【弁護士監修】在宅勤務の導入方法と押さえておきたい4つのポイント◆導入シート付

五三法律事務所 士 第二東京弁護士会所属

猿渡 馨(えんど かおる)弁護士【監修】

プロフィール

出社せずに自宅で業務を行う「在宅勤務」。テレワークの一つとして分類され、子育てとの両立や多様な働き方の実現を目的として、在宅勤務制度の導入を進める企業も増加しています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大や東京オリンピック・パラリンピック開催などを見据えた制度としても、注目を集めています。
(参考:『「テレワーク」とは。働き方改革に向けて知っておきたいメリット・デメリットや実態』)

在宅勤務を表す英語表現は「work from home」などとシンプルですが、近年は在宅勤務がより一般的になったことで「WFH」と略されるケースもあるようです。柔軟な働き方として浸透しつつあるものの、実際に在宅勤務制度を導入する際の手順に悩む企業も多いのではないでしょうか。ここでは、在宅勤務制度を導入する際に押さえておきたい社内ルールの設定や労働時間の管理方法、また、従業員同士でのコミュニケーションの取り方などのポイントをご紹介します。

在宅勤務制度の導入方法

初めて在宅勤務制度を導入するとき、企業はどのような手順を踏めばよいのでしょうか。在宅勤務の実施までには検討するべき事項が多くあるため、あらかじめ全体像を把握して計画的に進める必要があります。ここでは導入にあたってのプロセスをご紹介します。

在宅勤務制度の導入方法
(経済産業省『テレワークに関する社内ルール作り』より作成)

フロー①:在宅勤務の導入目的を明確にする

まずは在宅勤務を導入する目的を明確にしましょう。目的は企業によってさまざまですが、例として「オフィスコストや交通費などの経費削減」「通勤ストレスの削減による生産性向上」「多様な働き方の実現による優秀な人材の確保」などが挙げられます。「在宅勤務を導入することで、自社では何を目指したいのか」を具体的に考えることが重要です。

フロー②:適用する業務・役割の範囲を決定する

在宅勤務制度を適用する「業務」や「部署」「役割」など、在宅勤務制度の対象となる範囲について検討します。現場での作業を要するものは在宅勤務に適しませんし、個人情報をはじめとする重要な情報を取扱う業務については導入に際してセキュリティ上の問題がないかなど、慎重に検討すべきでしょう。社内のどの業務であれば在宅勤務によって大きなメリットが得られるのかを検討することが大切です。

フロー③:就業規則の改正を検討する

就業規則において、就業場所、労働時間などの労働条件が在宅勤務の場合にも適合している場合は、既存の就業規則のままでも在宅勤務の導入を進めることができます。しかし、在宅勤務に掛かる費用(通信費など)を従業員が負担する場合や、在宅勤務にあわせて新たにフレックスタイム制を採用する場合など、既存の労働条件の追加・変更等がある場合には、就業規則の変更が必要となることがあります。まずは現状の「就業規則」や「在宅勤務に関する規程」を確認し、既存の労働条件のままで導入が可能かを検討しましょう。

なお、就業規則を変更する場合、常時10名以上の従業員を雇用する企業は労働基準監督署への届け出も忘れずに行いましょう。
(参考:厚生労働省『テレワークモデル就業規則』)

フロー④:全従業員へ説明会を実施する

企業に在籍する全従業員に対し、在宅勤務制度についての説明会を開催し周知します。在宅勤務を一部の従業員にのみ適用する場合でも、対象者の上司や同僚から十分な理解を得ることが重要です。特に在宅勤務を導入する「目的」や「必要性」、「在宅勤務時の労働条件」については十分に説明を行い、従業員から理解を得ておくべきでしょう。また在宅勤務対象者には、説明会だけでなく導入研修を実施することも有効です。その場合、在宅勤務時に使用するツールの操作について事前に研修を行い、対象者全員が利用できていることを確認しましょう。

