ゆとり世代とは|年齢や価値観の特徴・仕事で関わるポイントを解説

d’s JOURNAL編集部

日本で1987年~2004年に生まれた世代を「ゆとり世代」といいます。

人事・採用担当者としては、「さとり世代とはどのような違いがあるのかを知りたい」「ゆとり世代の特徴や仕事観を把握して、採用や人材育成に活かしたい」などと考えることも多いのではないでしょうか。

この記事では、ゆとり世代の特徴や仕事に対するスタンス、ゆとり世代を育成・採用する際のポイントなどを詳しく紹介します。

ゆとり世代とは

ゆとり世代とは、特定の時期に日本で生まれた世代を指す言葉です。2002年度に施行された学習指導要領により、学習量が削減されたいわゆる「ゆとり教育」を受けてきた世代であることから、「ゆとり世代」と呼ばれています。

ゆとり世代は、1991年には「バブル崩壊」を、2008年には「リーマンショック」を経験するなど、日本経済が低迷した時代に育ちました。また、幼少期~学生時代には、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災の他、台風災害などさまざまな自然災害を経験。このように、ゆとり世代は、厳しい現実を目の当たりにしながら成長してきた世代です。

そうした中で「ゆとり教育」を受けてきたこともあり、「競争意識が低い」「自分のアイデアを大切にする」「プライベートを大切にする」など、人と争うよりも自分らしい生き方を大切にする傾向があるとされています。

まずは、ゆとり世代の年齢や生まれた年、ゆとり世代が生まれた背景を見ていきましょう。

ゆとり世代の年齢・生まれた年

ゆとり世代は、1987年~2004年に生まれ、2023年に19歳~36歳を迎える年齢です。

アメリカの世代分類では、1981年~1996年に生まれた「Y(ミレニアル)世代」の後期、または1997年~2012年に生まれた「Z世代」の前期のいずれかに生まれた方が、ゆとり世代に該当します。

ゆとり世代の年齢・生まれた年

ゆとり世代が生まれた背景

ゆとり世代が生まれた背景を理解するには、「なぜ、ゆとり教育が実施されることになったのか」を知る必要があります。そもそも「ゆとり教育」とは、2002年に施行された新学習指導要領に基づく教育です。

2002年以前は、膨大な学習内容を暗記することで知識を習得する「つめこみ型」の教育制度でした。偏差値重視の「相対評価」がなされ、受験戦争も深刻でした。こうした状況に子どもたちが過度のストレスを感じたことが、いじめや不登校、家庭内暴力などの社会問題を誘発する一因になったとされています。その結果、次第に、当時の教育制度に対して「子どもたちはストレスを感じているのでは」「習得した知識を活かせる思考力を養えていないのでは」といった疑問の声が挙がるようになりました。

そうした状況を受け、政府は従来の「つめこみ型教育」を刷新すべく教育制度の改革に乗り出し、2002年に新学習指導要領を施行。新学習指導要領に基づき、全国の学校で「週休2日制の採用」や「学習内容の30%削減」「科目横断型の総合学習」などを実施。ゆとりのある学校生活の中で、子どもたちの個性・人間性を尊重し、自律性や独創性、想像力などを育む「ゆとり教育」が行われるようになります。それに伴い、従来の偏差値重視の「相対評価」から、子ども一人一人の習得状況にフォーカスした「絶対評価」へと、評価方法も変更になりました。

子どもたちを「競争させない」「追い込まない」教育体制化において、「個性尊重型」の教育を受けたことで、ゆとり世代特有の特徴・価値観が形成されたのです。
(参考:文部科学省『新しい学習指導要領の主なポイント(平成14年度から実施)』)

ゆとり世代とさとり世代の違い

世代の区切り年には諸説ありますが、「さとり世代」はゆとり世代の後期以降(1996年以降)に生まれた世代のことです。さとり世代も、ゆとり世代と同様に、日本社会が不景気な中で幼少期を過ごしてきました。

ゆとり世代とさとり世代は年代が重る部分もありますが、さとり世代は、ゆとり教育が見直され始めた時期に生まれ、学習量の増加や前倒しを行う「脱ゆとり教育」を経験してきた世代と一般的に定義されています。そのため、両世代では考え方や価値観が若干異なります。

