【早稲田大学×サントリー対談】人材育成施策が環境変化に追い付けない――?未来を切り開く次世代リーダー育成について考える
人材育成においては現場のメンバーだけでなく、次世代のリーダーを育成することが求められています。しかし、環境変化が激しい昨今では88.8%もの企業が、自社の人材育成施策には「環境変化に対応できていない部分がある」と、答えています(経団連のアンケートより)。
そこで、サントリーホールディングスの田中 憲一氏には同社が取り組まれている次世代リーダー育成について、さらには経営戦略、グローバル経営の第一人者である池上 重輔教授に、国内大企業へのインタビュー調査の内容など、学術的な側面から今後の人材育成についての講演をお願いしました。さらに両氏のディスカッションも実施。リーダー育成について学んでいきます。
幹部育成に関する調査から見えてきた課題と解決方法/早稲田大学ビジネススクール教授 池上 重輔氏
私は早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターにて、LDP(Leadership Development Portfolio Research )に関する調査を行いました。まずは、なぜ、このような調査を実施したのか、その理由や背景からお伝えします。
私は普段から企業の幹部育成も行っているのですが、担当者から幹部育成の方針について悩んでいる、との声や相談を聞く機会が増えてきたことが発端となります。中にはリーダー層だけでなく、全体の育成についても同じく悩んでいる、という企業もありました。
そこで、そのような幹部育成を担っている人材育成部長やCHROといった担当者、特にハンズオンで携わっている方に、育成プログラムの全体像などを中心に調査を実施しました。
人材育成に関する悩みや課題、取り組みを自由に発言してもらうことで、現状を知りたいと考えたからです。対象企業は人事に関する施策や制度が整っていると考えられる大企業。さらに製造業、非製造業とそれぞれ20社を対象としました。
「グローバル」「DX」「イノベーション」は共通の問題意識
さまざまな問題意識の声が聞かれましたが、中でもリーダー育成について求められるのは、主に次のような内容だと感じました。
・グローバル化とグローバル人材
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
・新規事業創造を起こすイノベーション力
グローバルにおいては、M&Aも含めたクロスボーダー案件の増加により、グローバルな戦略を立案し、かつ実行する人材が求められていることがわかりました。興味深かったのは、そのような人材を外部から招き入れたものの、活かしきれていないことです。
またグローバルとは、単に日本から海外への進出を意味するのではなく、その逆もあります。つまり海外のアセットやナレッジをインバウンドして国内に取り入れる――。このような観点の「グローバル」も意味しており、同じく課題が生じていることがわかりました。
デジタルトランスフォーメーションでは、絶対的に重要であることは理解しているが、そもそも定義があいまいなため、人材要件も漠然としている、との声が聞かれました。
イノベーションにおいては定型的な手法を持っている企業はほとんどなく、志も含め個人や属人的な能力に頼っていることがわかりました。そのため、人材育成だけでなく組織の醸成においても方法論がなく、新しいビジネスをどのように創造していけばよいのかという点に悩んでいる実態も見えてきました。
そもそも、日本の大企業に在籍する人材の多くは、決められた実務を的確に遂行することに秀でた人が多い一方で、世の中に新しい事業やプロダクトを生み出すイノベーション力に優れた人材は少ない。それも企業の役員やトップを含め、そもそも誰も経験していない、わからない、との声が一般的です。
ただアカデミックな立場としては、イノベーションを起こす手法や理論も存在しますから、学ぶべき場はあると言えるでしょう。
その他興味深い内容としては、例えばOJTなどの育成手法などはすでに限界が来ており、自社と大きく異なるカルチャーを持つ企業や人といった「外部の風」を入れないことには、その価値観や視座、スキルなどは育っていかないだろうと、多くの企業が答えていたことでした。
また、コングロマリット(conglomerate)と呼ばれる複合企業体の誕生やカンパニー制に移行するグループ企業、あるいは事業の複雑化により、複数の組織やプロダクトを統括する能力がリーダーに求められていることも課題でした。
