OKRの失敗しない導入方法~Google・Meta(旧Facebook)が採用する目標管理方法を事例で学ぶ

d's JOURNAL編集部

GoogleやMeta(旧Facebook)、メルカリといった企業が導入していることから、目標管理方法の1つとして注目されている「OKR」。自社での導入を検討するときに「実際にどのようなものかがわからない」「導入・運用方法がわからない」といった悩みを抱えている人事担当者も多いかもしれません。今回は、OKRの概要やメリット・デメリット、失敗しないための方法などを成功事例・失敗事例を交えながらご紹介します。

OKRとは

OKR(オーケーアール)とは、目標管理方法の1つで「Objectives and Key Results」を略した言葉です。Googleをはじめ多くの企業が導入しています。その特徴は「企業」「チーム」「個人」の目標がリンクすることで、同じ目標に向かって計画を進められること。加えて、「半期」、「1年」といった長期間で目標管理していた従来の方法と比べ、「数か月」という短期間で目標管理するのも特徴です。
OKRを導入している多くの企業では、OKRを目標管理のために利用するだけでなく、目標達成状況を人事評価に反映させています。
ここではOKRの概要や注目されている背景、KPIやMBOとの違いを説明します。

OKRとはどのような目標管理方法なのか?

OKRは「目標(Objectives)」と「成果指標(Key Results)」の2つの要素から成ります。まずは目標(O)を決め、それを達成するために必要な要素を分解して成果指標(KR)を3つ程度(最大5つまで)設定します。

OKRとはどんなもの?

会社全体で取り組む場合は、初めに「会社のOKR」を決め、次に「チームのOKR」「個人のOKR」の順に決定していきます。

OKRを決めていく順番

このように、会社と個人の目標がリンクしているため、社員一人一人の成果が会社の成果に直結していることが一目でわかります。「会社と社員の方向性や、それに向けてやるべきことを明確にできる目標管理方法」と言えるでしょう。企業によっては「OKR達成にどれだけ貢献するか」を、人事評価における個人目標の達成指標としている企業もあります。個人目標の達成と、OKRの達成、人事評価の仕組みがつながっている、優れた仕組みといえるでしょう。

OKRが注目されている背景

OKRは、市場の急速な変化に対応するために生まれた目標管理方法です。技術革新や価値観の多様化により、「これまでのビジネスモデルが通用しない」「これまでと同じことをしていても、企業として成長できない」という状況になりつつあります。それに伴い、「半期」「1年」といった長い期間で目標を設定する従来の方法から、「数カ月」という短い期間での目標管理方法への移行が必要になりました。そこで注目されるようになったのが、短期間での目標達成に適したOKRです。OKRを導入することで、「会社と社員のベクトルの一致」「取り組むべき課題の明確化」「コミュニケーションの活性化」「組織力の強化」「社員のモチベーション向上」といった効果が期待できます。加えて、GoogleやMeta(旧Facebook)、メルカリ、intelといった大企業での導入や書籍化の流れもあり、OKRは多くの企業から注目を集めるようになりました。

KPIやMBOとの違い

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」という意味になります。KPIは最終目標の達成のために必要なプロセスを示す中間指標としての役割を担っています。OKRとKPIは、どちらも目標達成に向けた定量的な指標であるという点では同じですが、評価の頻度や目標の共有範囲、目標管理の最終目的、目標達成の期待水準が異なります。

一方、MBOとは「Management By Objective」の略で、日本語に直訳すると「目標による管理」という意味です。評価者である上司と被評価者である部下とがコミュニケーションを取りながら目標を設定し、達成度・貢献度を評価するのがMBOの特徴です。OKRとMBOは、組織目標を決めた上で個人の目標を設定するという点では同じですが、評価の頻度や達成度の測り方、目標の共有範囲、目標管理の最終目的、目標達成の期待水準が異なります。

OKRとKPI・MBOの違い(一般例)

OKR KPI MBO
評価制度 月に1回~3カ月に1回 毎日・毎週・毎月 半年に1回~年に1回
達成度の測り方 定量的 定量的 定量的、定性的、またはその両方
(企業により異なる)
目標の共有範囲 企業内・チーム内 チーム内・プロジェクトメンバー間 本人と上司のみ
目標管理の最終目的 生産性の向上・組織力の強化・能力開発 目標達成に向けたプロセス評価 報酬・役職の決定
目標達成の期待水準 60~70%の達成 100%達成 100%達成

