「どうして経験者ITエンジニアを採用できないの?」、即戦力採用を成功させる人事・採用担当者はここを見ている【採用成功のマニュアル付き】

d’s JOURNAL編集部

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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、仕事の中身やはたらき方も大きく変化しました。特に、各社でDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する緊急度が上がってきており、それに伴いDX人材の採用強化に動く企業が増加。コロナ禍においてもデジタル人材の採用競争は激化しました。近年では、既存事業からの脱却・効率化を目指し、各企業においてもDX推進部署が立ち上げられ、重要ポストをIT業界から人材登用するケースも増えています

「経験のあるDX人材にぜひ入社してもらいたい」――。そう考える人事・採用担当者は、今やIT企業に限ったことではなくなりました。今回は初めてDX人材採用に注力する、ITエンジニアの採用のポイントを知りたい、といった方にも有益な情報となるコラムをお届けします。直下と巻末にはDX人材採用の市場と採用ポイントがすべてわかるダウンロード資料もご用意しました。どうぞご活用ください。

DX需要の高まりにより、スキル・経験がある即戦力IT人材の需要が増加

経済産業省が発表した「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)-IT人材需給に関する調査-」によると、2030年にはIT人材の不足数が最大で約79万人になるという試算がされています。しかし、事態はコロナ禍による社会構造の変化、特にセキュリティ・ネットワークやクラウドといったインフラ関連、AI(人工知能)導入などによるDX化の流れによって、2020年3月から現在にかけて多くのDX人材の需要が見込まれるようになりました。

また求人倍率は、コロナ禍による影響でさまざまな職種がリーマンショック時相当まで落ち込んでいたものの、IT・通信業界においては他業界比で最も高い5.78倍と、落ちこみは下げ止まり傾向。さらに技術者採用は求人倍率の下降の影響が軽微だったこともあり、IT業界の業績好調も相まって今後のDX・IT人材の獲得競争はますます激化していくでしょう。

出典:doda転職求人倍率レポート(https://www.saiyo-doda.jp/report/8183)

いまや多くのIT関連企業だけでなく、多くの企業がITエンジニアの求人を出している「売り手市場」の市況であり、それだけにDX人材の採用難易度が高くなっているのです。即戦力人材は特に引く手あまたとなっていますね。そこで活況化する採用市場の中で、経験やスキルのある人材を確保していくためのポイントや職種別傾向と対策を探っていきたいと思います。

DX人材に魅力的に思ってもらえる環境整備やブランディング活動を実践しよう

企業間でITエンジニアの激しい争奪戦が行われている中、中途採用でITエンジニアを採用するためには、ポイントを押さえて採用活動をすることが大切です。特にDX人材の採用成功に必要な企業ブランディングや応募者にとって魅力的に思える採用条件、職場環境を整えておくことは大切です。

まずDX人材採用は、採用業務だけに専念していても成功しないことを念頭においてください。自社がDX人材を募集していること、活躍できるための環境や風土が整っていることを広く世に認知させるためのブランディング活動が必要になってきます。そのうえで、選考を主としたリクルーティング、活躍・定着を目的としたオンボーディング、そして会社を好きになってもらうなどのエンゲージメント活動など、それぞれをフェーズ別に分けて戦略的に進めていくことが求められます。下記の図はほんの一例です。自社の組織体系や環境にあったセグメント化をまず実践してみましょう。

採用におけるブランディング活動はとても重要です。DX人材の採用に成功している企業は、「会社トップの露出をメディアなどで増やす」「オウンドメディアを立ち上げ独自のカルチャーを伝える」「サービスとビジョンとブランドの統合を果たす」など、いずれも活動自体はさまざまですが、共通しているのは情報発信。惜しみなく会社の情報を伝え続けることが認知拡大につながるようです。

DX人材の採用は、課題を何と定めるかで手段も変わってきます。大きく始めても、小さく始めても、結局継続が重要だということは覚えておいて損はないでしょう。実はブランディング活動は明日から、1人でもはじめられる活動です。何が必要なのかを考えていくことから始めてみませんか。

採用獲得を左右する6つのポイント

自社をDX人材に認知させることの重要性について説明しましたが、次に自社の魅力を伝え「この会社で活躍したい!」と思ってもらえるような要件定義(給与、採用条件など)の整理が必要になります。大きく分けると以下の6つのポイントが上がるでしょう。

① 仕事内容を具体的に提示する
② キャリアパスを明確にする
③ ITエンジニアが多く集まる場所で募集をかける
④ 入社意向を高める面接ができるように対策をする
⑤ 内定辞退を防ぐためのフォローをする
⑥ 即戦力を求めすぎない

詳細はダウンロード資料で紹介していますが、DX人材は、その仕事を通して自身の技術力が向上するか、成長できるかを重視して求人に応募するかどうかの判断をします。ですからキャリアパスを明確にする、入社意向を高めるなどの活動は上記の採用ブランディングと絡めて、さまざまな対策が施せそうです。

