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ジラフ26歳社長が見出した採用の勝ち筋。「本気度はトップが示す」

PROFILE

株式会社ジラフ

代表取締役社長 麻生 輝明

1992年生まれ。2014年、一橋大学在学中に売却プラットフォームサービス「ヒカカク!」をリリース。同年合同会社ヒカカクを創業、翌年株式会社ジラフに組織変更。累計約7億円の資金調達に成功しており、GREE、ドリームインキュベータ、メルカリなどから出資を受ける。2017年3月にはポケラボ(2012年にグリーに138億円で売却)創業者の佐々木氏が経営チームに参画。

株式会社ジラフという会社をご存知でしょうか。代表の麻生輝明氏が一橋大学在学中に起業し、4年余りで社員数は80名を超えるまでに成長。マーケットプレイスを中心にサービスを次々とリリースし、2017年にはTwitterで注目されていた「Peing-質問箱-」を“60時間で”買収したことで話題に。その成長に伴って組織も順調に拡大しており、採用市場でも注目を集める会社となっています。

興味深いのが、若い会社でありながらCTO、CFO、CHROや事業責任者など、短期間で複数の幹部層の採用にも成功していること。今回は、ジラフの組織づくりの歴史や、気になるTwitter採用のプロセスに触れながら、代表の麻生氏が見出した“採用の勝ち筋”に迫っていきたいと思います。

ターニングポイントは20名・60名のタイミング。組織の方向転換を余儀なくされた

御社は、今5期目に入った所ですよね。

ターニングポイントは20名・60名のタイミング。組織の方向転換を余儀なくされた

麻生氏:はい、大学4年生のときに創業事業のヒカカクを立ち上げて、4年余りが経ちました。現状いくつか事業を展開していますが、いまでもメイン事業はヒカカクです。商材としてはスマートフォンやカメラ、古本などデータベースがつくりやすいような領域からスタート。直近だと昨年12月に株式会社Speeeが運営する不動産一括査定サービス「イエウール」と提携し、不動産領域にも着手しました。

短期間でサービスを次々リリースされていらっしゃいますが、会社として意識されている軸はありますか?

麻生氏:会社全体でいうと、リユース領域とコミュニケーション領域の2軸を意識しています。リユース領域では価格比較サイトからはじまって、マーケティングプレイスや今準備を進めているフリマアプリなど。コミュニケーション領域においてもノウハウやユーザー基盤があるので、それらを活かしてサービスをつくっていけたらと思っています。「質問箱」も、ソーシャルメディアにおける分散型の形を持ったサービスです。

御社はスタートアップの中でも、非常に堅実に組織拡大を進めているイメージがあります。これまでに、壁に当たった瞬間などはあったのでしょうか?

麻生氏:壁としては、従業員20名の時期と60名の時期の2回ぶち当たりましたね。まず、従業員20名規模のころは僕ともう1人の経営者が目の前の業務量に忙殺されていて、組織について俯瞰(ふかん)して考える時間も取れていなかったんです。会社の将来図について余裕をもって考えられなくて、仕事の優先順位も「重要度<緊急度」という状態。これでは組織拡大なんて上手くいくわけないですよね。これが第一の壁です。そんなとき、実際に会社を売却した経験のある佐々木というアントレプレナーがエンジェル投資家兼執行役員として参画しまして。彼の経験・知見のもと部署別組織に切り替えマネージャーを次々と採用していきました。
優先度は「緊急度」ありき

しかし今度は、なんとか組織拡大しようとポジションを埋めることが採用の目的になってしまい、その結果入社後のポジションとのミスマッチが生まれ、何人か退職者が出た時期がありました。具体的にはマネージャー相当ポジションにプレイヤーレベルの人を採用するなど、キャリアステップを飛ばし過ぎてしまっていた。これが60名規模のときの第二の壁です。それを受けて、「どういう人を採用すべきだったんだろう」「会社はどこに向かっていて、そのためにどういう人材が必要か」と考える時間や、採用自体にかける時間を自分の中でもかなり増やしました。特にどれだけ多くの人材に出会えるか…、つまり母集団の形成に力を割きましたね。

採用の中心はTwitter-アイコンやアカウント名の書き方もチェック

母集団の形成は、スタートアップ界隈では苦労されている企業様も多いポイントです。実際にどのような点に力を入れていますか?

