求人広告の書き方の基本|法律順守で成果を最大化するコツを解説

2022.11.25

第一東京弁護士会労働法制委員会、日本CSR普及協会(雇用労働専門委員)、経営法曹会議等に所属。経営者側労働法を多く取り扱い、労働審判・労働訴訟等の係争案件、団体交渉(組合・労働委員会)、労災(行政・被災者対応)、労務DD対応を得意とする。
経営課題を抽出し、依頼者のニーズを踏まえたベストプラクティスの提案を心掛ける。
主著に『労働行政対応の法律実務』(中央経済社 共著)、『「働き方改革実行計画」を読む』(月刊人事労務実務のQ&A 2017年7月号 日本労務研究会 共著)など。

候補者を引きつける求人広告とは
効果の出る求人広告の書き方を解説
法律で定められている表現とは?
公開後の効果検証が成果の出る「求人広告」への近道
まとめ

求人媒体に自社の求人情報を掲載し、応募者を募る求人広告。「出稿したものの、応募者が少ない」「求める人材からの応募がない」と悩む採用・人事担当者もいるのではないでしょうか。今回は、求人広告の効果的な書き方や、制作時に気を付けたい法律で定められている表現などについてご紹介します。

候補者を引きつける求人広告とは

求人広告は、候補者が企業の情報を知るための重要な手段です。しかし、自社にとって都合のよい表現ばかりが並んでいたり、淡々と項目が埋められているだけだったりすると、思うような効果が見込めない場合もあるでしょう。実際の応募につなげるためには、候補者が興味や関心を持ち、自分事化できるような書き方にすることが大切です。まずは、候補者を惹きつける求人広告のポイントを4つご紹介します。
 

募集背景が明確に記載されている

求人広告に募集の理由が添えられていると、候補者の納得感や応募することへの安心感が増します。増員の場合は「売上が好調のため、人手が足りなくなっている」、欠員の場合は「定年退職による欠員に伴い、新しい仲間を募集」などと記載するとよいでしょう。求人を行う部署に「増員なのか、欠員なのか」「経験者を求めているのか、若手の育成に重点を置いているのか」などを事前にヒアリングし、募集背景を明確にしておきましょう。

採用したい人材のターゲット設定が具体的

募集背景と併せて、採用したい人物像を具体化することも重要です。転職希望者のターゲット設定があいまいだと、求人広告の書き方も不明瞭になってしまい、求める人材からの応募を獲得できない可能性があります。求人を行うポジションに必要な「職種」「スキル」「経験」などはもちろんのこと、「性格」や「仕事のやりがい」などの内面についても詳細に設定しましょう。

(参考:『【完全版】効果が出る求人広告の作り方①~ターゲット設定編~』)

過剰過ぎても少な過ぎてもNG!掲載する情報量が適切

求人広告に掲載する情報量が少なかったり抽象度が高かったりすると、候補者が社内の雰囲気や入社後のイメージをつかめず、応募につながりません。例として、職種名であればシンプルに「営業」とするのではなく、「●●(商材名など)の法人営業(新規営業あり)」などと詳細に記載するようにしましょう。

一方で、さまざまな情報を盛り込み過ぎると、伝えるべき魅力がぼやけ、ターゲット層に響かない可能性があります。募集背景や求める人物像に合わせて訴求する情報を絞り、その中身を充実させるよう心がけましょう。

自社が提供できる環境がターゲット人材にマッチしている

自社に魅力を感じてもらうためには、ターゲット人材が求めている環境と自社が提供できる環境がマッチしていることを求人広告で発信することが大切です。ターゲットが何を求めているのか、候補者目線で考えましょう。例として、ターゲットがワークライフバランスの実現を図りたいと考えているなら、「未経験可」「月給●円から」よりも「休日は土日祝」「年間休日140日以上」を伝えた方が効果的です。

効果の出る求人広告の書き方を解説

ここからは、効果が出る求人広告の書き方について、具体的に解説していきます。

惹きつけるタイトルとキャッチコピー

タイトルやキャッチコピーでは、30~40字程度を目安に、自社の魅力となる部分を端的に伝えます。単にキャッチーな言葉を並べるのではなく、候補者が「知りたい」「聞きたい」と感じる情報を載せ、「自分に合いそうな会社だ」と思ってもらうことが重要です。言葉に凝り過ぎると候補者に伝わらない可能性があるため、率直な書き方でも問題ありません。「どのように書くか」ではなく、募集背景やターゲット人材を念頭に、「何を伝えるか」を意識しましょう。

(参考:『【完全版】効果が出る求人広告の作り方②~キャッチコピーの書き方・写真の選び方編~』)

