コンピテンシーとは?意味や項目と具体例、評価や面接での活用方法を解説

コンピテンシーとは?意味や項目と具体例、評価や面接での活用方法を解説

doda人事ジャーナル編集部

コンピテンシーとは、高い成果を上げる人に共通する行動特性です。近年、従業員一人ひとりの成長を促し生産性を向上させる手段として、注目が集まっています。

さらに、コンピテンシーは採用の場でも活用が可能です。

そこで本記事では、コンピテンシーの意味や項目例、評価・面接での活用方法などを詳しく解説します。

自社に合う行動特性を整理する際は、項目一覧の無料サンプルをダウンロードしてご活用ください。

コンピテンシーとは?

コンピテンシー(competency)は、「能力」「技能」「力量」「適性」など、さまざまな意味を持つ英単語です。

ビジネスの場では、人事や組織マネジメントの領域を中心に用いられており、高いパフォーマンスで高い成果を上げる人に共通する「行動特性」を指します。

ここでは、人事・組織マネジメントの場で用いられるコンピテンシーの考え方について、概要を解説します。

【コンピテンシーの概要】
●コンピテンシーの定義
●コンピテンシーの具体例
●コンピテンシーが注目された背景

コンピテンシーの定義

コンピテンシーの定義は、「ハイパフォーマーに共通している行動特性」です。

ポイントは、該当者たちが持っている知識・技能そのものではなく、思考や判断、行動の傾向などを指す点です。

実際に自社で高い成果を上げる従業員を基に「普段はどのようなことを意識しているのか」「どういう理由で、どのように行動しているのか」などに注目し、コンピテンシーを明らかにすれば、自社の社風や目指す方向性に適した評価基準を作成できるようになります。

ただし一方で、ハイパフォーマーの成果には、本人の特性だけでなく所属するチームの体制や担当業務、周囲からの支援などの環境要因の影響も含まれています。

そのため、特定の行動特性だけを成功要因として過度に一般化しないことも大切です。

コンピテンシー氷山モデル

コンピテンシー氷山モデル

知識やスキルは第三者からも比較的容易に観測できる一方で、動機や価値観、性格特性といったものは可視化しにくいことから、コンピテンシーは氷山に例えられます。

上記の「コンピテンシー氷山モデル」は、その仕組みや考え方を図示したものです。

コンピテンシーは、単に保有しているだけではなく、具体的な行動として発揮され、その行動がお客さまや周囲、自身の仕事にどのような価値を生み出しているかが重要です。

そのため、コンピテンシーに基づいて従業員を評価する際は、「そのコンピテンシーを持っているか」ではなく、どのような行動として発揮され、どのような価値創出につながったのかを、観察可能な行動事実に基づいて明文化します。

その上で、そうした行動を発揮するために必要な考え方や特性、価値基準をコンピテンシーとして整理するとよいでしょう。コンピテンシー氷山モデルは、この関係を理解するための補助として活用します。

コンピテンシーの具体例

コンピテンシーの例としては、以下のような項目が挙げられます。

【コンピテンシーの例】
●感情に流されず落ち着いて判断できる「冷静さ」
●率先して行動した上で、状況に応じて軌道修正する「行動志向」
●初対面の相手に好印象を与える「第一印象度」
●問題の本質を見極めて解決を図る「分析思考」
●業務上の問題を発見し、解決策を提案・実行する「主体性」
●顧客の要望の背景にある課題を理解し、社内外を巻き込んで解決策を提案する「顧客志向」

コンピテンシーが注目された背景

コンピテンシーは、ハーバード大学のマクレランド教授が1970年代前半に行った調査をきっかけに知られるようになりました。

外交官の採用時のテスト成績と配属後の実績の相関関係を調査した結果、「学歴や知能は、業績の高さとさほど相関はない」「高い業績を上げる者には、共通の行動特性がある」ことが判明したのです。(参照:APA PsycNet『Testing for competence rather than for “intelligence.”』)

その後、コンピテンシーは「高い成果を上げる人に共通する行動特性」を意味する言葉として使われるようになりました。日本では、従業員の成果や行動を適切に評価するため、人事評価制度の見直しを進める企業も増えています。

その中で、高い成果を上げる人に共通する行動特性に着目するコンピテンシーが、評価基準の一つとして活用されています。学歴や知能テストだけでは職務成果を測りきれないため、公正な評価につながるコンピテンシーが注目されています。

コンピテンシー・コンピテンシーモデル・コンピテンシー評価の違いと関係

コンピテンシーと混同されがちな言葉に「コンピテンシーモデル」「コンピテンシー評価」があります。

それぞれの違いを以下の表にまとめました。

【言葉の意味の違い】

言葉 意味
コンピテンシー 成果につながる行動特性
コンピテンシーモデル 職種・等級ごとに、求めるコンピテンシーの内容を体系化したもの
コンピテンシー評価 コンピテンシーモデルを基準に、実際の行動を評価する仕組み

