【ダメ!絶対!】こんな採用活動は失敗する!採用代行サービス(RPO)活用のポイント

d’s JOURNAL編集部

取材・データ協力:
パーソルキャリア株式会社 採用支援統括部 ソリューション開発部(RPO)

【事例1】こんなはずじゃなかった!プロセスの設計やシミュレーションに不足要素があった結果…
【事例2】急がば回れ!契約書の内容を最小限で締結し、スタートした結果…
【事例3】理想と現実のギャップ!適性試験の結果を、合否判定基準に組み込んでしまった結果…

人材サービス会社が展開する「採用代行」、通称RPO(Recruitment Process Outsourcing)を活用して、自社の採用活動を円滑に行う企業が増えつつあります。

その背景として、人手不足が社会全体の問題となっている中で、優秀な人材は引っ張りだこになって、採用市場は熾烈な争いになっている、採用を戦い抜くにも人手が足りず採用活動を思うように進められない、自社に採用のノウハウが不足していて求める人材を確保できない、といった課題を抱えていることが要因のようです。そして、採用代行(RPO)にはこうした課題をクリアできる魅力があるとされています。

さて、採用代行(RPO)サービスを活用するに当たって、導入する企業には以下のようなメリットがあります。

ひとつは「“コア業務”に専念できる環境を創出できる」こと。採用活動を含む人事業務は、煩雑な作業に日々追われがち。採用施策の円滑な実行やオペレーション負荷を軽減することや、しっかりとした採用戦略の立案や採用以外の業務にも工数を割けるようになれます。
また、空いた工数で入社者フォローを丁寧に行い、会社への定着を図り、長期的な採用コストを低減することも可能です。

もうひとつは、「採用ノウハウが身に付き、採用力が向上する」こと。採用代行(RPO)を実施する人材サービス会社は、採用に関する豊富なソリューションを持っています。自社にノウハウが不足し、有効施策の検討が出来ないなどの悩みを抱える企業や組織にとっては、それをサポートしてくれるこの上ないメリットになるでしょう。

このように採用代行(RPO)サービスを活用することによって、自社の採用力を向上することにつながり、結果として多くのメリットを企業にもたらすことは確実ですが、あくまで主体はそれを導入して実践する企業や組織、ひいては人事担当者です。

採用代行(RPO)サービスをうまく活用できずに、結果失敗に終わった企業や組織も数知れず存在します。なぜ採用代行(RPO)サービスで失敗してしまったのか――。

今回は、そんな採用代行(RPO)の失敗事例を企業の導入背景と共に3つ紹介します。これから採用代行(RPO)を考えている企業や組織にとって、参考になる点も多いかと思いますので、最後までご覧ください。

※実在の企業やエピソードに基づき、事例として話を再構成しており、一部事実と異なる情報を含みます


【事例1】こんなはずじゃなかった!プロセスの設計やシミュレーションに不足要素があった結果…

■企業:保険会社
■採用の概要:年間中途採用100名程/全国の各営業拠点で活躍する営業職の採用

ある保険会社の失敗例を紹介します。今回の採用は、全国の各営業拠点で実施する選考会への母集団集めをメインとした営業職の募集。

同社は、応募者を集めるためのノウハウと、年間で100名単位の採用を実行するだけの工数が不足していたため、採用代行(RPO)を展開する人材サービス会社へ依頼。大規模採用活動を本格化させたのでした。

そこで人材サービス会社の採用代行(RPO)チームは、求人広告掲載や採用HP経由での集客、転職フェアなどのイベントへの出展などを企画して、応募者の1次対応、各拠点の営業所長への連絡などでサポートしました。

なお、それまでの採用活動は、各営業拠点での人脈をもとにリファラル採用をメインとしていましたが、その後の定着や母集団形成とまではいかなかった模様です。

そして、採用代行(RPO)チームの働きで多数の応募者が集まり、経過は順調のように思えました。

【失敗ポイント】
年間の採用スケジュールの策定や母集団形成を行うための各採用活動のセッティングやサポートは想定通りに進んでいたようです。ところが、計画していた採用決定者数に至らなかったのです。追加の広告出稿費用を掛けましたが、これも期待通りの成果とはいきませんでした。

この失敗には2つの要素が考えられます。ひとつは、母集団形成が目的になってしまい、応募を集めた後のプロセス設計やシミュレーションが不足していたこと。もうひとつは、人事・採用担当者が当初想定していた採用要件と、各拠点で募集している、いわゆる「求める人材」の要件にミスマッチがあったことが、社内でのスムーズな連絡を阻んだばかりか、求める人材の獲得までには至らなかったようです。

ちなみにこの採用における人材要件は、人柄重視の採用であり、定性的なターゲット要件(ペルソナ)を定義しきれなかったことも追記しておきます。

また細かいところでは、選考会の集客以降のプロセスに課題がありましたが、対応は各営業拠点に任せており、人事として介入が難しかった部分もあったようです。

採用代行(RPO)サービスの使い方としても、母集団形成の目標だけではなく、採用決定までを目標とし、採用決定までのシミュレーションを立ててもらうべきでした。

さらに採用決定までの途中経過として採用決定者数の目標到達度や打ち手についての振り返りをするなど、適宜チューニングするとより良い結果を残せたのでしょう。採用プロジェクトにかかわるすべての担当者間で、振り返りの場などを定期的に持つことで、採用代行(RPO)を100%活用できるかと思います。