ゆとり世代は、受けてきた教育内容から「競争意識が低く、自分のアイデア・意見を大切にする」傾向があるといわれています。一方、ゆとり世代を見て育ったさとり世代は、「他人に左右されず、自分で選択する」という傾向が強いとされており、ゆとり世代よりも合理的といわれることが多いようです。
(参考:『さとり世代とは|年齢や価値観の特徴とゆとり世代との違いを解説』)

ゆとり世代の特徴・価値観

ゆとり世代の特徴・価値観としては、以下の7つが挙げられます。

ゆとり世代の特徴・価値観
●自分のアイデアや意見を大切にする
●多様性や環境問題への理解・関心が高い
●メンタルが繊細な傾向がある
●競争意識・順位への関心が低い
●物事において効率を重要視する
●プライベートを大切にする
●ブランド志向よりコスパ志向が強い

それぞれについて、見ていきましょう。

自分のアイデアや意見を大切にする

子どもたちの創造性を育てることを目的とした「ゆとり教育」は、「問Aの答えはBのみ」といった単一的な正解よりも、「問Aの答えは、BもCもDもあり得る」といった多様な正解を重視するものでした。「私は、こう思う・考える」ということが尊重される教育を受けて育ったため、ゆとり世代は自分のアイデア・意見に自信を持つ傾向が強いといわれています。

加えて、「自分と他者のアイデア・意見は違っていて当然」という認識のもと、自分のアイデア・意見を大切にしつつ、周囲のアイデア・意見も尊重・受容できる傾向もあります。

多様性や環境問題への理解・関心が高い

ゆとり世代は、育ってきた時代背景から、「多様性」や「環境問題」への関心が高いといわれています。IT技術の急速な発展やグローバル化が加速した社会の中で、多くの情報と触れ合いながら成長してきたため、性別や人種、国籍、価値観などの多様性に対する理解度が高い傾向にあります。また、地球温暖化による異常気象やそれを起因とした自然災害を経験する機会が多かったことから、環境問題を自分ごとと捉え、問題意識を持つ方も多いようです。

グローバルな視野の下、実際に「LGBTQの人権運動」や「世界の貧困問題」「リサイクル活動」「フードロスの改善」などに積極的に取り組んでいる方も少なくないでしょう。

メンタルが繊細な傾向がある

ゆとり教育では子どもたちの個性が尊重されてきたこともあり、ゆとり世代は他の世代に比べ、「しかられる」機会が少なかったといわれています。そのため、メンタルが繊細で、ストレス耐性が低い傾向があります。日常生活における些細な出来事や他者の言動・他者からの指摘を重く受け止めてしまうこともあるでしょう。先ほど紹介したように自分のアイデア・意見を大切にする一方で、繊細な心も持っているのがゆとり世代の特徴と言えます。

他の世代の方の中には、ゆとり世代の「メンタルが繊細」という特徴について、マイナスなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、捉え方によっては「感受性が高い」「他者の気持ちをくみ取れる」とも言えるでしょう。

競争意識・順位への関心が低い

先ほど紹介した通り、ゆとり世代教育では子どもたちを「競争させない」ことに重きをおき、「絶対評価」で成績を決めていました。そのため、ゆとり世代は、周囲と競った経験が他世代と比較して少ないです。競わせる要素が希薄な教育を受けたことから、競争意識や順位への関心が低い傾向にあります。社会人になって初めて周囲との競争を経験し、学生時代とのギャップに困惑する方もいるようです。

その反面、ゆとり世代は競争する機会が少ない環境で育ったことで、他者を「ライバル」ではなく「仲間」と捉えることができるといわれています。そのため、競争には興味を示さないものの、「みんなで協力する」「困っている人を助ける」など、チームワークを重視する傾向が見られます。

物事において効率を重要視する

物心ついたころにはインターネットが生活の一部となっていたため、ゆとり世代はインターネットを使った情報収集に長けています。「何かわからないこと・困ったことがあれば、まずはインターネットで最良・最適な答えを検索する」のが習慣化していることから、物事において効率を重要視する傾向があります。