麻生氏:SNSでの採用に舵を切りました。ちょうど2017年の12月末に質問箱を買収したこともあって、Twitterを中心にネット業界での認知が広がっていたんです。現在僕のTwitterのフォロワーが1万6000人を超えており(2018年12月時点)、その発信力を活用しています。求職者の方にとっては、世の中にたくさんある企業全てを見に行くのは難しいですし、アプローチが来た会社の中から選択することも少なくないと思うんです。そういった「自ら転職活動はしないけど話があれば検討するよ」という潜在層にアタックする、ダイレクトリクルーティング(ダイレクト・ソーシング)が順調です。ベンチャーだと潜在層に向けたダイレクトリクルーティングで母集団形成をするのは難しいですが、SNSを使うと結構うまくいくんですよね。もちろん、これが何千人という規模の会社だとそのやり方は通用しないと思いますが、今は月5〜6人採れれば組織として成長していけるので。

採用の中心はTwitterになっている、と。

麻生氏:はい、Twitterが多いですね。やっぱりうちみたいな規模の会社だと、代表である自分が発信することに意味があると思っているんです。「こんなサービスを考えている」「こんな風に思っている」など、タイムリーに発信していくには最適なツールだと思っています。

もちろんそれ以外にも、目的に応じてさまざまなツールを使っています。ただ、経験者に直接アプローチを仕掛けていく場合に、相性が良いのはTwitterですね。
Twitterの相性

Twitterでのダイレクトリクルーティングについてですが、具体的にアプローチ相手のどんなポイントに注目しているんでしょうか?顔が見えないやりとりで見極めるのは難しそうですが…。

麻生氏:プロフィールはもちろんですがアイコン、アカウント名も参考にします。また特に重視するのは、実際にDMでやりとりをする際の話し方や内容、さらに普段の投稿内容。時々「社長からメッセージが来たから会いに行ってみたら違う人が出てきた」という話を聞くんですが、僕は9割方自分でDMを送り、実際に自分で会うようにしています。残り1割は人事にアカウント情報を伝えてアタックしてもらっています。それなりにパワーはかかるものの、いきなり会社の代表に会える時点で差別化ができると思うんです。先ほどもお話しましたが、この会社が何を考えているのか、どういう意図でどういうサービス・組織をつくっているのかを、代表である自分が1対1でお話させていただく。そうすれば、どれだけ採用を真剣に考えているか、を伝えられますから。その効果の高さもこの1年間で実感しています。

先ほども少しお話ししましたが、弊社は職能別の組織から事業別の組織に移行している段階。そこで直近は事業責任者や幹部クラスの採用に力を入れていこうと思っていまして、これに関してTwitterはもちろん、yentaというビジネスマッチングアプリも活用しています。特に会社の役員の方などが使っている傾向にあるので、幹部採用では積極的に使い始めました。

幹部採用の秘訣は、“友人のような距離感で何でも話す姿勢”

幹部採用は難易度が高い印象ですが、御社は大手出身者も含め、次々と成功させていますよね。

麻生氏:逆にエクゼクティブ層の方って、今積極的に前に出てきているんですよ。長らくダイレクト・ソーシングをやってきた身からすると、出会うこと自体はむしろ簡単です。それぞれ前職についてはバラバラで、いわゆる大手有名企業から来る人もいますし、自分で会社を経営していた人間、フリーランスで働いていた人間もいます。

先ほど「60名規模のころに、ポジションとのミスマッチが生まれていた」というお話もありましたが、それを受けて、今は面接・面談時にどのような点を意識されているのでしょう。

麻生氏:まずできること・できないことは、会話を通して互いが納得できるまで確認します。例えば会議室などカッチリした場だけだと、相手によっては緊張されたり…、こちらとしても図りきれない部分がある。そういうときはいきなり選考という形ではなく、一緒にご飯を食べに行くなどして、コミュニケーションの取りやすい関係をつくっていきます。

