キャリアブレイクとは?従業員のキャリアに関する捉え方を解説

d’s JOURNAL編集部

長く働き続ける従業員が、いったん仕事を離れて自らのキャリアを見つめ直すということもあるものです。また、キャリアに間がある求職者の採用を判断するときに、どのような基準で捉えていけばよいかを考えるケースもあるでしょう。

キャリアブレイクについて前向きに捉えることは、企業と従業員の双方にとってプラスになる部分が多いといえます。この記事では、従業員のキャリアに関する捉え方を解説します。

キャリアブレイクとは


キャリアブレイクについて考える際は、基本的な意味や注目されている理由を把握しておくことが大事です。キャリアブランクとの違いも含めて解説します。

キャリアブレイクの意味

キャリアブレイクとは、今取り組んでいる仕事を一定期間離れて、自らのキャリアを見つめ直す期間をいいます。これまで築いてきたキャリアを振り返ることで、今後どのような人生を歩んでいくのかをじっくりと考え、キャリアを再構築していくための準備期間だと捉えられています。

キャリアブレイクの期間の使い方は人によってさまざまですが、スキルアップや学び直しに取り組んだり、リフレッシュをして心身を整えたりするのが一般的です。ヨーロッパにおいては、ワークライフバランスを実現するための取り組みとして浸透しており、新たな形での長期休暇制度などが設けられています。

キャリアブレイクが注目される理由

キャリアブレイクという考え方が注目されているのは、平均寿命が長くなっている時代において以前よりも仕事に従事する期間が長くなっており、学び直しが必要な場面が増えてきているからだといわれています。仕事と学習を繰り返しながら生涯にわたって学び続けることをリカレント教育といい、キャリアの再構築と絡めて意識する人が増えています。

1つの会社に就職をする時代から、雇用の流動性が高まっている時代となり、働く側が自らのキャリアについて考える機会も増えているといえるでしょう。生涯を通じてさまざまなキャリアを経験したいと考える人が増えたことで、仕事に対する考え方も多様化しています。

仕事以外の部分でも充実した時間を過ごしたいという考えは、ワークライフバランスの実現を目指す流れにつながっており、その一環としてキャリアブレイクが捉えられている部分があります。企業としても、働く側のそうした考えをよく理解したうえで、人事労務管理などを行っていく必要があるでしょう。

キャリアブランクとの違い

キャリアブランクとは、キャリアの空白期間を表す言葉であり、無職のままでいた期間といった意味合いを持ちます。どちらかといえば、ネガティブな印象を与える部分があるでしょう。

一方、キャリアブレイクは将来のことを見据えたうえで、必要な準備を行う期間として前向きに捉えられるケースが多いといえます。

キャリアブレイクを前向きに捉えるメリット


キャリアブレイクを前向きに捉えることで得られるメリットとして、次のような点が挙げられます。

キャリアブレイクの3つのメリット
・既存従業員のモチベーションを高められる
・新たな働き方の提示やキャリア支援につながる
・多様な人材の確保に結び付けられる

各メリットについて解説します。

既存従業員のモチベーションを高められる

キャリアブレイクを企業が前向きに捉え、施策として導入を検討することによって、従業員のモチベーションを高めることにつながります。キャリアブレイクを経験した人材が社内にいれば、既存の従業員にとっても新たな価値観に触れる機会となるでしょう。

これまでのキャリアを見つめ直すことは、従業員自身が新たな可能性や能力に気付くきっかけとなります。企業から与えられた仕事をただこなすだけでなく、主体的にキャリアを形成していく流れを生み出すことにつながるでしょう。

モチベーションマネジメントについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『モチベーションマネジメントとは?従業員の意欲を引き出すポイントを紹介』 )

新たな働き方の提示やキャリア支援につながる

キャリアブレイクの経験がある従業員が、自社で活躍する姿を見ることで、時代の変化に合わせた働き方やキャリアのあり方を企業としても学ぶきっかけになります。従業員に対してキャリア支援を行う際に、さまざまな視点からアプローチを行えるほうが、仕事に対する意欲を引き出せるはずです。

