新人研修カリキュラムの作り方と手順を解説【無料テンプレート付】

d’s JOURNAL編集部
新入社員の育成を効率良く進めるには、適切な研修カリキュラムの作成が不可欠です。カリキュラムを作成する上でのポイントを事前に押さえておけば、限られた時間の中でも成果を出せる研修を設計できるでしょう。
そこで本記事では、効果的なカリキュラムの作成に役立てられるよう、研修内容に盛り込む項目の具体例を解説します。
新人研修カリキュラムのテンプレート【無料】
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新人研修カリキュラムに盛り込む項目の具体例
新人研修の目的は企業ごとに異なるため、必然的にカリキュラムの内容にも差が生じます。とは言え、入社間もない新入社員に最低限求めることは、どの企業でもおおむね一致しているといえるでしょう。
従って、多くの企業では以下の項目を新人研修カリキュラムに盛り込んでいます。
【新人研修カリキュラムに組み込んでおきたい項目の具体例】
●社会人の基礎・マインドセット
●OAスキル
●ビジネスマナー
●ロジカルシンキング
●コミュニケーション
●コンプライアンス
社会人の基礎・マインドセット
新人研修では、まず社会人に求められる基本的な姿勢を教え、マインドセットを行うことが大切です。ここでいう基本的な姿勢の具体例としては、はたらく上での責任感や主体性、向上心などの要素が挙げられます。
併せて、自己管理の必要性やプロ意識を持って業務に取り組むことの重要性も伝えると、社会人としての意識を育てられるでしょう。
OAスキル
さまざまな業務でパソコンやデジタル端末を使う機会が多いビジネスパーソンにとって、OAスキルは欠かせないものの一つです。
OAはOffice Automationの略語であり、業務を効率化するために必要なスキルです。一般的にOAスキルといったときには、Microsoft OfficeシリーズのWord・Excel・PowerPointに関するスキルのことを指します。
しかし、昨今ではクラウド型サービスを業務で用いる機会が多くなっているため、Googleが提供している無料ツールのGoogleドキュメント・スプレッドシート・Googleスライドなどを適切に使える能力も身に付けておく必要があるでしょう。
新入社員向けの研修で全てを教えることは難しいかもしれませんが、自社の業務の現状に応じて優先度の高いOAスキルを身に付けてもらいます。
ビジネスマナー
社会人として多くの場面で求められるものが、ビジネスマナーだといえます。ビジネスマナーは相手との良好な関係を築き、ビジネスを円滑に進めていくために必要なスキルの一つです。
あいさつの仕方や言葉遣い、身だしなみなどの基本的な部分を教える講義を行うと同時に、ロールプレイングも実施しましょう。
また、電話応対に関する部分も新入社員の研修に盛り込んでおく必要があります。電話応対は企業のイメージそのものにつながる部分であり、不適切な対応をすると自社の信用低下につながる恐れもあります。
近年では電話応対に不慣れな方も増えているため、研修時に電話によるコミュニケーションの取り方に慣れてもらいましょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、問題点を見つけ出して事実や根拠などの判断材料から筋道を立て、相手が納得するような回答を導き出すための考え方のことを指します。ビジネスを円滑に進めるためには、相手を説得する力を身に付ける必要があります。
自律した人材を育成するには、単に自分の意見や考えをわかりやすく伝えるだけでなく、ロジカルシンキングにより自分で考える力を養ってもらうことが欠かせません。
論理的な思考が身に付くことで、資料作成や情報収集の方法といった些細(ささい)な点についても、既存のやり方に疑問を持ち、改善を加えられるようになるでしょう。
グループワークやディスカッションなどを通じて、論理的な考え方の基礎的な部分を身に付けてもらうことが大切です。
コミュニケーション
ビジネススキルの基礎的な部分として、コミュニケーションに関するスキルは重要な位置を占めます。どのような業務であれ、一人で完結するわけではなく、組織に所属していれば他者との協働が必要です。
またビジネスでのコミュニケーションは、会話能力のことだけを指すものではなく、文章力やチャットのスキルなども含まれます。特にリモートワークを導入している企業では、チャットでコミュニケーションを取る機会も増えているでしょう。
新入社員だけに求められるスキルではありませんが、入社した段階からコミュニケーション能力に意識を持ってもらうことで、場面ごとに合ったやりとりが行える人材を育成できるはずです。