フロー⑤:在宅勤務対象者へ労働条件を明示する

企業は、労働契約の締結に際し、従業員に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないものとされています(労働基準法第15条第1項)。就業場所はもちろんのこと、労働時間や賃金など、在宅勤務時にどのような条件の下で働くことになるのかを対象の従業員に明確に伝えましょう。

また、変更した内容について従業員に明確に伝えることは、従業員の制度への理解を促し、後のトラブルを防ぐためには重要です。口頭での説明だけでなく、労働条件変更内容に関する説明を記載した書面の交付等を行うことで認識を共有して、在宅勤務導入後のトラブル防止にもつなげましょう。

ポイント①:社内ルールの設定

在宅勤務制度を導入する際は、社内ルールを明確にし、徹底することが重要です。ここでは、在宅勤務制度を新たに導入し、労働条件に追加・変更が生じる場合に不可欠な就業規則や在宅勤務規程の定め方について紹介します。

就業規則・在宅勤務規程の書き方

在宅勤務に関する規定を「既存の就業規則に盛り込む」か「新たに在宅勤務規程を作成」するかは企業の判断によりますが、既存の就業規則の内容に照らして、どちらの方法によれば分かりやすいかという観点から、選択すれば良いでしょう。

就業規則・在宅勤務規程の書き方
(経済産業省『テレワークに関する社内ルール作り』より作成)

新たに在宅勤務規程を作成する場合は、就業規則から当該規程に対し、在宅勤務時における具体的な労働条件の定めを委任し、規程の位置付けを明確にすべきでしょう。

就業規則での委任規定の記載例

■在宅勤務
従業員の在宅勤務に関する事項については、この規定に定めるもののほか、別に定めるところによる。

在宅勤務規定に記載する具体的事項

・目的
・定義
・対象者
・利用申請
・服務規律・情報の取り扱い
・労働時間(変更がある場合)
・休憩(変更がある場合)
・所定休日(変更がある場合)
・時間外労働(変更がある場合)
・出退勤管理
・賃金・費用負担・情報通信機器等の貸与
・年次有給休暇(取得単位に変更がある場合)

「事前に検討した在宅勤務制度導入の目的や、対象者などの記載に漏れがないか」「初めて見る人でも誤解が生じない内容か」を見直しながら作成しましょう。

※上記厚労省パンフレットを参考にモデル規定を作っておりますが、各社の状況に応じて適宜ご変更の上、ご利用ください。
(参考:厚生労働省『テレワークモデル就業規則』)

交通費・手当の扱い

「通勤手当」は、その性質上、従業員の在宅勤務期間中、支給しないという選択が合理的と考えられるでしょう。しかし、単に全従業員を対象として一定額の手当を一律支給するものとしている場合など、就業規則や賃金規程における支給要件が不明確である場合には、在宅勤務の対象者についても、企業が通勤手当等を支給すべき義務を負う可能性があるため、支給要件を明確化すべく適切に就業規則等の変更を行うべきでしょう。また、在宅勤務の期間中に企業側の都合により出社の必要が生じうる場合には、出社した日数分のみ支給する等支給要件の具体化を図ると良いでしょう。

「皆勤手当」については、支給要件に在宅勤務と通常勤務の従業員の区別がない場合、在宅勤務の対象者に対しても支給する必要があります。この際、在宅勤務者の勤務状況を把握するための方法についても検討が必要です。

その他の手当がある場合でも、支給要件から在宅勤務の対象者への支給の要否の判断が容易であることが重要であり、疑義が生じるものについては適切に支給要件を変更するべきでしょう。
(参考:『【弁護士監修】固定残業代とは?人事がおさえるべき考え方や算出方法・注意点について』)

光熱費・電気代・通信費はどうする?

