仕事を辞める人の前兆とは?退職を考える5つの理由や対処方法について解説

d’s JOURNAL編集部

従業員が退職に至る理由はさまざまですが、上司や管理職が早めに仕事を辞める人の予兆を発見することで、予防につながるケースもあります。早期発見が行えれば、決断が確定的になる前にフォローや引き留めの一手を打てるため、大切な人材を手放すリスクを軽減できます。

今回は、退職を考えている人の前兆やその理由について、代表的なパターンをいくつか見ていきましょう。そのうえで、予兆のある従業員を引き留めるための対処法もあわせてご紹介します。

仕事を辞める人の前兆とは


(参照:日本労働調査組合『退職動機に関する労働調査』)

退職を考えている従業員を引き留めるには、できるだけ早期に具体的なフォローを行う必要があります。決断から時間が経過するほど、転職や新たな環境適応への準備が進んでいくため、退職の予兆にいち早く気づけるかどうかが重要なカギとなります。

ここでは、退職の予兆とされる代表的な行動パターンについて見ていきましょう。

普段とは異なる態度や振る舞いが目立つ

従業員が「退職を考えるほど仕事に悩んでいる」あるいは「他の会社により大きな可能性を感じている」という場合、よほど強い信頼関係がなければ、上司や先輩が本音を打ち明けてもらえることはありません。しかし、本人は隠しているつもりでも、日常的な何気ない振る舞いに、普段とは異なる態度や言動が見えることもあります。

明らかに「愚痴や不満が増えた」といったわかりやすい変化だけでなく、「社内イベントにあまり参加しなくなる」「コミュニケーションに消極的になった」といった静かな変化も代表的なパターンです。これまでと比べて、明らかに受動的・消極的な言動が目立つ場合は、心理状態に何らかの変化が生じていると考えられるでしょう。

遅刻や早退が増える

状況や本人の性格にもよりますが、遅刻や早退が目立つようになるのも、退職を考えている従業員の代表的な兆候とされます。現在の業務に対するモチベーションや、会社への貢献意欲が失われている場合は、自然と行動に表れてしまうケースも多いです。

また、転職活動やその準備などで時間のゆとりがなく、結果として遅刻や早退が増えてしまうという可能性も考えられます。いずれにしても、普段と比べて明らかに勤務状況が悪化している場合は、精神状態や置かれている環境に何らかの変化が生じていると判断できるでしょう。

そのため、できるだけ早くフォローの手を打つことが大切です。

新しい業務に関心が薄い

すでに退職を決断している従業員は、今いる会社の未来に対しては関心が薄れてしまうものです。新たな業務を任せても、以前と比べて仕事に熱心に取り組む姿勢が見られなくなっている場合は、退職を考えている可能性があると考えられるでしょう。

また、本来であれば責任感が強いはずの人材が、与えられた業務に消極的な姿勢を見せる場合は、「いずれ辞めることが決まっているため責任を取れない」という考えが関係している可能性もあります。特に大型のプロジェクトや人材育成などは、中長期的な取り組みが求められるため、退職を考えている従業員からすれば担いきれないと判断するのも自然なことだといえます。

従業員が退職を考えやすい主な理由


退職の予兆が見えた従業員に対しては、できるだけ早く具体的なフォローを行う必要があります。しかし、無策のまま場当たり的なアプローチを行っても、退職の考えを簡単に変えてもらうことはできません。

きちんと職場に引き留めるためには、退職の考えに至った原因にまで目を向け、一緒に根本的な解決を図る必要があるのです。ここでは、従業員が退職してしまう主な理由について確認しておきましょう。

待遇面に不満がある

待遇面への不満は、従業員が退職を考える代表的な理由の一つです。不満の具体的な原因としては、「給与が労働時間や業務量に見合っていない」「成果を上げても評価されない」といったものがあげられます。

特に「業界の水準と比較して明らかに給与が低い」という場合は、比較的に小さな負担で同業界のより恵まれた転職先を見つけやすいため、退職に至る可能性が高くなります。また、給与面だけでなく、労働条件や職場環境の不満も退職につながる主要な原因です。

