せっかくのチャンス逃してるかも…。やってはいけないカジュアル面談NG項
d’s JOURNAL編集部
母集団形成を目的に、企業と採用候補者が互いに理解し合う場として「カジュアル面談」を取り入れる企業が増加しています。一方で、「面談はしているものの、なかなか選考につながらない」と悩む方や、「カジュアル面談をもっと効果的に実施したい」と考える方もいるかもしれません。
今回は、カジュアル面談のNG事例をご紹介するとともに、カジュアル面談を有効に活用するためのノウハウを解説します。面談に使用できる質問集もダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
カジュアル面談のNG例
まずは、カジュアル面談でやってしまいがちなNG例と、その理由をご紹介します。
(参考:『カジュアル面談とは|導入メリットや面談の流れを解説【質問集付き】』)
志望動機を聞いてしまう
カジュアル面談では、採用面接時によくある「志望動機」や「自己PR」などの質問を避けることが望ましいとされています。
カジュアル面談の目的は「企業と候補者がお互いに情報を共有し、相互理解を深めること」です。候補者は選考に進むかを検討している状態で、企業の担当者とざっくばらんに話ができると考えています。そのため、面接のような質問をされると、「選考の一部なのではないか」と不安になったり、緊張がゆえにスムーズな会話ができなくなったりする可能性があります。
自社への入社意欲を把握したい場合には、「弊社のイメージをお聞かせください」「どうして面談に応じていただけたのでしょうか?」という質問に留め、選考の要素が強くならないよう注意しましょう。
また、応募者の緊張や不安を取り除くためには、面談の冒頭で「合否とは関係のない面談であること」を伝えるとともに、面談の目的が相互理解であることを一言添えるのも有効です。
候補者を質問攻めにしてしまう
候補者の情報を引き出そうとするあまり、質問攻めにしてしまうことも避けるべきポイントです。カジュアル面談の目的は「情報交換による相互理解」であり、採用面接のように候補者を見極めることではありません。対等な立場で対話をし、お互いに質問をし合うという双方向のコミュニケーションが大切です。
一方的な企業説明という印象にならないよう、自社の質問や情報提示が終わった後は、「今の説明で気になる点や他に聞きたいことはありますか」と投げかけ、応募者からの質問に答えていきましょう。応募者が知りたい情報をヒアリングし、適切な情報を提供することで、選考への意向醸成が期待できます。
なお、カジュアルな場であるとはいえ、採用面接時と同様、宗教や家庭環境など、個人情報や私生活に関する質問は不適切です。企業の信頼を損ねないような配慮も必要となるでしょう。
(参考:『面接で聞いてはいけない質問・会話のNG行為とは?リスク回避のための具体的な対策』)
表面的な会話で終わってしまう
カジュアルすぎるあまりざっくばらんな雑談で終わってしまうと、選考に結び付かなかったり、採用後のミスマッチにつながったりする可能性があるため、注意が必要です。
カジュアルな面談だからこそ聞いておきたい質問としては、「就職活動の軸」や「現在の状態」「転職理由」などが挙げられます。あらかじめ候補者への質問事項をリスト化しておくなど、有意義な時間となるよう準備しておきましょう。
また、カジュアル面談は就職・転職の意向が固まっていない潜在層に対し、企業が直接アピールできる場です。魅力付けをすることで、「選考に進む意思が固まる」「将来就職・転職を考えた際に自社が候補に挙がる」といった効果が期待できるでしょう。
効果的な魅力付けをするためには、質問への返答に自社のPRポイントを織り込むことが大切です。応募者に適切かつ魅力的な情報を伝えられるよう、事前に「企業の魅力」「今後の方針」「各チームの体制」「業務内容」などの社内情報を整理しておきましょう。
合否を出してしまう
カジュアル面談は「採否を決定すること」を目的とした採用面接とは趣旨が異なるため、合否を出すのは不適切です。たとえ合格であったとしても、候補者が自社に対して不信感を抱く可能性があります。
面談をした候補者に選考に進んでほしい場合には、その場で意向を伝え、選考についての案内をしましょう。自社への関心が最も高いのは面談後のため、できるだけ早いタイミングで伝えると効果的です。カジュアル面談の参加者を対象とした、特別な選考フローを用意しておくのもよいでしょう。
カジュアル面談で自社と候補者の間に温度差が…そんなときどうする?
お互いの情報や認識を擦り合わせていく中で、時には合わないかもしれないと感じることもあるでしょう。しかし、カジュアル面談の目的は、採否を決定することではなく相互理解を深めることにあります。合わない可能性も含めて候補者の情報を把握できることは、成果の一つだと言えるでしょう。
大切なのは、双方が偽りのない情報を共有し、理解し合うことです。例として、自社の魅力付けをしようとするあまり企業の実情や課題点を隠してしまっては、採用後のミスマッチにつながる可能性があります。
面談の際には「自社が大切にしている価値観」や「候補者が求めていることと自社環境とのギャップ」などの情報も提示し、候補者に等身大の姿が伝わるような対話を心掛けましょう。現場で働いている社員が面談に同席する場合は、実際の業務内容やオフィス環境、社内の雰囲気などを話してもらうのも効果的です。
カジュアル面談を行う前の母集団形成方法例
カジュアル面談を行う前の母集団形成の方法として、以下を活用するとよいでしょう。
ダイレクト・ソーシング
ダイレクト・ソーシングとは、人事・採用担当者自らが採用候補者を探し、直接スカウトをする採用手法のこと。アプローチした時点での候補者の企業理解は浅く、志望度も高くありません。まずは自社の魅力を伝えて興味を持ってもらう必要があるため、選考までの最初のステップとしてカジュアル面談を活用しましょう。
(参考:『自社に最適な人材採用を。ダイレクト・ソーシングの活用方法』)
リファラル
リファラルとは、自社の社員から知人や友人を「候補者として紹介」してもらうこと。ダイレクト・ソーシング同様、就職・転職に潜在意識がある人材にも声をかけることができます。企業と候補者の相互理解を深め、ミスマッチを防ぐためにも、実際の選考の前にカジュアル面談を実施している企業が多いようです。
(参考:『リファラル採用とは|メリット・デメリットや導入方法と成功事例を紹介』)
ウェビナー/転職フェア
ウェビナーや転職フェアの参加者に向けて、カジュアル面談を案内することも効果的です。自社への興味や関心をある程度持った状態で参加してもらえるため、カジュアル面談では選考の前に、より細かな情報の擦り合わせを行うことができるでしょう。
会社説明会
会社説明会では、企業が「企業理念」や「事業内容」といった基本的な情報を説明することが一般的なため、候補者が「もっとリアルな情報を聞きたかった」「聞きたかったことが聞けなかった」と感じている可能性もあります。会社説明会後にカジュアル面談を案内・実施することで、不安や疑問を解消し、選考への後押しができるでしょう。
【無料】資料ダウンロード/セミナー情報
以下より、カジュアル面談のダウンロード資料やセミナー情報をご確認いただけます。ぜひご活用ください。
まとめ
カジュアル面談の趣旨を担当者が正しく把握・実施できていないと、選考プロセスにつながらないばかりか、候補者が「質問が採用面接のようだった」「カジュアルな面談のはずなのに不採用通知が来た」と不満を感じるケースに発展してしまいます。
カジュアル面談の目的は「相互理解を深めること」であり、「応募者が求めている情報を提供できるか」「自社の魅力付けができるか」が重要です。今回の記事でご紹介したNG事例や実施のポイントを意識しながら、自社が求める人材の獲得につなげてみてはいかがでしょうか。
(企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社はたらクリエイト)