なぜなら現在企業や事業のトップを担われているリーダーの多くは、ひとつの事業や事業会社で実績を残し、昇格した方が大半であるため、こうした課題に順応できる人材は極めて母数が少ないからです。そのためリーダー育成の要には、リベラルアーツの素養が必要だと感じます。こうしたトレンドをいち早くキャッチアップして、人材育成に盛り込もうとする企業も増えてきています。
調査を通じて感じたことは、育成の対象ポジションが上がってきた、という印象です。以前であれば幹部育成といっても部長クラスまででした。しかし昨今はそれ以上の役員クラスまでを育成の対象とする事例も増えてきています。その一方で、人材開発への悩みや相談先が少ないとの声も聞かれました。
そのため、ある方面では、タレントマネジメントシステムの重要性が叫ばれており、例えば全従業員向け、選抜された幹部候補人材向けといった細分化や分野によって使い分けをしたいとのニーズも顕在化してきています。それゆえ現在は、タレントデータの集計を行う、関連システムを構築中だという企業も少なくありません。
また、約9割の企業で聞かれたのが、今後増加傾向にあるシニア層への対応です。能力開発はもちろんですが、うまく人材活用・配置を行わなければ組織全体に悪影響を及ぼすだろう、と懸念する企業が多く見られました。
外部人材の招請など5つの「外」を意識することが課題解決のヒントになる
今回の調査を踏まえて、私は以下のような5つの「外」の重要性を提示したいと考えています。例えば、(2)「他流試合」は他社との交流はもちろん、先に紹介したグループ会社にも該当します。(3)「海外の育成資源活用」とは、海外のトップスクールの利用です。
実際、数年前と比べると相当数の企業が、1日1,000万円もの費用がかかるヨーロッパのトップ(リーダー)育成スクールのプログラムなどを利用する傾向にあります。そしてこの流れは大企業だけでなく、零細から中小企業などあらゆる規模の組織に浸透している状況です。
(4)「外国人人材 育成」では、これまでの日本の会社中心、つまり日本人中心の人材育成や研修であったものから、対象を海外の外国人材に広げるという考えです。もちろん幹部育成についても行うことが必要です。実際、取り組む企業も増えています。
最後に(5)「外部招請」について。グローバルレベルで人材育成を導入するためには、経験豊かな外部人材を積極的に招き入れることが必要でしょう。そして、その人物が社内の人材育成をけん引していく――。そのような流れを構築することが大事です。
「やってみなはれ」のスピリットが人財育成の根幹/サントリーホールディングス 田中 憲一氏
サントリーには、創業以来守り続けている経営の価値観でありDNAとも言える「やってみなはれ」という言葉があります。
定義はいろいろありますが、他人が考えないような大きな目標を立て、自らイニシアチブを取って、結果が出るまで最後まで諦めずにやり続ける。このようなスピリットを全社員が胸に抱きながら、日々のビジネスに臨んでいます。
失敗を許容する文化でもあり、「やんちゃ」「おもろい」といったタイプの人財を擁護し、活躍できる環境を整えています。当然、リーダーにはこのような部下の個性や挑戦を受け入れ、後押しできるようなリーダーシップが求められます。
また、創業家が現在も経営に携わっていることもあり、国内に限らずグローバル全体で「大家族」であるという意識を持ち、全社員がそれを大事にしていることも特徴です。
このようなカルチャーをベースに、ワインからスタートした当社の事業は、やがてウイスキー、ビール、清涼飲料、健康食品へと広がっていきました。現在は「Growing for Good」という言葉を掲げ、グループ全体の改革と挑戦を加速。日本発の企業ではありますが、グローバルで評価される組織を目指しています。
実際、M&Aによる海外進出とグローバル化も積極的に進めています。新しく仲間になる企業にも「やってみなはれ」の精神をしっかりと伝え、これがサントリーの根幹であることを浸透させています。そのようなサントリーの理念と海外企業のシナジーにより、既存技術はもちろん新たなブランドや価値観なども生まれてきています。
