社員半数以上が50代・異業種からのセカンドキャリア構築。セキュリティコンサルティング業界最大手が推進するミドル・シニアの働き方とは

株式会社ユーピーエフ

代表取締役 仲手川 啓(なかてがわ・けい)

携帯電話の販売スタッフとして入社3か月でトップセールスとなる。2005年に現在の前身となるデータベースマーケティング事業を立ち上げ法人化するも2008年のリーマンショックで経営危機となり、創業よりカスタマーサービスとして行っていた認証取得支援事業に全業態をシフト。
現在はISMS、プライバシーマークの新規取得と取得後の運用・更新支援専門の情報セキュリティコンサル会社を全国4拠点で運営。Pマーク取得支援は2017年より6年連続で年間コンサル実績社数が業界TOPシェア。

人生100年時代、ミドル・シニア層の「セカンドキャリア」構築の意識高まる
セキュリティコンサルティングのユーピーエフが「セカンドキャリア」に着目する理由
「セカンドキャリア」のスタート時は固定概念を手放すことが重要
異業種出身でも学び続ける人・変化についていける人が活躍中
50代からのプライバシーコンサルタントへの転身/Pマーク取得コンサルタント 菱ヶ江 均氏

現代の日本では、「キャリア後半(特に50歳以降)の働き方」というテーマの重要度が増している。企業を取り巻く環境の変化により、年功序列や「60歳定年」は過去のものとなり、早期退職者を募集する大手企業も見受けられる。

今回は、さまざまな年代の人材を積極的に登用している株式会社ユーピーエフ(本社:東京都千代田区、以下ユーピーエフ)で、「セカンドキャリア」について話を伺った。

同社は、プライバシーマーク(略:Pマーク)やISO27001(略:ISMS)の新規取得、運用更新支援サービスを展開する業界トップシェアを誇る企業で、幅広い年代のプライバシーコンサルタントが在籍している。

代表取締役 仲手川 啓氏の話を通じて、「セカンドキャリア」のステージで活躍している人物像が見えてきた。

人生100年時代、ミドル・シニア層の「セカンドキャリア」構築の意識高まる

ひと昔前、「セカンドキャリア」にまつわる情報は現役引退後のアスリートや、子どもの手が離れた母親、定年退職後のライフスタイルに関するものが多く見られた。しかし、過去10年を振り返ってみると、大手検索エンジンサイトなどで「セカンドキャリア」に関連するワードが検索される頻度は年々増加傾向にある。

「人生100年時代」という概念が社会に広がり、希望すれば65歳を超えても働ける企業は、増加の一途をたどる。キャリアのゴールの時期があいまいになったことで、より幅広い層が自らのセカンドキャリアと向き合い始めているようだ。

特にキャリアの後半に差し掛かった40代後半~50代では、現状維持かキャリアシフトかの岐路に立たされる人も少なくないだろう。年齢や収入などの課題をクリアして転職できたとしても、実際にセカンドキャリアがスタートした後は、「新たな職場で活躍できるかどうか」という課題も立ちはだかる。

今回の記事では、セキュリティコンサルティング業務を中心に展開するある企業が確立させた、「セカンドキャリア」にまつわる事例について着目した。


セキュリティコンサルティングのユーピーエフが「セカンドキャリア」に着目する理由

――ユーピーエフでは、さまざまな年代のコンサルタントが在籍していると伺いました。

代表取締役 仲手川啓氏(以下、仲手川氏):現在、業務委託の社員を含めて60名ほどの人員がおります。ユーピーエフは比較的若い社員が多い会社ですが、コンサルタントの職種では、50代の割合が多くなっています。

当社には、大手企業を早期退職して、Pマーク取得の支援を担当する「プライバシーコンサルタント」というセカンドキャリアをスタートした人もいます。私たちのようなベンチャー企業にとっては経験豊富な人材は大変貴重です。

――幅広い年齢層のコンサルタントが在籍するようになって、採用への意識は変わりましたか?