プライベートを大切にする

ゆとり教育のもとでの「週休二日制」や「授業時間の短縮」により、ゆとり世代は学校以外の時間を多く持て、放課後や土日を自分のための時間として費やすことができました。

また、ゆとり世代の前半に生まれた方の幼少期である1990年代は、「ワークライフバランス」が日本で意識されるようになった時期でした。こうしたことから、ゆとり世代にはプライベートを大切にする傾向が見られます。

ブランド志向よりコスパ志向が強い

ゆとり世代には「自分らしさを重視する」という特徴があることから、画一的なイメージのある有名ブランドにはあまり興味を示さない傾向があります。また、幼少期~学生時代に不景気を経験したため、高級ブランドや高級車などの所有により自分のステータスを高めようとする意識も低いといわれています。

そのため、ブランド志向が低く、「良いもの・実用的なもの・自分にとって価値があると感じるものを、安く購入したい」というコスパ志向が強い傾向が見られます。また、ものを「所有」することへの関心が薄く、車や洋服などを「レンタル」することに抵抗がない方も多いようです。

ゆとり世代の仕事に対するスタンス

ゆとり世代の仕事に対するスタンスとしては、以下の3つが挙げられます。

ゆとり世代の仕事に対するスタンス
●指示に対して素直に動くことができる
●合理的な思考を持っている
●ワークライフバランスを重視する

それぞれについて、見ていきましょう。

指示に対して素直に動くことができる

メンタルの繊細さや競争意識の低さもあってか、ゆとり世代は消極的で、自発的な行動は得意としない傾向にあります。そのため、職場では上司・先輩社員の指示がないと動けない、いわゆる「指示待ち人間」となっている方もいるようです。

しかし、それは裏を返すと、適切な指示があれば、素直に動け、真面目に仕事に取り組めるということを意味します。業種・職種によっては、ゆとり世代の素直さ・真面目さを仕事に活かせるでしょう。

合理的な思考を持っている

先ほど、ゆとり世代には「物事において効率を重要視する」という特徴があると紹介しましたが、それは仕事に対するスタンスにも反映されています。

ゆとり世代は、不景気や自然災害を目の当たりにして成長してきましたし、ゆとり教育を通じてさまざまな答えを自ら導き出してきました。そのため、周囲の意見や昔からの慣習などに振り回されず、合理的な思考ができる方が多い傾向にあります。

冷静に状況を判断しながら、効率的に行動できることは、仕事において強みとなるでしょう。

ワークライフバランスを重視する

ゆとり世代には「プライベートを大切にする」「競争心やチャレンジ意欲が低い」といった特徴があるため、ワークライフバランスを重視した働き方を好むといわれています。自分らしく安定して働くことを好み、プライベートの時間を削ってまで仕事に励むという意識は低い傾向にあります。

そのため、「残業や休日出勤は極力したくない」「有給休暇はきちんと取得したい」「職場の飲み会への参加は、必要最低限にとどめたい」といった方が多いようです。

ゆとり世代の人材育成のポイント

ゆとり世代の特徴・仕事観は上述の通りですが、それらを踏まえてどのようにゆとり世代を育成していけばよいのでしょうか。ゆとり世代の人材育成のポイントを紹介します。

目標や業務内容を明確にする

「指示に対して素直に動ける」という仕事へのスタンスとも重なりますが、ゆとり世代は、自ら高い目標を設定することには不慣れなものの、明確な目標があればその実現に向けて努力する傾向があります。そのため、「いつまでに」「どういった状態」を目指すといったように具体的な目標を設定することが、人材育成のポイントです。

なお、自身の目標設定に苦戦するゆとり世代のメンバーに対しては、上司が代わりに目標を設定したり、目標設定についての助言をしたりするなどのサポートが必要となるでしょう。

また、業務に関する指示を出す際には、あいまいで抽象的な説明を避け、5W1Hを意識しながら明確かつ具体的に伝えるのが効果的です。

競争で成長を促そうとしない

ゆとり教育では、競争する機会が少なく、子どもたちは互いを寛容に認め合いながら成長してきました。そのため、他者との競争をあおるような言動は、仕事へのモチベーション低下につながる恐れがあります。「部署内で、営業成績を競わせる」というように競争で成長を促すのは避けましょう

