Z世代の特徴とは|ミレニアル世代との違いや働き方や価値観をわかりやすく解説

d’s JOURNAL編集部

1990年代中盤以降に生まれた特定の世代を、「Z世代」と呼びます。Z世代の社会進出が始まる中、「他の世代とはどのような違いがあるのか」「仕事に対してどのような価値観を持っているのか」を知りたい人事・採用担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、Z世代の意味や特徴、働く上での価値観などをご紹介します。

Z世代とは?

「Z(ゼット)世代」とは、特定の世代を表す言葉です。元々はアメリカの世代分類「GenerationZ(ジェネレーション・ゼット)」という言葉から派生し、「Gen Z(ジェネジー)」「Z世代」とも呼ばれるようになりました。

Z世代とは

Z世代は何歳の人が該当するのか

Z世代の年齢に明確な定義はありませんが、一般的に1990年代半ば(もしくは2000年代序盤)以降に生まれた世代を指します。2022年現在で、おおむね10代前半〜25歳くらいまでの若者がZ世代です。

日本の世代分類では1980年代序盤〜後半に生まれた「キレる17歳世代」の下の世代である、「さとり世代」や「コロナ世代」の一部がZ世代にあたります。

Z世代の語源・由来

ジェネレーションZはアメリカで生まれた言葉ですが、さらに上の世代は「ジェネレーションX」「ジェネレーションY」「ミレニアル世代」と呼ばれています。そのため、アルファベット順に「Y」のすぐ下の世代という意味で「Z」と名付けられたそうです。

今までの若者と何が違う?Z世代の特徴は?

今までの若者とZ世代には、どのような違いがあるのでしょうか。心身ともに若いという点はこれまでの世代と変わりませんが、価値観や考え方には異なる部分が多いとされています。Z世代の特徴について、社会的背景を踏まえながら見ていきましょう。

今までの若者と何が違う?Z世代の特徴は?

『自分らしさ』を大切にしたい

多様性を当たり前のこととして受け入れているZ世代は、「周囲と同じ」ではなく「自分らしさ」を大切にする傾向が強いです。学校教育やインターネットの情報を通して「多様性(ダイバーシティー)」「ジェンダーレス」「LGBTQ」などの知識・考え方・感覚が身に付いているため、他者に対しても、年齢や性別などの属性にとらわれず、「一個人」として接します。

また、多様な情報をもとにフラットな目線で判断する力にも長けており、おかしいと思ったことはおかしいと伝えるなど、自分の価値観に基づいた発言や選択をすることも多いでしょう。
(参考:『ダイバーシティーとは何をすること?意味と推進方法-企業の取り組み事例を交えて解説-』『LGBTフレンドリーな企業が行っている取り組みとは。LGBTQやAlly(アライ)の意味も解説』)

承認欲求が強く『どう見られるか』を気にする

自分らしさを大切にする一方で、他者からの評価に敏感で承認欲求が強い傾向にあることも、Z世代の特徴と言えます。生まれたときからデジタル技術と密接に関わるソーシャルネイティブで、SNSが当たり前のコミュニケーションツールになっているため、「面白いと思ったことや感動したことを共有したい」「自分の考えや行動を受け入れられたい」と考えることが多いようです。そのため、仕事においては「評価を気にしすぎて保守的になってしまう」「指摘を受けた際に落ち込みやすい」といったケースもあるかもしれません。

効率性を重視する傾向

Z世代には効率性を重視する傾向もあります。Z世代が育った2000年代には、スマートフォンやAI、VRなどデジタル技術の目覚ましい発展が見られました。さまざまな電子機器やツールを自然の流れで取り入れ、当たり前のように使いこなすことで、効率を重視する意識が生まれたのです。そのため、仕事においては、「紙媒体での処理をデジタル化すれば効率が上がる」「このツールを使用すれば作業時間を短縮できる」といった発想をしたり、自身でシステム化を実現したりする可能性も高いでしょう。

