ガラスの天井とは?基本的な捉え方と解消するポイント

d’s JOURNAL編集部

ガラスの天井とは、組織のなかで昇進や昇格するのに問題がない能力・実績を備えている人が、性別や人種などを理由として不当な待遇となってしまう状態を指します。

キャリアパスの道が描かれているにもかかわらず、キャリアアップを阻む見えない壁や天井が存在することの比喩表現です。

特にビジネスや政治の分野において、女性の社会進出を阻んでいる言葉として使われるケースが多いでしょう。この記事では、ガラスの天井の基本的な捉え方と解消するためのポイントを解説します。

ガラスの天井とは


ガラスの天井について正しく理解するためには、まず基本的な意味を押さえておく必要があります。似ている表現である「壊れたはしご」についても解説します。

ガラスの天井の概要

ガラスの天井(Glass ceiling:グラスシーリング)とは、組織のなかで昇進や昇格するのに十分な資質を備えているにもかかわらず、性別や人種などを理由として、不当にキャリアアップを阻まれてしまう状態を指します。キャリアパスそのものは描かれていても、キャリアアップを阻む見えない壁や天井が存在することの比喩表現です。

ビジネスの分野や政治の世界で使われることが多い言葉であり、企業においては上級管理職への昇進、政治の世界においては意思決定の場面での登用などにおいて使われることが多い言葉となっています。ガラスの天井という言葉は、1978年にマリリン・ローデンが「女性のキャリアパスを阻む見えざる障害を意味する用語」として発言したことがきっかけです。

1991年には、アメリカの連邦政府労働省が公的な言葉として使用しており、組織内の昇進において女性やマイノリティーがガラスの天井によって阻まれていることを認めています。

壊れたはしごとの違い

ガラスの天井と似たような言葉に、「壊れたはしご」というものがあります。職場における女性の昇進について、経営層や上級管理職だけでなく、課長や係長などのファーストレベルの管理職でも女性の登用が少ない現状を表す言葉です。

つまり、キャリアアップの最初の段階での昇進が積極的に行われていないため、結果として管理職全体に占める女性の割合が少なくなる構造となっています。次のステージに上がるはしごが外されている状態から、「壊れたはしご」と呼ばれています。

日本におけるガラスの天井の状況


2023年にスイスの非営利財団である世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数(GGI) 2023年」によれば、日本の総合スコアは0.647となっており、順位は146カ国中で125位となりました。主要7カ国では低い水準にあり、特に経済分野と政治分野において、スコアの低さが目立っています。

日本においても、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことから、ガラスの天井を解消する取り組みがさまざまな分野で行われています。しかし、従来の慣習や周囲の無理解、アンコンシャスバイアスなどによって、ガラスの天井に関する諸課題を解消できていないのが現状だといえるでしょう。

(参照:『ジェンダー・ギャップ指数(GGI)』 )

分野別のガラスの天井


GGIの数値に見られるように、日本では特に経済分野と政治分野においてガラスの天井の課題が生じています。どのような課題を抱えているのかを解説します。

経済分野におけるガラスの天井

2022年に内閣府男女共同参画局が取りまとめた「女性活躍に関する基礎データ」によれば、日本における女性管理職の割合は、係長相当職で20.7%、課長相当職で12.4%、部長相当職で7.7%となっています。管理職全体に占める女性の割合は、まだまだ低い水準にあるといえるでしょう。

また、役員クラスの登用割合を諸外国と比較すると、フランスが45.3%、イギリスが37.8%、アメリカが29.7%であるのに対して、日本は12.6%です。女性役員の割合自体は上昇していますが、諸外国と比べればまだ低い状況にあります。

(参照:首相官邸『女性活躍に関する基礎データ』 )

政治分野におけるガラスの天井

内閣府男女共同参画局が2020年に取りまとめた、「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~」によれば、2020年10月時点における衆議院の女性議員の割合はフランスが39.5%、イギリスが33.9%、ドイツが31.2%、アメリカが23.4%、韓国が19.0%に対し、日本は9.9%です。

日本の有権者に占める女性の割合は約52%となっていますが、国政における意思決定の場に女性がなかなか参画できていない現状がうかがえます。内閣府男女共同参画局では、女性議員の数が少ない理由について、「立候補や議員活動と家庭生活との両立が困難」「人材育成の機会の不足」「候補者や政治家に対するハラスメント」などを挙げており、ガラスの天井が政治分野で起こっていることを示しています。

(参照:『第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~』 )

ガラスの天井を解消する方法


ガラスの天井を解消するには、具体的な取り組みを進めていく必要があります。どのような施策が課題の解消につながっていくのかを解説します。

従業員と話をする機会を増やす

ガラスの天井を取り除いていくには、まず直属の上司が部下に対する理解を深めていく必要があります。1on1ミーティングなどを通じて、部下の話をじっくりと聞き、会社の対応や働き方についてどのような考えを持っているのかを把握しましょう。

部下が課題だと感じている部分を整理し、部署内の他のメンバーの協力も得ながら解決を目指していくことが大切です。また、経営層などとも情報共有を行い、全社的な取り組みとして進めていくことが重要だといえます。

社内制度づくりと意識改革に取り組む

例えば、結婚や出産を機に退職する女性従業員が多い場合、社内制度の見直しが必要です。男性・女性にかかわらず、育児休暇や時短勤務を選択できるような制度に変更して、ライフステージに沿った働き方ができる環境を整えてみましょう。

また、単に制度を導入するだけでなく、その後も適切に運用されているかをチェックすることも大切です。なぜ新たな制度を導入するのかを従業員に対して丁寧に説明して、社内の意識改革に取り組んでみましょう。

まとめ

ガラスの天井は性別や人種などによって、十分な資質があるにもかかわらず、昇進の機会を阻まれている状態をいいます。日本においては、経済分野や政治分野において女性が登用される機会がまだまだ少なく、変化が望まれているのが現状です。

女性だけでなく、誰にとっても働きやすい組織であれば、自ずと定着率もよくなり、組織の活性化にもつながっていくでしょう。

(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)