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ソフトバンク流、自社らしさを追求したリテンションマネジメント【セミナーレポート】

PROFILE

ソフトバンク株式会社

人事本部 組織人事統括部 統括部長
兼 テクノロジーユニット 技術戦略統括 人材戦略室 室長
足立 竜治 

1997年日本国際通信株式会社(現ソフトバンク株式会社)入社。法人営業、ソリューションエンジニアの業務に従事した後、2007年に人事部門へ。2012年には人事企画部長としてソフトバンクの人事企画全般、新規事業提案制度を立ち上げる。2013年からはグローバル人事部長として、グローバル人事全般を担当。2015年からソフトバンクロボティクス株式会社 人事部長を兼務。翌2016年組織人事部長として、主に技術部門向けのHRBPをリード。2018年4月より組織人事統括部長として、組織人事全体を統括している。

青山学院大学 経営学部 経営学科

教授 山本 寛

人的資源管理論担当。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。働く人のキャリアと組織のマネジメントが専門。日本経営協会経営科学文献賞、日本労務学会学術賞などを受賞。著作(単著)は、『連鎖退職』、『なぜ、御社は若手が辞めるのか』、『「中だるみ社員」の罠』(ともに日本経済新聞出版社)など。

いま、企業にとって深刻な経営課題となっている人手不足問題。従業員の離職や採用難から事業を遂行することが困難となり、倒産に追い込まれる「人手不足倒産」も増加しています。こうした中で注目が集まっているのが、リテンションマネジメント(リテンション・マネジメント)です。働き方が多様化し、雇用の流動性が高まる時代において、従業員と会社との良好な関係性を構築し、それを保っていくにはどのような対策を取ればいいのでしょうか。

そこで、2019年8月29日パーソルキャリア株式会社では、『社員の活力を生み出すリテンションマネジメント~ソフトバンク流、働きがいがある組織づくりとは~』と題したセミナーを実施。人材定着やキャリア支援を専門とし、近著に『連鎖退職』(日経プレミアシリーズ/日本経済新聞出版社)がある青山学院大学の山本 寛教授、そして<「挑戦する人」にチャンスを>という人事ポリシーを掲げ、活力あふれる組織を追求し続けるソフトバンク株式会社より人事本部 組織人事統括部 統括部長の足立 竜治氏をお招きしました。今後「企業と個」の関係性はどうなっていくのか、そして企業としてどのように対応していけばいいのかをお話しいただきました。

(本記事はdodaが主催したセミナーの内容を要約した上で構成しています)

社員の活力を生み出すリテンションマネジメント(青山学院大学 山本 寛教授)

社員の活力を生み出すリテンションマネジメント(青山学院大学 山本 寛教授)

なぜ、リテンションが重要になってきているのか

多くの企業にとって「人手不足」は大きな課題でしょう。2019年1月の帝国データバンクの調査では、『人手不足感がある』と回答した企業は71.0%、『正社員が不足している』は53.0%、そして『正規・非正規、両方で人手不足』と回答した企業は、41.9%と約半数以上が人手不足を体感していることがおわかりになるのではないでしょうか。

また、2019年4月の有効求人倍率は1.63倍、正社員の有効求人倍率は1.16倍、特に新規求人倍率は2.48倍で、こちらも調査開始以来最高の数値です。深刻な採用難が進んでいることは皆さんも体感されているのではないでしょうか。採用が困難であれば、今いる人に長く勤めてもらうしかありません。そこで、“リテンション”というキーワードが重要視されるようになってきたのです。

では、リテンションを行う際に企業が意識しなければならないことは何でしょうか。かつて、リテンションと言えば「高業績人材(またはそれが予想される人材)」が対象でした。会社の成長のためには、次世代リーダーとなり得る人材を囲っておけばよいという傾向があったのです。しかし人手不足が著しい近年では、役職や職能にかかわらずその範囲は拡大してきています。

また、以前はリテンションのためだけに実施される施策はありませんでした。かつては、「福利厚生」の充実や従業員の「能力開発・研修」を行えば、定着率はおのずと高まるという考え方が一般的だったのです。しかし最近はそれだけではなく、リテンションを直接の目的とした施策を実施する企業が増加しています。そして今、リテンションを行う上でポイントとなっているのは「働き方改革」です。企業の働き方改革を見据えた取り組みは、採用およびリテンションに大きな影響を与えると言っても過言ではないでしょう。