オープンでフラットなコミュニケーションを好む

インターネットが普及した後に誕生したZ世代にとって、SNSは日常生活に深く浸透しているものです。そのため、SNSを通じて、国内外・年齢・性別・職種を問わず、さまざまな人とのつながりを持つ傾向があります。同じ考えを持つ人とコミュニティーをつくったり、自分の考えを積極的に発信したりする人も多いようです。職場においても、オープンでフラットなコミュニケーション環境を求める傾向が強いでしょう。

Z世代とその他の世代との違い

Z世代とミレニアル世代以外にも『〇〇世代』という表現は多数あります。

世代  生まれた年 
X世代  1960年代~1980年代前半 
ミレニアル世代  1980半ば~1990年代半ば 
Y世代  1980半ば1990年代後半 
Z世代  1990年代半ば(2000年代序盤)~2010年代前半 
α(アルファ)世代  2010年代前半~2020年以降 

 

これらは混同されやすい表現であるため、以下ではX世代とY世代とα世代の意味も簡潔に紹介させていただきます 

X世代

X世代は1960年代から1980年代前半までに生まれた世代です。成人した後にインターネットや携帯が普及した世代のため、情報収集においてテレビや雑誌にネットなど、バランスよく活用しているのが特徴です。

世の中のさまざまな変化に直面してきたので適応能力が高く、独立心も強い傾向があると言われています。

Y世代

Y世代は1980年代半ばから1990年代後半に生まれた世代です。年代的にはミレニアル世代とほぼ同じですが、日本のバブル崩壊や就職氷河期といった不況の時代を生きてきた世代です。

厳しい不安定な環境下で育ってきたので安定志向が強く、転職にも慎重な考え方が多い傾向にあります。

α(アルファ)世代

α世代はZ世代のあとの世代のことを指します。Zの次のアルファベットがないため、ギリシャ文字の1番目である『α(アルファ)』が活用されました。

子どものころからインターネットが当たり前の時代を生きており、α世代が成人した際にはZ世代とも別の価値観・ライフスタイルを築いていくのではないかと予想されています。

Z世代に注目が集まる3つの理由とは

Z世代は2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており、その数はミレニアル世代を上回ります。そのため、今後は「消費者」として経済を動かす主役になると考えられており、世界中から注目を集めている存在です。

その一方で、少子高齢化が進んだ日本におけるZ世代の人口は総人口の13.9%にとどまっており、影響力が弱く注目度も低いと思う方もいるかもしれません。しかしながら、日本においては「消費者」だけでなく、「媒介者」「労働者」という側面にもスポットが当てられ、メディアで特集が組まれるなどしています。

その主な理由として、以下の3つが挙げられます。

  • LTV(顧客生涯価値)が高い
  • 情報配信能力が高い
  • 若者の採用に注力する企業が多い

※LTV(顧客生涯価値):顧客と企業が取引関係を持っている期間に、その顧客から得られる利益(金額)のこと

新興国の経済成長に伴う需要の増加

日本では特にLTVの観点から、重要な消費対象者として注目を集めています。2031年以降はZ世代の収入が25%を占めるという予想されており、数年後にはこの世代の購買力向上が期待されています。

現状では全体的に年齢が若いため大きな購買力はありませんが、今後消費活動において注力すべき存在になっていくでしょう。

オンラインの情報配信力が高い

Z世代はインターネットの活用が当たり前になった時代に生まれ育った世代のため、SNSや動画など拡散性の高いネットツールを使いこなし、情報の取捨選択や自己発信が得意なのが特徴です。

上の世代よりも多様な価値観や行動様式を持っているので、その配信内容に注目が集まっています。

また、インフルエンサーのSNS投稿を見て商品を購入したり、自分の買ったものをSNSでシェアしたりすることも多く、「媒介者」の役割も果たしていると言えるでしょう。

若者の採用に注力する企業が多い

さらに、少子高齢化が続く日本では、貴重な「労働力」として期待されている世代です。転職が珍しくなくなり中途採用比率が増えた現代では、企業は採用活動においてZ世代のニーズに応えていく必要があります。

以下からは、「労働者」の側面に注目し、Z世代の特徴や価値観などを紹介していきます。

Z世代の働き方の傾向は?

