「自社にマッチした人材に会いたい…けれど失敗!」――。転職エージェントに聞く、採用手法別のつまずきポイントとは

d’s JOURNAL編集部

制作協力:パーソルキャリア株式会社 dodaエージェント事業部・採用ソリューション事業部

採用手法にはさまざまな手法に加えて、採用成功するためのチャネルやツール、サービスなどが多数存在します。例えば人材紹介サービスの活用、求人メディアへの出稿とPR、ダイレクト・ソーシング(スカウト)、リファラル採用などです。

しかしながら、人材紹介サービス会社が提供する数あるサービスには、それぞれにメリットがあると同時に思わず起きてしまう“つまずき”もあるのです。

困ったときは、提携している人材紹介サービス会社のエージェントなどに相談することがベストですが、まずは何が「つまずきポイント」なのかを知っておくことは大切です。そこで、今回は採用手法別サービスで起こり得る「つまずきポイント」を以下にまとめてみました。

各サービスを実施あるいは活用中の人事・採用担当者の方に、ぜひご覧になっていただきたい内容となっています。

【人材紹介編】 1人で悩んでも結果は出ない。エージェントと二人三脚でつかむ採用成功

人材紹介サービス(エージェントサービス)は、人事・採用担当者の工数を削減できる反面、一人当たりの採用費用が高くなる場合があります。そこで人材紹介会社の転職エージェント(以下、エージェント)に対して、どのように協力・連携してもらうかがポイントになってきます。

一般的にエージェントは、企業側を担当するリクルーティングアドバイザーと、転職希望者側を担当するキャリアアドバイザーで担当が分かれています。(企業と転職希望者を双方担当するエージェントも存在します)

そのため、最初にどのような人材を求めているかをきちんと伝え、その人材に刺さる情報をエージェントが理解することで、転職希望者一人一人に合った企業を勧めることができます。

ただし、転職希望者からすると、紹介された企業に対する信頼度は高くなる一方で、キャリアアドバイザーが認識する情報に不足がある場合は、ミスマッチが起きる可能性も高くなります。また仮に採用できたとしても人事にノウハウが残らないといったデメリットもありますので、企業とキャリアアドバイザー双方の情報とノウハウの積み重ねが大事となります。

case1:母集団形成に行き詰った

エージェントサービスを利用し始めた当初と比べて、「母集団形成が難しくなっている」と感じる採用担当者は多くいます。

そうした場合の多くは、求人票の情報が魅力的に伝わっていないことが原因となっています。仕事の名称、企業の魅力、業界経験や業務スキル、職種経験、年収や勤務地の設定など、採用の候補者となる人材に向けた求人票の魅力化が必要です。

まず魅力的な求人票の作成には、毎年少しずつ変化する求職ニーズや市場の変化に対応しなければなりません。そこで社内外に協力体制、いわゆる採用チームやネットワークを築いて、周りを巻き込んでいくことが大事です。

まずは採用後の配属先となる部署やチームに協力してもらい、お任せする業務の魅力につながるような情報をヒアリングすること。あるいは働く環境や一緒にがんばるチームメイトの人柄について求人票などに反映できそうな情報をキャッチアップすることが魅力化につながります。

一方で、母集団形成を妨げているものは、採用市場における自社の認知度が足りないことが要因かもしれません。転職希望者だけでなく、本社を構えている地域(エリア)やそこにお住いの方々などにも広く自社とその商材・サービスを知ってもらうことも大事です。

例えば、自社HPによる採用活動のPR、人材紹介サービスによるピンポイントのアプローチ、そして最近はオンラインが主流ですが転職フェアなどのイベント出展による、転職希望者へのダイレクトなアプローチです。その中から自社に興味関心を持つ、転職潜在層が見つかる可能性もありますので、いわゆる採用ブランディングにおける認知向上策を展開することも有益です。

これらは自分1人では難しいと感じたら、ぜひエージェントに相談してください。人材業界で生きるプロならではの的確なアドバイスを受けられます。例えば、月2回程度で担当者と現状の擦り合わせを行い情報共有して、転職マーケットと照らし合わせながら的確な人材要件を設定などすれば、より良い母集団形成が行えるでしょう。

case2:自社にマッチする人材が見つからない

募集職種の業務内容や求める経験・スキルをエージェントに伝えたら、自社のニーズに合った人材を紹介してもらえる――。人事・採用担当者からすると、求める人材を紹介してくれる人材紹介サービスは、非常に便利なサービスです。

