面接評価シートの作り方|評価項目や基準の決定方法を解説【テンプレート/サンプル有】

d’s JOURNAL編集部

面接時に確認したい「評価項目」や「評価基準」などを可視化したチェックシートである、「面接評価シート」。「面接評価シートはどのように作成するのか」「作成時には、どのようなことを意識するとよいのか」など、知りたい採用担当者も多いでしょう。今回は、面接評価シートのつくり方や作成時のポイントなどをご紹介します。サンプルのダウンロードもできますので、ぜひご活用ください。

面接評価シートとは?

面接評価シートとは、面接時に確認が必要な「評価項目」や「評価基準」を一覧化したチェックシートのこと。面接官は、面接評価シートに基づいて応募者に質問し、合否を決めます。このことから、面接評価シートは「自社にとって必要な人材か」を見極める際の重要な物差しと言えるでしょう。

面接評価シートを活用するメリット

面接評価シートを活用することにより、以下のメリットが期待できます。

面接評価シートを活用するメリット
●公平な採用活動の担保
●採用活動の効率化
●入社後の定着率向上

それぞれについて、見ていきましょう。

公平な採用活動の担保

面接評価シートを活用することで、公平な採用活動を担保できます。面接評価シートがないと、「面接官の主観によって、評価にばらつきが出る」「面接官としての経験が少ない場合、適切に評価を決められない」といったことが起こりがちです。

しかし、面接評価シートを使えば、面接官全員が同じ評価基準に則って質問・評価するため、面接官の主観・経験値に左右されることなく、会社として一貫性のある評価をすることができます。採用担当者の他に現場の社員が面接官を務める場合でも、面接官による評価のばらつきを避けられるでしょう。

採用活動の効率化

面接評価シートを使うことで、採用活動の効率化も期待できます。面接評価シートには評価項目が明記されているため、必要以上に時間をかけることなく、面接を行えるでしょう。シートに沿って面接を行うことで、「質問の聴き忘れ」や「評価のし忘れ」も防げます

また、面接で得た応募者の情報を他の面接官に伝える際にも、面接評価シートは役立ちます。「一次面接で得た情報を、二次面接で伝える」といった場合、口頭のみでは必要な情報を伝えきれないこともあるでしょう。しかし、面接評価シートには伝えるべき内容が一つのシートにまとまっているので、シートを使って情報共有すれば、抜け漏れなく正確に伝えることができます

入社後の定着率向上

面接評価シートに「経歴」や「スキル」以外の項目を盛り込んだ場合には、入社後の定着率向上も期待できます。具体的には、「仕事に対する価値観」やハイパフォーマーに共通した行動特性である「コンピテンシー」などを評価項目に含めるのが効果的です。仕事に対する価値観やコンピテンシーが自社にマッチしているかを面接時に確認するようにすれば、採用後のミスマッチが減り、定着率向上につながるでしょう。

(参考:『コンピテンシーとは?1分でサクッとわかる!意味や使い方、スキルとの違いを解説』)

面接評価シートを活用する注意点

面接評価シートを活用する際は、「数値に表せないことは評価しにくい」という面接評価シートの特性を踏まえて面接を進めることが重要です。

面接評価シートのみを重視した面接では、「評価項目に沿った画一的な質問しかせず、深掘りができない」「数値として表しにくいことに関しては、評価対象外となる」といったことが起こり得ます。あらかじめ決められた評価項目だけでは判断できない応募者の潜在的能力や人柄も、「自社にマッチし、活躍が期待できる人材か」の判断基準となるため、面接でしっかり確認する必要があります。

「面接評価シートで想定していない質問や、応募者の話を深掘りする質問も可能とする」「面接官が応募者の印象や魅力などを記入できるよう、面接評価シートに自由記入欄を設ける」などの工夫をしましょう。

「面接評価シート通りに面接を進めると、応募者に機械的で冷たい印象を与えかねない」という点にも注意が必要です。こうしたネガティブな印象を応募者に与えないよう、「面接前にアイスブレイクの時間を設ける」「応募者の話を傾聴していることを、表情や話を聴く姿勢で示す」などを意識しましょう。

面接評価シートのつくり方について

「公平な採用活動の担保」や「採用活動の効率化」などを目的とする面接評価シートですが、実際、どのように作成したらよいのでしょうか。面接評価シートのつくり方をご紹介します。

面接評価シートのつくり方

採用基準(求める人物像)を作成する

最初に、採用基準(求める人物像)を作成します。まずは、「全体・職種ごとの有効求人倍率」や「競合企業の求人情報」を確認することから始めましょう。その上で、「経歴・スキル・経験」「コンピテンシー」「価値観」という3つの指標から、評価項目ごとの採用基準を作成します。採用基準を作成したら、関係者間での合意形成をしましょう。一般的に、新卒採用の場合には経営層や幹部クラスとの、中途採用の場合には配属先の管理職とのコンセンサスが必要とされています。

詳細については、こちらの記事をご確認ください。
(参考:『採用基準の決め方|役割や作成手順をテンプレートと例で解説』)

なお、採用基準を作成する際に活用したい「採用要件見直しシート」や「ターゲット・ペルソナ設定実践シート」はこちらからダウンロードできます。

採用基準(求める人物像)を定量化・具体化する

次に、誰もが採用基準をイメージできるよう、採用基準を定量化・具体化します。その際、関係者間で具体的な定義について擦り合わせることが重要です。

採用基準の定量化・具体化の例をご紹介します。

採用基準 定量化・具体化の例
学習意欲が高い ●業務に関連した本を、月に2冊以上読んでいる
●本やニュースで得た知識を、業務に活かしている など
コミュニケーション能力が高い ●初対面の人とも、物おじせずに話せる
●相手の意見を尊重しながら、自分の意見も伝えることができる など