仲手川氏:実を申しますと、「50代以上の人材の採用は難しいかもしれない」と思っていたころもありました。

しかし、実際に50代以上の人たちと一緒に働いてみると、高い意欲を持っている人、自分の経験を活かしたいという強い想いを持っている人もたくさんいることがわかりました。50代の方が最前線にいたのは、ビジネスシーンにITが普及していったころ。彼らの経験や知見が、顧客の安心感につながっていると感じることもあります。

コロナ禍以降、テレワーク推進により情報管理の重要性が高まったことから、Pマーク取得支援の取扱件数が増加しています。業務量が増大している当社にとって、ミドルエイジのコンサルタントは、「優秀な人材の確保」という課題解決の一助となっています。

――若い社員との関係性はいかがでしょうか。

仲手川氏:当社には若い社員も多いのですが、ミドルエイジの社員は頼られる存在となっています。若手からの質問を受けたら喜んでレクチャーしてくれるありがたい存在です。


「セカンドキャリア」のスタート時は固定概念を手放すことが重要

――ミドルエイジの母集団形成についてはどのような手法を用いていますか?

仲手川氏:求人広告媒体や人材紹介サービスを活用していた時期もありましたが、現在ではもっぱら自社HPなどからの採用情報の発信や、PマークやISMSなどの新規取得に関するセミナーを開催し、集まっていただいた方に対して当社のことを認知してもらうという採用ブランディングの手法を主軸に据えています。当社の認知活動は意外と地味でして、駅前でティッシュ配りなどを行うこともありますよ。

ミドル・シニア層に当社のことを第一想起してもらうためには、20代や30代の転職希望者に対するアプローチと同じ手法では認知してもらえません。こうした温度感のある接点がもっとも効果を発揮していると思います。

おかげさまで、ミドル・シニア層の方が「キャリアチェンジしたい」と決意したとき、「そういえばこんな会社があったな…」と思い出してくれるケースも多く、加えて縁故採用(リファラル採用)などからでも多くの転職希望者に興味・関心を持っていただけるに至りました。

――採用の際には、どんな点を見ていますか?

仲手川氏:当社では、コンサルティングのスキルをチェックするための指標を用意しています。

年齢は関係ありませんが、自分が正しいと思っている仕事方法に固執しているような方は、採用を見合わせています。この業界は変化が速く、固定概念に凝り固まっている方は、活躍が難しいかもしれません。

――対人関係についてはいかがでしょうか。

仲手川氏:コンサルタントはお客さまの存在があってこそ。豊富な経験からくるものであっても、「上から目線」のスタンスになってしまう人は難しいと思います。

「何がわからないかもわからない」というお客さまが多いので、そこに寄り添っていくことが必要な職種です。

現在一緒に働いているコンサルタントの皆さんは、よく勉強してくれます。お客さまの業種や業態についても把握する必要がありますが、そのあたりもしっかり対応してくれるので安心しています。


異業種出身でも学び続ける人・変化についていける人が活躍中

――別の業界から転職してきた人もいらっしゃるとのことですが、ユーピーエフで活躍している50代の方に何か共通点はありますか?

仲手川氏:Pマークの運用指針や審査基準は頻繁に変わり、特に変化が激しい業界です。この分野が好きな人にとっては苦ではないかもしれませんが、変化に合わせて自分で努力、勉強をし、仕事を覚えていく人が適していると思います。

お客さまに聞かれてわからないことがあったら「恥ずかしい」と思える人、新しいことや変化を避けずに向き合い、勉強できる人が当社では活躍しています。

とは言え、それだけではオンボーディングは成功いたしませんので、当社がこれまでに培ってきた豊富な実務経験とノウハウ、そして最新のコミュニケーションツールを活用・織り交ぜながら、50代や未経験でもスキルを習得できる研修環境やサポート・マネジメント体制を敷いています。

ほかにも各種セキュリティ資格の取得・維持のための経済的サポート体制を整えたり、現場に出るまでの段階的サポートも行ったりしています。当社では、幅広い年齢層のコンサルタントが活躍しているからこそ、サポートする側もされる側も年齢問わず声を掛け合うスキームが確立されています。個々が安心してスキルアップを図れるわけです。

最近は、ミドル・シニア層のセカンドキャリア確立の体制も社内整備により定まってきましたので、

たとえ50代からのスタートでも、自身の頑張り次第でキャリアを積むことが可能です。

毎年安定してプロフェッショナルなコンサルタントを輩出できるようになっています。

――セカンドキャリアを歩み始めた人のモチベーションにつながっているのは、どんなことだと思いますか?