コンプライアンス
コンプライアンスとは、法令順守のことを意味しています。どのような業種であれ、企業として活動するときは関連する法令に沿った形でビジネスを進めているはずです。
昨今ではコンプライアンスに対する意識が高まっており、違反した場合は行政上の罰則を受けるだけでなく、顧客や取引先からの信頼も失いかねません。
経営リスクを軽減するために、従業員一人ひとりにコンプライアンスに対する認識を持ってもらうよう、新入社員の研修カリキュラムにも盛り込んでおきましょう。
昨今では、SNSの普及によって情報漏えいなどのリスクが高まっているため、社内ルールをしっかりと整備しておくことが重要です。コンプライアンス違反となったときのリスクや、それを防ぐための行動をきちんと指導しましょう。
【職種別】新人研修カリキュラムの具体例
新人研修では、前項でお伝えした内容だけでなく配属先で必要なスキルや知識も教えておくと、その後の実務にスムーズに移行できます。
ここからは、以下の職種を例に挙げ、それぞれの新人研修にどのような内容を組み込めば良いのかを具体的に解説します。
●営業職
●事務職
●企画職
●エンジニア職
営業職
営業職には、営業活動全体のフローへの理解や、顧客と良好な関係を構築するためのスキルなどが求められます。
そのため、以下の内容をカリキュラムに盛り込みましょう。
【営業職の新人研修カリキュラムの具体例】
| 研修内容 | 説明 |
|---|---|
| 商談の準備 | 顧客のニーズや課題を想定し、それに基づいた情報収集と提案資料の作成、ロールプレイングなどを実施する |
| 顧客対応 | 顧客に好印象を与えられるあいさつや自己紹介、ヒアリングスキルなどを指導する |
| 顧客ニーズの理解と対応 | 顧客のニーズを明確化するための傾聴力や質問力、共感力を強化する |
| 顧客に合わせた提案力 | 顧客に適した提案を行うためのプレゼンテーションスキルやデモンストレーションスキル、クロージング技術などを指導する |
| 臨機応変な対応技術 | 顧客からの要望・意見への対応方法や交渉術などを指導する |
| 営業ツールの活用方法 | 営業支援ツールやマーケティングオートメーションツールなどの活用方法を習得してもらう |
このような研修を実施すれば、実践的な営業スキルの習得と営業マインドの育成につながります。
事務職
主にオフィスワークを担う事務職では、OAスキルはもちろんのこと、電話応対や来客対応などを行えるスキルも必要です。実務を意識して学べるよう、次のようなカリキュラムを組むと良いでしょう。
【事務職の新人研修カリキュラムの具体例】
| 研修内容 | 説明 |
|---|---|
| 電話応対の方法 | 実際の電話機を使用し、かけ方と受け方、取り次ぎの方法などを指導する |
| 来客対応の方法 | 受付や案内の方法、それに付随するビジネスマナーなどを指導する |
| 社内システムの運用方法 | 勤怠システムや経費精算システムなど、業務で扱うシステムの運用方法を習得してもらう |
| 文書作成研修 | 社内文書や社外文書、ビジネスメールの書き方を指導する |
| OAスキル研修 | WordやExcel、PowerPointを使用して資料を作成する方法を習得してもらう |
| ビジネスマナー研修 | 正しい敬語やビジネスシーンにふさわしい言葉遣い、立ち居振る舞いなどを指導する |
上記の研修を通して、企業の円滑な運営を支えられる人材へと育てることが大切です。
企画職
企画職に求められる能力としては、発想力や企画力、そして市場のニーズを的確に捉えるマーケティングスキルなどが挙げられます。新人研修で効果的に指導するためにも、以下の具体例を参考にしてください。
【企画職の新人研修カリキュラムの具体例】
| 研修内容 | 説明 |
|---|---|
| データ分析の方法 | ロジカルシンキングの基礎と、データ分析手法を用いて意思決定を行うプロセスを習得してもらう |
| 市場調査とトレンド分析の方法 | 市場調査や競合分析の手法と、社会トレンドの情報収集方法を習得してもらう |
| アイデア発想法 | ブレインストーミングやマインドマッピングなどの技法を習得してもらう |
| 企画立案と企画書作成の方法 | 企画の立案から実行までのプロセスと、企画書にまとめるスキルを指導する |
| ケーススタディー演習 | 実際の企業や製品の企画事例を分析し、成功要因や失敗要因を学んでもらう |
| 法務・知的財産の基礎知識 | 企画に関連する法的リスクや知的財産権の基礎を指導し、コンプライアンス意識を持ってもらう |