採用基準(求める人物像)ごとの評価基準を定める

採用基準を定量化・具体化したら、「応募者が採用基準を満たす人材であるか」を面接官が面接時に評価できるよう、採用基準ごとの評価基準を定めます。採用基準ごとに、「3段階評価」または「5段階評価」とするとよいでしょう。

採用基準ごとの評価基準の例をご紹介します。

採用基準 評価基準の例(3段階評価の場合)
学習意欲が高い 【評価1】:業務遂行のために最低限必要な情報をインプットしきれていない、学習習慣が身に付いていない など
【評価2】:業務遂行のために必要な情報をインプットし続けられている、ニュースや本などから学習する習慣が身に付いている など
【評価3】:中長期的なキャリア形成を考えた上で、現在の業務で必要な情報以外も積極的に収集し、業務に取り入れようとしている など
コミュニケーション能力が高い 【評価1】:初対面の相手に対しては挨拶程度の会話しかできない、人の話を最後まで聞かずに自分の話したいことを話す など
【評価2】:初対面の相手とも和やかに会話を展開できる、人の話を最後までしっかり聞いた後に自分の話をすることができる など
【評価3】:初対面の人や立場が上の人に対してでも、相手の意見・価値観を尊重した上で、自分の意見を伝えたり、提案したりすることができる など

面接評価シート作成のコツ・ポイント

面接評価シートの基本的なつくり方は先ほどご紹介した通りですが、作成時にはその他にも押さえておきたいポイントがあります。面接評価シートを作成する際のコツ・ポイントをご紹介します。

採用基準を設け過ぎない

企業によっても異なりますが、採用面接の時間は「30~60分」程度が一般的です。採用基準をあまりにも多く設けてしまうと、「面接時間内に全て聞ききれない」「面接時間を延長しなければならなくなる」といったように、面接官・応募者双方にとって負担となる可能性があります。そうしたことを避けるため、自社にとって本当に必要な採用基準を厳選しましょう。

関係者間で細かな擦り合わせを行う

人事部の他、経営陣や現場の社員が面接に参加するケースも少なくありません。多くの社員に協力してもらう場合には、応募者を同じ目線で評価できるよう、評価基準の目線合わせを細やかに行うことが重要です。関係者間で十分な擦り合わせができれば、面接の際に円滑に評価を決められるようになるでしょう。

面接評価シートのサンプルをダウンロード

面接評価シートのつくり方や作成時のコツについて見てきましたが、面接評価シートを一から作成しようとすると、工数がかかります。作成にかかる工数をなるべく減らせるよう、テンプレートを活用するとよいでしょう。

d’s JOURNALでは、新卒・中途関係なくご活用いただけるサンプルをご用意しました。

なお、評価項目については、コンピテンシー項目一覧をもとに柔軟に調整いただくことをおすすめします。

面接評価シートを有効活用するポイント

面接評価シートを活用する際は、どのようなことを意識するとよいのでしょうか。面接評価シートを有効活用するポイントを紹介します。

採用ターゲットごとに内容を調整する

面接時に確認すべきポイントは、採用ターゲットによって異なります。たとえば、新卒採用の場合は「ポテンシャル」や「パーソナリティ」など、中途採用の場合は「経歴・職歴」や「スキル・専門知識」などが評価対象となるでしょう。求める人物像も採用ターゲットによって変わってくるため、採用ターゲットに応じて、面接評価シートの内容を調整することが重要です。

「新卒採用/中途採用」で分ける他、「営業職/事務職」「一般社員/管理職」などで分けた方がよいケースもあるでしょう。

データを集計して振り返れるようにする

面接評価シートを有効活用するためには、データを集計して振り返れるようにすることも大切です。応募者ごとの面接評価を数値として残し、データを分析することで、「どの応募者に、次の選考に進んでもらうか」「どの応募者を採用とするか」が判断しやすくなります。

「本来であれば選考通過/採用とすべき応募者を、誤って選考不通過/不採用としてしまう」というヒューマンエラーも起こりにくくなるでしょう。

定期的に内容をブラッシュアップする

採用した社員が「すぐに離職してしまった」「会社が期待したような成果を上げていない」といった場合、面接評価シートで定めた評価項目・採用基準に問題があった可能性があります。そのため、PDCAを回し、面接評価シートの内容を定期的にブラッシュアップすることが重要です。

定期的に内容を見直すことで、評価項目・採用基準がより自社の実態・ニーズに合ったものとなり、自社にマッチした人材・自社が必要とする人材を採用しやすくなるでしょう。

まとめ

面接評価シートを作成・活用することで、「公平な採用活動の担保」や「採用活動の効率化」などが期待できます。作成する際には、まず、採用基準を定めることから始めることが重要です。

「採用基準を設け過ぎない」「関係者間で細かな擦り合わせを行う」というポイントを押さえた上で面接評価シートを作成し、面接時に活用していきましょう。

「採用ターゲットごとに内容を調整する」「データを集計して振り返れるようにする」などを意識しながら、面接評価シートを活用することをおすすめします。

(制作協力/株式会社mojiwows、編集/d’s JOURNAL編集部)

【Excel版】「採用目的別」面接質問例

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