やる気ない部下が出てしまう原因とは?意欲を高めるためのポイント

d’s JOURNAL編集部

強い企業組織をつくるためには、優れた人材を確保したり、働きやすい環境を整えたりすることももちろん重要です。そのうえで、組織としてのパフォーマンスを向上させるには、メンバーのモチベーション管理も大事な課題となります。

この記事では、部下のやる気が低下してしまう要因にはどのようなものがあるのかを具体的に解説します。また、部下のモチベーションを高める方法や、やる気ない部下への対処法も詳しく見ていきましょう。

やる気のない部下のおもな特徴


一般的に、「やる気がない」とされる従業員には、どのような特徴が当てはまるのでしょうか。ここでは、モチベーションが向上しない原因もあわせて見ていきましょう。

最低限の仕事だけを行う

やる気がないと判断される部下は、本人の能力や資質にかかわらず、「与えられた最低限の仕事のみをこなす」という特徴があります。自ら主体的に業務へ向き合う姿勢が見られず、上司から与えられた仕事だけをこなし、業務負担を必要最低限に収めようとするのです。

この状態が続くと、少しずつ周りの従業員との業務量に格差が生まれ、やがては成果や売上として具体的に目に見えるようになっていきます。そうなれば、組織全体に不満をもたらし、真面目な従業員にも悪影響を及ぼす原因となってしまいます。

気力や責任感がない

やる気がないと判断されてしまうもう一つの要因は、仕事へ向き合う態度やマナーに関するものです。「成果物の提出期限や集合時刻などを守らない」「挨拶に元気がない」など、周りから見ても明らかに気力を感じられない場合は、モチベーションが低下していると評価されても仕方がありません。

また、やる気がない部下は業務に対する責任感が薄く、「ミスを他人のせいにする」「スケジュール管理や業務管理を他人任せにする」といったパターンも多いです。いずれの場合においても、周りに迷惑がかかってしまう場面が増えるため、組織全体のパフォーマンスを落とす原因となるでしょう。

どうすれば評価されるかが分からない

人によっては、そもそも入社のタイミングから意欲が低いというケースもないわけではありませんが、基本的には仕事に向き合うなかで次第にモチベーションを低下させていくパターンが多いといえます。それでは、部下のモチベーションが低下してしまうのにはどのような原因が関係しているのでしょうか。

1つめの要因としては、「あいまいな評価制度」が考えられます。組織の評価基準が不透明であり、なおかつ公正さを欠いている場合には、部下からすると「どのように頑張れば評価されるのか」がわかりません。自身の努力や能力が正当に評価されていないと感じれば、モチベーションを保つのは難しくなってしまうでしょう。

また、評価が給与や待遇の改善につながらないことで、やる気をそがれてしまうというケースも多いです。業務の必要性は十分に理解していたとしても、自分の頑張りが正当に評価されていなければ、前向きに取り組むことはできません。

上司や同僚に対して不満がある

周囲の人間関係も、部下のモチベーションを左右する要因となります。一緒に仕事をしている上司や同僚に対して不満を抱えていると、仕事そのものにはやりがいを感じていても、会社への帰属意識は低下してしまうのです。

たとえば、上司の姿や姿勢が尊敬できないと感じると、業務を任されても期待に応えたいという意欲はなくなってしまいます。また、同僚との信頼関係が構築されていなければ、業務の不満や気づいた点をアウトプットできず、ストレスをため込んでしまうでしょう。

さらに、上司が信頼できない場合は、そもそも正当な評価が期待できないという問題も抱えてしまいます。その結果、当初のモチベーションはだんだんと低下していき、最終的には仕事のやる気を失うか、最悪の場合は退職へと至る可能性もあります。

職場環境に居心地の悪さを感じる

「会社に人材育成の仕組みが整っていない」「求められる能力や業務量に待遇がともなっていない」など、職場環境に問題がある場合も、部下のモチベーションを低下させる原因となります。本来はモチベーションの高い従業員であったとしても、努力が待遇に反映されなかったり、自分の成長を実感できなかったりすれば、仕事に対する意欲は失われてしまいます。

特に優秀な人材は、自身の評価やキャリア形成に人一倍敏感であるため、モチベーションが低下すれば転職を考える可能性も高いといえるでしょう。

やる気のない部下へのNG行為


やる気のない部下に対しては、速やかにコミュニケーションを図り、改善の方向へ促すことが大切です。しかし、アプローチの方法を誤れば、逆効果になってしまう可能性もあるので注意が必要です。

ここでは、避けるべきNG行動を確認しておきましょう。

すぐに口出しをしてしまう

部下のやる気を奪ってしまう上司の特徴として、「すぐに口出しをしてしまう」というものがあげられます。業務を任せたはずが、進め方が気になるあまり細かな口出しをしていると、自分で考える習慣が失われてしまう可能性があるので注意が必要です。

