたら、質疑応答を実施します。質問形式に特に決まりはありませんが、学生が緊張をしてなかなか質問できないことも想定されるので、順番に指名をしていくなどの工夫をして、質問しやすい雰囲気をつくってみましょう。

学生からどのような質問があったのかを後から振り返るために、個々の従業員に質問内容のメモを残してもらうのも大切です。

一定時間が経過したら移動してもらう

座談会に参加する人数にもよりますが、一定時間が経過したら、ローテーションの指示を出します。従業員が別のグループに移動する形のほうが、座談会の進行としてはスムーズでしょう。

設定した時間内で、できるだけ多くの従業員に質問する機会を学生側に与えることで、座談会を実りあるものにしていくことが重要です。

座談会で話をする従業員の選び方

座談会を成功に導くには、座談会に参加してもらう従業員の選び方が大切になります。特定の部署に偏ったり、年次があまり変わらない従業員ばかりを参加させたりしてしまうと、学生にとって刺激を得る機会が薄れてしまうからです。

ここでは、座談会で話をする従業員の選び方について解説します。

年次の高い従業員

入社してから勤続年数が長い従業員の参加は、キャリアビジョンを描けていない学生向けに効果を発揮するでしょう。入社から現在に至るまでの経験やキャリアを語ってもらうことによって、働いたときのキャリアパスをイメージしやすくなるからです。

選定を行う際は、勤続年数だけでなく各部署に在籍している期間も踏まえたうえで、ふさわしい人材を選んでみましょう。管理職などにも協力をしてもらって、現在の社内でのポジションから選んでみるのも一つの方法です。

年次の高い従業員に対する質問としては、下記のようなものが想定されるでしょう。

年次の高い従業員への質問例

・今までのキャリアで、自分の成長につながったと感じる点を教えてください。
・結果を出している部下にはどのような特徴がありますか。
・新入社員や部下に対して、どのようなことを期待していますか。

年次の低い従業員

入社してそれほど経っていない年次の低い従業員は、学生と年齢が近いため、気軽にコミュニケーションを取りやすいといった特徴があります。若手社員であれば、学生時代のときの話題や新入社員時代のエピソードなどが豊富にあるはずなので、学生にとって親しみを持ってもらうきっかけとなるでしょう。

年次の低い従業員は、学生が入社をすれば一緒に働く仲間となる可能性が高いので、学生の目線に立って質問に答えられそうな人材を選ぶことが大切です。想定される質問事項としては、次のようなものが考えられます。

年次の低い従業員への質問例

・学生時代に、入社するために行った対策を教えてください。
・OB・OG訪問は何人くらい行いましたか。
・新入社員時代に辛かったことのエピソードや、どのように乗り越えたのかを教えてください。
・一緒に働く仲間として、新入社員に求めることを教えてください。

さまざまな部署から集まってもらう

座談会に参加をしてもらう従業員は、できるだけ多くの部署から集まってもらうほうがよいでしょう。同じ会社であっても、営業職と開発職では取り組むべき業務や仕事の目的などが大きく異なるからです。

さまざまな部署から参加してもらうことで、学生がいろいろな視点から話を聞けるようになります。男性従業員と女性従業員の比率や、管理職の参加など、個々の従業員の人選だけでなく全体的なバランスを踏まえたうえで決めていくことが大切です。

新人が配属されやすい部署の従業員

学生向けの座談会であることを考えれば、新入社員が配属されやすい部署の従業員に参加してもらうことは有益です。入社してから配属されやすい部署の従業員に参加してもらえば、学生は入社後の働き方や業務内容などを直接尋ねられます。

座談会は学生に対する一方的な情報発信の場ではなく、採用活動に結び付けていくための場であるため、常に学生の目線に立った配慮を行うことが求められます。新入社員が配属されやすい部署に在籍している従業員にできるだけ多く参加してもらうことで、座談会を充実させることができるでしょう。

座談会を実施するときの注意点


座談会を実施することは、自社の従業員と学生が交流する機会となり、企業イメージのアップや採用活動の円滑化につなげられます。しかし、座談会を運営する方向性をあらかじめ決めておかないと、かえって逆効果になることもあるので注意が必要です。