コンピテンシーはあくまでも、成果につながる行動特性を指します。そのコンピテンシーを体系化したものがコンピテンシーモデルです。

そしてコンピテンシーモデルを用いて行う評価を、コンピテンシー評価といいます。

コンピテンシーと似た言葉の違い

コンピテンシーと意味の近い関連語や類語は、いくつかあります。それぞれの違いについては以下の表をご覧ください。

【コンピテンシーと似ている言葉】

意味 具体例 対象
スキル(能力) 従業員の有する専門的な能力・技能そのもの ●特定の分野に関する専門知識 ●高度なパソコン処理能力
●営業力 など
個人
コア・コンピタンス 企業が持つ技術や特色 ●複数の市場・商品にアプローチする力 ●顧客に満足感を与える力 ●他社から模倣されない力 など 企業
ケイパビリティ 企業が成長するための原動力となる組織的能力や強み ●独自性のある商品デザイン ●ほかにはない店舗レイアウト など 企業
バリュー 「組織内で何を大切にするのか」という行動指針 ●「お客さまの成功を、自分たちの成功と考える」 ●「失敗を恐れずに行動する」
●「社会や環境に配慮したものづくりを続ける」 など
企業

ここからは、それぞれの言葉についてコンピテンシーとの違いを解説します。

スキル(能力)との違い

「スキル」とは、個人の有する専門的な能力や技能のことです。

例えば、特定の分野に関する専門知識や営業力などが挙げられます。

対して、コンピテンシーは、保有しているスキルや知識をどのような行動につなげ、成果に結び付けているかという行動特性を指します。

また、「評価」に着目すると、コンピテンシー評価と能力評価もそれぞれ異なるものです。

コンピテンシー評価では、「成果につながるための行動」を評価対象とする一方で、能力評価では「必要な能力を保有していること」が評価されます。

コンピテンシー評価について、詳しくは本記事後半で解説します。

コア・コンピタンス、ケイパビリティとの違い

コア・コンピタンスとケイパビリティはそれぞれ、企業が対象となっている点がコンピテンシーと異なります。

まず、コア・コンピタンスは、企業が持つ技術や特色のことです。

例えば「複数の市場や商品にアプローチする力」「顧客に満足感を与える力」「他社から模倣されない力」などが該当します。

そして、ケイパビリティは、企業が成長するための原動力となる組織的能力や強みなど、他社より優位となる要素のことです。

例としては「独自性のある商品デザイン」「ほかにはない店舗レイアウト」などが挙げられます。

いずれも「企業が持っているもの」である一方、コンピテンシーは「ハイパフォーマー(個人)が共通して持っているもの」である点が大きな違いです。

バリュー(行動指針)との違い

ほかにコンピテンシーと混同されることのある言葉には「バリュー」もあります。バリューは「組織内で何を大切にするのか」という行動指針のことで、全従業員が共通して意識するものです。

コンピテンシーは「どうすれば成果が出るのか」という問いへの答えとなる、ハイパフォーマーに共通する行動特性です。

その評価の基準は「業績(パフォーマンス)につながる行動ができているかどうか」であるため、コンピテンシーを評価する軸がバリューではありますが、両者は別のものです。

コンピテンシー項目の一覧と具体例

ここでは、コンピテンシーの具体的な項目例をご紹介します。

活用目的・職種・等級・成果に応じて項目を選ぶ

企業でコンピテンシーを用いる際は、人事評価や採用、人材育成といった目的のほか、対象の職種や等級、成果などによっても求められる項目が異なります。

そのため、目的を決めてから状況に合う項目を選ぶことが大切です。

以下の表を参考にしてください。

【目的別・コンピテンシーの項目で重視すべき粒度】

目的 粒度の考え方 項目の例
評価 客観的に評価できる行動基準まで具体化する ●責任感
●改善力 など
採用 面接で見極められる粒度に設定する ●主体性
●学習意欲 など
育成 育成課題が明確になるように細分化する ●課題解決力
●コミュニケーション能力 など
配置 適性のある配属先を判断できる項目を設定する ●専門性
●対人能力 など
管理職の育成 マネジメントの行動まで定義できるような項目を設定する ●リーダーシップ
●人材育成力 など

8分類のコンピテンシー項目例

ここでは、当サイトで無料ダウンロード可能なコンピテンシーモデルの分類を基に、項目の例をご紹介します。

【8分類のコンピテンシー項目例】

分類 項目の例
①自己の成熟性・自己認知 ●冷静さ:感情に流されずに冷静に判断できる
●誠実さ:社内、社外関係なく誰に対しても誠実な対応ができる
② 変革志向性・意思決定 ●行動志向:まずは率先して行動し、状況に応じて軌道修正する
●自律志向:自ら考えて計画・実行する
③顧客志向性・対人(顧客) ●第一印象度:初対面の相手に対して好印象を与える身なり、言動をする
●プレゼンテーション力:的確に内容を伝え相手の理解・納得を得られる
④組織・チームワーク ●上司・同僚・メンバーとのコミュニケーション:相手に伝わる言葉とストーリーで論理的なコミュニケーションを行う
●ムードメーカー性:自身の言動や行動がチームの目標達成意欲を高める
⑤業務遂行 ●専門知識の習得:業界において最先端・トップレベルのスキル・知識を保有し、高めるため恒常的に学んでいる
●文章力:目的に沿って明確かつ、簡潔に文章を書ける
⑥戦略志向 ●分析思考(視野の広さ・深さ):問題を掘り下げ、本質を見極め、真因を特定し、問題解決を行う
●アイデア思考:新たな発想を生み出し、業務への活用を考える
⑦情報 ●情報収集力:数ある情報源の中から正しい情報をより早く、広く収集する
●情報整理力:収集した情報を状況や目的に合わせて整理する
⑧指示・統率 ●経営理念・行動指針の浸透:経営理念や行動指針をメンバーに話し、体現させる
●メンバーの育成、指導:日常の仕事の中で動機付けを行いながら、新しい仕事にチャレンジさせスキルだけではなく資質を長期的に育成する

