従業員のメンタルヘルス対応を人事担当者向けに解説|初動対応から休職・復職支援まで

New!
従業員のメンタルヘルス対応を人事担当者向けに解説|初動対応から休職・復職支援まで

doda人事ジャーナル編集部

「最近、部下の様子がいつもと違う気がする」
「休職の診断書が提出されたが、どのように対応すればよいのかわからない」
「復職希望の申し出があったものの、受け入れて問題ないのか判断に迷う」

このような従業員のメンタルヘルス不調への対応に悩む人事担当者は少なくありません。

メンタルヘルス不調は従業員個人の問題として捉えられがちですが、企業には安全配慮義務があり、適切な労務管理の一環として組織的な対応が求められます。

近年ははたらき方の多様化や人材不足、テレワークの普及などを背景に、職場におけるストレス要因も複雑化しています。

一方で、人事担当者が医学的な判断を行うことはできません。法令や社内規定を踏まえながら、適切な手順で支援することが重要です。

本記事では、企業がメンタルヘルス対策に取り組む理由から、人事担当者が押さえておきたい対応フロー、厚生労働省の指針に基づく基本的な考え方、休職・復職支援のポイント、避けるべき対応までを解説します。

メンタルヘルス対応の基本を自社で整理する際は、実践方法をまとめた資料をご活用ください。

従業員のメンタルヘルス対応とは

従業員のメンタルヘルス対応とは、従業員の心の健康を維持・向上するために企業が行う取り組み全般を指します。(参考:メンタルヘルス対策のポイント|厚生労働省)

対象となるのは、不調者が発生した後の対応だけではありません。予防から職場復帰後のフォローまで、一連のプロセスを継続的に実施することが求められます。

●メンタルヘルス不調の予防
●不調の早期発見
●相談対応
●休職支援
●復職支援
●再発防止

メンタルヘルス不調は、業務負荷や人間関係、組織体制の変化、私生活上の出来事など、複数の要因が重なって生じる場合があります。

そのため企業には、本人への支援だけでなく、職場環境の改善や相談体制の整備も求められます。

企業がメンタルヘルス対策に取り組む理由

企業がメンタルヘルス対策に取り組む理由は、法令上の責任を果たすためだけではありません。組織運営への影響を踏まえ、多くの企業で重要な経営課題の一つとして位置付けられています。

安全配慮義務があるため

企業には、従業員が安全かつ健康に働ける環境を整える「安全配慮義務」があります。

労働契約法第5条では、使用者は労働者の生命や身体などの安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮を行うことが求められています。(参考:労働契約法 第5条|e-Gov法令検索)

一般的に、この安全には身体面だけでなく、メンタルヘルスへの配慮も含まれると考えられています。

例えば、次のような状況は個別事情によって安全配慮義務との関係が問題となる場合があります。

●長時間労働を放置する
●明らかな不調のサインを見過ごす
●必要な配慮や支援を行わない

経営上のリスクにつながるため

メンタルヘルス不調は個人の健康問題にとどまらず、組織全体にも影響を及ぼします。

主なリスクとして、次のようなものが挙げられます。

●長期休職による人員不足
●業務引き継ぎによる周囲の負担増加
●労務トラブルの発生
●生産性の低下
●離職率の上昇
●採用活動への影響

また、プレゼンティーズム(出勤しているものの、心身の不調によって本来のパフォーマンスを発揮できていない状態)も重要な経営課題の一つです。

企業がメンタルヘルス対策に取り組む目的は、不調者への対応だけではありません。従業員が健康的に働ける環境を整え、職場環境の改善や安定した組織運営につなげることが期待されています。

人事担当者の初動対応チェックリスト

メンタルヘルス対応では、初動対応の質がその後の支援や職場復帰に大きく影響します。対応の属人化を防ぐためにも、あらかじめ基本的な対応手順を整理しておくことが重要です。

勤怠状況を確認する

まず確認したいのが勤怠データです。

●欠勤が増えていないか
●遅刻や早退が増えていないか
●残業時間が増加していないか
●有給休暇の取得状況に変化がないか

勤怠の変化だけでメンタルヘルス不調を判断することはできませんが、早期発見の重要なサインとなる場合があります。

不調の初期サインや予防のポイントは、下記の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:メンタル不調の“初期サイン”はどこに出る?早期発見と予防のポイントとは)