【事例2】急がば回れ!契約書の内容を最小限で締結し、スタートした結果…

■企業:製薬関連メーカー
■採用の概要:半年で 100名単位の営業職の採用

事例2は、ある製薬関連メーカーの採用代行(RPO)の失敗事例となります。人材サービスがサポートしたのは、採用実行計画立案、母集団形成の支援、採用決定までのすべての工程のフォローなどでした。

もともと会社合併などの転機により、同社は初めて大規模な中途採用を実施したのでした。経営層からの要望もあり、そのミッションは、半年で100名単位の営業職の採用を成功させること。短期間での採用目標達成に加えて、採用ノウハウの確立、工数不足の解消など採用代行(RPO)への期待も相応に高いものとなっていました。

【失敗ポイント】
経営層からの高い期待のもと中途採用プロジェクトはスタートを切りました。スタートと同時に採用代行(RPO)に蓄積された採用ノウハウを有効に活用し、当社は順調に母集団を形成していきました。それも短期で。

ところが、プロジェクトスタートから3カ月ほど経ったころ、経営上の方針変更により中途採用プロジェクト自体が突如ストップしました。

求人広告の取りやめや既に面接が決定していた応募者への説明など、予期せぬ対応に迫られる中、採用代行(RPO)との違約金交渉が発生。人事担当者はその業務で忙殺される事態に陥りました。

経営方針の変更などにより、採用がストップしてしまう――。人事担当者の中には思わず頷いてしまうような事例ではないでしょうか。

今回の失敗事例は、大きな反省点がありました。それは、採用代行(RPO)委託事業者との間で、「解約については双方別途協議の上で決定する」という趣旨の契約内容しか取り交わしておらず、具体的な事前告知期間や違約金のルールなどを契約書内で言及していなかったことにあります。そのため違約金含めて採用代行(RPO)委託事業者との交渉工数が余計に発生してしまったのです。

これは急ごしらえなプロジェクトである上、契約書の取り交わし内容まで最小限で締結してスタートさせてしまった、いわゆる見切り発車状態が主な失敗要因でしょう。いま一度、採用代行(RPO)を導入する前に、自社の採用プロジェクトの体制を把握して、採用戦略や計画に不備はないか、あるいは経営方針上で路線を変更するようなリスクはないか、洗い直しておいた方が良さそうです。

万全の体制が、盤石な採用につながっていくということが学べる事例ではないでしょうか。


【事例3】理想と現実のギャップ!適性試験の結果を、合否判定基準に組み込んでしまった結果…

■企業:部品メーカー
■採用の概要:3カ年の中期経営計画達成のため、中途人材採用計画を立案。目標達成のために採用代行(RPO)を導入

ある部品メーカーには、3カ年で目標達成をしたい中期経営計画がありました。その達成のため、外部からの新しい風を採り入れ、その実効性を強めたい狙いがありました。そこで採用代行(RPO)を導入して、採用実行計画立案から母集団形成、そして採用決定までのすべての工程をサポートしてもらう予定でいました。

3カ年の中途採用計画は、2年目まで採用実行計画立案から母集団形成などすべて順調に推進されていました。ところが、前年度の採用者の振り返りデータをベースに、適性試験結果を元に合否判定基準を引き上げたところ、中途採用者として求めたい採用要件(スキルや経験)は満たしているものの、適性試験結果が基準を満たさない応募者が続出しはじめたのでした。

そして2年目以降、せっかく応募は集まっていたものの、現場部署で採用したい転職希望者には内定が出せず、採用計画は3カ年での達成が難しくなってしまったのです。会社を成長させる人材がいなければ事業のさらなる推進も何もありません。

そして中期経営計画についても当初の予定から大きくずれ、下方修正を迫られる事態となったのでした。採用が事業の推進に大きく影響してしまったわけです。

【失敗ポイント】
今回の失敗のポイントは次の通りです。まず、社内の採用キーマンが適性試験結果に強いこだわりを持っており、人事担当者としてその基準を覆せなかったことが大きく要因として挙げられます。

また中途採用者へ求めるものが「即戦力になるスキルや経験」でなく、適性試験結果の基準が採用の第一優先になってしまったことも失敗につながる原因になっていました。

この事象から学べることはひとつ。中途採用を行うにあたって定めなければならない人材要件(ハード・ソフトの両面)をしっかりと定め、すべての採用に関わる担当者間で共有ができていなかった。だから失敗してしまったのです。

なぜ中途採用が必要なのか、掲げる目標や目的を達成するために必要な人材とはどのような人物なのか、を今一度精査する必要があったのかもしれません。


まとめ

いかがでしたでしょうか。これらの失敗事例はあくまで代表的な中途採用の現場で起こり得る事象です。採用代行(RPO)利用の有無に関わらず、多かれ少なかれ採用の現場ではよく起こっているのではないでしょうか。

これらの失敗をしないためにもできることはふたつです。しっかりと自社の採用プロジェクトを見直し、採用計画や年間スケジュール、求める人材要件などを定めること。そして社内での目線を合わせておくこと。もしこれらの採用に関わるノウハウが自社で不足している場合は、採用代行(RPO)サービスの利用を検討すると良いでしょう。

その際、よくある失敗として、「自社の懐事情を外部に知られたくない」といった気持ちも働くかと思います。しかし求職者はそうした内情も含めて会社を選びます。自社の人事面に第三者視点を取り入れる狙いや抱えている課題の整理も兼ねて、こうした人材サービスを活用してみるのも良いかもしれません。

取材・文/鈴政武尊、編集/鈴政武尊

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