職種別・役職別のコンピテンシー項目例

職種や役職によっても、重視したい項目は異なります。一例を以下に整理しました。

【職種別・役職別のコンピテンシー項目例】

職種・役職 項目例
営業職 顧客理解力、交渉力、目標達成意識 など
エンジニア 課題解決能力、情報共有意識、改善提案力 など
管理職 意思決定力、育成能力、組織統率力 など
企画職 論理的思考力、折衝力、情報収集力 など

項目数は評価者が観察・説明できる範囲に絞る

ここまでさまざまな項目例を取り上げましたが、現場で取り入れる項目の数は、評価者が観察・説明できる範囲に絞りましょう。

項目が多過ぎると評価者の負担が増えるほか、現場が意識すべき重要な行動があいまいになってしまう懸念もあります。

目安としては、コンピテンシーを初めて取り入れる場合は全社共通の項目と職種別の項目をそれぞれ3~5項目程度ずつ選び、小規模で開始しましょう。

ただし、「どの程度の項目が最適か」といった正解は存在しません。コンピテンシーを取り入れる目的と、運用負荷のバランスを考慮しつつ、様子を見ながら決めていくことをお勧めします。

コンピテンシーモデルとは

コンピテンシーを実務で活用するには、職種や等級別に求める行動を体系化した「コンピテンシーモデル」が必要です。

ハイパフォーマーに共通する特性がコンピテンシーですが、その特性を具体化し、「成果を出せる人物像の基準」を組織単位で定義したものがコンピテンシーモデルです。

「高い成果を出せるかどうか」は、環境や条件によって異なるため、職種や等級ごとに独自のコンピテンシーモデルを作成する必要があります。

コンピテンシーモデルが必要な理由

コンピテンシーモデルを設定せずに、コンピテンシーの項目名だけを評価基準とすると、評価者によって解釈が変わってしまう可能性があります。

そのため、「期待している行動」「求めるレベル」「評価する場面」までを細かく定義したコンピテンシーモデルが必要です。

また、コンピテンシーモデルを設定すれば、その組織で成果を上げるための基準が明確になるため、コンピテンシーモデルは採用・評価・育成をつなぐ「共通言語」として活用できるようになるでしょう。

理想型・実在型・ハイブリッド型の違い

コンピテンシーモデルには「理想型」「実在型」「ハイブリッド型」の3種類があります。それぞれ、向き不向きがあるため、以下を参考に、現場に取り入れる種類を検討しましょう。

【コンピテンシーモデルの比較】

種類 概要 特徴
理想型 企業が求める理想の従業員像を基に作成したもの ●社内にモデルとなるハイパフォーマーがいない場合に有効
●戦略を起点に考えたい場合に向いている
実在型 実際に成果を上げている従業員にヒアリングを行い、モデル化したもの ●理想像がイメージしやすく、現場の納得感を得やすい
●現場の実態を考えたい場合に向いている
ハイブリッド型 理想型と実在型を組み合わせたもの ●両者の良い部分を取り入れられる
●戦略と現場の実態を両立できる

戦略に基づく理想像と、実際に成果を上げている従業員の行動特性の両方を反映したい場合は、ハイブリッド型を選択肢の一つとして検討すると良いでしょう。

コンピテンシーモデルの設計手順や活用例は、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:コンピテンシーモデルとは?目的や活用例・作成方法を解説)

コンピテンシーモデルのつくり方7ステップ

ここでは、コンピテンシーモデルを設計する手順を7つのステップに分けて解説します。

①活用目的を決める
②対象となる職種・等級を絞る
③成果の定義とハイパフォーマーの選定
④行動事実をヒアリングする
⑤項目を分類・選定する
⑥レベル別の行動基準を設定する
⑦小規模なテスト運用・改善

なお、今回は上記で紹介した3つのモデルのうち、実在型を例に取り上げます。

1. 活用目的を決める

コンピテンシーモデルは、人事評価や採用、人材育成などさまざまな場面で活用できますが、目的があいまいだと項目が増え過ぎて、具体的なアクションに落とし込みにくくなってしまう可能性があります。

そのため、コンピテンシーモデルを設計する前に、まずは目的をしっかりと擦り合わせることが大切です。複数の用途を検討している場合は、優先順位を決めましょう。

2. 対象となる職種・等級を絞る

続いて、対象となる職種や等級を決めます。対象によって「ハイパフォーマーである」という成果の定義や、コンピテンシーモデルによって定めるべき行動が異なるため、ここで対象を決めておく必要があるのです。