自社の「魅力」となる情報を記入する

他社との差別化を図るためにも、自社の魅力は求人広告に必ず記載したい情報です。あらゆる角度から自社の強みをアピールしましょう。

その際、重要となるのが、「ターゲットにとってメリットとなり得る情報を記載する」ことです。自社の魅力となる情報は、以下のものが考えられます。

自社の魅力となる情報

・給与、待遇
・休日、休暇
・残業の少なさ
・各種制度、福利厚生
・業績、安定性
・企業の歴史
・人間関係
・仕事のやりがい
・キャリアアップ など

仕事内容や職場環境をイメージできる写真

求人広告では、写真を掲載できるケースが大半です。文字だけでは伝わりにくい内容を訴求できるため、積極的に活用するとよいでしょう。チーム構成やオフィスの環境、独自の文化など、候補者が働くことをイメージできるものを掲載することをおすすめします。候補者が何を知りたいか、それを踏まえた上で伝えたい自社の魅力は何かを考えながら、写真を選定しましょう。

法律を順守した表現がなされ、網羅されているか

労働者保護の観点から、求人広告の作成においては、職業安定法や男女雇用機会均等法などの法律によって「明示しなければならない事項」や「配慮すべき表現」が定められています。2022年10月1日施行の職業安定法の改正では、「求人等に関する情報の的確な表示の義務化」「個人情報の取扱いに関するルールの整備」「求人メディア等に関する届出制の創設」等の改正が行われました。企業には、これらの法律を順守した求人広告の作成が求められます。

法律で定められている事項や表現については、次の章で詳しくご紹介します。

(参考:厚生労働省『求人企業の皆さま 改正職業安定法2022(令和4)年10月1日施行 労働者の募集ルールが変わります』)

法律で定められている表現とは?

求人広告の作成に際し、法律で定められている明示しなければならない事項や配慮すべき表現の書き方について、具体的に紹介します。

必ず明記すべき労働条件

改正職業安定法第5条の3および職業安定法施行規則により、企業が求人広告を掲載する際には、労働条件等の明示が義務付けられています。明示しなければならない事項は、以下の通りです。

求人広告において最低限明示しなければならない労働条件等

●業務内容
●契約期間
●試用期間
●就業場所
●就業時間
●休憩時間
●休日
●時間外労働
●賃金
●加入保険
●受動喫煙防止措置
●募集者の氏名又は名称
●(派遣労働者として雇用する場合)雇用形態:派遣労働者

(参考:厚生労働省『求人企業の皆さま 改正職業安定法2022(令和4)年10月1日施行 労働者の募集ルールが変わります』)

なお、求人情報を「正確かつ最新の内容に保つ義務」が新設されたため、「求人広告に掲載している情報に変更があった際には内容を反映するよう事業者に依頼をする」「いつの時点の求人情報であるか明記する」といった対応も必要になります。

求人広告において規制されている表現

求人広告を作成する際には、職業安定法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、障害者雇用促進法など、さまざまな法律から制限を受けます。法律違反とならないよう、表現が適切かどうかを慎重に確認することが重要です。各法律において規制されている表現について、見ていきましょう。

虚偽もしくは誇大な表現

改正職業安定法第65条では、求人広告において虚偽や誇大な表現を使用することを禁じています。違反行為をした場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意しましょう。

職業安定法第65条

第9号 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。

第10号 虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つたとき

法令違反となる労働条件

実際の給与や待遇条件を記載したとしても、その内容が労働基準法や最低賃金法などで定められている労働条件を満たしていない場合は、法律違反となります。

労働基準法では「労働時間」や「休日」「休憩時間」「有給休暇」などを規定しています。自社の労働条件と労働基準法で定められた内容を照らし合わせ、法律に違反する項目がないかをしっかり確認しておきましょう。

最低賃金法では、最低賃金額未満で従業員を雇用することを禁止しています。最低賃金額は都道府県ごとに異なるため、厚生労働省が発表する「地域別最低賃金の全国一覧」を確認しましょう。なお、最低賃金額は毎年10月1日前後に改定されるため、注意が必要です。

(参考:厚生労働省『労働基準法の基礎知識』『地域別最低賃金の全国一覧』)

差別的な表現

男女雇用機会均等法では、「業務上の必要性がないにも関わらず身体的な特徴や人種、居住地などで応募を制限すること」や「転居を伴う転勤に応じることを採用条件とすること」などの差別的な表現・特定の人を優遇する表記を禁止しています。差別的な表現を用いないよう、十分に配慮しましょう。

禁止・差別的表現と言い換えの例

内容 禁止・差別的表現 言い換えの例
人種や国籍を限定または対象外とすること ・外人
・後進国
・外国人
・発展途上国
居住地を限定または対象外とすること ・県内にお住まいの方優遇
・通勤時間1時間以内の方
・Uターンの方歓迎
・地元企業で活躍したい方
身体的な特徴や心身の障害、病気に関して差別的な表現をすること ・色盲、色覚異常
・ブラインドタッチ
・色覚障がい
・タッチタイピング
身体条件や性格を限定または対象外とすること ・身長●cm以上
・生真面目な方
・(身体的特徴は記載しない)
・真面目に業務に取り組める方