しかし、便利なサービスが故に「このスキルも欲しい」「あの経験もあったら良い」など、最も重視すべきポイント以外の要素を求人票に盛り込み過ぎて、求める人材を見つけづらい状況を採用担当者自らつくってしまうケースも散見されます。

あるいは経営層からのオファー(求める人材像)をそのまま求人票に落とし込んでいるだけのケースも想定できます。必須となる条件、条件を満たしていればなお良し、といった各条件を検証して、なぜこの条件が必要なのか、業務遂行に必要な本当のスキルは何なのかを今一度見直すことも大事かもしれません。

人材紹介サービスを利用する際は、エージェントに「現状の課題解決が目的の採用」なのか、「中・長期的な目標達成に向けた採用」なのか、「なぜ採用しなければならないのか」という採用目的を明確に伝えることで、自社にマッチする人材と出合う確率が上がるでしょう。

case3:選考途中で離脱が起きる

エージェントの客観的な意見・アドバイスを通じて自社の魅力が転職希望者に伝わることから、面接まで選考が進んだ方の多くは、前向きな気持ちで面接に臨んでいます。

転職希望者からすると現在の仕事をしながら転職活動を行っているため、できるだけ早く次の会社を決めたい気持ちが強く、面接に赴く会社は有力な転職先候補です。その一方で、複数社の選考を同時に受けているケースが多く、転職希望者自身も企業を選んでいる状態となっています。

実はこの面接が一種の鬼門となっています。先に記載したエージェントの客観的な意見・アドバイスによる自社の紹介内容と面接で受けた印象に乖離(かいり)があり、「思っていた会社と違う」印象を与えることで、選考離脱が起きる要因となることが多々あります。

例えば面接は、応募者のスキルやコンピテンシーを見極める場であるとともに、入社への意向を醸成させる大切な機会でもあります。最近では、面接の場を「マッチングのための場」、あるいは「自社を好きになってもらう場」、「入社の意思を確認する場」などその用途も多彩になっています。

面接官の印象や企業の対応、話の内容などで応募者の志望順位は変化していきますので、こうした状況を防ぐためにも書類選考や面接の結果をエージェントにその都度フィードバックし、現状の採用課題について彼らと相談しながら慎重に進めることが肝心です。

また、選考スケジュールの早期化もポイントとなっています。 選考スケジュールが合わないことによる辞退も多くなっているため、書類選考から内定までいかにスピード感もって対応できるかが重要です。

case4:採用したい人材から選ばれない

選考を通して採用したい人材から辞退されるケースも増えています。せっかく面接で合格となった場合でも、選考中の採用競合他社と比較する、あるいは現職と条件を改めて比較するなど、入社への意向が醸成できていなければ、採用候補者の方から辞退を宣告されてしまいます。

理由としては、仕事内容、働き方、年収など、さまざまな要因があります。それらの理由によっては、冒頭のような求人票の見直し、採用ターゲットの見直しなどを進める必要があり、ボトルネックに合わせて、課題を特定していくことが必要です。エージェントと連携しながら、採用に向けたPDCAを回していくことが肝要です。

【求人メディア編】採用ターゲットに刺さる表現で、企業が求める人材からの応募をつくる

求人メディアは、Webを通して多くの人に自社の求人情報を知ってもらえる他、転職するか決めかねている転職潜在層へのアピールや、複数人数を採用した場合の採用費用削減などのメリットがあります。

しかし、求める人材が魅力的に感じない内容で求人広告を掲載している企業も多くあり、長期にわたって掲載しているにもかかわらず採用に至らないケースが多々あります。

こうした状況を払拭するには、同業他社がどのような求人広告を掲載しているか検証するなど自社の立ち位置を把握し、自社で採用したい人材に響く魅力的な内容に求人広告を仕上げる必要があります。また、求人広告の効果を最大化させる他の採用チャネルの検討も大事でしょう。

case1:活躍人材のイメージがわからない

まず求人広告を作る際に必要なのが、自社の求める人材像の具体化(採用ターゲットの設定)です。

実は、求人メディアで採用できない多くのケースが、このターゲット設定が不透明であることに起因しています。活躍してくれる人材についてイメージが湧かない場合は、現在の自社で活躍している人材にフォーカスして、ターゲットの設定をしていくと良いでしょう。