また、この後の工程でヒアリングを行うこととなるため、リソースを確保し人員を選定するためにも、対象を絞っておく必要があります。

3. 成果の定義とハイパフォーマーの選定

対象となる職種や等級が決まったら、その組織のコンピテンシーで基準とする「成果」を定義した後、その定義を満たすハイパフォーマーを選定します。

まずは売上や受注率、顧客満足度、品質、生産性、育成成果など、対象の職種・等級で求める成果指標を明確化しましょう。

そして、客観的な成果と周囲からの評価を組み合わせて対象者を選びます。

ハイパフォーマーの特徴や分析方法は、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:ハイパフォーマーとは?共通する特徴や分析方法、育成する方法を解説)

4. 行動事実をヒアリングする

コンピテンシーモデルの原型となる情報を集めるため、ハイパフォーマーに対してヒアリングを実施し、具体的な行動や思考を洗い出します。

このとき、「あなたの強みは?」という主観的な回答になってしまう問いかけではなく、実際に成果を出した場面について深掘りできるように質問しましょう。

成果について深掘りする際は、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)に沿って「そのとき、どのような判断・行動をしたのか」を聞く、「STAR形式」が適しています。

なお、ハイパフォーマーだけでなく標準層とされるメンバーについても、指標を基にそれぞれの成果を可視化し、ハイパフォーマーとの成果や行動の差を比較してください。

ハイパフォーマーが成果を上げている要因には、偶然や環境、個人的な要因など、再現性が低いものが含まれている場合もあります。

そのような要因をコンピテンシーとして過度に一般化しないために、標準層と比較して差分を抽出する必要があるのです。

5. 項目を分類・選定する

ヒアリングによって洗い出した行動を、先ほど「8分類のコンピテンシー項目例」で紹介した「自己の成熟性・自己認知」「変革志向性・意思決定」をはじめとする8つの分類に振り分けます。このとき、重複しているものや抽象的なものを削り、優先度の高いものに絞りましょう。

また、評価者からの観察が難しいものも除外してください。

6. レベル別の行動基準を設定する

続いて、各項目を5つの段階にレベル分けした上で、段階ごとの行動を記載しましょう。この整理を行うことで、評価の際にコンピテンシーモデルに対する達成度合いを把握できるようになります。

なお、段階ごとの行動を決めるにあたっては、「最適かどうか」ではなく、その行動が影響する範囲や、自律の度合いを定めることが大切です。

具体例は以下をご覧ください。

【レベル別の行動基準の設定例】

レベル1 指示に従って動ける
レベル2 指示内容を正確にこなせる
レベル3 指示がなくとも主体的に取り組める
レベル4 周囲を巻き込み、行動した結果新たな価値を生み出せる
レベル5 既存の枠組みを超えて、組織に影響を与えられる

7. 小規模なテスト運用・改善

コンピテンシーモデルを価値のあるものとするためには、定期的な評価と改善が必要です。

そのため、導入後の見直しの責任者や改善のサイクルをあらかじめ決めておきましょう。準備が整ったら、まず一部の部署や等級でコンピテンシーモデルをテスト運用します。

「評価者と被評価者の理解は十分か」「項目数は適切か」「評価者の負担は大きくないか」などを確認し、必要に応じて改善することで、現場全体に落とし込めるコンピテンシーモデルが完成します。

コンピテンシーを人事評価に活用する方法

コンピテンシーは、人事評価に取り入れられます。

具体的には、以下の方法を用いると良いでしょう。

【コンピテンシーを人事評価に活用する方法】
●コンピテンシーの5段階評価基準を設定する
● MBO・成果評価・360度評価と組み合わせる
●評価者研修・評価会議で評価のずれを抑える

コンピテンシーの5段階評価基準を設定する

コンピテンシーに基づく人事評価項目は、5段階程度にレベルを分けて設定します。これは、細かく分けて基準を定めることで、より実態に即した評価を行えるようになるためです。

具体例は以下をご覧ください。

【一般的なコンピテンシーモデルに基づいた評価項目のレベル分け】

レベル 行動内容
1.受動的行動 ●指示を待ち、自ら動こうとしない
●周囲から、行動特性として認識されない
2.通常行動 ●行動が必要な場合は、状況に応じて動ける
●目立つ行動特性ではない
3.能動行動 ●明確な意図や目的を持ち、自発的に行動できる
●周囲から見ても、「その行動を自ら選択して動いている」と認識できる
4.創造行動 ●問題や課題を解決するために、自発的に行動できる
●行動を選択するだけでなく、状況を変えるために独自で工夫しながら動いていることがわかる
5.パラダイム転換行動 ●独自性のある行動で既成概念を打破し、周囲にとっても良い影響のある状況をつくり出せる

なお、レベルが高いほど常に良いとは限らないため、職務・等級に必要なレベルで評価することが大切です。

その職務や等級に対して必要なレベルを想定し、適正な評価を行えるよう運用しましょう。

評価シートの書き方や導入の流れは、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:コンピテンシー評価とは?項目例と評価シートの書き方やメリット・デメリットを解説)