このカリキュラムを実施する際は、独自性のあるアイデアの創出につながる、戦略的思考を身に付けてもらうことを意識すると良いでしょう。
エンジニア職
配属後の業務で専門的なスキルが必須となるエンジニア職は、新人研修で基礎を学んでもらうことが大切です。具体的には、次のようなカリキュラムを組みましょう。
【エンジニア職の新人研修カリキュラムの具体例】
| 研修内容 | 説明 |
|---|---|
| ITの基礎知識 | コンピューターやデータベース、ネットワークなどの基礎知識を教える |
| プログラミング研修 | プログラミング言語の基礎を教えた上でシステム開発の演習を行い、実践的なスキルを習得してもらう |
| データベース研修 | データベースの設計や構築、運用などに関する知識を教え、実践を通して操作方法を習得してもらう |
| ネットワーク研修 | ネットワークの基礎知識や構築・運用に関する知識を教え、ネットワーク機器の設定やトラブルシューティングなどの方法を習得してもらう |
| セキュリティ研修 | 情報セキュリティに関する基礎知識や、セキュリティ対策技術などを指導する |
| クラウド研修 | クラウドコンピューティングの基礎知識や、クラウドサービスの利用方法などを指導する |
上記の内容を組み込むことが基本ですが、エンジニアとしてどの分野に携わるのかによって、求められる能力は異なります。
例えば、プログラマーには、プログラミング言語の基礎知識やコーディングスキル、デバッグスキルなどの研修を重点的に行う必要があります。システムエンジニアであれば、システム開発の設計に関する基礎知識や、開発工程の詳細を学んでもらうことが不可欠です。
この点も踏まえた上でカリキュラムを作成すると、実務に役立つスキルをしっかりと身に付けてもらえます。
新入社員の研修カリキュラムの例【完成イメージ】
新入社員向けの研修カリキュラムは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどで作成しましょう。
以下の例のように、月ごとの進捗(しんちょく)を表形式でわかりやすく管理できるようになります。

新入社員の研修カリキュラムの例【完成イメージ】をもとに、今すぐ使えるOJT用育成シートをぜひご活用ください。1カ月ごとの進捗・振り返りまで管理できるフォーマットは、下記より無料でダウンロードいただけます。
新人研修カリキュラムのつくり方
新人研修カリキュラムを作成する際の基本的な流れは、以下の通りです。
1.組織の目標を設定する
2.新入社員の目標を設定する
3.必要なスキルを洗い出す
4.カリキュラムを作成する
5.実施する手法を決める
6.適切にフォローする
本項では、それぞれの過程でどのようなことを行えば良いのかを解説します。
1.組織の目標を設定する
新入社員向けの研修内容を考える際は、まず組織の目標を設定しましょう。その上で「組織の目標を達成するために、どのような人材を育成すれば良いのか」を明確にすると、おのずと研修の方向性が定まります。
例えば、「DXを推進し、3年をかけてビジネスモデルを変革する」という目標を掲げた場合、IT技術に秀でた人材を社内に増やすことが必須です。従って、新人研修カリキュラムにもIT技術に関する内容を追加したほうが良いと判断できます。
このように、組織の目標に基づいて研修の方向性を決めておくことは、今後のプロセスをスムーズに進めるために役立ちます。
2.新入社員の目標を設定する
研修の方向性が定まった後は、新入社員に身に付けてもらいたい能力を言語化し、育成目標に落とし込みます。
新入社員の育成目標は、求める能力をただ列挙するのではなく、必ず精査しましょう。目標があまりにも多くなり過ぎた、あるいは高くなり過ぎた場合は達成不可能となり、研修の成果が思うように出なくなります。
なお、新人教育を行う際の手法やポイントは以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
(参考:『新人教育の目的とポイントとは?現場で活躍できる人材を育てるコツ』)
3.必要なスキルを洗い出す
新入社員の目標を明確化したら、それを達成するために必要なスキルを洗い出します。このとき、研修によって身に付けてもらうスキルと実務を通して習得してもらうスキルを、きちんと分けておくことがポイントです。
新人研修では、まず社会人としての基礎的なスキルを学んでもらうことが重要となります。
そのため、先述した具体例を参考に、新入社員に最初に指導する項目を絞り込みましょう。
4.カリキュラムを作成する
新人研修の目標と盛り込む項目を決定した後に、「どの段階で、どういったスキルを何時間程度で身に付けてもらうのか」を検討します。