生産性向上などのために企業内・チーム内で共有した理想的な目標を高い頻度で振り返るのが「OKR」、目標達成に向けたプロセス評価のためにチーム内・プロジェクトメンバー間で共有する現実的な指標が「KPI」、報酬の決定などのために上司と共有した現実的な目標を期末などに振り返るのが「MBO」と理解すればよいでしょう。

OKRのメリット・デメリット

OKRを導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ3つに分けてご紹介します。

OKRのメリット①:企業として大きな目標を達成しやすくなる

目標達成の期待水準が60~70%ということからもわかるように、OKRではもともとの目標が高く設定されています。目標の難易度の高さは「企業」「チーム」「個人」全てのOKRで共通しているため、OKRを実施することにより組織全体で高い目標を追い掛けることができます。また、定期的に振り返りを行うことで、「少しずつ目標に近づいているのがわかる」「遅れがないか、進捗状況を管理しやすい」といった効果が生まれます。その結果、最終的に企業が掲げる目標を達成しやすくなるというメリットが期待できます。

OKRのメリット②:社員のエンゲージメント向上につながる

OKRでは、企業のビジョンに沿った目標を設定することが一般的です。そのため、OKRの進捗を確認する過程で、常に会社のビジョンを社員に示すことができます。一人一人が「会社からどのような行動・成果を期待されているか」を理解することで、「全員が一丸となって行動できる」「企業と社員の信頼関係が深まる」といった効果が期待できます。また、定期的に振り返りを行うことにより、社員は「会社のために、自分が何をどれだけできているのか」という貢献度を確かめることも可能です。その結果、社員の企業に対する愛着が高まり、エンゲージメント向上につながるでしょう。
(参考:『エンゲージメント向上は生産性UPや離職防止に効果あり。概念や測定法、高め方を解説』)

OKRのメリット③:優先順位の明確化やコミュニケーションの活性化により、生産性が向上する

社員一人一人が日ごろからさまざまな業務を担当していると、「どの業務を優先的に行えばよいかわからない」「重要度の高い業務よりも、自分のやりたい業務を優先してしまう」といった問題が生じることもあるでしょう。しかし、OKRを設定すると最終目標を常に意識することができるため、「優先順位が明確になる」「目先の業務や小さな目標に惑わされにくくなる」といった効果が期待できます。また、個人のOKRがチームや企業のOKRとつながっていることが明確なため、高い成果を生み出すためには役職を超えた信頼関係が必要となり、社内のコミュニケーションが促されます。そうした優先順位の明確化やコミュニケーションの活性化により、生産性が向上するでしょう。
(参考:『【5つの施策例付】生産性向上に取り組むには、何からどう始めればいいのか?』)

OKRのデメリット①:企業によって向き不向きがある

OKRは、「やるべきことが数多くあるが、リソースは限られている」といったスタートアップ企業や、短期間でのOKR設定や振り返りができるマネジメント体制が整っている企業に向いている目標管理方法だとされています。一方で、「社員一人一人が複数の業務を兼任している」「OKRの設定や振り返りをそう頻繁にはできない」といった企業にはあまりマッチしません。OKRは企業によって向き不向きがあります。「注目されているから」という理由ではなく、「自社にマッチしそうだから」「課題解決につながりそうだから」という理由で、OKRの導入を検討した方がよいでしょう。

OKRのデメリット②:定着するまでに時間や手間をかける必要がある

OKRは従来の目標管理方法とは異なるため、いざ導入してもそう簡単には定着しない可能性があります。「社員にOKRの仕組みや導入する意義を理解してもらう」「1回限りで終わりではなく何度か繰り返し、自社に合った運用方法を検討する」など、社内で定着するまでには時間や手間をかける必要があるでしょう。そういったことを理解した上で、企業のOKRを設定する経営陣に協力を仰ぐことが定着のためには重要です。

OKRのデメリット③:場合によっては社員のモチベーションが下がることも

「そう簡単には達成できない」という難易度の高い目標が、OKRでは設定されます。そのため、「100%の目標達成」が求められた従来のMBOやKPIに慣れている社員にとっては、100%の達成が難しいOKR自体がストレスとなる場合があります。このことから、本来は社員のモチベーションを高めるためのOKRが、かえって社員のモチベーションを下げてしまう可能性も否定できません。モチベーションの低下を防ぐため、OKR導入前には「従来の目標管理のように、100%の達成は求めていない」「挑戦的な目標に全員で取り組むことに価値がある」といったOKRの意義を社員に伝えるとよいでしょう。