従業員と企業では、効果的なリテンション施策に大きなギャップがある

このように、企業はリテンションを重要な人事課題として位置付けております。正社員のみならず非正規社員に対しても、定着のためにさまざまな対策を講じています。しかしながら調査の結果では、「従業員が望んでいる施策」と「企業が有効と考えるリテンションマネジメント」には大きな乖離があることが判明しました。両者で一致したのは、「本人の希望を考慮した適切な配置」のみ。「従業員が望む働き方は何か?」を考えることが、リテンションマネジメントにおいては重要だと言えます。

(詳細は、『調査と事例から見る、人材定着(リテンション)マネジメントとは【セミナーレポート】』をご覧ください)

採用段階で行う効果的なリテンションマネジメント 「リアリスティックジョブプレビュー」とは

あるIT系企業Y社では、採用することが難しい高度な専門性を持つエンジニアの離職が増加していました。そこで、Y社はあることを採用段階でのリテンションマネジメントとして実施することで、離職率の低減を実現しました。その方法とは、次の2つのうちどちらでしょうか。

【A】採用難の中、入社を検討してくれた候補者に、「自社の魅力や良い点」を意識的に伝える
【B】入社後、多くの社員が経験する「仕事の厳しいところ」を意識的に伝える

どちらも間違いではありませんが、実際に行って奏功したのは【B】の方法です。

採用活動の段階で、求職者に対して仕事や組織の良い面だけではなく、悪い面も含めたリアルな実態を開示することを、「リアリスティックジョブプレビュー(RJP:Realistic Job Preview)」と言います。ありのままの情報を包み隠さず伝えることにより、採用時のミスマッチを減らすことはもちろん、結果的にリテンションにつなげることができると言われています。

入社前に良い面ばかりを伝えられていた場合、実際にその職場で働き始めた時に経験する「現実」とのギャップに衝撃を受けてしまうことがあります。これを「リアリティショック」と言いますが、早期の退職につながる危険性があります。リアリスティックジョブプレビューを行うことで、期待値をいい意味で下げ、入社後の“幻滅体験を減少させる”ことを可能にします(=「ワクチン効果」)。

人手不足が進行している中、従業員の活力を高めて全員戦力化を図るには、まず前提としてリテンションを重視する必要があります。そこで他業界の成功事例も参照しつつ、働き方改革の施策とリテンションマネジメントを連動させて進めることが有効です。また、会社と従業員の意識のズレを認識し、従業員が望むような点を取り入れた施策が必要となっていくでしょう。

人事とは「人/組織と事業をつなぐためにある」 (ソフトバンク株式会社 足立 竜治氏)

人事とは「人/組織と事業をつなぐためにある」 (ソフトバンク株式会社 足立 竜治氏)

ソフトバンクは1981年、ソフトウエア流通業からスタートしました。1996年にYahoo! JAPANを立ち上げ、2006年にVodafoneを買収して携帯事業に参入。そして、2017年に10兆円規模の「ソフトバンクビジョンファンド」を立ち上げました。多様な事業を展開していますが、事業領域として「情報革命」を貫き、成長を続けております。

今後は既存の通信事業も伸ばしつつ、IoT/AIの新領域事業の拡大も戦略的に進めていきます。また、世界中のAI企業に投資をし、そこから最先端のビジネスモデルを日本に持ってきてジョイントベンチャーを立ち上げ、成功事例を創出しています。たとえば、モバイル決済サービスシェアNo.1の「PayPay(ペイペイ)」は、インドのPaytm(ペイティーエム)という企業のシステムを使うことで、垂直立ち上げを実現しました。また、最先端シェアオフィス「WeWork(ウィーワーク)」も、全国に拡大中です。ソフトバンクでは2020年10月、本社を汐留から竹芝に移転いたします。こちらの新社屋を「WeWork」化し、新たな働き方や最先端テクノロジーとデータ活用によるスマートビル化を進めていく予定です。他にも、AIタクシー配車アプリ「DiDi(ディディ)」を展開するDiDiモビリティジャパンを2018年にスタートしました。そして、トヨタ自動車との共同出資会社「MONET Technologies」は、瞬く間に他メーカーが参画し、日本を代表するMaaS(マース:モビリティ・アズ・ア・サービス)事業となりました。このように、ソフトバンクは携帯電話の会社というイメージがあるかもしれませんが、続々と新しい事業を立ち上げております。