そしてExcelやGoogleスプレッドシートなどを使用した表に落とし込み、カリキュラムを作成しましょう。
その際は、インプットとアウトプットにかける時間を適切に設定し、スケジュールを組むことが大切です。目安として、インプットに充てる時間を2割程度、アウトプットの時間を8割程度確保しておくと、新人教育を効率良く進められます。
5.実施する手法を決める
効果的な新人研修を実施するには、手法にも気を配る必要があります。
そのため、カリキュラムを作成する過程で、どのような実施手法が適しているのかを検討しておきましょう。
新人研修の実施手法については後述しますので、そちらも参考にしてください。
6.適切にフォローする
カリキュラムの内容は、新人研修に関わる従業員全員に事前に周知しておきます。このとき、内容を知ってもらうだけでなく、新入社員と既存社員のそれぞれに対して適切なフォローを行うことも重要です。
まず新入社員へは、研修の目的や内容などを明確に伝え、モチベーションの向上を促します。一方で、既存社員には研修カリキュラムの内容を細かく共有し、育成方針に対する認識の統一化を図りましょう。その上で新入社員のサポートを依頼すれば、研修を滞りなく進められます。
新人研修カリキュラムを実施する8つの手法
新人研修を実施する主な手法としては、以下の8つが挙げられます。
1.OJT
2.OFF-JT
3.グループワーク
4.ケーススタディ
5.ロールプレイング
6.レクリエーション
7.ゲーミフィケーション
8.フィールドワーク
1.OJT
OJT(On the Job Training)とは、職場での業務を通じて、業務遂行に必要なスキルを身に付ける人材育成方法のことを指します。上司や先輩社員から直接指導を受けながら、実際に業務を行う中で学べるため、実践的なスキルを習得できるというメリットがあります。
OJTはさまざまな企業で取り入れられている方法であり、導入の難易度は低いでしょう。ただし、体系的な理解が難しかったり、フィードバックの内容が個々の指導役の考えによって偏ってしまったりする点には注意が必要です。
また、指導役となる従業員だけに人材育成を任せるのではなく、企業全体でサポートしていく姿勢も大切だといえます。普段の人材育成はOJTに軸足を置きながらも、必要に応じてほかの方法と組み合わせていくことで、研修効果をより高めていけます。
(参考:『OJTとは?目的・メリット・デメリット・OFF-JTの違い』)
(参考:『フィードバックの意味と目的とは?期待できる4つの効果と5つの手法』)
2.OFF-JT
実際の業務を通じて必要なスキルを学んでいくOJTに対して、業務からいったん離れて研修時間を確保する手法がOFF-JTです。OFF-JTで基礎的な知識をインプットしてもらい、OJTでアウトプットする仕組みを整えれば、効果的にスキルアップを図っていくことが可能です。
OFF-JTは、外部の研修施設に通わせたり講師を社内に招いて座学研修を行ったりする形で進めていきます。自社にないノウハウやスキルを学ぶ良い機会となるので、組織の活性化にもつながるでしょう。
ただし、OFF-JTを行う場合は相応の費用がかかるため、どの程度まで予算をかけられるのかを確認しておく必要があります。また、組織の目標に沿った形で研修内容を決めなければ、費用対効果が薄れてしまうので気を付けておきましょう。
3.グループワーク
グループワークとは、少人数のグループに分かれて行う研修カリキュラムを指します。同期の新入社員との関係づくりのほか、相手とのコミュニケーションも必要となるので、実践的なスキルを身に付けてもらうことに向いているでしょう。
プレゼンテーションやビジネスマナーの練習などにも向いているので、定期的に行っていくことで研修効果を高められるはずです。グループワークはプレゼンテーション形式で行ったり、ゲーム形式で行ったりするなどさまざまな形があり、身に付けさせたいスキルによって適した方法は異なります。
グループワークは限られた時間内で一定の成果を出す必要があるため、実務的なスキルを身に付けられるといえるでしょう。注意点としては、対面でのやりとりを基本としているため、リモートでは実施が難しい点が挙げられます。
ただし、オンラインで利用できるツールなども提供されているので、内容によってはリモートで実施できるものもあります。習得してもらいたいスキルと自社の状況を踏まえた上で、どのような内容にするのかを決めましょう。
4.ケーススタディ
ケーススタディとは、具体的な事例を基に学んでいくカリキュラムです。これによって身に付けた知識は、クレーム対応や商談時のプレゼンテーションなど、臨機応変な対応が必要なときに役立ちます。
