【研修のためのスタートアップガイド付き】現有人材がキーマンに。採用活動不要、いますぐ始められる、DX人材育成

d’s JOURNAL編集部

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急速に普及が進むDX。でも必要な人材が足りない――。そんな悩みを抱える人事部門育成担当者やDX推進担当者は多いのではないでしょうか。現在、DXを担う人材は引く手数多。外部からDXに必要な人材(=DX人材)を確保することは、これまで以上に難しい状況です。そこで今回は、現有人材を活用してDXを推進したいと考えている企業に向けて、DX人材育成のポイントを解説していきます。

直下と巻末には、今すぐ始められるDX人材育成のためのスタートアップガイド資料もご用意しています。こちらもぜひご活用ください。

なぜ進まない?国内企業のDX推進を阻む要因とは

「企業がDX推進を妨げる課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」――。

経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」(※1)の中で、このような予測を示し、警鐘を鳴らしています。加えてコロナ禍にある日本において、DXへの需要は加速度的に増していると言えるでしょう。

しかしながら国内企業においてDXがスムーズに推進されているとは言い難い状況です。同省が2020年に発表した「DXレポート 2」 (※2)でも、調査に協力した500社のうち「全体の9割以上の企業がDXに全く取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっている」ことが示されています。つまりDXに備えることができる力、「デジタル・レディネス」が圧倒的に不足している現状が伺い知れるわけです。

ではなぜ、国内企業のDX化がいまひとつ次のステージへと上がっていかないのでしょうか。考えられる要因として、DXへの理解が正しくなされていない、組織マネジメントの構築が未整備、デジタルマネジメントなど情報資産に対する有効活用などが実践できていないなどが挙げられますが、当d’s journalでは阻害要因の一つとして挙げられている、DX人材の不足と現有人材の育成が進んでいない現状にフィーチャーしたいと思います。

なぜなら、DXが国内企業にとってまさに喫緊の課題として叫ばれている一方で、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、根本的に多くの企業では人手不足の問題がますます加速しており、それに比例するようにDX人材も同様に不足しているからです。そのため相当のスキルや経験を持つ人材は、求人市場においても引く手数多となっているため、外部からDXに必要な人材(=DX人材)を確保することはこれまで以上に難しい状況となりました。

そこで今回は、現有人材を活用してDXを推進したいと考えている企業に向けて、DX人材育成のポイントを解説していきます。当コラムでダウンロードできる資料には、さらに詳しいDX人材の現状と人材育成のためのスタートアップガイドを紹介しています。こちらもご活用ください。

(※1)DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
(※2)DXレポート2(中間取りまとめ)

DX推進における人材確保の重要性とは

例えば自社のDX推進に対して、このようなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

「業務効率化・生産性向上を目指し、現状の業務フローを見直せるチャンス」
「レガシーシステムの刷新で、自社に合った新システムの導入を進められる」――。

DXの目的は、ビジネスモデルを変革することで競争上の優位を確保することや、時間や場所、社員のライフステージに左右されることなく如何なくその能力を発揮してもらい生産性向上やさらなるイノベーションを起こすといったことにあります。その手段として、業務フローの見直しや新システムの導入は、重要な要素であることは間違いありません

一方で、どれだけ業務フローやシステムが優れていたとしても、それを実際に運用するのは一人ひとりの従業員です。そのため、DX推進にあたっては、その本質やテクノロジーを理解してその技術を十分に活用できるようなDX人材を確保することが重要です。

近年では、自動車産業にもAI化の波が訪れ、自律走行車の開発コネクテッドカーMaaS(Mobility as a service)スマートマニュファクチャリングなどの分野での活用も主流となりました。また専門分野以外でも単純な事務的作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)ツールの隆盛や、RPAとAI連携によるインテリジェントオートメーション(IA:Intelligent Automation)など、その普及はIT企業以外にも及んでおり、その導入や運用にはDX人材が不可欠です。

しかしながら企業にとって、DX人材の確保の重要性は理解しているものの、国内市場を見るといわゆるIT人材の不足は深刻です。経済産業省の資料(※3)でも、IT需要の増加により、「2030年時点でのIT人材の需給ギャップは16.4万人~78.8万人」になることが示されています。

もはや避けて通れない企業のDX化とその人材の確保。特にIT業界に属していない企業はどのように向き合い、DX化を推進していくべきなのでしょうか。

(※3)「IT人材受給に関する調査 調査報告書」より

エンジニアはもちろん、社員全員のリテラシー向上が不可欠

DX人材の不足。新たに確保することが難しいというお話を前項では説明しました。DXは、自社の既存業務の改善や、新事業の開発といった経営戦略上でも重要。ですから外からの確保が難しいのなら、既存社員からその育成を推進していくことをお勧めします。