モチベーション管理の観点からいえば、気になったことをただ指摘するのではなく、部下が自分で考えて気づけるように導くほうが有益です。部下に指摘をする必要がある場合は、あらかじめフィードバックの機会を設けておき、そのタイミングに合わせて伝えるとよいでしょう。

褒める言葉を口にしない

モチベーションを上手にコントロールできる上司は、適切なタイミングで部下を褒めることができます。一定の成果を上げているにもかかわらず、それに対して上司から何も具体的なアクションが見られなければ、部下も手ごたえを感じられずにやる気を低下させてしまうでしょう。

やる気が見られない部下にこそ、上司は褒めて育てることが大切となります。ただ、褒めてモチベーションを高める方法は「外発的動機づけ」と呼ばれており、即効性には優れる一方で持続性はあまり期待できません。

また、もともと存在していた自主性や創造性を妨げる可能性もあるため、安易に実行するのではなく、タイミングを見極めて取り入れることが大切です。

部下に仕事を任せない

部下の能力や資質を信頼せず、仕事を任せられない上司も、モチベーションを奪ってしまう代表的な存在といえます。仕事の効率だけを考えれば、不慣れな部下に業務を振るよりも、自身で進めたほうが合理的な面もあります。

しかし、部下に簡単な仕事ばかり任せていると、成長の機会が奪われてしまうため、モチベーションもなかなか上がっていきません。また、自分が信用されていないと感じれば、会社や組織に対する貢献意欲もそがれてしまうでしょう。

管理の手間は増えたとしても、部下にはできるだけ積極的に仕事を振り分け、成功体験を重ねてもらうことが大切です。

そのまま放置してしまう

部下のモチベーションが低下しているにもかかわらず、上司から何らアプローチが行われなければ、ますます状況は悪化していきます。その状態を放置すれば、部下は「最低限の仕事をしていれば大丈夫」「どうせ期待されていない」といった心理状態に陥ってしまうでしょう。

また、明らかに仕事へ悪影響が出ているにもかかわらず、上司から適切な対応が見られなければ、周りの従業員のモチベーションも低下させてしまうリスクがあります。そうなれば、組織全体のパフォーマンスが下がり、業績の悪化も招きかねません。

モチベーションの低下を感じた従業員には、できるだけ早いタイミングでコミュニケーションを図り、適切な対応をすることが大切です。

やる気のない部下のモチベーションを高める方法


やる気のない部下を見かけたときには、速やかに対応するとともに、適切な方法でアプローチをすることが大切です。ここでは、やる気のない部下のモチベーションを向上させる方法を見ていきましょう。

なお、モチベーション管理については以下の記事でも詳しく解説されているので、あわせて参考にしてみてください。

(参考:『【1分で解説】モチベーションアップには何が必要?従業員のモチベーションを上げる5つの方法』

実力に見合った仕事を任せる

モチベーションを自然な形で引き出すには、確かな手ごたえのある業務を任せるのが有効です。このときのポイントは、「実力に見合った仕事を任せる」という点にあります。

実力に対して極端に業務の難易度が低ければ、面白さや手ごたえを感じられないため、モチベーションを引き出すことはできません。反対に、過度に業務のレベルが高ければ、自信を喪失したり、無用なプレッシャーを感じさせてしまったりするリスクがあります。

そこで、まずは部下のスキルや経験値を見極めるためにも、手頃な仕事から任せて観察することが大切です。

細かく目標を設定してみる

適切な目標の設定も、前向きなモチベーションを引き出すうえで有効な方法となります。年間単位の大きな目標だけでなく、成果が目に見えるような細かい目標を段階的に設定することで、部下は自身の成長を実感しやすくなります。

目標を一つずつクリアし、小さな成功体験を重ねていくなかで、自然とモチベーションの向上を促せるのです。ただし、細かな目標設定を行うには、一人ひとりの部下への丁寧な理解が求められます。

仕事に対する意識や現在のスキル、希望するキャリアの方向性などを把握するなかで、個別の従業員にカスタマイズされた目標を設定できれば、モチベーション管理が大きく進んでいきます。

情報を常に共有する

細やかな情報共有によって、風通しのよい組織づくりを行うこともモチベーションの管理をスムーズに進める重要なポイントです。特に、社会人経験が少ない若手のなかには、「報告・連絡・相談」の重要性を正しく認識できていない部下もいます。

業務で困ったときや壁にぶつかったときに、適切な方法で上司や先輩に相談できず、やる気を失ってしまうというケースも少なくはありません。普段からスムーズに連携できる仕組みを整えておけば、トラブルを抱えたときにも1人で抱え込む心配はなくなります。

また、社内の情報は可能な範囲で開示し、必要に応じてアクセスできるようにしておくことも大切です。組織のビジョンや目標、過去のデータなどをITツールなどで一元管理しておけば、部下も自分でほしい情報に触れることができ、事業に対する主体性を高められるでしょう。