新入社員は実務経験が少ないため、まずはイメージを持ってもらうためにケーススタディを積極的に取り入れると良いでしょう。さらに、グループディスカッションなどと組み合わせることでも、研修効果を高められるはずです。
5.ロールプレイング
ロールプレイングとは、実際のビジネスシーンを想定して、疑似的な役割を演じながら行うカリキュラムのことを指します。座学での学習は必要な知識を習得することに向いていますが、いざ実践で取り組もうとするとうまく対応できないことも多くあるため、ロールプレイングが必要です。
例えば、来客時の対応やセールストークなどはいくら知識を得たとしても、実践でその通り行えるとは限りません。ロールプレイングを通じて、話し方や振る舞い方などを身に付けてもらいましょう。
ロールプレイングを行うときに注意したい点としては、緊張感を保つことが挙げられます。ロールプレイングは社内研修として行うことが多いので、顔見知りの同僚だけで行うとどうしてもなれ合いになってしまいがちです。
研修効果を高めるには、大会形式で参加者同士を競わせたり、他部門のメンバーも交えたりすることで一定の緊張感を保つ必要があります。事前準備にしっかり時間をかけて取り組むようにしましょう。
6.レクリエーション
レクリエーションとは、研修を行う前のアイスブレイクや新入社員同士の関係づくりのことなどを指します。座学を中心としたカリキュラムを構成すると、集中力が途中で切れたり眠気を感じたりしてしまうことが多いため、レクリエーションの時間は不可欠です。
具体的には、体を動かしたり雑談の時間を設けたりして座学の時間とのメリハリを付けることをお勧めします。特に長時間の研修を行うときは、適切なタイミングでレクリエーションを挟むようにしてみましょう。
7.ゲーミフィケーション
新入社員の学習意欲を引き出すには、ゲーミフィケーションを活用することも効果的です。
ゲーミフィケーションとは、研修にゴールを設ける、あるいは課題の難易度に合わせて報酬を用意するなどのゲーム的な要素を取り入れる手法のことです。研修を通して達成感を与えられるほか、モチベーションや学習効率の向上にもつながります。
その結果、新入社員に楽しみながらスキルを伸ばしてもらえます。
8.フィールドワーク
フィールドワークは、学んだスキルや知識を現場で活かすことに重点を置いたカリキュラムです。座学で学習したことは、実務ですぐに活かせるとは限りません。そのため、実際の顧客との対話や現場での体験などを通して、実践的に学ぶ過程も必要となるのです。
なお、フィールドワークは、OFF-JTと組み合わせることで効果が高まります。OFF-JTでインプットしたことをフィールドワークでアウトプットし、そこで新たに発見した課題や問題点を再びOFF-JTで振り返る、という方法で研修を進めると良いでしょう。
新入社員の研修カリキュラムをつくる目的
新人研修を行うに当たってカリキュラムを作成する際は、以下の目的も踏まえておく必要があります。
●研修の詳細を明らかにする
●配属先で必要な能力を明確にする
●研修の効率化を図る
研修の詳細を明らかにする
カリキュラムを作成する第一の目的は、研修の方向性と詳細を明らかにすることです。5W1Hを明確にし、「誰がどの段階で何を身に付ける必要があるのか」を一目で判断できるようにすると、内容を過不足なく盛り込めます。
実際にカリキュラムを考える際は、これまでに実施した結果とも照らし合わせた上で、新入社員に習得してもらいたいことを精査します。このとき、内容を詰め込み過ぎないようにすることが大切です。
例えば、社会人として必須であるビジネスマナーや自社の経営理念・事業内容、業務に必要なスキルなど、最低限の内容に絞り込むと良いでしょう。
配属先で必要な能力を明確にする
カリキュラムの作成過程では、配属先の実務で求められるスキルや知識なども明確になります。
そのため、新入社員に学習してもらいたい項目をより具体的にして研修に盛り込めます。結果として新入社員は、配属先での業務をスムーズに始められるでしょう。
また、研修内容を明示した上でロードマップに落とし込むと、「どのようなステップを踏んで成長していけば良いのか」を新入社員が確認できるようになります。これは、モチベーションの向上につながるだけでなく、新入社員自身が成長を客観的に把握することにも役立ちます。
研修の効率化を図る
カリキュラムを作成し、段階的かつ体系的にスキルや知識を身に付けさせることは、研修の効率化にもつながります。
新入社員の場合、無計画に内容を詰め込む、あるいは順序を立てずに教えるなどの方法を取ると、研修の内容が頭に入らなくなってしまうことがあります。
このようなリスクを避けて学習効果を高めるためには、適切なカリキュラムを作成し、個々の習熟度や理解度に合った指導を行うことが不可欠です。