グローバルネットワークが広がったことで、各地域の人財をサントリー全体の総合力として融合することが重要だと考えており、経営戦略の大きな柱のひとつにしています。考え方としては、各地域、リージョンにおける自律的な事業の推進を行いながら、グローバルとして機能、推進していくような流れで進めています。
全世界を画一的にまとめるのではなく、あくまで現場主導型の組織であり、各地域の、人財、価値観、理念、ノウハウなどを大事にすること。それらがグローバルに流動することで、イノベーションが生まれるような組織を理想に掲げています。
共通のタレント&カルチャーマネジメント基盤を構築
10数年前までは国内中心の人事施策であったのが、先にご紹介したように一気にグローバル展開したことで、人事機能も合わせてグローバル化していきました。
最初は2009年でした。買収した企業の人事担当者と一緒にGlobal HR SteeCoという機能をつくり、グローバル展開を推進。現在では多国籍P&C(Global People & Culture Team)となっています。
Global P&Cのヘッドはニュージーランドで勤務しており、メンバーも多国籍からなるチームです。そしてスライドで示したグローバル共通の、4つのコアフレームワークを展開。このフレームワークを、タレント&カルチャーマネジメントの基盤としています。
EVPはEmployee Value Proposition。サントリーで働く価値を明確に定義。まさに先ほど説明したような、「変えたい未来は自分が率先して、かつ仲間と一緒に実現していくことができる環境」だと定義しています。
Suntory Leadership Spiritは、サントリーらしいリーダーシップであり、幹部や現場に意見を聞きながら再設定しました。こちらも先ほどご紹介したとおり、「やってみなはれ」の精神や関連するスキルやマインドを、明確に定義しています。
Talent Frameworkは8年ほど前に構築しました。グローバル全体で各リージョンのキーポジションや必要なタレント、同じくエグゼクティブクラスのタレントなどを縦横無尽にレビューするタレントレビューメカニズムを整備し、すでに定着しています。
そのため人財はグローバル全体の資産であり、リージョンを超えて共有、レビューするとの意識が根付いています。
育成に関しても同様です。レビューはもちろん、実際にグローバルレベルで異動などを行うことで、次世代の経営人財の育成に取り組んでおり、特に注力事項としています。
人財育成と理念浸透では、2015年に設立したサントリー大学が大きな役割を果たしています。コンセプトの真ん中に、ここでも創業以来脈々と続くサントリーのカルチャーを据えているのがポイントです。
サントリー大学ではいくつかのグローバルなリーダーシップ育成プログラムを展開していますのでご紹介します。ミドルマネージャー以上を対象としたリーダーシップ開発プログラムで、対象ごとに分けています。
さらに、3年ほど前からハーバードビジネススクールと共同でプログラムを開発。当社CEOの新浪剛史も自らのリーダーシップ論を語る講義を持つなど、充実した内容となっています。
アンバサダープログラムでは、1週間程度の期間で創業の精神を浸透させます。これは10年ほど前から取り組んでおり、これまでの受講者は1,000人以上。対象は海外グループ会社のマネージャー層で、帰国後、現地でサントリーの理念が浸透・拡散していくことを目的としています。
将来グローバルリーダーとなり得る“ジャパン籍”若手社員の早期育成を目指しているのが、海外トレーニー制度です。期間は日本での準備も含めると1年5カ月。実際に海外のグループ会社に出向き、異なる価値観を持つ環境の下、まさに「やってみなはれ」の精神でOJTを通じて、専門性のスキルアップや周囲の巻き込み力などを高めていきます。
これまでは年間10~15人ほどを公募でアサインしていましたが、現在はニーズを考慮し25人ほどに増やしています。これまで120人を超える人財が19の国にわたり、プログラムを体験しています。同プログラムを経験したメンバーは成長が目に見えてわかるので、私としては喜ばしい限りです。
昨年からはグローバル事業に興味のある人財が自発的に学べるようにと、サントリー大学の一部として、グローバル学部を立ち上げました。同学部では英語初心者の方から、海外経験が豊富な方までを対象に、さまざまな学びのコンテンツやガイダンスを提供しています。一人一人に合った学びの場を提供だけでなく、キャリアを考える場も用意しています。