OKRの導入事例

OKRは、外資系企業や日本企業の一部で実際に導入されています。ここではOKRが注目されるきっかけとなったGoogleとメルカリの事例をご紹介します。

Googleが実施しているOKRとは

世界的に有名な多国籍企業であるGoogle社では、2000年代初めにOKRを導入しました。現在は1年単位と4半期単位でOKRを設定し、全社を対象とした4半期に1回のミーティングでOKRの公開・評価をしています。「0.0(まったく目標が達成されていない)」~「1.0(完全に目標が達成された)」までの数値でOKRは評価されます。

たとえば、成果指標が「新たに●●キャンペーンを開始する」だった場合、開始できなければ「0.0」、開始できれば「1.0」となります。一方、成果指標が「6つの機能を新たにリリースする」だった場合には、3つリリースできれば「0.5」、6つリリースできれば「1.0」といった形で評価します。

Googleが実施しているOKR

このように実態に即した柔軟な評価方法にすることで、組織内・チーム内での心理的安全性の確保にもつながっているようです。
(参考:『心理的安全性の作り方・測り方。Google流、生産性を高める方法を取り入れるには』)

メルカリが実施しているOKRとは

フリマアプリ「mercari(メルカリ)」を運営する株式会社メルカリでは、同社が掲げるバリューの実現のためにOKRを導入しています。「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューのうち、「All for One」を実現する手段としてOKRが活用されています。全社への貢献やインパクトを重視するため、会社や事業の成功を目指す「OKR」と、全社共通の価値観である「Value」の2つの軸で「All for One」の達成状況を確認します。

メルカリが実施しているOKR

「一人一人のパフォーマンスを評価したい」という願いの下に、個人やチームを成長させるための仕組みとして導入されたOKRはメルカリのカルチャーにもマッチしており、社内で定着しているようです。
(参考:『メルカリは課題解決遊園地。成長を支えるCHROの機能と役割【セミナーレポート】』)

導入前に知っておきたいOKRの失敗事例とは

実際にOKRを導入したのにうまくいかず、失敗してしまうケースもあるようです。ケーススタディーとして失敗事例を見ていきましょう。

失敗事例①:OKRを導入できる状態になかった

OKRの概念や仕組みについて詳しく理解しないまま、安易にOKRを導入した企業の多くが失敗しているようです。そもそもOKRを導入できる状態になかったというのが一番の理由です。「制度の導入自体がゴールになってしまっている」「企業としてのミッションやバリューが定まっていない」「全社を挙げて取り組むという気概がない」といった状態では、いくらOKRを導入しても成果は期待できないでしょう。

失敗事例②:OKRの難易度を誤った

「挑戦的な目標を設定する」ことがOKRでは重要です。しかし、OKRの難易度を誤ったことにより失敗してしまう企業も多いようです。目標・成果指標の難易度が高すぎると「どんなに頑張っても達成できない」「やっても無駄」と感じてしまい、社員のモチベーションやパフォーマンスが低下します。逆に、ほとんどの成果指標を100%達成できるほど容易なものにしてしまうと、「大きな目標を達成する」ためにOKRを導入した価値がなくなるでしょう。

失敗事例③:目標(O)を軽視していた

本来、OKRは「目標(O)」を決めた上で、「成果指標(KR)」を決めます。しかし、OKRに失敗している企業では、先に成果指標を設定してしまうことも多いようです。「目標が定まっていない」「目標はあるけれど、取って付けたようなものになっている」といったように、目標を軽視していてはOKRは成功しないでしょう。明確な目標があるかどうかは仕事のやりがいや社員としての誇りにも関わってくるため、目標を軽視しているとOKRの失敗のみならず、社員のモチベーション低下も懸念されます。

失敗事例④:トップダウンでOKRを設定した

OKRを決める際には、社員の意見も参考にするのが望ましいとされています。しかし、経営陣だけで企業やチームのOKRを決めてしまい、失敗する企業もあるようです。トップダウンで設定されたOKRはメンバーが自主的に考えたものではないため、「やる気がなくなる」「ノルマのように感じてしまう」といった社員も出てくるでしょう。このような決め方ではOKRの失敗のみならず、社員の自発性の低下にもつながりかねません。

失敗事例④:OKRでの評価を報酬に連動させた

「大きな目標に対する成果」を測るOKRは、時として「社員の報酬を決める手段」として使われることもあるようです。しかし、OKRでの評価を報酬に連動させることは、OKRの失敗に直結します。報酬に連動することが事前にわかっていると、「給与・賞与が下がってほしくない」という気持ちが働き、社員は低い目標・成果指標を設定してしまいます。とは言え、低く設定された目標・成果指標を本人の同意を得ずに経営陣や上司が勝手に変えるのも望ましくありません。また、報酬が下がることが心配で「難しいこと・新しいことに挑戦したいけれど、できない」という社員も出てくるでしょう。