座談会を実施するうえで、どのような注意点があるのかを解説します。

学生の応募意欲を下げないように気を配る

座談会は自社の魅力を伝えるよい機会となりますが、学生によっては座談会に参加したことによって、応募への意欲が低下してしまう場合もあります。たとえば、企業側が学生との交流を張り切り過ぎて、一方的に多くの情報を与えてしまうと、学生側の混乱を招く恐れがあるでしょう。

また、座談会に参加した従業員が趣旨をきちんと把握しておらず、単なる雑談を行う場になるケースもあります。座談会は学生に気軽に参加してもらうという狙いがありますが、あくまで企業主体で行うものであることを忘れてはなりません。

参加する従業員に対しては、事前にどのような趣旨で座談会を実施するのかを明確に伝え、軽率な発言をしないように注意を促しましょう。高圧的な態度をとったり、コンプライアンスに触れるような発言があったりすると、学生のモチベーションを低下させる原因になるので注意が必要です。

話しやすい雰囲気づくりを心がける

座談会は学生にとって、自社の存在や業務などを知ってもらうための絶好の機会です。しかし、せっかく場を設けてもなかなか質問しづらい雰囲気だと、学生から活発な意見をもらうのは難しくなるでしょう。

参加する学生の緊張を和らげるために、参加予定者に対しては事前に従業員のプロフィールを配布したり、質問票に記入してもらったりしておくとよいでしょう。参加する従業員の所属や経歴などがわかれば、質問したい内容を決めやすくなるうえ、あらかじめ質問票が配られることによって、聞きづらいことも尋ねやすくなります。

学生からの質問票があることで、自社の従業員もその内容を確認しておくことができ、回答をスムーズに行えるといったメリットがあります。学生から寄せられた質問票の内容を集約して、関心の高い質問についてまとめておくと、座談会の内容を充実させられるでしょう。

あくまで学生の自主性を尊重する

会社説明会は企業側が自社のことや事業、将来のビジョンなどを積極的に発信していく場です。一方、座談会は採用活動につなげていくことを目的としているので、企業と学生が双方向でつくり上げていく必要があります。

そのため、会社説明会のような雰囲気で対応するのではなく、学生の自主性を尊重する形で座談会の運営を行ってみましょう。学生からはさまざまな質問が寄せられるでしょうが、むやみに内容を否定するのではなく、なぜそのように思ったのかを学生自身に尋ねてみるのもよいといえます。

自分の質問に対して、企業側がしっかりと答えてくれていると感じてもらえば、学生の応募意欲を高めることにつなげられるでしょう。

SNSなどの書き込みに注意する

座談会を実施したらアンケート用紙を配布したり、所定のWebフォーマットに感想を記入してもらったりして、学生がどのような意見や考えを持ったのかを確認してみましょう。また、座談会に参加した学生のなかには、SNSや掲示板などに感想を書き込む人もいます。

Web上の書き込みについては学生自身の感想であるため、過敏に反応をすることはありませんが、今後も座談会を行ううえで役立つ意見もあるので意識的にチェックしておくことも大切です。ポジティブな反応やネガティブな反応のどちらに対しても、誠実に対応していく姿勢が求められます。

特にネガティブな反応をそのままの状態にしておくと、他の参加予定者に悪影響が出るケースもあるので、書き込みを見つけ次第、丁寧なやりとりを行っていくことが大事です。

まとめ

初めて座談会に取り組むときには、特に入念な準備が必要です。会社説明会と同じ雰囲気で進めようとしても、学生は緊張してしまい、応募意欲の低下につながりかねないので注意しましょう。

座談会はあくまで、企業と学生が交流する場として設けるものです。そのため、自社の従業員や参加する学生にとって、有意義な時間となるように工夫してみましょう。

また、座談会を開催していくうちに、自社に興味を持っている学生の傾向を知ることにもつながります。採用活動をより効果的に進めていくためにも、積極的に座談会を開催してみましょう。

(制作協力/株式会社アクロスソリューションズ、編集/d’s JOURNAL編集部)

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