Z世代は、仕事に対してどのような意識を持っているのでしょうか。Z世代のみを対象とした調査結果ではありませんが、2017年に内閣府が16歳~29歳の男女を対象に行った「就労等に関する若者の意識調査の結果」をもとに、若い世代の働き方の傾向を探ります。

職業選択で重視する点は以前と大きく変わらない

下のグラフは、「仕事を選択する際に重要と考える観点」4項目における、2011年度と2017年度の回答の割合を比較したものです。それぞれの項目ごとのパーセンテージにそれほど変化はなく、両年ともに「安定して長く続けられること」「収入が多いこと」に「とても重要」「まあ重要」と回答した人が多いという結果になっています。

仕事を選択する際に重要と考える観点
(参考:内閣府『平成30年度版 子供・若者白書(概要版) 特集 就労等に関する若者の意識』)

仕事よりも家庭・プライベートを優先する人が増加

仕事と家庭・プライベート(私生活)のどちらを優先するかについては、2017年では「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」と回答した人が63.7%でした。2011年の52.9%よりも10.8ポイント上回る結果となっています。

仕事と家庭・プライベート(私生活)とのバランス

(参考:内閣府『平成30年度版 子供・若者白書(概要版) 特集 就労等に関する若者の意識』)

転職に否定的な声はそれほど多くない

こちらは2017年のみの調査ですが、転職に対する意識の割合を見ると、「自分の能力や適性に合わない職場ならば、転職することもやむをえない」「自分の能力や適性に合わない職場ならば、転職する方がよい」「自分の能力や適性に合わない職場を求めて、積極的に転職するべきである」と回答した人の割合は、合計で72.1%という結果に。

「自分の能力や適性に合わない職場であっても、転職は絶対すべきではない」「自分の能力や適性に合わない職場であっても、転職はできる限りしない方がよい」といった、転職に否定的な項目を選択した人の割合は合計で17.3%と、2割未満にとどまっています。

転職に対する意識

(参考:内閣府『平成30年度版 子供・若者白書(概要版) 特集 就労等に関する若者の意識』)

Z世代に支持される会社の特徴とは?

Z世代はどのような企業制度や環境に魅力を感じるのでしょうか。Z世代に支持される会社の特徴をご紹介します。

ワークライフバランスが整い自由度も高い

前述の内閣府アンケート結果から、Z世代は「家庭・プライベート」の優先度が高いことがわかります。そのため、自由度が高く、ワークライフバランスが整いやすい企業を好むでしょう。

とりわけ、Z世代は仕事とプライベートを無理なく連動させるという柔軟な考え方である「ワークライフインテグレーション」を重視していると言われています。「テレワーク勤務」や「フレックスタイム制度」の導入、「残業時間の短縮」「多様な休暇制度の創設」「副業の許可」など、仕事だけでなくプライベートも充実できるような制度や仕組みを整備することが重要です。

効率的な労働環境

デジタルネイティブで効率性を求めるZ世代は、タイムパフォーマンスを意識した会社に好感を持ちやすいと言えます。そのため、議題やゴールが定まっていない非生産的な定例会議や非効率的な業務による残業、業務時間外に長時間拘束される飲み会などは好まれない可能性が高いです。

Web会議やクラウドツール、デジタルデバイスなどを活用した業務体制を構築し、効率的に仕事ができる環境を整えるとよいでしょう。

(参考:業務効率化を検討したい!企業がすぐに取り組めるアイデア18選【チェックリスト付】

Z世代に効果的な採用活動とは?