また、転職市場の市況感や採用難度と照らし合わせながら募集設計を立てることが肝心です。これには給与など転職希望者にとって重要な条件も含まれているため、同業他社の状況を見極めながら自社の魅力を探っていくと、活躍人材の輪郭が徐々に明確になっていきます。

case2:応募が集まらない

求人広告を掲載しても応募者が1人も集まらないことに悩む多くの場合は、母集団形成に失敗していることが理由に挙げられます。

なぜ母集団形成が重要なのか。それは、選考・内定辞退率を抑えるだけでなく、もし辞退が多く起こった際に別の採用候補者でカバーできるなど、不特定多数に訴求する求人メディアにおいて、採用活動における最大のリスクヘッジが母集団形成と言えるからです。

上記のターゲット設定を絞り過ぎると、そもそも転職市場に1人もいない人材をターゲットにしていることがあります。その場合は、求める人材像を見直して、これらのターゲットに合う諸条件の修正やキャッチコピー・ビジュアルなどを変更します。

こうすることで母集団形成が可能となりますが、どの期間で、どのように打ち出し方を変えたか、などのデータを管理しておくと、比較検証やさらなるブラッシュアップ時にも役立ちますので、より精度の高い求人広告が作れるようになるでしょう。

case3:求める人材からの応募がない、面接来社率が低い

「一定の応募は集まるが、会社が求める人材からの応募が来ない」
「せっかく面接日が決まっても候補者が当日来社してくれない」――。

このような採用現場の声をよく耳にします。その場合も、母集団形成と同じアプローチで募集要項や求人原稿の見直しをすると良いでしょう。特にインフォグラフィック動画など来社や入社の意向が高まるような「企業の魅力化」を進めることは大事です。

一例として、「頑張った分はきちんと収入に反映したい」と考える人材がターゲットの場合、結果を出すことで人より多く収入を得られることが一番の魅力なのに、残業の少ない働きやすさばかりを強調した求人広告では、求める人材と真逆の安定志向な転職希望者からの応募が集まってしまいます

求人広告で最初に目に留まるキャッチコピーや(自社の様子が写った)写真を、ターゲットが魅力に感じるように変更するなど、求める人材のニーズに応じて柔軟に対応することが必要です。

また一方で、企業の魅力を最大化するために、採用候補者のナーチャリングも効果的です。これらはすぐに効果が表れるわけではありませんが、普段より自社の採用ページやメールマガジンなどの手法を使って認知活動に注力することも、長い目で見ると効果を発揮します。

case4:選考基準があいまいで判断がつかない

選考の場では、応募者の経験・スキルを確認する上で、職務経歴書を詳細に書いていない方からも応募があります。これは、わざと書いていないのではなく初めての転職活動で何を書けば良いのかわからないというケースです。

こうしたケースは、自社の定める選考基準から外れており「ご縁がなかった」と判断されがちですが、選考基準は経験・スキルや保有する資格に限りません。実際に業務を遂行する上で必要なコミュニケーション力や人柄、協調性などを判断基準に加えることも大事です。

そこで「この選考では何を判断する場なのか」をはっきりと定め、例えば、1対1の面接で入社意思を確認する、あるいは大人数でのカジュアル面談を実施して自社に興味・関心を持ってもらうなど、目的別に選考基準を定めると良いでしょう。

例えば「カジュアルな面談の場」を目指すのであれば、詳細な職務経歴書の提出を求めるよりも、面接で実際に会って判断する方がベストです。明確な選考基準がない、スキル・経験だけに基準が寄っているなど”何となくの基準”で応募者をふるいにかけてしまうと、本来のターゲットを見落とす機会損失に陥ることがあるからです。

履歴書や職務経歴書を面接時に提出しなくて良い旨を伝えるだけで、面接の来社率が上がった企業もあります。まずは、面接して採用した人材のデータを集めてから、徐々に自社に合う選考基準を作っていくのも効果的な解決策のひとつです。自社の社風や採用予定人数、採用コストなどに合わせて選ぶと、より理想の形での採用成功が期待できます。

case5:応募者の対応がわからない

面接設定までの手配に時間がかかっている、応募者からの対応をおざなりにしている――など、日々の業務に追われて採用フローを鈍化させている企業や人事・採用担当者の方も少なくありません。まず何よりも重要なことは、スピーディーな対応です。せっかく応募したのにいつまでも返信のない企業は、転職先候補から外れてしまいます