また以前は面接が1回だったんですが、今は2回行っていることも大きいなと思います。募集部署の人の判断と、別の部署の判断、2個の部署の掛け合わせでスクリーニングを行うんですね。募集部署の人だけが見ると、「今人手が足りないから早くほしい」といった気持ちが混ざり、不用意に採用のハードルが下がってしまうことがある。これが、ポジションと実際に備わっているスキルの間でミスマッチが生まれた1つの原因ではないかと思ったんです。
幹部採用の秘訣は、“友人のような距離感で何でも話す姿勢”

あとは実際に入社してもらった後、一通り教えてから辞められることによるコストの大きさを、僕らが実感したことも大きいです。それまではそもそもまともに採用したことがない組織だったので、「辞めたらどれくらいのコストなのか」ということもあまりわかっていなかった。ミスマッチによる退職は他の従業員に対する負の影響も生み出してしまうし、込み込みのデメリットを考えると、「一旦入れてみよう」という発想は危険だと気付いたんです。そういったいくつかの観点から、心理的にも「もっとちゃんと採用に向き合おう」という気持ちが芽生えました。

幹部候補の採用は多くの企業が苦戦されていると聞きます。実際に入社を決めた幹部の方々は、御社のどういう所を魅力に感じたんでしょうか?

麻生氏:一つには、弊社の現在のフェーズが面白そうだ、と思ってもらえているようです。将来的な上場に向け事業も伸びてきていて、かつ知名度もある。そういったサービス・会社の根幹にコミットしていけるということにご興味を持っていただいています。他の会社では「いきなりコアメンバーとして」というよりは「まずは現場に入って、そこから抜擢された人が中核に」というルートが多い中で、弊社はこちらからダイレクトにオファーするので、うまくマッチングしているのかなと思いますね。

先ほどのTwitter採用にも共通するかと思いますが、選考中のリレーションのつくり方はどのようにしているんでしょうか?

麻生氏:そもそも、あまり過度なアプローチはしていません。「誘われたから入りました」というスタンスで来られても困りますしね。最後は自分で決めていただく必要があると思っています。ただ、あまり顔を合わせない期間が続くと、心理的な距離が遠ざかってしまうのも事実。そこで他社さんとの選考スケジュールを教えてもらって「じゃあこの辺りで僕たちも時間をもらえませんか」といった打診を、人事・採用担当者の方で行うことはあります。

早い方だと即日、長いと1年半ほどかかったケースもお聞きしました。

麻生氏:当然長期にわたるパターンもあって、僕の方で半月に~3カ月に1回ぐらいの頻度でご飯に行くなどしています。採用活動というより、半ば友人みたいな距離感ですね。採用活動を目的化し過ぎるよりも、まずは友人として話ができるぐらい距離を近づける。そのうちに、その人が「転職考えてるんだけど…」といった連絡をくれたりとか、逆に友人として仲良くなってから「改めてなんだけど、うちの会社興味ない?」みたいな話をしたりとか。変化をどうつけるかが重要だと思うんですよね。ただ一辺倒に「入社してください」って言われても、人の気持ちって変わらないじゃないですか。友人として何でも相談してもらえるような距離感だからこそ、信頼関係が生まれてるんじゃないかなと思いますね。

もちろん会社のことを考えれば、早く入ってもらうのが一番良いとは思います。でも株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)の南場さんは、本当に入ってほしい人のことは何年かけてでも追いかけていると仰っていて。それくらいのことをDeNAのような偉大な会社が取り組んでいるんだから、もっと小さいぼくらみたいな会社がやっていかないでどうするんだって思いますね。

麻生氏

【取材後記】

最近では、企業アカウントや経営者アカウントが戦略的にフォロワー数を増やすケースも増えてきています。フォロワー数が多い会社は、その分知名度も高く、また発信を継続的に見てもらえているということ。そうした中で、DMを送る、直接会ってみる、という仕掛けも怠らない麻生さん。採用に成功しているのは、必然なのかもしれないと感じました。

(取材・文/檜垣 優香(プレスラボ)、撮影/黒羽 政士、編集/檜垣 優香、担当/齋藤 裕美子)

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