「業務改善」を例にした5段階評価

ここでは、人事評価項目の中でも「業務改善」を取り上げ、5段階の項目の設定例をご紹介します。

【業務改善のコンピテンシー人事評価項目の設定例】

レベル1 指示された業務を行えているが、改善行動はみられない
レベル2 自分の担当業務の問題に気付いている
レベル3 自ら改善策を実行できる
レベル4 チームを巻き込んで組織の課題を改善できる
レベル5 部門・全社に影響する改善の仕組みをつくることができる

評価項目を設計する際のポイントは、「自律できている度合い」と「影響を与えている範囲」をかけ合わせてレベルを分けることです。

評価項目を自社向けに具体化する際は、無料のコンピテンシー評価シートをご活用ください。

MBO・成果評価・360度評価と組み合わせる

コンピテンシー評価だけで人事評価を行うのではなく、ほかの評価方法と組み合わせることをお勧めします。

なぜなら、コンピテンシー評価をはじめ、いずれの評価方法も万能ではなくそれぞれ強みが異なっており、補完関係にあるためです。

コンピテンシー評価と組み合わせると良い評価方法の一例は以下です。

【コンピテンシー評価との補完関係にある評価方法】

MBO 組織目標を踏まえて上司と本人が設定した目標について、達成度やプロセスを確認・評価する
成果評価 一定期間の業績や成果を評価する
360度評価 上司や部下、チームメンバーなど、さまざまな立場から評価を行う

なお、360度評価について、詳しくは下記の記事で解説しています。
(関連記事:360度評価とは?テンプレートで使える評価項目と設問例、例文を紹介)

評価者研修・評価会議で評価のずれを抑える

評価項目があらかじめ定められているとは言え、評価者は人間である以上、評価にあたって主観が混じることは避けられません。

しかし、複数の評価者の間で主観による評価のずれが生じると、適正な制度ではなくなってしまいます。

そのため、評価者研修や評価会議を行い、評価者同士の認識を擦り合わせましょう。

また、事実に基づいた客観的な評価を行うために、評価対象者の行動事実を日々記録しておくことも大切です。

さらに、自己評価と上司評価の乖離(かいり)を最小限に抑えられるよう、コンピテンシー評価の目的を被評価者に対して事前に説明しましょう。

コンピテンシーを採用・面接に活用する方法

コンピテンシーは、評価だけでなく採用の場でも活用できます。面接官ごとの評価のばらつきや、採用ミスマッチにお悩みの人事・採用担当者は、ぜひ以下の活用方法を参考にしてください。

【コンピテンシーを採用・面接に活用する方法】
●職務に必要なコンピテンシーを公正な基準で定義する
●コンピテンシーを確認する質問を作成する
● STAR形式で転職希望者の過去行動を深掘りする

職務に必要なコンピテンシーを公正な基準で定義する

採用にコンピテンシーを用いる場合であっても、質問を考える前に、まず自社で活躍している従業員の共通点を洗い出し、コンピテンシーを定義します。

なぜなら、面接の質問内容はコンピテンシーに基づいて設定することとなるためです。自社で活躍している人材に共通する行動特性を備えているかを見極めることで、ハイパフォーマーに成長する可能性の高い人材を採用できる可能性が高まります。

なお、コンピテンシーを定義するにあたっては、職務遂行に必要な適性・能力に関係する内容だけを設定しましょう。

「どのような家庭で育ったのか」など、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項のほか、「結婚・出産後もはたらく意思があるか」といった、職務上必要な適性・能力と関係のない質問は避けましょう。

コンピテンシーを確認する質問を作成する

コンピテンシーが確定したら、転職希望者がコンピテンシーを満たしているかどうかを確認するための質問を作成します。

基本的な流れとしては、まず「直近1年以内に、最も成果を上げたエピソードについてお聞かせください」「どのような成果を上げることができましたか?」といったように、コンピテンシーと直結する内容を質問します。

その上で、「なぜ、そうしようと思ったのですか?」「成果につなげるため、どのような工夫をしましたか?」など、掘り下げた内容を投げかけます。

このような質問を用意しておくことで、コンピテンシーに基づいて面接を進められるでしょう。

コンピテンシー面接の質問例や評価基準は、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:コンピテンシー面接とは?質問例と評価基準、やり方を解説【評価シート付】)

STAR形式で転職希望者の過去行動を深掘りする

「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の4つの観点から質問して、過去の行動を深堀りする手法を「STAR形式」といいます。

コンピテンシー面接では、転職希望者とコンピテンシーの合致度合いを測るために、STAR形式を用いることをお勧めします。

質問例は以下をご覧ください。

【STAR形式での質問例】

Situation(状況) 本人の置かれた状況や、求められた役割、難易度など 例:「ここ1~2年の間に、どのようなシーンで特に力を発揮しましたか?」
Task(課題) 本人が気付いた課題や、課題解決のために設定した目標など 例:「その状況で、どのような課題に気付きましたか?」
Action(行動) 課題を解決するために取った行動や、その意図など 例:「実際にあなたが取った行動を、時系列順にお聞かせください」
Result(結果) 行動の結果、周囲に与えた影響や得られた学びなど 例:「あなたの行動について、周囲はどのように評価しましたか?」