失敗事例⑤:社員同士で褒め合う「Win(ウィン)セッション」を効果的に行えなかった

OKRで設定される目標・成果指標の難易度は高いため、100%は達成できないのが当たり前です。目標達成できないことによる社員のストレスを軽減し、挑戦意欲を高めるためには、OKRの進捗状況を社員同士で褒め合う「Winセッション」の実施が有効だとされています。しかし、「忙しく、Winセッションを開催できない」「悪いところに目が行ってしまい、Winセッションで厳しい意見を言ってしまう」といった理由でWinセッションを効果的に行えず、OKRが失敗してしまうことも少なくないようです。

失敗しないOKRの導入方法とは

どのようにOKRを導入すれば失敗しないのでしょうか。ここからは失敗しないOKRの導入方法を、順を追って紹介します。
OKRで使用するテンプレートは、こちらからダウンロードできます。

OKR導入のフロー

OKR導入のフロー

フロー①:企業の目標(O)を設定

まず、企業の目標(O)を設定します。社員がわくわくできるような「挑戦的・野心的な目標」や、確実に到達できそうなレベルより1段階上の「ストレッチゴール」を設定しましょう。これらの条件を満たしていれば、目標は必ずしも定量的である必要はなく、定性的でも構いません。また目標設定の際には、「いつまでに達成したいか期限を入れる」といった要素も取り入れるとなおよいでしょう。

企業の目標(O)の例

「●●(商品・サービス)の知名度を上げる」
「▲▲までに●●(店舗数・売上)を達成する」
「自社の●●(商品・サービス)を海外展開する」
「●●業界でシェアナンバーワンになる」

フロー②:企業の成果指標(KR)を設定

企業の目標1つに対し、企業の成果指標を3つ程度設定します。成果目標は、必ず定量的で測定可能なものにしましょう。達成率が70%くらいになるような成果目標を設定することが望ましいとされています。また、「成果指標を達成すれば、目標を達成できる」よう、企業の目標と成果指標に関連性を持たせることも重要です。

企業の成果指標(KR)の例

「●●(商品・サービス)の問い合わせを▲▲%増やす」
「顧客のリピート率を●●%高める」
「海外拠点の候補地を●●カ所探す」
「自社の競争優位性が高い●●(商品・サービス)を前年比▲▲%アップする」

フロー③:企業のOKRを基にチーム・個人のOKRを設定

企業のOKRが決まったら、それを基にチーム・個人のOKRを設定します。チーム・個人のOKRは、企業のOKRと同様の基準・方法で決めましょう。目標(O)は3個くらいに絞るとよいとされています。その際、目標に対する主観的な自信を測る指標である「自信度」が、10段階中で5程度になっているかを確認しましょう。また、全社員が一丸となって行動するためには、「企業のOKRとリンクしているか」「チーム間、社員同士で整合性が取れているか」もポイントとなります。

チームのOKRの例

目標(O) ▲▲(分野・機能など)と言ったら、●●(商品・サービス)と思ってもらえるようにする
成果指標(KR)① ●●(商品・サービス)の販促キャンペーンを▲▲カ所で行う
成果指標(KR)② HPをリニューアルし、●●(商品・サービス)のPV数を▲▲%増やす
成果指標(KR)③ 競合他社にはない●●(商品・サービス)の魅力を、▲▲以上の媒体で伝える

個人のOKRの例

目標(O) ●●(商品・サービス)の良さを、▲▲(年代・性別)に知ってもらう
成果指標(KR)① ▲▲(年代・性別)が多く集まる都市で、●●(商品・サービス)のデモンストレーションを■■回以上行う
成果指標(KR)② HPに▲▲(年代・性別)向けの特集ページをつくる
成果指標(KR)③ ▲▲(年代・性別)に人気のインフルエンサー■■人に、SNSで●●(商品・サービス)についてのコメントを書いてもらう

フロー④:OKRを全社員に共有

全てのOKRが決まったら、社内サイトやビジネスチャットなどで全社員にOKRを共有します。社員が「いつでも」「誰でも」内容を確認できるようにしておきましょう。そうすることで、「社員の目指すべき方向性がより定まってくる」「一人一人の頑張りが会社の業績に影響することが実感できる」ため、社員のエンゲージメント向上が期待できます。

フロー⑤:定期的な振り返りとWin(ウィン)セッションの実施

OKRを導入したら、週に1回、または隔週に1回程度、定期的に振り返りを実施します。その際、個人やチームの進捗状況の確認や改善に向けたアドバイス、「期限内に目標達成ができそうか」「設定されたOKRが妥当なものか」などの検証を行いましょう。

