ミレニアル世代とは|Z世代との違いや価値観や仕事観など特徴を解説

d’s JOURNAL編集部

1981年から1996年頃に生まれた世代を、「ミレニアル世代」と呼びます。

ミレニアル世代の人口比率が国内外で増加している中、「比較されることの多いZ世代とは何が違うのか」「どのような仕事観を持っているのか」などを知りたいと考える人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、ミレニアル世代の特徴や仕事観、採用する際のポイントなどをご紹介します。

ミレニアル世代とは

ミレニアル世代とは、1981年から1996年頃に生まれた世代の呼称です。新千年紀を意味する「ミレニアム」を語源とし、2000年以降社会に進出した世代を指します。元々はアメリカで生まれた言葉で、英語では「ミレニアルズ(Millennials)」と呼ばれることが一般的です。

ミレニアル世代は1965年~1980年頃に生まれた「X世代」の次の世代に当たることから、アルファベット順に「Y世代」「ジェネレーションY」とも呼ばれます。ただし、各世代の区切りには諸説あるため、Y世代を1980年~1990年代後半までに生まれた人とし、ミレニアル世代と区別する場合もあります。

ミレニアル世代が生まれたのは、チェルノブイリ原子力発電所事故やベルリンの壁崩壊などがあった時代です。その他、インターネットサービスが開始されたり、Windows95が発売されたりと、IT技術が急成長した時代でもありました。

ミレニアル世代とは

ミレニアル世代の年齢

ミレニアル世代は、2023年に27歳~42歳を迎える世代です。日本では1987年~2004年頃に生まれた「ゆとり世代(さとり世代)」(2002年度施行の学習指導要領による教育を受けた世代)と呼ばれる世代の前半が、ミレニアル世代に含まれます。

日本のミレニアル世代が幼少期だった1986年には改正男女雇用機会均等法が施行、1993年には中学校、1994年には高等学校で家庭科の男女共修が開始されるなど、さまざまな場面において「男女平等」の価値観が共有されてきました。そのため、それ以前の世代とは仕事や家事育児に対する考え方が異なるとされています。

ミレニアル世代の人口比率

2021年に経済産業省が発表した「通商白書」によると、世界人口に占めるミレニアル世代以降の割合は、2020年時点で約6割を超えており、今後も増加する見込みです。日本では2020年時点で約4割となっているものの、2035年には全体の過半を超えると予測されています。日本だけで見ても、世界的に見ても、ミレニアル世代は今後社会に与える影響力が大きい世代と言えるでしょう。

ミレニアル世代の人口比率
(参考:経済産業省『令和3年度板 通商白書 第2部 通商を巡る課題とその克服 第2章 共通価値を取り込む新たな成長の要請』)

ミレニアル世代の特徴

ここからは、ミレニアル世代の特徴を見ていきましょう。

多様な価値観を尊重する

ミレニアル世代は、インターネット環境の整備が急速に進んだ時代に育ちました。リアルなつながりだけでなく、インターネットを通じて国境や年齢、性別に固執しないさまざまな価値観に触れているため、上の世代よりも多様な価値観を受け入れやすい傾向があります。個を尊重し、「自分は自分、人は人」という考え方をする傾向もあり、ジェンダーフリーに賛同的な人やLGBTQフレンドリーな人も多いといわれています。

モノの所有より体験を重視する

ミレニアル世代の特徴として、「モノ」の所有よりも、商品やサービスを通して自分がどのような経験ができるのかという「コト」を重視する点が挙げられます。「必要最低限のものがあればいい」というミニマリスト思考の人がいる一方で、「共感できるもの」や「自分だけの特別な体験」など、心を動かされるものや使うべき部分にはお金をかけるという人も多くいます。

プライベートの充実を重視

「仕事のためにプライベートを犠牲にする」のではなく、「プライベートの充実に重きを置きながら仕事をする」のが、ミレニアル世代の特徴です。プライベートの時間を確保できるよう、仕事においては効率を重視する傾向があります。そのため、残業や休日出勤を好まない人も多いでしょう。

社会問題への関心が強い

ミレニアル世代は、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショックなど、さまざまな社会問題を経験して育ちました。また、2011年に発生した東日本大震災の他、台風や洪水など気候変動による災害の急増が記憶に新しい世代でもあります。そのため、他世代以上に社会問題や環境問題への関心が高いと言えるでしょう。

ミレニアル世代とZ世代の違い

ミレニアル世代と比較されることが多い世代に、「Z世代」が挙げられます。Z世代とは、一般的に1997年~2012年頃に生まれた世代のこと。ミレニアル世代とほぼ同年代である「Y世代」の次の世代に当たることから、「Z世代」と呼ばれています。

ここでは、ミレニアル世代とZ世代の違いについて解説します。
(参考:『Z世代の特徴とは|ミレニアル世代との違いや働き方や価値観をわかりやすく解説』)

商品・サービスに求めること

好景気・不景気の両方を経験しているミレニアル世代は「理想主義」、日本経済が停滞していた頃に幼少期を過ごしたZ世代は「現実主義」といわれることも多いです。そのため、商品やサービスに対しては、ミレニアル世代がどのような経験ができるのかという「顧客体験」を重視しているのに対し、Z世代は機能性やコストパフォーマンスなど、「実用性」を重視する傾向があります。

また、ミレニアル世代は自分が必要だと思うものに関しては「所有したい」という考えの人が多いのに対し、Z世代は「使いたいときだけ使う」「シェアする」人が多いとされています。

