【人事必見】採用活動とは?ポイントやスケジュール、新卒・中途の採用方法について解説
d’s JOURNAL編集部
企業が求める人物像を明確にした上で募集活動や選考などを行う、一連のプロセスを「採用活動」と呼びます。
売り手市場が続く中、「採用活動はどのような流れで進めるとよいのか」「どのような採用手法があるのか」を知りたい人事・採用担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、採用活動の年間スケジュールやプロセス、採用方法の種類などをご紹介します。
採用活動とは?
採用活動は、採用計画の立案から入社後のフォローに至るまでの、採用に関わる一連のプロセス全体のこと。広報活動や選考だけでなく、事前の計画や育成なども含みます。まずは、採用活動の目的や人事・採用担当者の役割を見ていきましょう。
なぜ採用活動を行うのか?
企業が採用活動を行う目的は、「企業の目標や経営戦略を実現すべく人材を補うため」そして、「新たな人材を獲得することで企業やチームを成長させるため」です。
企業は、経営を行う際の軸である経営理念を基に、到達したい未来像「経営ビジョン」を策定し、それを達成するために事業計画を立てます。事業計画をどのように進めていくかを示した経営戦略を、どのような人材で構成するか検討・実行するのが、採用活動を含む「人事戦略」です。採用活動は、「事業計画と現実のギャップを、人材を採用することで補完する活動」とも言い換えられるでしょう。
採用担当者の役割とは?
採用担当者は、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の中でも重要な「ヒト」を獲得することを目的としています。人事戦略は組織や企業を構成する基盤となるため、採用活動を行う際は、企業の目的や採用計画を念頭に置きながら進めることが大切です。また、近年は政府が要請する学生の就職・採用活動日程が後ろ倒しになったことで、選考にかけられる期間が短縮されました。担当者には、より計画的に採用活動を行うことが求められます。
就活解禁はいつ?採用活動の年間スケジュールは?
採用には、「新卒採用」と「中途採用」とがあり、それぞれ対象やスケジュールが異なります。採用活動の年間スケジュールを見ていきましょう。
新卒採用
新卒採用は、主に学生を対象に行います。学生が学習時間を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるように、政府が提示するスケジュールを順守するよう要請していることも特徴です。採用スケジュールは、2020年度卒までは毎年経団連が定めていましたが、現在は政府主導となって取りまとめをしています。
なお、政府が発表している2023年度卒業・修了予定者の採用スケジュールは以下の通りです。
2023年度卒業・修了予定者の採用スケジュール
広報活動開始 | 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降 |
---|---|
採用選考活動開始 | 卒業・修了年度の6月1日以降 |
正式な内定日 | 卒業・修了年度の10月1日以降 |
(参考:内閣官房『就職・採用活動に関する要請』)
「2023年度に4年制大学卒業予定の学生を新卒で採用する場合」を例とすると、広報活動の開始は大学3年生の終盤にあたる2023年3月1日以降、採用選考の開始は大学4年生の6月1日(2023年6月1日)以降、正式な内定日を通知するのは大学4年生の10月1日(2023年10月1日)以降となります。
応募から内定まで一連の採用プロセスは?
採用活動の一連の流れを、プロセスごとにご紹介します。
採用計画の策定
まず行うのが、採用計画の策定です。採用計画とは、「採用時期」「人数」「雇用形態」「求めるスキル」「採用手法」などを決定すること。事業戦略や業務量、人件費などを基に、時には現場や経営層と擦り合わせをしながら検討します。採用計画が不明瞭だと、選考の判断基準がぶれたりミスマッチが起こったりする可能性もあるため、採用したい人物に求める価値観や志向性なども含めて明確にしておくことが重要です。
広報・募集活動
採用計画が定まったら、次に広報・募集活動を行います。パンフレットや募集要項を作成し、自社のホームページや求人サイトなどで発信しましょう。同時に、計画していた採用方法を用いて母集団(採用ターゲットの集まり)を形成していきます。募集要項には「企業のビジョン」や「求める人物像」を記載し、自社のカルチャー理解を促しましょう。採用方法の種類については、後ほど詳しく説明します。
採用選考
求職者から応募があったら、採用選考を行います。「書類審査」「筆記試験」「面接」などを通じて、応募者の「持っている資格」や「一般常識」「熱意」「人間性」などを確認しましょう。近年は情報交換やコミュニケーションの場として、「カジュアル面談」を設けている企業も多くあります。
選考時には、「採用計画に沿った人物であるか」「人間性が社風にフィットするか」などが重要な判断ポイントとなります。ミスマッチによる早期退職を防ぐためにも、スキルだけでなく、内面も適した人材を選抜しましょう。
内定・入社フォロー
内定・採用決定を通知した後は、内定辞退を防ぐために「内定者フォロー」を行うことも重要です。内定者の疑問や不安を解消する機会や、欲している情報を得る機会を設けましょう。具体的には、「内定者同士の懇親会」や「既存社員との交流会」「必要な資格を取得するための勉強会」などが挙げられます。特に、新卒採用は内定から入社までの期間が長いため、内定者との接点を定期的に設けるとよいでしょう。そうすることで、内定者の入社に対するモチベーションを維持しやすくなる効果が期待できます。
(参考:『内定者フォローの8つの手法。メール、SNS、イベント等いつどんな方法で実施する?』)
採用方法にはどんな種類があるのか?