新人研修カリキュラムを効果的に活用するポイント
研修カリキュラムの効果を高めるには、下記のポイントを押さえておく必要があります。
●アウトプットの機会を設ける
●研修内容を詰め込み過ぎない
●現場の従業員の協力を得る
●定期的に効果検証を行う
ここからは、各ポイントの内容について解説します。
アウトプットの機会を設ける
新入社員に対する研修では社会人としての基礎的な知識やビジネスマナーなどを覚えてもらう必要があるため、インプット中心となることが一般的です。座学が多くなってしまうことは仕方がないですが、時間的な制約でアウトプットの機会があまり用意されていないケースも多いといえます。
しかし、単に知識を詰め込むだけではどの程度身に付いているのかを判断しづらいので、適度にロールプレイングやグループディスカッションなどを取り入れていくことがポイントです。
アウトプットの機会をセットで用意することによって、研修で学んだことの習熟度を高めるだけでなく、実践力も身に付けてもらえるでしょう。
研修カリキュラムを作成するときは、インプットとアウトプットのバランスをよく考えることが重要です。身に付けてもらいたい内容にもよりますが、社会人経験の浅い新入社員の場合は、アウトプットの時間を意識的に多く取るほうが研修効果を高められるといえます。
研修内容を詰め込み過ぎない
新入社員の研修は基本的に、覚えてもらうことばかりといっても過言ではないでしょう。時間に余裕があれば多くのことを教えられますが、配属スケジュールが決まっているので、教える内容をきちんと精査する必要があります。
研修内容ばかりに意識が向いてしまうと、あれもこれもと内容を詰め込み過ぎてしまう心配があるため、まずは配属日から逆算して研修にかけられる期間を割り出しましょう。
研修に充てられる時間を正確に把握した上でどのような内容を学んでもらうかを決めると、無理のない計画を立てられます。現場の管理職などの意見も聞きながら、必要とされるスキルを洗い出し、研修内容のバランスを調整していくことがポイントです。
現場の従業員の協力を得る
新人研修の終了後は、実際に現場へ出たときに必要なことが実践できている必要があります。単に知識を習得させることだけに終始してしまい、実践に活かされないのであれば、研修効果はほとんど見られないともいえるでしょう。
実践的な研修内容とするには、現場の管理職とうまくコミュニケーションを取りながら、研修カリキュラムに実効性を持たせることが大切です。必要に応じて現場の従業員の協力を得るなどして、実践的な研修カリキュラムを立てましょう。
定期的に効果検証を行う
新入社員に対する研修は、一度行っただけで全ての内容を身に付けさせることは難しいでしょう。そのため、研修が終了してからも定期的に効果検証を行っていくことがポイントです。
研修で学んだことが実際の業務でどのくらい活かせているのかを現場の管理職に評価してもらい、必要に応じて研修を再度行う必要があります。部署によって評価に差が出てしまわないように、明確な評価基準をつくり、社内で認識を統一しておくことが重要です。
また、面談などを通じて新入社員に対するフィードバックを行い、日々の業務の中でも適切にフォローを行っていきましょう。新入社員は仕事に対する不安を抱えることが多いため、悩んだときに誰に相談すれば良いのかをきちんと示しておく必要があります。
適切にフォローアップできる体制を整えていなければ、研修成果を業務に活かせないばかりか、早期離職の原因にもなりかねないので注意しましょう。こまめにコミュニケーションを取りながら、新入社員の目線に立って考え、継続的に効果検証を実施してください。
フィードバックについて詳しく知りたい方は、下記の記事もチェックしてみてください。
(参考:『フィードバックの意味と目的とは?期待できる4つの効果と5つの手法』)
まとめ
新入社員向けの研修は、社会人として必要なビジネスマナーや業務遂行のためのスキルを身に付けてもらうために行うものです。個々の目標と組織の目標を擦り合わせることで、研修効果をより高められます。
具体的な研修カリキュラムの作成にあたっては、5W1Hを明確にした上で、優先順位を付けて内容を盛り込んでいくことが重要です。
既存社員や現場の管理職の意見なども交えながら、自社にとって最適な研修カリキュラムを作成し、効果を高められるようにフォローを行っていきましょう。
(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)
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