近年では単純な給与だけでなくワークライフバランスが重視されやすい傾向にあるため、「勤務日数が多く労働時間も長い」「土日や祝日に休みを取りにくい」「有給休暇の消化率が悪い」といった点から、転職を志すケースもめずらしくありません。

人事評価が適正ではないと感じている

人事評価に対する不満や不信感も、退職につながる大きな原因といえます。特に優秀な人材は自身のキャリアや評価に対する意識が高く、実力や成果をきちんと見てもらえているかどうかを重視するケースが多いです。

その理由は、一般的な従業員と比べて「もっとよい待遇を受けられるチャンスがある」と考える機会が多いためです。また、十分な人員が確保できていない組織では、特に意識をしていないと優秀な従業員ばかりに業務の不可が集中しやすい面もあります。

その状態のまま、自身の貢献度を正しく評価されなければ、職場や組織に対する不信感は強まってしまうでしょう。優れた人材を手放さないためには、適切な評価基準を設けることも重要なポイントとなります。

人間関係に問題を抱えている

主要な退職理由としては、人間関係の問題もメジャーといえます。直属の上司や同僚との人間関係がうまくいっていなければ、なかなか身近な相手に悩みを相談することもできず、精神的なストレスが蓄積されてしまいます。

その結果、待遇や業務内容に不満がなくても、やむを得ず退職に至ってしまうというケースは少なくありません。社内の人間関係は、従業員のメンタルとともに、組織のパフォーマンスや生産性といったさまざまな箇所に影響を及ぼします。

そのため、経営者や管理職者は組織の人間関係にしっかりと目を配り、問題が生じていないかを定期的に確かめることが重要です。また、お互いへの関心が弱く、従業員同士のコミュニケーションが希薄になっている場合も注意が必要です。

このケースでは目立ったトラブルは生じにくいため、問題の本質を見逃してしまいがちな面があります。しかし、コミュニケーションが不十分であれば、悩みや不安が共有されることもないため、不満や悩みを抱えた従業員がフォローされないまま退職を選んでしまうリスクがあります。

会社の将来性に希望が持てなくなった

会社のビジョンや方向性に違和感を覚えたり、業績の向上が期待できなかったりする場合は、特に目先の問題が生じていなくても退職に至るケースがあります。特に若い世代の従業員は、自身の将来やキャリアプランをよりシビアに考えるため、会社の将来性に希望を見出せないと感じれば転職を考えるのも早いです。

若い世代が会社の将来性に見切りをつけてしまう理由としては、「旧態依然とした仕組みやシステムに頼り続けている」「主要な取扱商品・サービスの代替性が高い」「経営層の考え方が時代に合っていない」といったものがあげられます。

特に大きな不満がないケースもある

従業員の退職にはさまざまなパターンがあり、必ずしも自社に原因があるとは限りません。起業や独立、家庭の事情といった要因によって、今の仕事を続けられないという場合も考えられます。

そのため、従業員が退職の予兆を見せたとしても、むやみに「現状に不満を抱えている」と決めつけて対応すべきではありません。ここからは、従業員に退職の予兆が見られたときの対処法について詳しく見ていきましょう。

従業員に退職の前兆が見られたときの対処法


従業員に退職の兆候が見られたときには、無理に特別な策を実行するのではなく、基本的なコミュニケーションを丁寧に図ることが大切です。ここでは、退職を引き留めるために行うべき対応について解説します。

しっかり話を聞き、受け止める

退職意思の有無にかかわらず、部下とのコミュニケーションの基本は「聞くこと」にあります。まずはできるだけ丁寧に相手の気持ちに寄り添い、本音を語ってくれるように促すことが大切です。

そのためには、いきなり核心的な話をするのではなく、リラックスしてもらえるような何気ない会話からスタートする必要があります。ランチミーティングなどの場を設け、気軽に話してもらえるような環境を整えるとよいでしょう。

そのうえで、退職について触れられるようであれば、その理由や現在抱えている悩み・不満などをじっくりと聞き、否定をせずに受け止めることが重要です。

一緒に問題を解決する

退職の理由を聞くことができたら、まずは「そもそも解決できる問題であるかどうか」「短期的に改善が見込めるか」を検討しましょう。たとえば、人事評価制度や給与などに不満を抱えている場合は、基本的なシステムそのものを見直す必要があるため、改善に少し時間がかかってしまいます。