加えて、通常はその週の終わり、夕方頃に「Winセッション(Winセッション/Win-session)」と呼ばれる会を開催します。Winセッションとは、互いの仕事の報告を行い、褒め合う場のことです。従業員の仕事の頑張りをねぎらうために、料理やケーキ、お酒などを用意するとよいでしょう。

●進め方
ファシリテーターが進行していきますが、誰が担当しても構いません。持ち回り制の会社もあるようです。ファシリテーターの進行に合わせて、チームや個人ごとに「できたこと」や「達成したこと」の報告を行います。

●話す内容
目標とその達成状況はもちろん、発見や気付きなどを発表していきます。

●Winセッションを活性化させるために
甘い物やお酒などを交えながら、「お互いを褒め合う」「取り組みを評価する」姿勢が大事です。たとえうまくいっていなかったとしても、そこまでの頑張りを褒め、今後に向けてどのように取り組んでいくのか、否定せず一緒に考えていきましょう。

また、大事なのは「他人の取り組み」とせず、自分ごと化して一緒になって考えることです。チーム全員で共有・応援・フォローをしていくことで、組織のモチベーション向上にもつながるでしょう。

社員同士のコミュニケーションが活発になることで、目標達成できる可能性が高まります。そのため、「上司と部下の1on1」や「チーム・事業部ごとのミーティング」などさまざまな階層で振り返りを行ったり、社員同士が互いに成果を褒め合う「Winセッション」を開催したりと、自社に合ったやり方を検討するとよいでしょう。
(参考:『【1on1シート付】1on1で何を話す?失敗しない方法を実施前に知っておこう』)

フロー⑥:成果測定・評価の実施

OKRの対象期間が終了したら、成果測定・評価を実施します。成果が一目でわかるように、1~10までの「10段階評価」や、0~100%までの「パーセント評価」といったように目標達成度を数値化しましょう。設定したOKRの共有と同様に、評価結果も全社員と共有することが望ましいです。また、結果は社員の報酬に反映するものではなく、次回のOKR設定につなげるものとして活かすとよいでしょう。

OKRはどれくらいの期間で設定する?

OKRの実施期間は企業によって異なりますが、「3カ月単位」で設定・見直しを行うことが多いようです。しかし、必ずしもその期間で行わなければならないというわけではありません。「組織としてのフェーズ」や「市場の動向」などを踏まえて、自社に合ったOKRの実施期間を決めましょう。とは言え、企業のOKRが頻繁に変わっていては、現場に混乱を招く可能性があります。企業のOKRはチーム・個人のOKRにも影響を与えるという点を踏まえた上で、適切な期間を設定することが重要です。

OKRの導入に際しての便利なツール

OKRを導入する際に便利なツールをご紹介します。

ツール①:HITO-Linkパフォーマンス ~継続的に目標進捗を管理・見える化~

パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が運営する「HITO-Linkパフォーマンス」では、継続的に目標進捗を管理・見える化することができます。主な機能として、組織・個人の目標をひも付け、進捗を見える化する「OKR進捗管理」、目標進捗・アンケートを上司に定期的に提出する「目標チェックイン」、部下や同僚の成果に対してリアルタイムにフィードバックできる「フィードバックコイン」などがあります。定期的な振り返りができたり、Winセッションと似た仕組みがあったりするため、OKR成功の可能性が高まりそうです。
※「HITO-Link(ヒトリンク)パフォーマンス」は2020年7月31日(金)をもちましてサービスが終了となりました。

ツール②:カオナビ ~社員の顔写真と共に管理~

株式会社カオナビが運営する「カオナビ」では、社員の顔社員と共にさまざまな情報を管理することができます。3種類の料金プランのうち、「パフォーマンスプラン」と「ストラテジープラン」の2つがOKRに対応しています。さまざまなテンプレートが用意されているため、人事担当者が簡単にカスタマイズすることができるようです。

d’s JOURNAL編集部では無料のテンプレートを用意しております。まずはトライアルで試すのも良いでしょう。

【まとめ】

企業としての「目標(O)」と「成果指標(KR)」を、チーム・個人に落とし込む目標管理方法であるOKRには、「大きな目標を達成しやすくなる」「モチベーションや生産性が向上する」といったメリットがあります。しかし、MBOやKPIといった従来の目標管理方法とは概念や仕組み、特徴などが異なるため、OKRをよく理解してから導入しなければ失敗してしまうこともあります。今回紹介した事例や導入方法などを参考にOKRをうまく取り入れ、企業・社員の成長につなげてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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