業務負荷や職場環境を確認する

本人だけに原因を求めるのではなく、職場環境にも目を向けましょう。

●業務量の急増
●異動や配置転換
●組織変更
●人員不足
●人間関係の変化
●ハラスメント相談の有無

業務上の環境が不調の要因となっているケースもあります。

本人面談を実施する

面談の目的は診断ではなく、現状を把握することです。

●最近の体調で気になることはありますか
●業務上で負担に感じていることはありますか
●困っていることはありますか

このように事実確認を中心に話を聞きましょう。原因を決めつけたり、無理に話を引き出したりしないことが大切です。

対応記録を作成する

相談や面談の内容は記録として残します。

記録項目の例は次の通りです。

●面談日時
●参加者
●相談内容
●決定事項
●今後の対応方針
●次回確認予定日

記録は継続的な支援や引き継ぎに役立つほか、労務トラブルの予防にもつながります。

産業医と連携する

継続的な支援が必要な場合や、健康面への配慮が必要な場合には、産業医との連携を検討します。

人事担当者の役割は状況を整理し、必要な支援につなげることです。医学的な判断は主治医や産業医に委ねるようにしましょう。

厚生労働省が示すメンタルヘルス対応の基本

企業のメンタルヘルス対策を進める際は、厚生労働省が公表している「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考にすると整理しやすくなります。

この指針では、「4つのケア」と「3段階予防」の考え方が示されています。(参考:労働者の心の健康の保持増進のための指針|厚生労働省)

4つのケア

厚生労働省は、職場のメンタルヘルス対策を次の4つのケアによって進めることを推奨しています。

●セルフケア
●ラインによるケア
●事業場内産業保健スタッフ等によるケア
●事業場外資源によるケア

セルフケアは従業員自身がストレスや心身の状態を把握し対処する取り組みです。ラインによるケアは管理職が部下の変化に気付き、職場環境の改善や支援を行う取り組みを指します。

また、産業医や保健師、人事担当者などによる支援や、医療機関やEAPなどの外部専門機関との連携も重要な役割を果たします。

特定のケアだけでなく、それぞれが連携して機能することで効果的なメンタルヘルス対策につながります。(参考:4つのケア:用語解説|こころの耳)

3段階予防

メンタルヘルス対策は、不調が発生してから対応するだけでなく、予防の視点で取り組むことも重要です。

厚生労働省では、次の3段階で整理しています。

メンタルヘルス対策の3段階予防
①一次予防(未然防止)
②二次予防(早期発見・早期対応)
③三次予防(職場復帰支援・再発防止)

①一次予防(未然防止)

メンタルヘルス不調そのものを防ぐための取り組みです。

●ストレスチェック
●職場環境改善
●管理職研修
●ハラスメント防止対策
●はたらき方の見直し

などが該当します。

②二次予防(早期発見・早期対応)

不調の兆候を早期に把握し、重症化を防ぐための取り組みです。

●面談の実施
●勤怠状況の確認
●高ストレス者対応
●産業医面談

などが含まれます。

③三次予防(職場復帰支援・再発防止)

休職者の復職支援や再発防止を目的とする段階です。

●復職判定
●リワーク支援
●段階的な業務復帰
●定期フォロー面談

などが代表的な取り組みです。

企業はこれら3段階全てに取り組むことで、継続的なメンタルヘルス対策を実現しやすくなります。(参考:メンタルヘルス対策のポイント|厚生労働省)

従業員のストレス対処を支援する方法を具体化する際は、コーピングの資料をご活用ください。

企業が行うストレス対策の具体例は、下記の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:ストレスマネジメントとは|やり方・効果と具体的な施策を解説)

休職支援

休職は単に業務から離れるための制度ではなく、治療や回復に専念するための期間として位置付けることが重要です。

休職が決定した場合は、就業規則に基づき、休職期間や必要書類、休職中の連絡方法などを本人へ説明します。

また、人事担当者は休職中の従業員に対して過度な連絡や業務依頼を行わないよう注意する必要があります。一方で、各種手続きや復職準備に必要な情報提供は継続的に行うことが望まれます。

休職期間中は、本人の回復状況に応じて主治医の診断や産業医の意見を確認しながら、復職に向けた準備を進めます。

なお、厚生労働省の職場復帰支援の手引きでは、休職開始から職場復帰後のフォローアップまでを一連のプロセスとして進める考え方が示されています。(参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省)