自分で考えてもらう習慣を身につけさせる

仕事に向き合ううえで、自ら主体的に考える習慣を身につけさせることもモチベーションの向上につながります。受け身で与えられた業務をこなすのではなく、自ら目標の達成に必要なプロセスを考えられるようになれば、仕事に対するモチベーションは自然と高まっていくのです。

そのためには、上司は最終的な目標のみを設定し、細かな業務の進め方や到達までの計画は部下に考えさせるのが有効です。また、基本的には自主性に任せて業務を進めてもらう一方で、煮詰まったときには相談できるような仕組みを整えておけば、サポートもしやすくなります。

職場環境を改善していく

組織全体としてのモチベーション管理を行ううえでは、社内の環境改善に力を入れることも大切です。具体的な取り組みとしては、次のようなものがあげられます。

・定期的な社内ミーティングによる目標の確認
・1on1の導入による細やかなヒアリングとフィードバック
・ITツール(チャットツールなど)の導入による効率的な情報共有
・表彰制度の導入
・評価制度の改善
・多様な働き方の実現

コミュニケーションを活性化させるためにも、社内ミーティングや1on1ミーティング、チャットツールなどの導入は効果的です。また、表彰制度や評価制度の仕組みを見直し、努力や頑張りが正しく評価されるシステムを構築することも大切です。

やる気のない部下の4つのタイプとそれぞれの対処法


一口にやる気が見られないといっても、考え方や傾向性にはいくつかの異なるパターンが存在します。モチベーションを引き出すためには、相手に合わせて適切なアプローチを検討することが大切です。

ここでは、やる気がない部下を4つのタイプに分類し、適切な対処法をご紹介します。

上昇志向が薄いタイプ

最低限の業務のみをこなし、現状維持をよしとするタイプに対しては、成功体験を積ませて仕事へのやりがいを実感してもらうのが効果的です。また、キャリアに対する上昇志向が薄い部下に対しては、具体的なお手本となる先輩に触れさせ、目に見える形で目標を考えてもらうのも有効といえます。

「こうなりたい」という明確な目標ができれば、自身のキャリアにも真剣に向き合うようになり、前向きなモチベーションが引き出されていきます。

失敗を恐れがちなタイプ

失敗を恐れるあまり消極的になってしまうタイプに対しては、上司が失敗を許容する姿勢を示すことが大切です。小さなミスや失敗は気にせず、そこから改善していくことの重要性を伝え、のびのびと業務に臨んでもらえるようにしましょう。

また、仮に部下が失敗してしまうことがあれば、その原因を一緒に究明しながら、改善策を見つけていく姿勢を示しましょう。上司の行動により、部下も自らの失敗を前向きに受け止め、自分で改善の方向性を探れるようになっていきます。

不満を抱えやすいタイプ

仕事や人間関係に対する不満によって意欲が低下している部下には、焦ってアドバイスをするよりも、まずはじっくりと状況をヒアリングすることが大切です。1on1ミーティングの場を設け、なんでも気軽に相談できるような機会を持ちかけることで、悩みや不満を吸い上げられるようになります。

そのうえで、どうすれば問題を解決できるかを一緒に考えていけば、モチベーションを低下させる要因を取り除くことができるでしょう。ただし、部下の不満を正しく解消するには、本音を打ち明けてもらえるだけの信頼関係を構築することが前提となります。

「1on1ミーティングの内容は口外せず評価にも影響しない」「意見や考えを否定しない」など、事前に対話のルールを設定すると、安心して本音を話してもらいやすくなります。また、日ごろからプレッシャーを感じさせない関係づくりを行い、双方向的なコミュニケーション環境を整え、心理的なハードルを下げておくことも重要です。

仕事への関心が低いタイプ

そもそも仕事への関心が低い部下に対しては、目の前の業務の意味や価値を丁寧に提示することが大切です。自社がその業務をどのように必要としているのか、売上や取引先との関係づくりなどにどのような貢献をしているのかを示すことで、仕事への意識が変わるきっかけになる場合もあります。

また、金銭的なインセンティブや上司からの評価でもモチベーションが上がらない場合は、自身の仕事がどのような形で社会貢献に役立っているのかを知ってもらうのも一つの方法です。

まとめ

部下のモチベーション管理は、上司の重要な仕事の一つです。やる気がない部下に対しては、どのように対処すればよいものか悩んでしまう場面もあるでしょう。

一口にやる気が見られないといっても、その原因は人によってさまざまです。まずは個別にヒアリングを行い、モチベーションが向上しない原因を特定することが第一歩となります。

そのうえで、一人ひとりに合わせてどのような施策が効果的であるかを検討し、適切な目標を設定することが重要です。力強い組織づくりを実現するためにも、時間を割いて丁寧にコミュニケーションを図り、本音を引き出せる信頼関係を構築しましょう。

(制作協力/株式会社アクロスソリューションズ、編集/d’s JOURNAL編集部)