テレワークに関わる費用を誰が負担するのかについては企業ごとに明確なルールをつくり、トラブルが起きないよう従業員に対して説明する必要があります。労働基準法第89条第5号によれば、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」を就業規則に規定しなければならないとされています。そのため、就業規則の届出義務がある企業が、在宅勤務による費用を従業員に負担させる場合は、必ず就業規則またはこれと一体となる規程においてその旨を規定し、管轄の労働基準監督署へ届出なければなりません。

在宅勤務導入によって発生する費用の例

・情報通信機器の費用
・通信回線費用
・文具、備品、宅配便等の費用
・水道光熱費

在宅での勤務となる場合、プライベートで使用するものも多いため、全額負担か一部負担かは企業によって異なります。「在宅勤務手当」として一定額を組み込むなど、費用負担の定めを明確にしましょう。

フレックスタイム制との併用

在宅勤務においてもフレックスタイム制の活用が可能です。既にフレックスタイム制を導入している企業の場合、併用して在宅勤務制度を運用することで、従業員は自分の予定に合わせて始業・終業時間を決めることができます。ただし、企業が従業員ごとに正確な就業時間を把握する仕組みを作る必要があることに変わりはありません。
(参考:『フレックスタイム制を簡単解説!調査に基づく84社の実態も紹介』)

ポイント②:給料や手当はどうする?

従業員が在宅勤務を行う場合においても、「労働基準法」「最低賃金法」「労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法」といった労働基準関係法令が適用されます。そのため、在宅勤務制度の導入にあたっては、各法律に基づいて各労働条件を規定する必要があります。ここでは、在宅勤務時の給与や保険、各種手当の取扱いについて説明します。

年次有給休暇の扱い

年次有給休暇は、在宅勤務であってもオフィス勤務の場合と同様に計算し、付与する必要があります。

また在宅勤務中は、従業員が私用などで業務から一定時間離れる「中抜け時間」が生じやすいと言われています。中抜け時間について、企業が業務を指示しないこととし、従業員が労働から離れて自由にできる時間として保障されている場合は、その開始と終了の時間を報告させる等により、休憩時間として取り扱うことも可能です。もっとも、この休憩時間としての取扱いにより始業時間の繰り上げや就業時間の繰り下げ等が生じ、始業時刻や終業時刻の変更が行われることがある場合には、その旨の就業規則の定めが必要となります。また、この中抜け時間を、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも考えられますが、その場合には、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定の締結が必要となります(労働基準法第39条第4項)。
(参考:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン P8』)

給料はどうする?

基本給の減額は、労働条件の不利益変更に該当するため、在宅勤務の対象者について基本給の減額を伴う就業規則の変更を行う場合には、原則として従業員からの同意の取得を要します(労働契約法第9条)。また、当該就業規則の変更に合理的な理由が存在する場合には、使用者の一方的な就業規則の変更により、在宅勤務の対象者について、基本給の減額を行う余地がありますが(同法第10条)、基本給の減額は従業員に対する不利益の程度が大きいことが予想されるため、合理的な理由が容易に認められるものとはいえず、変更には相当程度慎重な検討が求められるでしょう。

労災の扱い

在宅勤務の場合も労働者災害補償保険法の適用対象となり、業務災害があった際に保険給付を受けることができます。業務災害とは「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」を意味し(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号)、私的行為が原因となって起きた災害は「業務災害」としては認められません。「業務行為」と「私的行為」を区別するためにも、「業務時間と私的時間の区別」「業務時間」「業務場所」については、明確なルールを設けておくとよいでしょう。

在宅勤務で「業務災害」と認められた例

所定労働時間に自宅でパソコン業務を実施。トイレに行くため作業場所を離れ、作業場所に戻る際に、椅子に座ろうとして転倒。
→「業務行為」に付随する行為に起因しており、「私的行為」によるものとも認められないため、業務災害と認められた。

(参考:厚生労働省『テレワーク導入のための労務管理等Q&A集 P20』)

ポイント③:労働時間をどう管理する?