ソフトバンクの離職率は、通信セクターとしては平均的、IT業界としては低い方だと言える水準です。明確にリテンションマネジメントを実施しているわけではありませんが、結果的に「人材の定着に効いているのではないか」と考えられるポリシーや施策を紹介していきます。

まず前提として、ソフトバンクには「人事とは、人/組織と事業をつなぐためにある」という想いが根底にあります。同時に、ソフトバンクには創業当初から「自ら手を挙げた人に機会を提供する」というカルチャーが根付いています。つまり、「やりたい!」と自ら挑戦する人にはチャンスを与えていきますし、そういう人たちを応援する基盤づくりを行うのが人事の役割なのです。こういうカルチャーを維持していくために、「働き方改革の推進と浸透」も重要な要素です。この2つの要素があるからこそ、比較的低い離職率を維持できているのではないかと思っています。

年間1,000人規模の異動を実現―自ら手を挙げた人に機会を提供する、人材配置と育成

年間1,000人規模の異動を実現―自ら手を挙げた人に機会を提供する、人材配置と育成

個人のやりたい!を応援する、3つの人材配置施策

まずは、「自ら手を挙げた人に機会を提供する」施策についてお話ししていきます。ソフトバンクでは、人材配置施策として「ジョブポスティング」「フリーエージェント」「ジョブローテーション」の3つを実施しています。

ジョブポスティング

先ほど事業紹介のパートで説明したように、ソフトバンクでは現在どんどん新規事業が立ち上がっています。そうした新規事業に携わる人材は、3カ月に1回、社内公募を中心にアサインしています。応募の際には現所属部署の上司の承認を得る必要はなく、選考に受かれば新しい部署に異動することができます。そして、元部署には異動の拒否権はありません。

フリーエージェント

年1回、自分が行きたい部署に応募ができる仕組みで、応募先部署の選考に合格すれば異動することができます。こちらもジョブポスティングと同様に上司に伝える必要はなく、元の部署には異動の拒否権はありません。まさに社員が手を挙げて、自分のキャリアを自分で決めることができる制度です。

ジョブローテーション

こちらは年に2回実施している自己申告に基づいて、人事が事業計画をふまえながら最適なマッチングを図る施策です。こちらは人事が主導で行っています。

これら3つの人材配置施策にて、年間1,000人ほどの社員が異動しています。現在ソフトバンクの社員数は1万7,000人ほどですから、かなり多くの人材が異動しているのではないかと思います。もちろん、優秀であればあるほど異動確率が高くなるわけですから、既存部門から意見をもらうこともしばしばです。しかし、「自ら手を挙げた人に機会を提供する」という当社のカルチャーを具現化した制度であるため、そこは人事として強い意思を持ってやり続けています。

また、これらの施策には誰でもチャレンジすることができますが、当然のことながらスキル要件は厳しく、合格率は低いです。そこで、スキル要件に満たないならば、どのようなスキルを高めていけばいいのかという意識が芽生えます。ソフトバンクでは、自らの意思でスキルを高める人材育成の仕組みも整えています。次に、この人材育成についてお話しをしていきます。

自己成長や自ら発信する場を創出する、3つの人材育成施策

人材育成では、「ソフトバンクアカデミア」「ソフトバンクイノベンチャー」「ソフトバンクユニバーシティ」という3つの施策を実施しています。

ソフトバンクアカデミア

ソフトバンクは創業30周年の節目に、次の30年ビジョンとして「300年以上続く企業となる」こと、「2040年に時価200兆円企業となる」ことを掲げました。そこで、ソフトバンクアカデミアは、「300年以上続く企業」の後継者輩出、つまり孫正義の後継者を発掘・育成する機関として、2010年7月に開校いたしました。こちらは単なる企業内学校ではなく、外部の方にも入っていただいています。アカデミア生は現在300名ほどで、社内・社外の割合はほぼ半々です。各業界の精鋭たちが集うハイレベルなコミュニティが形成されているという副次的な効果もあります。

ソフトバンクイノベンチャー

社員が自ら事業を興すことができる、新規事業提案制度です。「グループ5,000社 時価総額200兆円」を目指すべく、2011年に運用を開始しました。基本的に提案のテーマは自由、誰でも何度でも応募できます。そして事業化が決定した際は、原則、提案者本人が事業に参画できます。これまでの応募総件数は約6,600件、そのうち既に16件が事業化しています。このように社内起業家として自ら事業を立ち上げる仕組みがあるということは、リテンションとして効いているのだと思います。