応募があった際はもちろん、面接の日程調整や質問メールが送られてきたら、できる限り早く返信することを心掛けてください。連絡が来ないことが応募者の不安を募らせ、結果的に選考辞退の原因になります。

また、面接の日程調整については、可能な限り応募者のスケジュールに合わせた上で、最も近い日時で設定するようにしましょう。応募者の希望を汲んだ上で、「当社にはあなたがどうしても必要です」とメッセージを送り、企業にとって応募者の採用が優先事項であることを意識させることで、入社に向けたポジティブマインド(意向)を醸成することができるからです。

さらに応募後、採用候補者からの連絡が途絶えてしまうケースも決して少なくはありません。その際は、人材紹介サービスを大いに活用してください。サービスによってはサンクスメールの再設定や日程調整メールシステムなどが活用できますので、万全のフォローのもと採用活動が進むでしょう。

【ダイレクト・ソーシング編】 転職希望者一人一人に合わせたアプローチを“企業主動”で行う採用活動

自社にマッチした人材、あるいはその可能性のある人材に対して、採用担当者が直接アプローチする「ダイレクト・ソーシング」。

SNSや求人メディアのスカウトメールを通じてターゲットと直に交渉できることから、一見すると効果的な採用活動に思えます。しかし、採用成功に至るまで準備する段階が多くあること。さらには始めから終わりまで、ほぼワンストップで人事・採用担当者が対応しなければならないため、採用担当者の工数が多くかかることなど課題も多くあります。

数多くの転職希望者の中から自社が求める人材を見つけ出さなければならないことから、場合によっては人材紹介サービス会社並みの情報や知識・スキルが必要なこともあるため、人事・採用担当者の能力次第で結果が大きく左右されます。ここは素直に提携している人材紹介サービス会社のエージェントを頼ることをお勧めします

case1:自社の条件とマッチしていない候補者へアプローチしてしまった

ミスマッチな候補者へアプローチしてしまうケースの多くは、そもそも募集部署と連携が取れていないことが主な原因です。

ダイレクト・ソーシングを行う際、募集する部署の部長や課長といった役職者と納得いくまで話し合い、明確なターゲット設定を行うことが肝心です。

現状の課題が明確でない場合、一般社員にもヒアリングを行い最適な人材像の抽出を行いましょう。募集部署の了解なく採用活動を始めてしまうと、せっかく対象者から反応があっても自身と対象者双方の時間や工数が無駄になります。

まずは、社内で同じ目線で採用活動を行えるまで詳細なターゲットの擦り合わせを行い、人事部だけのミッションではなく会社を挙げて採用する「目的意識の共有」を行いましょう。

case2:候補者の選定をどのようにすればよいかわからない

人材紹介サービス会社が提供するサービスには、多かれ少なかれ転職マーケットの情報や、転職希望者の志向性や傾向、採用活動の成功・失敗に関するさまざまな事例がデータベースとして蓄積されています。

こうしたデータを基にクライアントへ確度の高いサービスを提供しているのですが、ダイレクト・ソーシングにおいては、企業自ら自社に必要な人材を転職マーケットから探し出さねばなりません。そのため採用したい人材のペルソナ(詳細な人物像)を設定することが必須事項となります。

スキルや経験だけでなく、転職理由や趣味嗜好に至るまで、自社が求める人材の具体的な人物像を可能な限り浮き彫りにしましょう。ここまで来てようやく候補者の選定が可能となり、採用成功につながるアプローチの準備ができたと言えるでしょう。

case3:転職希望者に刺さる文面が思いつかない

スカウトメールの文面は、美しい文章や美辞麗句に富んだ内容である必要はありません。転職希望者は、アプローチしてくる企業が自分のニーズに合致するかを冷静に判断しています。

「現在の勤め先より高収入を得られるのか」
「今よりきちんと休日休暇を確保できるのか」
「残業時間は現状より減らすことができるのか」
「現在の同僚よりも良い人間関係を築ける風土があるのか」――など。

転職希望者は、上記「現在の勤め先との比較」でアプローチしてきた企業への対応を決定します。そのためスカウトメールの内容は、転職希望者一人一人のニーズに合った内容で構成しましょう。