在宅勤務制度を導入する場合であっても、企業は従業員の労働時間を適切に管理する責務を有しているため、従業員の労働時間を把握していなければなりません。特に、タイムカードなどで出退勤を管理している場合は、在宅勤務の対象者についてそのままでは労働時間の管理を行うことができないため、別の方法を検討する必要があります。ここでは、在宅勤務での労働時間の管理方法について、3つに分けてご紹介します。

なお、以下の管理方法を採用する場合であっても、企業は従業員に対して、正しく労働時間を把握する必要がある旨をきちんと説明し、場合によっては労働時間の実態調査等を実施することにより、実際の労働時間と以下の管理方法により把握される労働時間との乖離が生じないよう適切な措置を講じるべきでしょう。
(参考:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』)

方法①:出勤退勤メールによる管理

始業や終業、休憩の出入りの際に、メールで連絡する方法です。メールを利用した労働時間管理は、「使い慣れている従業員が多い」「担当部署内など複数人に勤務状況を共有できる」といった特徴があるため、テレワーク実施する企業で多く利用されているようです。普段使用しているチャットツールがあれば、それを活用してもよいでしょう。利用するときは、連絡するタイミングや送り先などの明確なルールを設け、周知することが重要です。

方法②:Web勤怠管理システムの導入

クラウド上で勤怠管理ができるツールに、始業・終業時刻を入力する方法です。Web勤怠管理システムには、「従業員の勤怠データを一括で管理できる」「給与処理に連携しているツールもあり、業務効率化にもつながる」といった特徴があるため、大人数の従業員が在宅勤務をする際に適しています。また、「パソコン」「スマホ」「タブレット」といった、さまざまなデバイスから打刻ができるものもあり、働き方によって選択することができます。システムによって搭載されている機能が異なるので、自社に合ったシステムを選ぶことが必要です。

方法③:スケジュール共有

カレンダーツールなどを利用し、従業員の1日のスケジュールを把握する方法です。在宅勤務をする従業員に、「休日」や「長時間の離席予定」、「その日の業務タスク」といったことをできるだけ詳細に記入してもらうことでスケジュールの可視化ができます。また、在宅勤務の作業効率を上げるためには、「従業員が集中したい時間帯」や「連絡を取りやすい時間帯」も共有し合うことで、緊急のミーティングなどの予定が立てやすくなるでしょう。

ポイント④:どうコミュニケーションをとる?

在宅勤務を導入することで、同僚や上司とのコミュニケーションの頻度が減少することもあるでしょう。チームで業務に当たっている場合は、遠隔で業務を行うことで認識の相違が生じる可能性もあります。ここでは、在宅勤務で取り入れたいコミュニケーション方法をご紹介します。

方法①:チャットツール

チャットツールを利用することで、離れていても手軽に情報を共有でき、従業員同士のオープンなコミュニケーションが可能です。また、チャットツールでの会話は、メールでは必須とも言える「かしこまった挨拶」を省略できるため、よりリアルタイムでスピーディーなやりとりができます。コミュニケーションを活発にするために、絵文字やスタンプを活用することも効果的です。

方法②:Web会議

共有する情報が多いときや、テキストだけで内容を共有しにくい場合は、Web会議ツールを利用するとよいでしょう。相手の顔を見て会話ができるため、表情や口調からのニュアンスが伝わりやすく、齟齬が生まれにくいといったメリットもあります。Web会議ツールには、1対1だけでなく大人数での会議も可能なものなど、さまざまな種類があるので、会議への参加人数やミーティングの内容によって使い分けましょう。

方法③:オンライン朝礼・終礼

従業員のモチベーション向上や、一体感のあるチームづくりのために「朝礼」や「終礼」を行っている企業も多いのではないでしょうか。顔を合わせる機会の減少によるコミュニケーションロスを回避するためにも、オンライン上で始業終業時に顔を合わせて挨拶するのもよいでしょう。ビデオカメラで顔を合わせることが難しければ、メールやチャットで報告するのもお勧めです。朝礼では「その日の予定や役割分担の確認」、終礼では「残っているタスクの確認」をするなど、あらかじめ議題を決めておくことで、お互いの状況を把握することもできます。また、在宅勤務をする従業員がプライベートから仕事へ切り替えるきっかけとしても有効です。

在宅勤務制度のメリット・デメリット

在宅勤務制度は、従業員の柔軟な働き方を可能にする一方で、企業にとってはどのような効果や課題があるのでしょうか。ここでは、在宅勤務制度導入におけるメリット・デメリットと、デメリットに対して意識しておくとよいことをご紹介します。