年齢の制限

労働施策総合推進法では、募集・採用において年齢制限を設けたり、求人広告に年齢に関して差別する表現を用いたりすることは禁止されています。求人広告を作成する際には、雇用形態を問わず、原則として「年齢不問」としなければなりません。

禁止表現と言い換えの例

内容 禁止表現 言い換えの例
年齢を制限または対象外とすること ・●●歳から●●歳までの方
・●●代の方優遇します
・(原則として年齢は不問とする)
特定の年齢に条件を課すこと ・●歳以上の場合、別途試験あり ・試験あり

ただし、労働施策総合推進法施行規則第1条の3第1項に記載されている例外事由に該当する場合は、この限りではありません。

例外として認められるケース

●定年年齢を上限として上限年齢未満の労働者を募集する場合
●法令の規定により年齢制限が設けられている場合
●キャリア形成を図るために、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象とする場合

(参考:厚生労働省『その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?ー年齢にかかわりなく、均等な機会をー』)

性別の制限

男女雇用機会均等法により、性別に関する差別的な表現は禁止されています。男女いずれかを募集の対象外としたり、優遇したりするような求人広告の書き方は避けましょう。

禁止表現と言い換えの例

内容 禁止表現 言い換えの例
性別を限定または対象外とすること ・女性限定募集
・主婦歓迎
・女性活躍中
・主婦・主夫歓迎
性別が限定される名称を使用すること ・営業マン
・ウエーター
・看護婦経験あり
・営業スタッフ、営業職
・ホールスタッフ
・看護師経験あり
性別により異なる扱いをすること ・募集人員:男性3名、女性1名
・男性は適性検査あり
・募集人数:4名
・適性検査あり

なお、業務内容や職務によっては、労働基準法の規定や防犯上の要請、宗教上の理由などにより、例外的に性別を限定できることもあります。

著作権侵害

写真や文章には著作権が発生します。外部からの盗用はもちろんのこと、文書の作成者や撮影者の許可なく使用することも著作権侵害となるため、注意が必要です。例として、「販促用に自社のCMで起用したタレントの写真を求人広告で使用する」「人材紹介会社が作成した自社の求人広告を使いまわす」といったことはできません。法律に違反した場合、著作権法第119条、第124条により、法人に対しては3億円以下の罰金、個人に対しては10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

なお、社内の様子を伝えるために社員の写真を掲載する場合は、肖像権を侵害しないよう、写っている社員一人一人に掲載の許可を取りましょう。

公開後の効果検証が成果の出る「求人広告」への近道

候補者のニーズや自社のターゲットはその都度変化するため、求人広告においては、効果検証を行いながら改善を行うことが大切です。求人広告掲載後の効果検証のポイントについてご紹介します。

求めるターゲット人材からの応募があるか

まず把握したいのが、「求人広告へのアクセス数」や「読了率」「ターゲット人材からの応募数」です。それらの数字を基に、課題や解決策を探っていきましょう。例として、求める人材からの応募数が少なかった場合には、「ターゲット設定に誤りがあった」「ターゲットが求める情報を訴求できなかった」などの原因が考えられます。目標との乖離が生じた場合に迅速に対応できるよう、継続的に数値を追っていきましょう。

応募方法に不備や課題がないか

アクセス数や読了率が高いにもかかわらず応募数が少ない場合には、応募をする際のフォームやページ内容に問題がある可能性もあります。文章や応募条件にわかりにくい点や矛盾点はないか、フォームがきちんとアクセスできるかなどを定期的に確認し、応募への障壁を取り除きましょう。

採用コストに見合っているかどうか

採用にかかった費用と採用状況を照らし合わせ、採用コストに見合った求人広告を出せているのかを確認することも重要です。職種や利用する媒体ごとに「採用実績(人数)」や「採用者の傾向」「1人当たりの採用コスト」を算出しましょう。

しかし、仮に目標人数を採用できたとしても、自社が求める人材を獲得できなかった場合には、成功とは言えません。「何人採用できたか」ではなく、「求める人材を採用できたか」を最重要視する必要があります。そのため、定量部分だけでなく、定性部分もしっかりと確認しましょう。

(参考:『【完全版】効果が出る求人広告の作り方③~効果を分析し、採用コストを見直す編~』)

まとめ

求人広告を作成する際には、「情報量が適切か」「候補者にとってメリットとなる自社の魅力を発信できているか」などを意識する必要があります。また、「法律を順守しているか」「禁止表現を使用していないか」など注意すべき点もあるため、ルールを守りつつ作成することが大切です。今回ご紹介した書き方のポイントを参考に、候補者が「応募したい」と感じるような求人広告を作成し、自社の求める人材の獲得につなげてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/弁護士 藥師寺正典、編集/d’s JOURNAL編集部)

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