DXによる、その効果最大化は、実際に既存システムを使い、その問題点を把握する人材の存在がキーマンとなります。企画立案から開発に携わることがよりスムーズなDX化が望めるわけです。そのためDX人材は内部で育成したほうがより多くのメリットの享受を期待できる。つまりDX人材を確保するためには、まず現有の社内人材から育成していくほうが効率的だという話なのです。

最近では、エンジニアを中心とした人材育成に取り組む企業も増えてきました。しかし、DXを実現するためには、エンジニア人材の開発スキルアップだけでは不十分。そこで事業側の人材のリテラシー(IT・データ・デジタルリテラシー)を高めることがまず重要というわけです。

なぜなら、PythonやSQLなどの言語や、AI・機械学習といった技術に対しての知識がなければ発想の幅が広がらず、それらを戦略的にビジネスモデルに組み込むためには、一般社員から経営層レベルまで全社的な理解が必要だからです。つまりDX人材育成の取り組みは、全社プロジェクトとして臨むに値するといっても過言ではありません。

一方で、多様なスキルセットをもつDX人材を機能させるためには、自身の役割に応じた経験やスキルを持つことに加え、自分の専門以外の知識やスキルに対してもリテラシーを持つことが重要です。まさに上記の“IT・データ・デジタルリテラシー”の共有です。

育成のポイント、“伸びしろ人材層” と“これから人材層”

さて、DX人材育成に取り組む場合、ただ画一的なプログラムを展開してしまうと、従業員のモチベーションに悪影響が出てしまうおそれがあります。それは、従業員ごとに備えている知識やスキルに差があるためです。

そこで、はじめに全社的にDXを牽引し、サポート組織設置や教育体系の構築などの役割を担う“TOP人材層”を社内外から確保することが重要です。その上で、ほかの人材層に関しては、「社内外研修」「e-learning」「OJT (On-the-Job Training) 」などをコンテンツ別、レベル別に組み合わせ、効果的な学習体系を構築し、現有人材の成長を促します。

特に“伸びしろ人材層”“これから人材層”の育成は、座学や手を動かすハンズオンの研修・講座などをレベルに応じて活用し、社内独自の教育を提供するまでのベースを早急に構築する必要があります。そして、最近ではこうした取り組みに「e-learning」を活用する企業も増えてきました。デジタル領域におけるトレンドは流れが速く、かつ広範囲に及ぶため、社内ですべてのコンテンツを揃えるよりも汎用的な知識・スキルを効率的に習得できるためです。

次頁では、DX推進のためにe- learningを導入する際のポイントを紹介しましょう。

DX人材育成のためのe-learning導入で押さえるべき、5つのポイント

DX推進のためにe- learningを導入する際のポイントを押さえる必要があります。

1. マインドセットでe-learningの下地を作る
2. 自社に最適な研修プログラムを構築する
3. 自分のペースで学習できる“自律的学習環境”を提供する
4. フレッシュですぐに使える実務直結型のコンテンツを揃える
5. 受講状況を確認し、進捗を管理する

テクニカルでいて、効率的――。「e-learning」はさまさまな恩恵を育成にもたらしてくれます。汎用的な知識を広範にわたって学習できるe-learningは、DX人材育成のために効果的な手法の1つです。

しかし一方で、実際にはe-learningに対して高いモチベーションを維持できない人材が必ず出ることが一般的であり、それがクリアすべき課題と言われています。ですから、たとえe-learningを導入して学習環境を用意したとしても、それだけで大きな成果(従業員全体のリテラシーの向上)につなげることは難しいといえるでしょう。

そのため、導入前にDXの意義や自社の目指す方向性、従業員がリテラシーを高める必要があることを伝え、「なぜ新たな知識を学ばなければならないのか」といった疑問を払拭して、目的意識を明確にすることが欠かせません。すべてはそのマインドセットから始まるのです。

さて、それらを踏まえたうえで育成のためのe-learning導入と進捗を管理するまでのスキーム化が必要となります。詳しくはダウンロード資料をご覧ください。

【まとめ】効果的な学習体系を構築するために【資料ダウンロード】

DX人材確保とその背景、そして育成のポイントが理解いただけたでしょうか。社内育成に必要なポイントは「社内外研修」「e-learning」「OJT(On-the-Job Training)」への取り組みです。そのうえでコンテンツ別、レベル別に組み合わせ、効果的な学習体系を構築し、成長を促すことが大切となるでしょう。巻末のダウンロード資料にはより詳しいDX人材育成のポイントがスタートアップガイドとして紹介・開設されています。またデジタル領域に特化した育成プログラムをオーダーメイド型で提供する、人材サービス会社を頼るのも人材戦略上のひとつとして有効かと思われます。まずはDX化への第一歩を現有人材の育成から考えてみるのはいかがでしょうか。

【関連資料】
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