まさに先ほど説明したような、サントリーグループやグローバル全体で活躍できる人財の育成を、個人の意思を持って自律的に高められるような環境を整えているわけです。サントリーでは、このように各種施策やプログラムなどを豊富に取り揃えて、未来のリーダー育成に力を入れています。
【池上氏×田中氏】トークセッション/Q&A
――池上先生が提示した5つの「外」についての見解を聞かせてください。
田中 憲一氏(以下、田中氏):私たちサントリーにも体現している要素が実際にありました。「内製から外部活用へ」です。リーダープログラムは当初、内製でつくっていましたが、M&Aによって新たに仲間に加わった企業には同領域のエキスパートの力も借りれるようになりました。ハーバードビジネススクールとの共同プログラムも同様です。
また、「海外の育成資源活用」では、リーダーシッププログラムにおける海外機関とのパートナーシップが該当します。さらに、「外国人材の育成」においては、タレントマネジメントシステムがそのようなメカニズムとなっています。そして、「外部人材の招請」においては、私がまさに該当者ですし、グローバルのチームそのものも混成していますから、これらに該当すると感じています。
池上 重輔氏(以下、池上氏):いきなり実施するとトラブルを招くことがあるので、リードタイムや受け身の取り方を覚えた上で実施するとよいでしょう。そういった意味でもサントリーさんは、先見の明があったと感じています。実は早稲田ビジネススクールが10年以上前に実施したグローバルリーダープログラムに、サントリーさんが参加していたご縁もありました。
――10年がひとつのタームだと。誰が改革をけん引していけばよいのでしょうか。
田中氏:トップの強い意思と長期視点はコアな要素だと思います。それは周辺環境を変える力を持っています。当社の場合は、意図的に変える取り組みも行っていますからね。だからこそコアの部分は変えずに、プログラムを進化させていくことが重要だと考えています。
池上氏:トップが大事なのは間違いありません。一方で、現場で感じている危機感がトップに伝わっていない場合もあり、そうした際にミドルがトップをどのように動かしていくかという「イシュー・セリング」という方法論もあります。
――公募や選抜型の研修プログラムに落選した社員へのフォローについて教えてください。
田中氏:先のトレーニー制度などは、選ばれない人の方が多いのが現状です。そのため地道な作業になりますが、「一度ではなく次もある」ことを、上司なども巻き込みながら丁寧にフォローしています。
池上氏:落選した社員が、自分はどのように改善すれば次につながるのかを明確にすることが大事ですね。「チャンスがあること」、「現在自分に欠けている要素」などを明らかにすることがポイントです。つまり敗者復活ができるということを「見える化」していることが重要だと思います。これまで日本のHRはあまり明示していなかった点ですが、今回インタビューした企業群にはこれらを実践する動きもありました。
――ドメスティックな企業や中小企業が、若い人材を海外に送り出すメリットを教えてください。
池上氏:日本から1ミリも出る意識のないドメスティック企業であっても、現在のビジネスでは海外の影響をまったく受けていない企業はありません。そういった観点から、海外に行く意味は大きいと言えますし、海外とのブリッジとなる人材をマストで育成する必要があります。
若い人材が適しているのは、いわゆる会社の常識や前提に染まり過ぎていないからです。そのため海外から戻ってきたときに、グローバル視点で意見を言える人材に育っています。
田中氏:2つの視点があると考えています。1つ目は若いうちは学びのスピードが早く、レバレッジが利きやすいからと言えます。ですから越境体験を積むことは、早ければ早いほどよいと考えています。
もうひとつは当社の、グローバル企業の視点になりますが、40代でグローバルの一企業のゼネラルマネージャーを担う人財を輩出したい、との考えがあります。実際、M&Aで新たに加わっていただいた海外の企業の幹部にはそういう人財がいます。そのため若いうちからストレッチを与える環境を、意図的につくっています。
――海外の育成プログラムから帰ってきたメンバーのフォローについて教えてください。
田中氏:私自身も海外勤務からの帰任時に感じたことでもありますが、狭い世界に戻ってきてしまったと思うメンバーが少なくありません。そこで次のキャリアについて話し合い、どの役割だとマッチするかなど、メンタリングを含めてしっかりと行います。複合的にアプローチすることが大切だと考えています。