これに加えて、2016年7月に社内起業家を目指す社内コミュニティ「イノベンチャー・ラボ」を立ち上げました。社員同士が勉強会やイベントの参加、メンバー間の情報共有などによってノウハウを蓄積し、新規事業の実現を目指すものです。現在メンバー登録者数は約3,000名、さまざまな部署から意志のある人が集っています。そのため、通常の業務では出会えない職域の社員同士がこのコミュニティで出会ったことにより誕生した新規事業提案も増えています。

ソフトバンクユニバーシティ

社内研修制度でも、私たちは「自ら手を挙げる」ことを大切にしています。一般的な階層別研修以外のビジネス研修は、全部“手挙げ研修”で、先着順で受講者を受け付けています。また、オンラインでもさまざまなカリキュラムを用意しています。年間1万人以上が受講しており、そのうち“手挙げ研修”の受講者は6,000人ほどです。そして、単に講座を開講するだけではなく、「スキルの可視化」も大切にしています。英語、統計、ITについて、まずはスキルを可視化して現状把握する。そこで伸ばしたいスキルの研修メニューを選んで受講。再びスキルチェックをして、レベルアップを実感するー。このような成長サイクルを回しています。特に人材の確保が重要であるエンジニアには、AI学習やVRなど充実したテクノロジーコンテンツを提供しています。

スキルの可視化と学習サイクル

(ソフトバンク株式会社 登壇資料より)

 

社内講師による研修が多いことも、ソフトバンクユニバーシティの大きな特徴です。社内の認定講師は総勢130名ほど。2017年度には、実に集合研修の76%を社内講師で内製化しています。ソフトバンクに限ったことではないと思いますが、社内には「人に教えたい」という想いを持つ人がたくさんいます。人に教えることにより、社員はスキルアップを実現することができますし、研修の内製化により会社はコストを抑えることができます。さらに、企業間交流研修や研修外販も行っており、研修ブランディングや社内講師の活躍機会の創出にもつなげています。

ソフトバンクユニバーシティの研修以外にも、互いに学び合う風土醸成を目的とした社員発信型の学びの場である「知恵マルシェ」も運用しています。このように、自己成長や自ら発信する場を創出していることも、社員の定着に貢献しているのではないかと考えています。

社員の定着・活躍を促すための「働き方改革」とは

社員の定着・活躍を促すための「働き方改革」とは

続いて「働き方改革の推進と浸透」について紹介します。ソフトバンクでは、業務への取り組み方として「Smart & Fun!」(ITを駆使して、スマートに楽しく働こう!)を掲げています。まずは「法令順守」から取り掛かりましたが、現在ではITの活用やメリハリのある働き方による「時間創出」と、新しい取り組みや自己成長に投資する「イノベーティブ・クリエイティブ」をテーマに取り組んでいます。

ソフトバンク流働き方改革―その具体的な5つの取り組み

スーパーフレックスタイム制

以前からコアタイムありのフレックスタイム制を導入していましたが、メリハリのある働き方を実現するために、コアタイムのないフレックスタイム制を導入しました。こうした具体的な活用例があります。

・営業アシスタントは営業担当者が帰社する夕方から忙しくなるため、繁忙期には出社時間を11時にずらす
・システムリリース対応が19時~20時のため、待機時間を見越して11時~20時の勤務にする
・月末には決算対応があるため、月初の業務閑散期は16時帰宅、月末は21時までの勤務とする

在宅勤務・WeWorkサテライト

在宅勤務はもともと育児・介護の必要な社員だけに提供していました。それを2017年から範囲を拡充し、2018年度より全社で導入しています。現在では前日までに上長に申請することで、原則月5日まで、全部署で在宅勤務ができるようにしています。また、WeWorkを中心にサテライトオフィスも契約して、場所にとらわれずに効率よく働ける環境も整えています。

Smart & Fun!支援金

これは「自己投資」を会社が支援する制度で、正社員全員に月1万円を支援金として支給しています。社員に用途のアンケートを取ったところ、自己啓発や健康・体力づくり、社外・社内交流など、多くの社員が自己成長につながることに活用している実態がわかりました。単純な給与のベースアップではなく、自己投資という「色」を付けて支給することが、効果的に機能しているのではないかと思います。

プレミアムフライデー

世の中では注目度は下がってきているかもしれませんが(笑)、私たちは継続しています。ソフトバンク社員の8割が早帰りを実施できています。当社では、他社との交流イベントも率先して行っていますが、その中の1つに「プレ金交流会」があります。同じようにプレミアムフライデーを実施しているさまざまな企業を招くものです。