さらに、企業ごとの対策の例として、エンジニアの週休3日制を導入したり、入社したくなるような会社の魅力付け、あるいは最終選考にバーレイザー(英:Bar raiser)なるポジションを特別に設置する企業もあり、自社で創意工夫が大いにできる余地があります。<下記、関連記事参照>

一方で、DX人材の採用がうまくいかない場合、まずは自社の根本課題がどこにあって、誰がキーパーソンなのかを認識しなければなりません。根本課題を見つけるために、ケース別に役割とその対策を講じることも有効です。IT化が遅れておりDXによって新しいサービスや事業を生み出すためにエンジニアを必要としている企業は、ダウンロード資料にて詳しく説明していますので、ぜひご活用ください。

もしDX人材の確保が急務の場合、人材紹介サービスを使うのもひとつの手です。人材紹介サービスには、転職を希望しているDX人材が多数登録しているため、採用ターゲットに合致する人材の紹介を受けることができます。

ITエンジニア別採用成功のポイント

ひとくちにITエンジニアといっても、専門分野によってさまざまな職種があることをご存知でしょうか。システムエンジニアとプログラマの違いは知っていても、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの違いは分からない、といった声も多く、それが採用ミスマッチの要因となってしまいます。

「ITスキル標準」では、ITエンジニアをビジネスの実状に沿って、職種を「ITコンサルタント」や「プロジェクトマネジメント」など11種に分類し、各職種ごとに35の専門分野を設けています。ここでは主な職種の採用のポイントについて解説していきます。

Webサービス系プロジェクトマネジャー・エンジニア

従来のWebサービス系のエンジニア採用は「BtoCサービスに携わりたい」という業務系システム開発経験者や、若手未経験者の学習意欲を重視するケースが多かったものの、直近ではポテンシャル採用においてもスキルを求めている傾向にあります。

しかし、母集団が少ないこともあり、志向性が一致している転職希望者を採用し、自社で育成する傾向が引き続きあります。そのため、業務スキルだけではなく、普段からの自己研鑽の姿勢や意欲が採用時の評価ポイントとなるでしょう。面接では、自社サービスの魅力や今後の事業計画などを訴求し、入社意向の形成を図るなど、選考内容も柔軟性も必要です。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは「最新技術」「大規模案件」「グローバル」を理由に転職をすることが多い職種です。ただし優秀層ほど「クラウド」「IoT」「セキュリティ」といった最新技術との連携や、インフラ内での横断的なキャリアパスを希望するケースが多いため、「インフラエンジニア」と一括りにするのではなく、「ネットワークエンジニア」として業務内容に関する情報を充実させることが採用のカギです。また、ミドル~シニア層に対する要件を見直し、他社と重複しづらい採用ターゲットを設定することも検討の手段としては有効です。

社内SE

社内SE希望者は各年代においても非常に多い職種です。社内SE希望者がワークライフバランスの改善、ユーザーと近しい距離感で仕事ができるという点に魅力を感じている傾向は依然と変わりません。しかし、景況感の悪化に伴い、ミドルバック部門の扱いにリスクを感じ始めている転職希望者も一定数いるため、待遇面での魅力なども含め訴求していく必要があるでしょう。

セキュリティエンジニア

経験豊富なセキュリティエンジニアは、転職市場に流入しても絶対数が少ないため、即戦力採用は難しい状況が続いています。しかし、セキュリティエンジニアはセキュリティ職に就きたいという転職希望者が大半であるため、採用チャンスは工夫次第で増えていきます。

その中でも、SOC業務、SIRT業務、セキュリティポリシーの作成など、経験が多岐に渡るマーケットではあるので、採用側についてはセキュリティエンジニアとしてどのような魅力的なキャリアパスがあるのか提示することが採用成功のカギ。

また、必須要件に「ネットワーク、サーバーの知識があればセキュリティ業務にチャレンジできる」という訴求があると、比較的応募が集まりやすい傾向があることも覚えておくと良いでしょう。

いかがでしたでしょうか。ほかの職種についてはダウンロード資料をご覧ください。

まとめ【DX・IT人材採用成功マニュアルをダウンロード】

ITエンジニアは希少性が高く、年々採用が難しくなってきています。自社だけでのITエンジニアの確保が難しいと感じたら、転職サイトや人材紹介サービスなどの営業担当者に相談するのもひとつの手です。しかし、本質はほかの職種と変わることはありません。いかに自社のサービスや商品、環境を魅力的に思ってもらえるか、「この会社で活躍したい」と思ってもらえるか、すべては人事・採用担当者の工夫と裁量次第です。DX人材採用の市場と採用工夫ポイントは、以下からダウンロードできます。ぜひご活用ください。

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