また、休職対応では、診断書の提出方法や休職開始の手続きだけでなく、社会保険料の取り扱いや給与支給の有無、傷病手当金の申請方法などについても本人へ案内する必要があります。

併せて、復職判定の基準や職場復帰までの流れを事前に整理しておくことで、休職者本人と職場双方の不安の軽減につながります。

復職支援

復職可と記載された診断書が提出された場合でも、直ちに復職を決定するわけではありません。復職に当たっては、従業員が安定して勤務を継続できる状態にあるかを総合的に確認することが重要です。

主な確認項目は次のとおりです。

●就労可能な状態にあるか
●担当業務を遂行できる状態か
●通勤に支障はないか
●継続的な勤務が可能か
●職場で必要な配慮は何か

復職後は定期的な面談や業務量の調整を行い、体調や勤務状況を確認しながら再発防止につなげることが大切です。

また、企業は主治医の診断書だけで復職可否を判断するのではなく、必要に応じて産業医の意見も踏まえながら、就業上の配慮や復職後の支援内容を検討することが求められます。

なお、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、休業開始から職場復帰後のフォローアップまでを含めた職場復帰支援の考え方が示されています。

また、「こころの耳」が提供する「職場復帰支援ナビゲーション」では、復職支援の流れや企業が行うべき対応が整理されています。休職者対応や復職支援の社内フローを整備する際の参考資料として活用するとよいでしょう。

(参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省)
(参考:職場復帰支援ナビゲーション|こころの耳)

主治医と産業医の違い

休職や復職の場面では、「主治医」と「産業医」の役割の違いを理解しておくことが重要です。

主治医は従業員の治療を担当する医師です。診察や治療を通じて症状の改善を支援し、休養の必要性や医学的な回復状況について判断します。

一方、産業医は企業における産業保健の専門職として、従業員の健康状態と業務内容の両面を踏まえながら、就業上の意見や助言を行います。

例えば、主治医が「復職可能」と判断した場合でも、実際の職場環境や業務内容によっては、段階的な復職や業務負荷の調整が必要となることがあります。

そのため企業は、主治医の診断書だけで判断するのではなく、必要に応じて産業医の意見も参考にしながら、復職の可否や就業上の配慮内容を検討することが重要です。

項目 主治医 産業医
立場 治療を担当する医師 企業の産業保健を担当する医師
主な役割 診断・治療 就業上の意見・助言
判断の視点 病状の回復状況 病状と業務の両立
復職時の関与 復職可能性の判断 必要な配慮や就業上の意見

(参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省)
(参考:職場復帰支援ナビゲーション|こころの耳)

人事担当者が判断に迷いやすいケースと対応の考え方

メンタルヘルス対応では、マニュアルどおりに進まないケースも少なくありません。特に本人の意向と企業側の対応方針が一致しない場合や、健康状態の判断が難しい場合には、人事担当者が対応に迷うことがあります。

ここでは、実務で相談されることが多い代表的なケースを紹介します。

本人が相談を拒否する場合

本人が不調を自覚していなかったり、周囲に知られることへの不安を抱えていたりして、相談を拒否することがあります。その場合は、無理に面談や受診を勧めるのではなく、本人の意思を尊重しながら継続的に声をかけることが大切です。

一方で、本人の心身の状態により業務遂行や職場での安全確保に支障が生じるおそれがある場合は、管理職や産業医と連携しながら必要な対応を検討しましょう。

診断書を提出しない場合

体調不良の申し出があった場合でも、休職制度の利用や就業上の配慮を判断するために、会社として必要な情報を確認しなければならないことがあります。

その際は、就業規則に基づき、診断書の提出が必要となる理由や提出期限、今後の手続きについて丁寧に説明しましょう。

あわせて、提出を求める目的や利用範囲を明確に伝えることも重要です。

テレワークで状況を把握しにくい場合

テレワーク環境では、対面でのコミュニケーション機会が減るため、従業員の変化に気付きにくくなります。

そのため、定期的な1on1ミーティングやオンライン面談、チャットでの声かけなどを通じて、日ごろからコミュニケーションを取る仕組みを整えることが大切です。

また、業務状況や勤務時間を適切に把握できる運用ルールを整備しておくことも有効です。

復職希望の申し出があった場合

復職可と記載された診断書が提出された場合でも、そのまま復職を決定するのではなく、業務遂行能力や必要な配慮事項を確認する必要があります。

主治医の診断書に加え、必要に応じて産業医の意見も踏まえながら、職場環境や担当業務との適合性を検討しましょう。(参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省)