Z世代を採用するには、まず自社の情報を認知してもらい、応募につなげていく必要があります。採用活動において重要なポイントをご紹介します。

適切なチャネル活用と懸念の払拭を

採用活動においては、適切なチャネル活用と懸念の払しょくがポイントとなります。

まずは、Z世代が利用するツールを活用しながら、広報活動に継続的に取り組みましょう。ソーシャルネイティブであるZ世代は、企業のホームページだけでなく、口コミサイトやSNSを活用してよりリアルな情報を得ることも多いです。そのため、近年はSNSで企業アカウントを開設する会社も増えています。写真や動画などを使用して、オフィス風景や先輩社員の働く様子、日常の何気ない出来事などを発信すれば、社内の風土や空気感を伝えることができるでしょう。

さらに、時間の自由度や効率性など、Z世代に訴求できるポイントを明示することも大切です。もし、応募の妨げになりそうな情報があれば、懸念を払しょくできるような情報も盛り込むようにしましょう。

(参考:『採用広報の決定版。社員のフォロワー数は合算6万人、内定承諾率と離職率を大幅改善するSNS活用法』)

『選ぶ』面接ではなく、お互いの『擦り合わせ』の場へ

面接はこれまで、「企業が候補者を選ぶ」という構図が強い傾向にありました。しかし近年は、「お互いの認識を擦り合わせる、フラットな場」へと変化しつつあります。入社後にギャップを感じて早期退職をするリスクを下げるために、あえて自社の弱みや、制度が整っていない部分を話す企業も増えているようです。

「自分らしさ」や「オープンなコミュニケーション」を好むZ世代を獲得するには、カジュアルな面談などで互いの情報を共有し、入社後の働く姿をリアルにイメージできるようにしていくことが効果的でしょう。

(参考:『【成功体験談付】エンジニア採用にも有効!「カジュアル面談」活用術』)

Z世代に有効な育成方法とは?

Z世代に向けたオンボーディングや、育成方法のポイントをご紹介します。

歓迎の気持ちを伝える

Z世代に気持ちよく働いてもらうためには、入社直後のオンボーディングが重要だと言われています。近年は働き方改革やコロナ禍の影響により、オンライン研修やテレワーク勤務を基本とする企業も多いでしょう。業務が効率化されるメリットがある一方で、入社した実感を得にくい、あるいはコミュニケーションが取りにくいと感じている新入社員もいるかもしれません。

つながりを重視し、他者にどう見られるかを気にするZ世代には、歓迎の気持ちを表現することが効果的です。中には、メッセージカードや企業のオリジナルグッズなどが入った「ウェルカムボックス」を、入社前にサプライズで届ける企業もあります。ウェルカム感を演出し、安心感や連帯感を抱いてもらうことが大切です。

ギークス株式会社の「ウェルカムボックス」の事例

ギークス株式会社では、入社者へ歓迎の気持ちを伝えるために、これまではそれぞれの座席にウェルカムバルーンを設置していました。コロナ禍による在宅ワークへの切り替えに伴い、2021年4月1日からはバルーンの代わりに「ウェルカムボックス」を配布しています。受け取った方は、写真を撮ったりフライングで開けてみたりと嬉しい反応があったようです。

ギークス株式会社の「ウェルカムボックス」の事例
ギークス株式会社
入社初日の体験をかけがえのないものに。新入社員へ「ウェルカムボックス」をお届け中。』より

さらにオンボーディングに関する情報をお求めの場合は、ぜひこちらの資料を参考にしてみてください。

同じ目線に立ったコミュニケーションを

Z世代には、一方的に指示を出すのではなく、コミュニケーションを取りながら個々の能力を伸ばしていくことが効果的です。Z世代は日常的に多様な情報を収集し、自分の考えをオープンにすることに慣れているため、同じ目線に立って意見を求めることで、思いもよらない観点やアイデアを得られるかもしれません。

自分の考えを理解してもらうことは自己有用感や仕事へのモチベーションの向上にもつながるため、コミュニケーションを積極的に行うことは、Z世代の新入社員がより活躍できる組織づくりにつながるでしょう。
(参考:『メンバーの弱みや本音と向き合うオンボーディング。異質性のあるチームは強い』)

まとめ

Z世代はデジタルネイティブな環境や社会的背景から、「自分らしさを大切にする」「承認欲求が強い」といった傾向があるようです。そのため、ワークライフバランスが整いやすい社内体制の整備や業務効率化に向けた施策、SNSを活用した採用活動を行っている企業が支持されやすいと言えます。育成においては、オープンなコミュニケーションや寄り添うスタイルのマネジメントを心がけ、Z世代の強みを活かせる組織を目指しましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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