仲手川氏:「今の仕事が好きかどうか」も大切ですが、「人のためになる」「お客さまに感謝される」「若手社員に頼られる」といったことが、モチベーションにつながっているようです。

誰かのために役立ちたいという気持ちがある方は、そのために頑張れるのかもしれません。

――現在ユーピーエフに所属しているコンサルタントは、「収入」と「やりがい」の折り合いをどうつけているのでしょうか。

仲手川氏:早期退職をされた方の場合、ある程度の退職金を手にしているためか、収入面よりも、「自分が必要とされているかどうか」を重視しているように感じています。

異業種からの転職でセカンドキャリアをスタートされた方に、大手企業で約30年勤続した水準の給与を出すのは難しいことですが、当社では基本給に加え、担当した案件数や終わった後の顧客評価に応じた歩合制を設けています。

「皆さんの能力を活かしてください」と伝えると、お客さまのためにと一生懸命、頑張ってくれています。

――今後のプライバシー業界の展望についてお聞かせください。

仲手川氏:この業界では「去年より今年のほうが、制度の運用が緩くなる」ということは、一切ありません。日本と比較すると、欧米などのほうが個人情報の取り扱いが厳しく、日本も海外の基準に沿っていくことは間違いないことです。

Pマークの取得は、時間も労力もかかる大がかりな仕事なので、アウトソーシング化が進んでいます。我々の課題は、そのためのリソースを確保していくこと。今後もお客さまから求められる存在になっていきたいと思います。

50代からのプライバシーコンサルタントへの転身/Pマーク取得コンサルタント 菱ヶ江 均氏

同社には52歳という年齢で、異業種からセカンドキャリアを切り開いたコンサルタントが在籍。現在、福岡エリアでさまざまな企業の支援を担当するコンサルタントの菱ヶ江(ひしがえ)均氏は、大手企業のSEとして活躍後、ユーピーエフのプライバシーコンサルタントとして歩み始めた1人だ。

50代からのキャリアは、役職定年や待遇が不安定になるなど不安も大きい。一体どのようにして自身のセカンドキャリアを確立していったのだろうか。

菱ケ江氏:約30年間、大手メーカ―でシステムエンジニアや内部監査人として力を発揮していました。安定した地位と仕事・給与はもらえるものの、50歳を超えると配置転換などが現実的になり、仕事に対するモチベーションを維持できるのかが大きな不安要素となりました。

そこで「定年後もやりがいを持って仕事をしたい」「日本の活性化に貢献できるような仕事がしたい」という強い想いを持ったことから、あえて50代現在の安定した環境を手放し、未経験の職種にチャレンジしようと決意しました。

前職でPマーク取得に関わったことがある経験と、これからの時代にさらに重要となるセキュリティ管理のニーズ、それに「誰かの役に立ちたい」という想いから、縁あってユーピーエフのプライバシーコンサルタントへ転職しました。

入社後は、Pマーク取得審査員の資格も取得し、地元九州で新たな働き方を模索しながら、日々クライアントと誠実に向き合っています。もちろん仕事のモチベーションも十分に高く、充実したキャリアを確立できています。

【編集後記】

ロバート・デ・ニーロ主演の『マイ・インターン』という映画がある。会社をリタイアした男性がセカンドキャリアをスタートさせるストーリーだ。当初、職場で時間を持て余していた主人公が、経験をひけらかさずに小さな雑務にも前向きに取り組む姿勢を通じ、徐々に同僚に頼られるようになっていく。

今回仲手川氏に伺った話からは、長いキャリアライフの中で「新しいことを学び続ける」「昔のやり方に固執しない」という姿勢が常に大切である――と。そんなことがうかがい知れるインタビューとなった。

取材・文/鈴政武尊・北川和子、編集/鈴政武尊・d’s journal編集部

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