復職後に再び不調が見られる場合

復職後に体調の変化が見られた場合は、再発の有無だけでなく、業務量や勤務時間、人間関係、職場環境なども含めて状況を確認することが重要です。

必要に応じて業務内容の見直しや定期面談を実施し、本人だけでなく職場側に改善すべき課題がないかも確認しましょう。

メンタルヘルス対応で起きやすい運用上の課題

メンタルヘルス対応では、不調そのものへの対応だけでなく、社内運用に課題が生じるケースも少なくありません。

例えば、管理職が個人の問題として抱え込み、人事へ共有するタイミングが遅れるケースがあります。

また、人事担当者が「本人が相談を希望していないから」と状況確認を見送った結果、不調が深刻化してから対応が必要になることもあります。

メンタルヘルス対応は、本人、人事、管理職、産業医が連携しながら進めることが重要です。特定の担当者だけに対応を任せるのではなく、エスカレーションストレスチェック(※)を職場改善につなげる基準や役割分担を事前に整理しておくことが望ましいでしょう。

(※)エスカレーションストレスチェック・・・従業員の不調や職場の課題を把握し、必要に応じて人事や産業医などへ対応を引き継ぐための基準。

人事担当者がやってはいけない対応

メンタルヘルス対応では、適切な支援を行うことだけでなく、不適切な対応を避けることも重要です。

善意で行った対応であっても、本人の負担を増やしたり、適切な支援の妨げになったりする可能性があります。

●医学的な診断を行う
●安易に励ます
●メンタルヘルス情報を適切に管理しない
●無理な復職を促す
●対応記録を残さない

ここでは、人事担当者が特に注意したい代表的な対応を紹介します。

医学的な診断を行う

人事担当者が病名や症状を判断することは避けましょう。

医学的な判断は主治医や産業医の役割です。人事担当者は事実確認と支援の調整に徹することが求められます。

安易に励ます

次のような声かけは、本人にプレッシャーを与えてしまう場合があります。

●「頑張って」
●「気持ちの問題だよ」
●「みんな大変だから」

まずは本人の話に耳を傾け、気持ちや状況を否定せずに受け止める姿勢を意識しましょう。

メンタルヘルス情報を適切に管理しない

メンタルヘルスに関する情報は、要配慮の個人情報に該当する可能性がある健康情報です。慎重な取り扱いが求められます。

取得目的や共有範囲、閲覧権限、保管方法をあらかじめ定め、人事担当者や管理職、産業医など、業務上必要な関係者に限定して取り扱うことが重要です。

また、ストレスチェック結果や面談記録、診断書などの健康情報は、取得した目的の範囲内で利用し、適切なアクセス制限を設けた上で保管しなければなりません。

情報共有が必要な場合も、支援に必要な範囲を超えて共有しないよう注意しましょう。(参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省)