採用方法にはさまざまな種類があるため、それぞれの特徴を把握した上で使い分けることが大切です。代表的な採用方法と特徴を、以下にまとめました。
採用対象が限定されるのは、「ハローワーク」と「学内セミナー」です。ハローワークは中途採用のみで活用され、求人広告を無料で出すことができます。求人の申し込みを事業所が所在する地域のハローワークで行うため、地域に特化した採用に強いことが特徴です。
学内セミナーとは、ターゲットとなる大学に訪問し、自社説明会を開催することを指します。学内セミナーは、新卒採用のみで実施される採用手法です。コストを抑えたり、訪問先を調整できたりするといったメリットがありますが、事前の準備や当日の運営などの作業が発生します。
採用方法の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
(参考:『母集団形成に有効な施策とは?採用課題ごとに他社事例を交えて詳しく解説』)
押さえておきたい採用活動のポイントとは?
採用活動を成功させるためには、どのような点に気を付けるとよいのでしょうか。押さえておくべきポイントをご紹介します。
採用ターゲットをしっかり定める
採用ターゲットがあいまいだと、母集団形成がうまくいかなかったり、選考で面接官の判断に個人差が生まれたりする可能性があります。自社が求める人物の「経歴・スキル」「行動特性」「価値観」を明確にし、就活・転職市場のトレンドも参考にしながら、採用ターゲットを定めておきましょう。併せて、採用ターゲットに合わせた採用手法を選択することも重要です。
(参考:『採用基準はどう決める?手順や基準にすべき項目とは?テンプレートや例を交えて詳しく解説』)
採用プロセスの振り返りとボトルネック解消を行う
定期的に、採用プロセスの振り返りと改善を行うことも重要です。例として、母集団形成がうまくいかない場合には、企業の認知度が低い可能性があるため、広報や採用手法を見直すなど、知名度を高めるための工夫が求められます。また、内定辞退者が多い場合には、競合他社との条件面で差があることや、内定者が懸念を解消しきれなかったという理由が考えられます。採用プロセスのどの部分に課題があったのかを把握し、ボトルネックを解消できるような対策を実施しましょう。
採用活動のトレンドを紹介
近年は各企業が工夫を凝らした採用活動を行っています。ここでは、採用活動のトレンドをご紹介します。
採用活動のオンライン化が進んでいる
近年、「採用ターゲットの拡大」や「コストの削減」「感染症対策」などの観点から、採用活動のオンライン化が進んでいます。具体的には、動画による「オンライン説明会」や、ビデオ会議ツールを使用した「オンライン面接」などが挙げられます。オンライン化のメリットは、全国各地の求職者が自宅から参加できるため、採用の間口が広がり、求める人物と出会える可能性が高まることです。会場の手配や日程調整などの準備にかかる時間も大幅に短縮できるため、人材への早期アプローチも可能になるでしょう。
(参考:『オンライン面接を徹底解明!メリット・デメリットや導入にあたっての注意点』)
TikTokなどのSNSツールを活用した採用も
採用ブランディングの一つとして、SNSツールを利用する企業も増加しています。SNSを活用した採用活動は、写真や動画などを通じて、オフィスの様子や企業風土を気軽に発信できることが特徴です。SNSに慣れ親しんでいる「Z世代」を採用ターゲットにしている場合には、特に影響力があると言ってよいでしょう。企業と求職者とのコミュニケーションの機会となり、求職者による拡散効果も期待できるため、企業の認知度向上やスムーズな採用活動にも有効な手段です。
(参考:『採用ブランディングの取り組み手順は?初心者向けにペルソナの立て方や他社事例などを紹介』、『Z世代の特徴は?ミレニアル世代と何が違う?働き方や仕事観についてわかりやすく解説』)
まとめ
採用活動を効果的に進めるためには、自社の求める人物像を獲得できるよう、事前に採用計画をしっかりと立て、適切な採用手法を用いることが重要です。
現在の採用活動が自社に適しているのかを定期的な振り返りで確認し、改善を繰り返しながら、人材の獲得を図りましょう。
(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)