多様な考えや価値観を受け入れる姿勢を示していけば、企業イメージの向上にもつながるでしょう。魅力のある企業として認識してもらうことで、採用活動にもプラスの効果をもたらしていくといえます。

多様な人材の確保に結び付けられる

キャリアブレイクを経験した従業員が在籍していることで、既存の従業員だけでなく、これから働こうとする人に対してもアピールポイントになるでしょう。さまざまなバックグラウンドを持つ従業員が、活き活きとした姿勢で働いていれば、求職者の興味・関心を引き付けることにもつながります。

採用活動における母集団を増やすことになり、より効率よく採用活動を進めていけるはずです。働く側の視点に立って、キャリアブレイクに前向きな姿勢であることをアピールしてみましょう。

バックグラウンドチェックについて、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『バックグラウンドチェックとは?調査内容や実施方法を紹介』 )

キャリアブレイク経験者を採用するときのポイント


キャリアブレイクを経験した人の採用を検討する場合、次の点をきちんと確認しておくことが大切です。

キャリアブレイク経験者を採用するときの3つのポイント
・キャリアブレイク期間に何をしたかを確認する
・キャリアブレイクに対する考え方を尋ねる
・今後のキャリアパスについて意見を聞く

それぞれのポイントを解説します。

キャリアブレイク期間に何をしたかを確認する

キャリアブレイクを経験した期間に、どのような取り組みを行ったのかを面接などを通じて確認しておきましょう。具体的には、資格の取得やスキルの習得、ボランティア活動、海外への留学、リフレッシュのためなど応募者によってさまざまな回答があるでしょう。

単に何かに取り組んだことだけを評価対象とするのではなく、経験を通じてどういった学びを得たのか、将来のキャリア形成にどうつながるのかをエピソードを交えながら話してもらうことが大切です。キャリアブレイク期間中に体験したことと、今後のキャリアとの関連性をよく見極めてみましょう。

キャリアブレイクに対する考え方を尋ねる

すでに身につけている知識をブラッシュアップしたり、新たなスキルを習得したりするなど、キャリアブレイク期間中の過ごし方は多種多様です。応募者自身がどのような考えで、そうした時期を過ごしていたかを尋ねるようにしてみましょう。

キャリアブレイクとして過ごしていた期間を前向きに捉えているのか、それとも後ろ向きに捉えているのかによって、今後のキャリアのあり方も違ってくるものだといえます。これから先の長い人生においてキャリアブレイクの期間が必要であり、プラスの影響をもたらすものであったかを応募者自身に尋ねてみることが大事です。

今後のキャリアパスについて意見を聞く

キャリアブレイクによって得られた知識や経験を、今後どのように活かしていくのかを尋ねてみましょう。応募者の適性や今後のキャリア形成を見定めるポイントになるため、きちんとコミュニケーションを取りながら詳しく話を聞いてみることが大切です。

将来のことを考えて、キャリアブレイクを行った応募者の意見や考えは、既存の従業員のキャリア支援を実施する際にも参考になる部分があるでしょう。固定観念に捉われず、応募者からの柔軟な回答を引き出せるような雰囲気をつくって、面談や面接を行うことが大事だといえます。

まとめ

社会に出てから仕事に携わる期間が長い現代において、中長期的な視点に立ってキャリアを捉えていくことは重要な点となっています。さまざまな仕事を経験してキャリアを築いていくのは大事ですが、時として従業員自身が自分のキャリアを見つめ直すために、しばらく仕事から離れるという選択肢もあるでしょう。

キャリアブレイクを前向きに捉えられる企業であれば、多くの人材を呼び込みやすい環境を整えやすくなります。実際にキャリアブレイクを経験した人たちの意見や考えなども参考にしながら、自社のキャリア支援のあり方につなげてみましょう。

(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)

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