無理な復職を促す

人員不足や業務上の都合を理由に、復職を急がせることは避けましょう。

復職の可否は、医学的な意見や就業能力を踏まえて判断する必要があります。

対応記録を残さない

記録がなければ、継続的な支援や関係者との情報共有、労務トラブルへの対応が難しくなります。面談や相談の対応履歴は、必ず記録として残しておきましょう。

制度を機能させる運用ルール

メンタルヘルス対策は、制度を整備するだけでは十分とは言えません。継続的に運用し、必要な支援につなげられる仕組みづくりが重要です。

相談記録の管理ルールを決める

相談や面談の記録は、継続的な支援や再発防止、関係者間での情報共有に役立ちます。

一方で、健康情報は慎重な取り扱いが求められるため、運用ルールを明確にしておく必要があります。

主な管理項目としては、次のようなものがあります。

●記録方法
●保管場所
●保存期間
●閲覧権限
●廃棄方法

あらかじめルールを定めておくことで、情報漏えいを防ぎながら適切な支援につなげやすくなります。

情報共有範囲を定める

メンタルヘルスに関する情報は、誰でも自由に閲覧できる状態にしてはいけません。

支援に必要な範囲で、人事担当者、管理職、産業医などの関係者へ共有することが基本です。

事前に共有ルールを明文化しておくことで、個人情報保護と円滑な支援の両立につながります。

エスカレーション基準を設ける

メンタルヘルス対応では、どのタイミングで人事担当者や産業医が関与するのかをあらかじめ定めておくことが重要です。

人事への報告や産業医との連携基準を明確にすることで、対応の属人化を防ぎやすくなります。

例えば、次のようなケースをエスカレーション基準として設定する方法があります。

●欠勤や遅刻、早退が一定期間続いている場合
●メンタルヘルスに関する診断書が提出された場合
●高ストレス者面談の申し出があった場合
●管理職だけでの対応が難しいと判断された場合

基準を事前に整備しておくことで、状況に応じた適切な対応につなげやすくなります。

ストレスチェックを職場改善につなげる

ストレスチェックは、実施すること自体が目的ではありません。集団分析の結果を活用し、職場環境の改善につなげることで、一次予防としての効果が期待できます。

(参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省)
(参考:ストレスチェック制度について|こころの耳)

例えば、次のような取り組みが考えられます。

●高ストレス部署の把握
●業務負荷の見直し
●管理職のマネジメント改善
●コミュニケーション施策の実施

ストレスチェックを単発のイベントで終わらせるのではなく、継続的な職場改善の仕組みとして活用することが重要です。

ただし、実施すること自体が目的となり、結果を十分に活かしきれていない企業も少なくありません。

例えば、高ストレスの傾向が見られる部署がわかっても、業務負荷や人員配置、マネジメント体制の見直しが行われなければ、同じ課題を繰り返すおそれがあります。

結果を把握するだけで終わらせず、具体的な改善施策へつなげていくことが大切です。

メンタルヘルス対策を継続的な制度として運用する際は、健康経営のToDoリストをご活用ください。

制度の実施手順や注意点は、下記の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:ストレスチェック義務化とは?実施手順や拒否された場合の対応を解説)

小規模事業場の対応方法

小規模事業場では、産業医や専門部署が設置されていないケースもあります。しかし、利用できる外部資源を活用することで、メンタルヘルス対策を進めることは可能です。

地域産業保健センターを活用する

地域産業保健センターでは、小規模事業場を対象とした産業保健サービスを提供しています。専門家へ相談したい場合や、産業保健体制を整備したい場合の相談先として活用できます。

外部相談窓口を利用する

EAP(従業員支援プログラム)や外部カウンセリングサービスを活用する方法もあります。従業員が専門家へ相談できる環境を整えることで、不調の早期発見や早期対応につながります。

管理職教育から始める

予算や体制に限りがある場合は、管理職向けの教育から着手することも有効です。

●ラインによるケアに関する研修
●ハラスメント防止研修
●相談窓口の周知

まずは管理職が不調のサインに気付き、人事担当者や外部相談窓口などの適切な相談先につなげられる体制を整えることが重要です。

まとめ

従業員のメンタルヘルス対応は、不調者が発生した後の対応だけでなく、予防、早期発見、休職支援、復職支援、再発防止までを含む継続的な取り組みです。企業には安全配慮義務があり、従業員が安心して働ける環境を整える責任があります。

そのため、人事担当者には個人への支援だけでなく、職場環境の改善や制度運用の視点も求められます。実務では、まず初動対応フローを整備し、勤怠確認、本人面談、対応記録、産業医との連携を適切に行える体制を構築することが重要です。

また、相談記録の管理ルールや情報共有基準、エスカレーション基準を明文化することで、対応の属人化を防ぎやすくなります。

さらに、ストレスチェックの結果を職場改善に活かし、継続的なメンタルヘルス対策へつなげることも欠かせません。

メンタルヘルス対策は、単なる不調者対応ではなく、従業員が安心して力を発揮できる職場づくりそのものです。

まずは自社の相談体制や対応フローを見直し、不調の早期発見と適切な支援につながる仕組みづくりから始めてみてはいかがでしょうか。

自社のメンタルヘルス対応を見直す際は、実践例をまとめた資料をご活用ください。

従業員のメンタルヘルス対応できていますか?コーピングの手法と具体例を解説

資料をダウンロード