池上氏:アサインメントの不一致などもありますが、海外から戻ってきた後に辞めてしまう人がいるのも事実です。そうならないためには、日本と海外の文化がなぜ異なるのか。しっかりと説明し理解してもらうことで、ストレスレベルを下げることが重要だと思います。
――イノベーション人材の育成について教えてください。
田中氏:イノベーティブな考えや行動力を持った人財を支援・育成する「FRONTIER DOJO」というプログラムを2021年に立ち上げました。いわゆる社内のベンチャーコンテストのような位置付けですが、一度だけで終わるのではなく、コーチから学ぶことでイノベーティブなアイデアをさらに磨き、学びながら何度も挑戦することができます。
池上氏:イノベーション自体は起きているけれども、そのイノベーションをうまく事業化できなかったり、儲かる形で拡張できている企業が少なかったりするというのが、日本企業の現状だと思います。
これまで求められていた、既存事業のオペレーションを管理することに長けた人材育成とは、育成や管理モデルが異なるからです。これまでとはキャラクターが異なる人材をケアできる上司などがいないと、潰れてしまうケースが少なくありません。
田中氏:キャラクターがこれまでとは異なるメンバーを擁護するリーダーの存在は重要です。まさにサントリーの「やってみなはれ」に重なりますが、そのような風土ならびに実際に擁立するリーダーがいてこそ、イノベーションは生まれるのだと思います。
――大企業に比べてアセットが限られている中小企業での育成ポイントについて教えてください。
池上氏:地方銀行や商工会議所などが実施している、各種サポート制度や研修の中には探してみるとよくできているものがあり、それを活用することで比較的安価に育成できる場合があります。ですので、まずはこうした中で探すことをおすすめします。
時折私たちも、地方銀行や商工会議所の育成プログラムの制度設計に携わることがあるなど、以前と比べると格段に質が上がっています。また昨今の特徴としては単に教わるだけでなく、企業とのインタラクティブなやり取りにまで発展しています。
――人材の流出をいかに防ぐか。よいアイデアがあれば知りたいです。
池上氏:処遇、雰囲気など理由はいろいろありますが、先が見えないというのが最大の理由だと考えています。また処遇が多少悪くても、お互いの価値観を認識して尊重し合うような風土があれば離職しないという事例もあります。対策としては、社員の意見に聞く耳を持つなどリテンションプランを作成し、戦略的に行うことです。
田中氏:幸いにも日本のサントリーはこれまで離職率が1%を切っていたので、正直、あまりリテンションを意識する必要がありませんでした。しかし昨今は海外の社員が半数になったことや社員の意識変化もあり、一人一人を分析し、言ってみればオーダーメイドで、リテンション対策をする必要があると考えています。
――外部人材を採用する際の注意点やアドバイスを聞かせてください。
田中氏:スキルは最低限必要ですが、入社前に理念の共感ならびに価値観を、過去の事例などをヒアリングしながら見極めたり、自社の文化とのフィットを検討したりすることが大事だと思います。
加えて、入社してからのオンボーディング期間に、どれだけコミュニケーションに時間をかけられるかということも重要だと考えています。
池上氏:会社のカルチャーも含め、お互いの留意点を共有し確認し合うことは、うまくいっている会社のTipsだと聞いたことがあります。
【取材後記】
将来の予測が困難なVUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代。次世代リーダーの育成は、年次に限らず将来の経営人材となり得る人材を選抜した上で、外部の力を借りながらもグローバルに、そしてビジネススクールといった学びの場を用意することが必要だとわかりました。
今回のセミナーは、次世代リーダー育成を担われる方や、人事が果たす役割、組織へ提供する育成計画のアップデートを検討されている方などにとっては、理論と実践例の双方が学べる貴重な機会になったのではないでしょうか。
取材・文/杉山忠義、編集/鈴政武尊・d’s journal編集部
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