ITスキル、社員9割近くが「習得予定はない」。DXを推進させる人材育成法とは【セミナーレポート付】

d’s JOURNAL編集部

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新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして、社会のデジタルシフトが加速する中、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の必要性はますます高まっています。

一方で、実際にDX推進に取り組む際に、デジタル人材の不足に悩む企業も少なくありません。こうした悩みや課題を解消するため、社員のデジタルリテラシー向上に取り組もうとする企業も多いのではないでしょうか。

過日、株式会社ベネッセホールディングスとパーソルキャリア株式会社が共同で設立した、株式会社ベネッセi-キャリア(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:原野司郎)は、デジタル人材の育成を支援しているTECH PLAY Academyと共同で、「社員のデジタルリテラシー向上のポイントと育成施策」についてのセミナーを開催しました。

登壇者は、ベネッセi-キャリアにて大学営業部に所属する矢竹秀行氏と、パーソルイノベーション株式会社の路川峻也氏。社員のデジタルリテラシー向上のポイントと育成施策について、じっくりと語っていただきました。当コラムでは、その概要をお伝えします。

なお、ページ内では、当日のセミナーの模様を図解入りで詳細にまとめたセミナーレポートもダウンロードできます。こちらの資料もどうぞご活用ください。

まずは社員のスキルアップ意欲を高めることが重要

企業においてDX人材育成の取り組みを検討する際、「どのような研修プログラムを導入すべきか」といった方法論について議論されるケースが少なくありません。一方で、どれだけ素晴らしい研修プログラムを導入したとしても、受講する社員のスキルアップ意欲が低いままでは、十分な成果を上げることは難しいと言われています。

実は、業務において最新のテクノロジーに触れていない社員の多くは、IT領域に対するスキルアップ意欲がそもそも高くないという傾向があるのだそうです。

IPA(情報処理推進機構)の調査(※1)では、先端IT非従事者に「先端的な領域のスキルを習得する予定があるか」と尋ねたところ、データサイエンスや人工知能(AI)、IoTなど、いずれの領域でも、回答の9割近くが「習得する予定はない」という結果となりました。

また、IT関連のスキルアップ意欲が高まらない要因を調査したところ、おおむね以下のような回答が得られたそうです。

1. 勉強の必要性を感じない
2. 業務が忙しくて勉強時間が確保できない
3. 新しいスキルを習得してもそれを活かす場がない

1と2は、意欲の問題ですが、せっかく習得したスキルの使い道のイメージが湧かないことは、会社の教育制度や環境整備によって解消できそうです。ITスキルを習得することで開かれていく未来像を、具体的に示す必要があるでしょう。

(※1)IPA 「Reスキル・人材流動の実態調査及び促進策検討」(2020年)

社員のマインドセットを支援する3つのポイント

前頁で解説した、社員のスキルアップ意欲が上がらない要因を踏まえると、DX人材育成を始める際には社員のマインドセットを支援することが欠かせません。

そこで、次の3つのポイントを押さえておくことが重要です。

・あるべき姿(育成ゴール)を描く
・育成対象者の現状レベルを把握する
・現状を踏まえて、段階的な育成施策を検討する

育成のゴールを明確に描くこと――。とても大事ですね。

育成のゴール≒あるべき姿を描くためのアプローチとは、どのようなものなのでしょうか。それは、求められる人物像を明確化する際、企業の経営戦略やDX戦略を基に、トップダウン型でアプローチするという手法です。まずは経営層などがDXの重要性を理解して、一気通貫で推し進めていくというもの。

一方で、これだけの作業で描いただけでは、「理想論だけで現実味がない」人物像になってしまう可能性も。そのため、社内にいるハイパフォーマーの分析、コンピテンシーの抽出などを行い、ボトムアップ型のアプローチを反映させていくことも重要です。

大事なのは、育成対象者の現状レベルがどの程度なのかを把握すること。これらは社内テストや1on1ミーティングなどを実施するなどして、社員や部署ごとに異なるデジタルリテラシーの現状を知っておくことが望ましいでしょう。

こうした現状の把握と課題抽出を行い、その解消のために必要な施策を打っていけば、社員のマインドセットを支援しつつ、デジタルリテラシー向上を実現できることは間違いありません。

成果創出に向けた育成ステップとよくある課題とは

さて、「“あるべき姿”を実現するために、どのような順序で育成を進めるべきか」――。

育成施策を実施する上で、このような悩みを持つ企業が少なくありません。

こうした場合には、まず社員に企業としてのDXの必要性を共有し、その理解を深めてもらうことが重要です。その上で「個人として何をすべきか」を、育成対象となる社員一人一人に認識してもらいつつ、教育コンテンツなどを提供していくことが望ましいでしょう。

そして、教育コンテンツで学んだ知識を実践してもらうために、たとえば、下の図のようなステップを踏めればベストです。

ポイントは、DXの必要性を理解してもらい、自分ごととして捉えてもらうこと。その上で、実践と成果創出につなげていくことです。

しかし、このようなステップを踏まえて、DX推進の担当者が全社のリテラシー向上を進めようとするものの、実際の現場ではなかなかうまく進まないという声も聞こえてきます。

たとえば…

「事業部門で人材を育成するにあたり、1歩目のコンテンツ作りに苦労している」
「デジタルリテラシーの向上に向け、何から手を付ければよいかわからない」
「リテラシーにバラつきがあり、個人のレベルに合った教育が実践できない」
「学習した内容が業務に結び付いていない」
「学習の継続性を維持できない」

このように社内環境や教育制度を整えていく過程で、上記のような課題にぶつかることは少なくありません。こうした課題については、一つ一つその問題をひもといて解決していくしかありません。

下記よりダウンロードできるセミナーレポートでは、現場社員のデジタルリテラシー向上にあたって、企業が直面しがちな課題について、実際の企業事例を用いて解決施策のポイントを解説しています。ぜひ活用していただき、社内のDX推進にお役立てください。

【まとめ】

私たちの暮らす日本では、日進月歩で進化するデジタルテクノロジーにより、多様性のある社会が実現しつつあります。しかし一方で、デジタル技術やサービスの利活用が進んでいない領域や分野も少なからず存在しています。こうしたデジタルテクノロジーの遅延は、利便性の向上や国全体の生産性向上の機会も損なうことにつながります。

ITやICT(情報通信技術)に対するリテラシーの向上という課題を解決することは、企業だけではなく、社会全体が豊かになるためにも不可欠なものです。社会のDX推進が進む中、今一度会社のDX進展度を分析して、適切な対応を検討してみてはいかがでしょうか。

文/鈴政武尊、編集/鈴政武尊・d’s JOURNAL編集部

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