上記以外のSTAR形式での質問例について、下記の記事で詳しく取り上げています。
(関連記事:初めての面接官でも応募者を掘り下げられる!STAR面接ノウハウ ~やりがちな面接失敗行動付き~)

コンピテンシーを人材育成・1on1・マネジメントに活用する方法

人材育成にもコンピテンシーを活用できます。ポイントは、査定のための基準ではなく、従業員・部下の成長を支援する共通言語としてコンピテンシーを取り入れることです。

洗い出したコンピテンシーを基に「これを目指すために、次にどのような経験を積めば良いのか」を具体化して教育することで、従業員の納得感を高めながら効率的に育成できることが期待できます。

人材育成への具体的な落とし込み方は、以下でご紹介します。

●1on1で期待行動と改善目標を共有する
●研修・OJT・配置によって必要な行動を伸ばす
●管理職が期待行動を共通言語として運用する

1on1で期待行動と改善目標を共有する

まず、「どういった思考の下、どのような行動を取れば高い成果につながるのか」を伝えるコンピテンシー研修を実施し、ハイパフォーマーの行動特性を従業員に示します。その上で、1on1を実施します。

職種・等級ごとに求める行動基準と、本人が実際に取った行動を比較し、伸びしろのある項目に基づいて課題を設定しましょう。

なお、このとき評価点だけを伝えるのではなく、実際に確認できた行動事実と、職種・等級で期待する行動との差を本人と確認することが大切です。

課題設定にあたっては「コミュニケーション力が低い」などの抽象的な表現ではなく、「会議前に関係者の意見を確認する」など、観察・改善できる行動に置き換えましょう。

ポイントは、本人の認識や業務上の事情も聞いた上で、「どの場面で・どのような行動を・いつまでに実践するか」を具体的に決めることです。

そして課題が決まったら、次回の1on1で行動の変化を振り返れるよう、実践内容・確認期間・振り返り方法を記録します。

なお、一度に多くの課題を設定し過ぎないことも大切です。課題が多い場合は、業務成果や本人の役割に基づいて優先順位を決めて、1~2項目に絞りましょう。

1on1の準備や進め方、対話のポイントは、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:1on1ミーティングとは?目的や効果、導入する方法と進め方を解説)

研修・OJT・配置によって必要な行動を伸ばす

1on1で洗い出した課題に応じて、必要な行動を実践できる機会を設定しましょう。

例えば、知識不足が課題となっているのであれば研修、実践経験が不足している場合はOJT、意思決定や周囲へのはたらきかけを強化したい場合はプロジェクトへの参加など、適切な対応は課題によって異なります。

このとき、研修を受講したり、経験を積んだりすることだけが目的ではない点に注意が必要です。これらの経験を通じて本人が課題を改善し、期待されている行動を業務上で取れるようになったのかどうかを、一定期間経過後に確認しましょう。

管理職が期待行動を共通言語として運用する

管理職から部下に求める行動を説明する際の共通言語として、コンピテンシーの内容を用いることも効果的です。

漠然とした目標や理想論だけを掲げるよりも、実際に成果を上げている人の行動を具体的な目標として共有することで、部下が求められる行動を理解しやすくなり、納得感の向上につながるでしょう。

また、管理職間で共通のコンピテンシーを基準として活用することで、育成方針の統一を図りやすくなり、属人的な人材育成を抑える一助となります。

人材育成マネジメントの手法や導入事例は、下記の記事で詳しく確認できます。
(関連記事:人材育成マネジメントとは?必要なスキルや効果的な手法、導入事例も解説)

コンピテンシーを活用するメリット

ここまで、人事評価や採用、人材育成と、コンピテンシーを活用できる3つの場面について解説しましたが、コンピテンシーの導入はそれぞれの場面で大きなメリットがあります。

【コンピテンシーを活用するメリット】
●採用・評価・育成の基準がつながる
●評価の納得感と育成の方向性を高められる
●成果につながる行動を組織へ展開できる

採用・評価・育成の基準がつながる

採用・評価・育成の全てにコンピテンシーを用いることで、それぞれの場面で求める基準が統一されます。

その結果、採用から育成まで一貫した基準を設定しやすくなるでしょう。コンピテンシーを人材採用に活用すれば、採用基準を明確化できます。面接官による評価のばらつきを抑えられるだけでなく、自社に合った人材を見極めやすくなるでしょう。

採用後はコンピテンシーに基づいて評価・育成を行うため、採用時から一貫した基準の下、ハイパフォーマーを効率的に育成できる可能性が高まります。

評価の納得感と育成の方向性を高められる

人事評価の基準としてコンピテンシーを設定することで、全従業員が「会社はどのような人材を求めているのか」「そのために、どのような思考・行動が求められるのか」を理解しやすくなります。