特に、1人に何通ものスカウトメールを送る際は、1通目は高収入をテーマに構成し、2通目で働きやすさを前面に押し出すなど変化に富んだ内容で送ると、どのスカウトメールが効果的だったのか検証する際にも有効です。大事なことは、こうした「誰にどんな内容を送ったか」といったデータの蓄積なのです。

【リファラル編】リファラル採用の効果を最大化させるには、社員の高いエンゲージメントが必要不可欠

自社社員からの紹介を通じて採用活動を行う「リファラル採用」。

社員自ら会社に人材を売り込むことにより、全てのタスクを内製化できるため、他の人材紹介サービスと比べ採用コストを大幅に削減できることがメリットです。加えて、自社に勤めている人間が会社紹介を行うことによる「転職希望者との高いマッチング精度」が特徴です。

また、リファラル採用を通じて獲得した人材は、通常の転職マーケットにいない人材であることが多く、より高いスキル・経験を持った有力な人材を獲得できるチャンスでもあります。

こうしたメリットがある反面、社員自身に課す負担が大きくなるため、会社全体で採用活動に取り組む姿勢が必要不可欠です。いかに採用活動が会社にとって重要かを全社員に理解してもらう労力は、人事・採用担当者にとって想定以上であることが多く、良い結果を出す以前にリファラル採用自体が終息してしまうケースも多々あります。

case1:社員に周知できていない

「リファラル採用を始めたが、社員からの紹介が集まらない」――。

こうした状況に頭を悩ませている人事・採用担当者は多くいます。本来、効率的であるはずのリファラル採用がうまく機能しない理由のうち最も初期段階のものとして、「そもそも社員にリファラル採用の重要性が周知できていないこと」が挙げられます。

リファラル採用は、外部の人材紹介会社を通じて採用活動を行わず、自社の社員の紹介によってのみ行われます。そのため、本来の業務に加えて採用活動に関するタスクが追加されることから、「忙しくて採用活動に協力する時間がない」という理由で、消極的な姿勢になってしまう社員が多くいるとリファラル採用は機能しません。まずは、自社の社員に向けてリファラル採用を行う意義と目的について、周知徹底することから始めましょう。

case2:社員のリアクションが定量的にわからず、PDCAが回せない

リファラル採用においてPDCA(Plan・Do・Check・Act)サイクルを回すには、会社にとってリファラル採用がいかに大切か社員に周知するのと同時に、社員がリファラル採用に参加しやすくするための「社員の身体的・心理的負担軽減に関する施策」を実施することが重要です。

例えば、「紹介してくれた人材が入社した際にインセンティブを支給する」といった、わかりやすいメリットを打ち出すことで参加意欲を刺激するのも効果的な施策の一つです。

しかし、最も効果的にPDCAを回すためには、こうした制度面ではなく社員一人一人が「会社がより良くなるため」「友人・知人のキャリアを豊かにするため」に、リファラル採用活動に積極的に参加する意欲を持って取り組む土壌をつくることが理想です。

社員全員がリファラル採用を積極的に活用する土壌が生まれれば、自然とPDCAが回るようになります。

case3:社員や経営陣・役職者の協力が得られない

リファラル採用を会社に根付かせるためには、根っこの部分である社員満足度の向上、つまりは“社員の高いエンゲージメント”が必要不可欠です。

「自分自身が会社に不満を持っているのに、そんな会社に大切な友人を紹介できない」――。こう思うのは至極当然。現在の社員を大切にできない会社に、誰も優秀な人材を紹介しようとしません。リファラル採用を始める前に、社内のエンゲージメントを高める施策を講じることが必要です。

そのためには、経営陣などの上位役職者の協力が必須となるため、上位役職者が積極的にリファラル採用に参加する風土を醸成する必要があります。実際、ある企業では管理職に紹介された人材が活躍しているという事例も少なからずあるとのこと。これは、組織や会社に詳しい管理職だからこそ、精度の高いマッチングが実現できている好例です。

リファラル採用の効果を最大化するために、社員満足度の向上と上位役職者の積極的な参加を促進していきましょう。

【まとめ】

求人メディア、スカウト、リファラル採用については、それぞれに異なる知見や対策が一定量必要となることが多い反面、人材紹介サービス(エージェント)に関しては担当者との綿密なコミュニケーションが必要です。いま一度、自社の採用課題を見つめ直し、どのサービスを選択するのが最も効果的かを社内で検証することから始めましょう。

企画・編集/鈴政武尊・d’s JOURNAL編集部、制作協力/平田 一記

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