定時退社Day

毎週水曜日は定時退社Dayとしています。形骸化を防止するために、メール配信や本社エレベーターでの動画広告といった工夫をしています。平均して6割の社員が定時退社をしています。

社員のスキル向上のための取り組みも実施

単純に制度だけつくっても活用にばらつきがあるのは事実です。私たちは働き方改革を実現していくためには、「全社員の共通言語化とスキルアップ」が必要と考えており、そのための施策も用意しています。

生産性向上スキルアップ

「生産性向上」のためには、全社員が共通の認識を持ち、みんなが標準化できるようにしていかなければなりません。

生産性向上スキルアップ

(ソフトバンク株式会社 登壇資料より)

 

そこで業務効率化を行うには何が必要か、要素を整理しました。当社の業務において効率化できるポイントを「思考整理」「会議運営」「プロジェクト推進」の3つと捉え、そのために必要な「ロジカルシンキング」や「ファシリテーション」「プロジェクトマネジメント」といったスキルを強化することを目的に、eラーニング新コースを立ち上げました。これは全社員に受講を推奨しています。また、マネジメント層に向けての対話型ワークショップを実施するなど、意識改革も積極的に実施しています。

イノベーティブ・クリエイティブな風土醸成

事業の成長には、風土醸成が不可欠です。特に、イノベーションは既存知×既存知の掛け合わせが不可欠であることから、社外活動・交流が効果的だと言われています。そこで、2つの仕掛けを施しています。

1つは、「副業・兼業の解禁」です。2017年に解禁しましたが、2019年3月には承認件数430件となりました。プログラミング、研修講師、企業支援、ホームページ作成、書籍執筆など、幅広い領域で活躍しています。

もう1つは、先ほども述べた「他社交流イベント」です。たとえば以下のような例があります。

・汐留近郊の企業20~30社で、働き方や越境学習をテーマに交流する「LifeWorks」
・お互いの研修を学び合う「研修交流会」
・英語で異業種交流会を行う「英語交流会」

「LifeWorks」の事例として、電通さんとの越境学習があります。お互い出向の手続きのため書類を交わして…となると大変手間がかかるため、外部の人材が入れるプロジェクトで交換インターンをすることにしました。互いに5人ずつ人材を選抜し、インターンを3カ月続けたのですが、双方とも非常に貴重な経験ができました。また、そこで知り合った人たちは強い絆で結ばれ、今も交流が続いています。

最後に、このような施策の実施結果を共有します。
働き方改革本格化前と比べると、「業務生産性」「自己成長のための活動度」「イノベーティブ・クリエイティブな取り組み」「Smart&Fun!体現度」といった4つのKPIすべてにおいて、約7割の社員が「向上した」と回答しました。少しずつではありますが、人事施策の効果が現れてきているのではないかと思っております。このような人事施策を推進していくために大切なことは「トライアンドエラー」ではないでしょうか。当社は大きな組織ですから、時には厳しい意見をもらうこともあります。しかしやってみないと何も生まれないのも事実です。会社に成長機会がないと、社員は辞めてしまうでしょう。人事とは「人/組織と事業をつなぐためにある」のが役割ですから、そのために必要だと思ったことはどんどん試していく心意気です。これからも有効な取り組みは「まずやってみる」という姿勢を貫いていきたいと思っています。

「まずやってみる」という姿勢

※この後 、多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授の須東 朋広氏をモデレーターにパネルディスカッションと、会場からの質疑応答が行われました。

【まとめ】

山本先生の講演の中で、社員の定着のために有効な会社施策として、従業員回答の上位に「本人の希望を活かした配置」がありました。ソフトバンクの人材配置/人材育成施策では、「自ら手を挙げた人に機会を提供する」ことを徹底しているため、それがリテンションに効果的なのではないかと考えられます。また、山本先生のお話では「働き方改革の施策とリテンションマネジメントを連動させて進めることが有効」というポイントがありましたが、まさにソフトバンクでは自社らしさを追求した「ソフトバンク流 働き方改革」が、社員の満足度を向上させているという結果が出ています。他社の成功事例を参考にしつつ、自社のカルチャーや従業員の望む働き方に合ったリテンション施策を推進することが重要だと言えるでしょう。

(文/佐藤 瑞恵、撮影/石山 慎治、編集/齋藤 裕美子)

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