期待される行動が明確になることで、従業員一人ひとりが自身の成長課題を認識しやすくなり、育成の方向性を共有する際の共通の基準として活用できるでしょう。

また、コンピテンシーという明確な評価基準があることで、評価基準を共有しやすくなり、評価のばらつきを抑える一助となるでしょう。

さらに、評価コメントが印象論になりにくくなるため、被評価者自身が改善すべき行動を明確に意識できる可能性が高まります。

成果につながる行動を組織へ展開できる

コンピテンシーの活用により、自社にマッチした人材を採用して、さらに人材育成を効果的に進められるようになると、従業員一人ひとりが成果につながる行動を展開できるようになる可能性も期待できます。

ハイパフォーマーの行動を言語化し、組織運営や後任の育成に活用することで、成果につながる行動を組織内で共有しやすくなります。

また、成果を上げている人の行動特性を育成や評価の基準として活用することで、従業員が成果につながる行動を実践しやすくなるでしょう。成果につながる行動が明確になることで、従業員は自身の強みや成長課題を把握しやすくなります。

その結果、成果につながる行動を実践しやすくなり、人材育成や組織運営の共通基準として活用できるでしょう。

コンピテンシー活用の注意点と対策

コンピテンシーを活用する際には、注意したいポイントもあります。

以下で紹介する注意点と予防策・改善方法をあらかじめ押さえておきましょう。

【コンピテンシー活用の注意点と対策】
●項目設定の負荷を抑えるため対象を絞って試行する
●評価者の主観差を抑えるため行動基準と評価者研修を整える
●過去の成功行動に依存せず戦略・職務の変化に合わせて更新する
●処遇に直結させる前に試行期間を設ける

項目設定の負荷を抑えるため対象を絞って試行する

コンピテンシーを活用する上での一番の注意点が、「コンピテンシーの設定には時間がかかる」ということです。ハイパフォーマーへのヒアリングや項目の設定、レベル分けなど、必要な工程が多いため、想像以上の時間を要する可能性もあります。

特に、コンピテンシーを一から作成すると時間がかかります。可能な限り工数を抑えてスピーディーに進めたいなら、既存のテンプレートを活用すると良いでしょう。

テンプレートの内容をたたき台に、自社のハイパフォーマーに共通している特性を絞り込んでいくと、効率的に項目を設定できる可能性があります。

評価者の主観差を抑えるため行動基準と評価者研修を整える

コンピテンシー評価は、評価基準を明確にしやすい一方で、評価者によって判断に差が生じる可能性があります。

そのため、評価項目だけでなく、どのような行動を評価対象とするのかを事前に整理しておくことが大切です。評価基準や判断材料を明確にすることで、評価者による認識のずれを抑えることにつながります。

過去の成功行動に依存せず戦略・職務の変化に合わせて更新する

一度設定したコンピテンシーの項目を変更せずに運用し続けていると、時代の変化に対応できなくなってしまう恐れがあります。

そのため、定期的にアップデートすることを心掛けましょう。コンピテンシーは、「一度設定したら、それで終わり」ではありません。会社が求める人材の在り方は、経営環境や事業戦略などの変化によって変わる可能性があります。

そのため、一定期間ごとの定期的な見直しに加えて、組織変更や事業戦略の変更、新たな職種の追加などがあった際にも、必要に応じて見直すと良いでしょう。

処遇に直結させる前に試行期間を設ける

人事評価や人材育成にコンピテンシーを用いる場合は、すぐに適用するのではなく、小規模の試行期間を設けましょう。導入直後からコンピテンシーの内容を給与や昇格に強く連動させると、従業員からの不信や反発につながる可能性があるためです。

まずは被評価者となる従業員への評価基準の説明や、評価者を対象とした研修を行った上で、育成や面談を円滑に進めるために試験運用することをお勧めします。

試験運用を通じて「評価基準が厳し過ぎる」「現場の実態と目標の内容が合っていない」などの課題が出てきたら、それらを解決した後に本格運用に進みましょう。

コンピテンシー導入で失敗しないためのチェックリスト

以上、コンピテンシーの導入で意識したい注意点について解説しました。

ここまでに解説した内容も踏まえて、以下では、コンピテンシーの導入で意識したい項目を2種類のチェックリスト形式でご紹介します。

コンピテンシー導入前のチェックリスト

コンピテンシーを現場に導入する前の準備段階では、以下の項目を満たせているかチェックしましょう。

●コンピテンシーを導入する目的は明確になっているか
●対象の職種・等級は決まっているか
●コンピテンシーを設定する上での成果を定義できているか
●現場の管理職が設計に参加しているか
●評価者が観察できる項目を設定できているか
●従業員に説明する方針は定まっているか

本格運用後の効果測定・改善フェーズでのチェックリスト

先ほど解説したように、コンピテンシーの項目は定期的に見直して、状況に応じてアップデートする必要があります。

その際は、以下の項目をチェックしましょう。

●項目数は多過ぎないか
●評価コメントは行動事実に基づいているか
●評価者ごとに評価基準がぶれていないか
●コンピテンシーの内容が1on1や育成計画に接続されているか
●項目が定期的に見直されているか
●評価にかかっている工数は適切か
●従業員からの理解・納得は得られているか