一方、業務内容の見直しや勤務日数・勤務時間の調整であれば、比較的に融通を利かせやすいといえます。このように、まずは問題の内容と改善の実際的な可能性を丁寧に見極め、一緒になって向き合う姿勢を示すことが大切です。

キャリアプランを共に考える

退職を考える原因が、キャリアプランや将来性に関するものであれば、会社側のアプローチによって引き留められる可能性が十分にあります。たとえば、上司や管理職者が従業員のキャリアプランを一緒に考え、現在の会社で活躍できるイメージを具体的に提示するのも効果的です。

また、可能であれば、キャリアアップ支援や研修制度、資格取得サポート制度などの導入を一緒に検討してみるのもよいでしょう。会社側のプランと従業員が希望する方向性がマッチしていれば、再び前向きな気持ちで仕事に臨んでもらえるようになります。

退職が起こりにくい組織づくりのポイント3つ


人材の流出を防ぐためには、会社の方針や組織のあり方を見直し、そもそも退職が起こらないような仕組みを整えることも重要です。ここでは、退職が起こりにくい組織を形成するために、どのような点に力を入れるべきかについてご紹介します。

なお、退職が起こりにくい組織づくりについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『退職連鎖とは?発生する5つの原因・離職への対応策を解説』 )

従業員の声を組織づくりに活かす

退職を防止するためには、従業員が働きやすいと感じる組織づくりを行う必要があります。そのためには、経営層や管理職層の意見だけでなく、現場の従業員の意見にもしっかりと耳を傾けることが大切です。

業務を遂行するうえでどのような点に問題が生じているか、どのような改善が望まれているのかは、ある程度現場に近い関係者でなければ正確なことがわかりません。そのため、1対1の面談などを実施し、従業員の意見を拾い上げられる仕組みを作ることが重要となります。

また、たとえすぐに改善につなげられなかったとしても、経営層や管理職層が丁寧に話を聞く姿勢を見せること自体に大きな意味があります。従業員との信頼関係が深まり、社内の風通しもよくなるため、コミュニケーションの活性化によって働きやすい職場環境へと変化していくのです。

モチベーションが高まる労働環境を整える

仕事に対する従業員のモチベーションは、置かれている社内環境によっても大きく左右されます。そのためには、前述のように「コミュニケーションが取りやすい組織づくり」を意識することが重要です。

そのうえで、努力や成果を正しく評価し、お互いに称賛し合えるような仕組みづくりを行うのも一つの方法です。たとえば、360度評価やサンクスカードの導入を通じて、対等な従業員同士がお互いの働きぶりをポジティブに褒められるようなルールを導入すると、モチベーションの維持と人間関係の向上が同時に期待できます。

モチベーションを高める労働環境の整備について、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『モチベーションマネジメントとは?従業員の意欲を引き出すポイントを紹介』 )

多様な働き方を取り入れる

働きやすい職場環境を整えるうえでは、多様な働き方の実現に力を入れるのも効果的です。代表的な取り組み例としては、「在宅ワークの導入」や「フレックスタイム制の適用」「育児休業の整備」などがあげられます。

従業員が育児や介護による退職を検討している場合でも、在宅ワークや時短勤務などの制度が整えられていれば、引き続き働いてもらうことが可能です。また、企業側がこうした柔軟な姿勢を示すことで、従業員としても職場への信頼を寄せやすくなり、自然と貢献意欲や帰属意識が深まっていくでしょう。

まとめ

企業にとって、人材の流出は大きな損失につながる出来事です。従業員が退職を考えている場合は、その予兆を見逃さず、できるだけ早くフォローの一手を打つことが大切です。

退職の兆しが見える従業員に対しては、何よりもまず丁寧にコミュニケーションを図り、丁寧に話を聞く必要があります。そのうえで、必要に応じて問題解決を図り、前向きな気持ちで自社の仕事に向き合ってもらえるようにサポートすることが重要です。

大切な人材を流出させないためにも、普段から組織全体に目を向け、従業員のちょっとした変化を見逃さないように心がけましょう。

(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)