ゆとり世代の成長を促すには、「競争」よりも「協力」を強調することが効果的です。「目標達成に向け、チーム一丸となって頑張ろう」「みんなで頑張れば、●●が実現できます」といった声がけをすることにより、ゆとり世代の仕事へのモチベーションが向上し、成長につながるでしょう。

プライベートに干渉し過ぎない

「プライベートを大切にする」「ワークライフバランスを意識する」といった特徴があることからもわかるように、ゆとり世代は自分の時間・領域を大切にしています。そのため、個人差はあるものの、「他者に自分のプライベートについて語ることに抵抗がある」「上司や周囲の社員とは、なるべく仕事だけの付き合いにとどめたい」という傾向があります。

ゆとり世代と接する際は、プライベートに干渉し過ぎず、極力ドライな関係を心がけ、ほどよい距離感を保つことが大切です。プライベートについて根掘り葉掘り聞いたり、仕事終わりや休日に飲み会・イベントへの参加を強制したりしないようにしましょう。

ゆとり世代の人材獲得に有効なアピール

ゆとり世代の人材を獲得したい場合には、「働き方の多様性」「フラットな組織文化」「キャリアアップの機会」をアピールするのが効果的です。それぞれについて、見ていきましょう。

働き方の多様性

ゆとり世代はワークライフバランスを重視するため、多様な働き方ができる職場を好む傾向があります。在宅勤務制度やフレックスタイム制などを導入している場合には、そのことをアピールするとよいでしょう。また、「全社的に、有給休暇取得率が高い」「リフレッシュ休暇をはじめとする特別休暇がある」など休暇を取りやすい職場であることも、ゆとり世代へのアピールポイントとして有効です。

(参考:『【弁護士監修】在宅勤務の導入方法と押さえておきたい4つのポイント◆導入シート付』『フレックスタイム制を簡単解説!調査に基づく84社の実態も紹介』『特別休暇の定め方―どんな条件で何日取得可能?就業規則は?|申請書フォーマット付』)

フラットな組織文化

「しかられた経験が少ない」「競争よりも協力を重んじる」といった特徴から、ゆとり世代は「上下関係が厳しい、縦割りの組織文化」よりも、「フラットでオープンな組織文化」を求める傾向があります。そのため、「立場に関係なく、意見を自由に出せる」「人間関係が良好で、社員が協力し合っている」などをアピールするのが効果的でしょう。

一方で、どのような組織文化を有する企業なのかを文章のみで伝えるのは、容易ではありません。実際に働く社員の声や職場の様子を、写真や動画を使って紹介することをお勧めします。そのような方法でアピールすることにより、ゆとり世代は職場の雰囲気をイメージでき、応募へとつながっていくでしょう。

キャリアアップの機会

日本経済が不景気な状況が続く中で成長したこともあり、ゆとり世代は将来への不安から、「周囲との競争は望まないものの、自身のキャリアアップを図りたい」という意識が強いといわれています。そのため、キャリアアップの機会があることをアピールするのが効果的です。具体的には、「社内研修の充実」や「外部講座受講費の補助」「社内公募・FA制度」などをアピールするとよいでしょう。

また、キャリアの道筋である「キャリアパス」が明確な場合や、定期的に「キャリア面談」を行っている場合には、それらもアピールポイントとして有効です。

(参考:『キャリア開発が企業にとって必要な3つの理由と、その手法・取り組み事例について』)

まとめ

ゆとり世代には、育った時代の影響から、「自分のアイデアや意見を大切にする」「競争意識・順位への関心が低い」「プライベートを大切にする」などの傾向があるようです。

人材育成においては、「目標や業務内容を明確にする」「競争で成長を促そうとしない」といったことを意識する必要があります。採用する際は、ゆとり世代の特徴や仕事へのスタンスを把握した上で、自社の「働き方の多様性」や「フラットな組織文化」「キャリアアップの機会」をアピールするとよいでしょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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