コンピテンシー項目一覧を無料ダウンロード

ここまでで、コンピテンシーが有用な場面やメリットなどを紹介しました。

コンピテンシーは人事評価・採用・人材育成で役に立つ一方で、コンピテンシー項目を一から考えるには手間と時間がかかります。

負担を抑えるためには、一般的によく用いられているコンピテンシー項目を参照し、それに沿ったかたちで自社の実態に即した項目を作成する方法を推奨します。

ダウンロード資料で確認できる8分類

当サイトのコンピテンシー項目のサンプルシートでは、項目を以下の8つに分類しています。

①自己の成熟性・自己認知
②変革志向性・意思決定
③顧客志向性・対人(顧客)
④組織・チームワーク
⑤業務遂行
⑥戦略志向
⑦情報
⑧指示・統率

Excelのサンプルシートを自社向けに活用する方法

当サイトのサンプルシートは、そのまま流用するのではなく、作業時間を短縮するためのツールとして取り入れることをお勧めします。

以下の手順で活用すると良いでしょう。

①自社でコンピテンシーを導入する目的を定める
②対象の職種や等級を決める
③サンプルシートの一覧から、自社に合う項目を仮で設定する
④「コンピテンシー評価基準」を自社に合った内容に修正する
⑤「行動特性」を設定する
⑥小規模で試験運用する

自社の職種・等級に合う項目を検討する際は、8分類の無料サンプルをダウンロードしてご活用ください。

コンピテンシーに関するよくある質問

最後に、コンピテンシーに関するよくある疑問にお答えします。

【コンピテンシーに関するよくある質問】
●コンピテンシーとは簡単に言うと?
●コンピテンシー評価と能力評価の違いは?
●コンピテンシー項目は何個程度にすべきですか?
●コンピテンシーは誰が作成する?
●コンピテンシーの5段階レベルとは?
●コンピテンシー面接で聞く質問例は?
●コンピテンシーモデルはどのくらいの頻度で見直す?

コンピテンシーとは簡単に言うと?

コンピテンシーは、高い成果を上げる人に共通する行動特性です。知識や技能そのものではなく、それらを成果につなげる考え方や、行動の傾向を指します。

詳しくは本記事冒頭の「コンピテンシーの定義」もご覧ください。

コンピテンシー評価と能力評価の違いは?

能力評価は、知識・スキル・経験など「何を持っているか」、コンピテンシー評価は成果を上げるために「どのように行動したか」を見る評価である点が異なります。

コンピテンシー項目は何個程度にすべきですか?

「この個数であれば良い」という明確な答えはありません。自社の目的に合っており、かつ運用の負荷が大きくない範囲で定めましょう。

考え方の目安としては、「全社で共通する項目」「職種別の項目」「役職別の項目」に分け、初回は評価者が被評価者を観察して適切に評価できる範囲に絞ることをお勧めします。

詳しくは、本記事内の「項目数は評価者が観察・説明できる範囲に絞る」も参考にしてください。

コンピテンシーは誰が作成する?

人事・採用担当者が全体設計を担当しつつ、現場の管理職が職務実態と成果行動を提供すると良いでしょう。

さらに経営層も加わり、戦略・バリューとの整合を確認することで、会社全体のビジョンと合致するコンピテンシーを設定できる可能性が高まります。

コンピテンシーの5段階レベルとは?

指示を待っており、自ら動こうとしない「受動的行動」、状況に応じて動ける「通常行動」、周囲から見ても自発的に行動していることがわかる「能動行動」、状況を変えるために工夫しながら自発的に動ける「創造行動」、既成概念を打破した上で周囲にも良い影響を与えられる「パラダイム転換行動」の5つです。

後ろに行くほど、レベルが高い行動となります。より詳しい内容は、本記事の「コンピテンシーの5段階評価基準を設定する」にて解説しています。

なお、実務では項目ごとに「具体的にどのように行動すれば良いのか」という例へ落とし込む必要があります。

コンピテンシー面接で聞く質問例は?

転職希望者がこれまでに出した成果について聞いた上で、「その成果を出したとき、どのような状況で、どの役割を担い、なぜその行動を取り、結果はどうなったか」など、過去行動を深掘りする質問が適しています。

コンピテンシーモデルはどのくらいの頻度で見直す?

年に1回程度の定期見直しに加えて、事業戦略変更や組織変更、新職種の追加、評価制度の改定といった、環境の変化があったタイミングでも見直す必要があります。

まとめ

ハイパフォーマーに共通する行動特性を意味するコンピテンシーには、「従業員一人一人の成長」や「生産性の向上」につながるといった効果が期待できます。

人事評価や採用、能力開発などに活用することで、社内によい影響がもたらされるでしょう。

一方で、「コンピテンシー項目の設定に時間がかかる」「長期間、変更せずに運用し続けると時代の変化に対応できなくなる」といった課題もあります。

コンピテンシーは「成果につながる行動特性」であり、人事評価や採用、人材育成に活用できます。

ただし、十分な効果を得るには、適切な項目の選定と運用設計が重要です。自社用のコンピテンシーモデルづくりに、項目一覧の無料サンプルをダウンロードしてご活用ください。

(制作協力/株式会社eclore、編集/doda人事ジャーナル編集部)

コンピテンシーモデルの項目一覧|サンプルシート【Excel版】

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