在宅勤務のメリット

企業のメリットとして、「定着率の向上」「経費削減」「事業継続性の確立」などが挙げられます。たとえば、育児や介護をしている従業員は、従来の労働時間や通勤時間の確保が難しく、退職を考える可能性もあります。在宅勤務制度を導入すると、プライベートと仕事を両立しやすくなるため、退職防止策としても有効です。また、従業員の就業場所が自宅となることで、オフィスの光熱費や設備費、通勤手当などを削減することができます。このほか、万が一、災害によってオフィスが大きな被害を受けた場合も、さまざまなエリアで在宅勤務をする従業員がいることで、事業の継続が可能になります。インフルエンザなど、感染症の流行時にも同様の効果が期待できるでしょう。緊急時のリスクを分散させることで、経営への影響を最小限に抑えることができます。

在宅勤務のデメリット

デメリットとしては、「コミュニケーション不足」「セキュリティ面のリスク」「評価が難しい」などがあります。在宅勤務を導入することにより、従業員同士の会話は自然と減るため、情報共有が遅れたり、従業員が在宅勤務中に疎外感を感じたりする可能性もあります。上記でご紹介した「コミュニケーションの取り方」のほかに、定期的に出社日を設けることも有効です。仕事を自宅に持ち帰るため、情報漏えいといったセキュリティリスクへの対策も考えておく必要があります。アクセスに制限ができるオンラインストレージの活用やセキュリティポリシーの見直し、従業員のセキュリティ意識を醸成させることも大切です。

また、在宅勤務の場合は実際に働いている姿が見えないため、これまでの人事評価では適切に評価できない可能性があります。「在宅勤務で、現状の人事評価制度の運営が可能か」を今一度見直してみましょう。
(参考:『人事評価制度の種類と特徴を押さえて、自社に適した制度の導入へ【図で理解】』)

在宅勤務制度の活用事例

在宅勤務をより効果的に運用するためには、運用後のイメージを持っておくことが大切です。ここでは、実際に在宅勤務制度を導入している企業の事例をご紹介します。

事例①:さくらインターネット株式会社 ~チャットツールを活用し、在宅勤務者のアウトプットを見える化~

1996年の創業からデータセンター事業を中心としたインターネットサービスを提供している、さくらインターネット株式会社では、2016年に「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」という働き方の制度を導入しました。その中の一つに「どこでもワーキング」という、自宅を就業場所として選択できる制度を設けています。「在宅勤務者の成果が見えにくい」という課題に対しては、業務報告や個人の状況をチャットツールで報告する文化をつくることで、在宅勤務でも個々のアウトプットの見える化を行っています。また、会議が減ったことをきっかけに、チーム内や上司からの承認事項はオンラインで同意を得るように改善し、業務効率の向上にもつなげているようです。
(参考:『働きがいのある会社へ-。社員の声を受け止め、性善説に転換したさくらインターネット』)

事例②:ソフトバンク株式会社 ~全社員が活用できるように整備~

ソフトバンクでは当初、育児・介護の必要な社員だけに限り在宅勤務制度を提供していました。それを2017年から範囲を拡充し、2018年度より全社で導入しています。2019年10月現在では前日までに上長に申請することで、原則月5日まで、全部署で在宅勤務ができるようにしています。
(参考:『ソフトバンク流、自社らしさを追求したリテンションマネジメント【セミナーレポート】』)

【まとめ】

在宅勤務制度を導入によって柔軟な働き方が可能となり、生産性の向上や労働力の確保といったさまざまな効果が期待できます。円滑に導入するためには、事前に導入目的や適用範囲、社内ルールなどを明確にし、従業員に対してガイドラインを周知することが大切です。また、より有効な制度として運用できるよう、制度導入後には定期的に見直しを行い、自社にとっての最適化を目指しましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/unite株式会社、編集/d’s JOURNAL編集部)

在宅勤務制度導入支援シート【5つの導入ステップを確認】

資料をダウンロード