Z世代の方が自分らしさに拘る

両世代とも多様な価値観に触れながら育っているため、自分らしくあることを大切にするという点は共通しています。一方で、ミレニアル世代が10代の頃は、さまざまなファッションブームが起こり、ブランド品が人気でした。そのため、ミレニアル世代にはブランド志向の人も多いとされています。対するZ世代は知名度や人気ではなく、「自分に合っているか」を基準にする傾向があるため、Z世代の方が、より自分らしさに拘ると言えるでしょう。

デジタル世界の活用方法

デジタルへの親和性を表すために、IT革命と共に成長し新しい技術を取り入れながら育ってきたミレニアル世代を「デジタルパイオニア」、物心ついた頃にはIT環境が確立し生活でも仕事でもデジタル技術を使いこなしているZ世代を「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」と呼ぶこともあります。

ミレニアル世代はリアルなつながり限定のSNSが中心でしたが、Z世代は知らない人とつながることができるSNSを活用して世界を広げています。そのため、Z世代はミレニアル世代よりもSNSとの親和性が高く、「インフルエンサーの投稿を見て商品を購入する」「動画コンテンツを好む」ことなどが特徴です。

ミレニアル世代の仕事観 ・働き方

ミレニアル世代の仕事観として、「ワークライフバランスを重視する」「転職への抵抗感が少ない人もいる」ことが挙げられます。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

ワークライフバランスを重視

ミレニアル世代はプライベートの充実を重視するので、仕事とプライベートが両立できるワークワイフバランスを好みます。そのため、観光地など普段とは異なる場所でテレワークを行う「ワーケーション」や、出張先で滞在を延長するなどして余暇を楽しむ「ブレジャー」など、仕事と遊びの時間を融合できる働き方にも好意的です。

また、家事や育児についてはジェンダーレスの考えが浸透しているので、性別に関係なく「家族との時間を優先したい」「転勤を回避したい」という考えを持つ人が多いとされています。就職先・転職先も、「柔軟な働き方ができるか」「休暇制度や福利厚生が充実しているか」といった観点で選ぶ可能性が高いでしょう。

転職への抵抗感が少ない人もいる

バブルの崩壊やリーマンショックなどを経験しているミレニアル世代には、転職に慎重な人もいれば、転職への抵抗感が少ない人もいます。実際、新卒で入社した会社をおおむね3年以内に退職した人を意味する「第二新卒」という言葉が広く使われるようになったのは、ミレニアル世代が就職活動をするようになった頃からです。また、「多様性」や「自分らしさ」を大切にするので、「一つの企業でキャリアを全うする」という価値観はあまりなく、一つの企業に依存しない働き方を好む人も少なくないといわれています。そのため、「自分が理想とするキャリアを実現できない」と判断すれば、転職や副業、起業など、活躍できる場所を求めて環境を変える行動を起こす可能性もあります。

ミレニアル世代を採用するには

ミレニアル世代の人材を獲得するためには、どのような施策が有効なのでしょうか。ミレニアル世代を採用する際のポイントをご紹介します。

事業の社会的意義を伝える

モノよりもコトを重視する傾向にあるミレニアル世代は、「自分にとって理想的な体験」や「特別な経験」を得られることに魅力を感じます。また、ミレニアル世代は、社会問題への関心が強い傾向もあります。表面的な価値だけを訴求しても心に響かない可能性があるため、企業の規模や報酬だけではなく、社会的な意義も伝えるとよいでしょう。

自社がどのような社会的課題の解決に取り組んでいるのかを明示することで、エンゲージメントの高い人材の採用が期待できます。

働き方の多様性を取り入れる

「プライベートを充実させたい」「ワークライフバランスを重視したい」と考えるミレニアル世代は、個人の価値観に合う仕事をしたいと考える傾向があります。そのため、「場所」や「時間」「休暇」などの自由度が高い働き方を好みます。

「テレワーク勤務」「フレックスタイム制」「時短勤務」「柔軟な休暇制度」「副業(複業)の許可」など、多様な働き方を実現できるような制度や仕組みを整えることが、ミレニアル世代の採用につながるでしょう。

(参考:『「テレワーク」とは。働き方改革に向けて知っておきたいメリット・デメリットや実態』『フレックスタイム制を簡単解説!調査に基づく84社の実態も紹介』『【弁護士監修】短時間勤務制度を育児や介護、通院等で正しく運用するための基礎知識』『特別休暇の定め方―どんな条件で何日取得可能?就業規則は?|申請書フォーマット付』『企業は副業を解禁すべきか? 20代・30代の副業意識/実態調査』)

ネットでの情報発信に取り組む

「デジタルパイオニア」とも呼ばれるミレニアル世代は、パソコンやスマホといったデバイス、さまざまなアプリやサービスを活用して、インターネット上で情報を収集することが得意です。企業のサイトやSNSを通じた情報発信を繰り返すことにより、自社の起業理念や入社のメリットなどを受け入れてもらいやすくなるでしょう。

コンテンツ作成の際は、「写真や動画などを使用する」「社員のインタビューを掲載する」など、ミレニアル世代が共感しやすい要素を訴求することも重要です。

(参考:『採用広報とは|注目される背景と4つの手法・成功事例を解説』)

まとめ

ミレニアル世代は、育ってきた時代背景により、「多様な価値観を受容する」「ワークライフバランスを重視する」傾向があるようです。ミレニアル世代の人口比率は今後も増加すると予測されており、労働力人口や社会的な影響力も大きくなると予想されます。

採用の際には、ミレニアル世代の特徴や仕事観を踏まえ、ネットでの情報発信を工夫し、自社事業の社会意義を伝えることを心がけましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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