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【行政書士監修】入管法改正で何がどう変わるか簡単解説!企業が対応すべきことまとめ

PROFILE

行政書士法人第一綜合事務所

代表社員 若松 直【監修】

2010年に行政書士事務所を開業。外国人の在留関連業務に特化し、2018年は約3,000件のビザ相談を受ける。教育機関、企業などの顧問を多数歴任。大学の客員准教授などを経て「多様化する外国人雇用手法・管理方法」をテーマに、全国各地で多数の講演実績を持つ注目の行政書士。

2019年4月に改正入管法が施行され、外国人労働者の受け入れが可能となりました。新たな在留資格「特定技能」により、実質的な単純労働に従事することを目的とした外国人労働者の受け入れが、日本で始まります。これを受けて、外国人労働者を雇用する企業側は業務面だけでなく、生活面でもサポートする義務を負うことになります。企業が外国人労働者を雇用するためには、何に注意し、どのような対応が必要になるのでしょうか。この記事では、法案の内容や企業が対応すべきことを簡単に解説していきます。

入管法改正で、何がどのように変わったのか?

入管法の正式名称は「出入国管理及び難民認定法」といいます。この入管法により、日本国籍を持たない外国人は日本政府の許可がなければ日本に入国することはできません。観光や留学、就労など、どのような理由であっても日本に入るためには許可が必要だということです。

2019年4月に入管法が改正される以前には、外国人労働者の受け入れは原則として専門的・技術的分野に限定されていました。たとえばシステムエンジニアや大学教授、企業の経営者などの高度な知識や技術を持っている外国人のみを対象に、労働者としての受け入れが認められる状態だったのです。しかし、日本で学んだ知識や技術を母国に伝えることを目的とした外国人技能実習生や、日本に勉強に来ている外国人留学生が労働力確保の手段として雇用されている実態が問題となったケースもあります。

今回の入管法改正では、これまで就労を認めていなかった業種に関しても受け入れを認め、今まで以上に外国人労働者の間口を広げていくために、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つが新たに在留資格として設けられました。

特定技能については後ほど詳しく説明しますが、在留資格が新たに設けられたことで、これまで定められていた専門的・技術的分野に限らず、一定の要件を満たすことで就労資格を得ることが可能になりました。
つまり、外国人労働者を幅広く受け入れることができるようになったということです。政府はこの改正によって、5年間で最大34万5000人の外国人労働者の受け入れを見込んでいます。

入管法の主な改正点

改正前改正後
日本において就労できるのは高度な知識や技術を持っている外国人のみ(外交、法律、医療、教育などの在留資格17種類)これまで認められていた在留資格17種類に加え、人材不足の14業種を対象にした「特定技能1号」と「特定技能2号」を新設

(参考:出入国在留管理庁『入管法及び法務省設置法改正について 改正法の概要』)

入管法はなぜ改正されたのか?

入管法改正の背景の1つには、少子高齢化による労働力不足があります。総務省が公表している『平成28年度版 情報通信白書』によりますと、2015年の生産年齢人口は7,592万人となっており、2000年以降減少しています。生産年齢人口とは、日本国内の労働力となる15歳以上65歳未満の人口のことですが、1995年の生産年齢人口8,716万人と比較すると、20年間で1,000万人以上も減っていることがわかります。今後もこの減少は続くと予測されており、2030年には6,773万人にまで減少、2060年には4,418万人とさらに減っていくことが推計され、ますます働き手の減少が深刻化していくでしょう。

また、労働力が東京などの都市部に集中し、地方が過疎化していることも問題になっています。将来を担う若い世代が、進学や就職を機に地方を離れてしまうため、特に農業や水産業などの第一次産業分野で人手不足に陥っている状況です。このような労働力不足の解決策の一つとして考えられたのが、外国人労働者の受け入れ拡大ということになります。

生産年齢人グラフ

生産年齢人グラフ

すでに日本国内の外国人労働者の数は年々増加傾向にあり、2017年には約128万人と前年より18%増加しています。入管法が改正されたことによって、今後ますます外国人労働者が増えていくことが予想されます。

外国人労働者数グラフ

外国人労働者数グラフ

入管法において、指摘されている問題点

労働力不足の対応策といわれている入管法ですが、問題点もあります。

法改正されたものの、地方自治体や企業の受け入れ態勢の整備が遅れていることです。外国の人材の受け入れ・共生に際し、日本でどのように暮らしていけばよいのかといった生活に関する情報を、外国人労働者にも提供していく必要があります。今後、生活全般の情報提供や相談を多言語で実施する一元的窓口の設置や、外国人労働者の受け入れに対する地方創生推進交付金による支援などが予定されていますが、整備が追いついていないのが現状です。
(参考:法務省『外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策』)

現状はまだ入管法が改正されて間もないことから、表面化している問題は少ないですが、今後、支援機関の規制の問題などが出てくる可能性もあります。

新しい在留資格、特定技能とは?

特定技能とは、在留資格の1つです。2019年4月に入管法が改正されるまでは、外国人が日本で働くためには次の条件がありました。

留学生アルバイトが可能な時間は週28時間以内(残業時間含む)
教育機関の学則で定められた長期休業期間は1日8時間以内
※留学生の就労には、資格外活動の許可が必要なのでご確認ください
技能実習生農業や建設業、食品製造などの分野において最大5年間の滞在が可能。目的は日本の知識や技術を学び、母国に伝えること
専門的・技術的分野エンジニアや大学教授、経営者や弁護士などの高度な専門知識や技術が必要な17種類の在留資格保持者に限定

法改正により、この3つのケースに加えて、特定産業分野において一定の技能水準を満たした外国人労働者を受け入れるために「特定技能1号」と「特定技能2号」が新たに設けられました。特定技能1号を取得するためには、各業種の所轄省庁が作成した試験に合格するか、もしくは技能実習生として3年間の経験が必要になります。特定技能2号は、さらに水準の高い試験の合格が必須です。

特定技能1号と特定技能2号の違いとは

特定技能1号と特定技能2号の大きな違いは、在留期間です。特定技能1号は在留期間が通算5年までとされていますが、特定技能2号はそのような制限がありません。また、通算で5年しか日本にいられない特定技能1号は、基本的に家族の帯同は認められていませんが、特定技能2号は家族の帯同が可能です。しかし特定技能2号に関しては、現段階で制度運用が始まっておらず、実際に受け入れが開始されるまでに1~2年程度かかる見通しです。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号特定技能2号
在留期間

1年、6か月または4か月ごとの更新
※通算5年が上限

3年、1年または6か月ごとの更新
※在留期間に制限なし

技能水準

各分野の技能試験で確認
(技能実習2号を良好に修了した者は免除)

各分野の技能試験で確認

日本語能力水準

日常会話や業務に必要な日本語能力を日本語試験などで確認
(技能実習2号を良好に修了した者は免除)

試験等での確認は不要

家族の帯同

基本的に認められない

要件を満たせば可能(配偶者・子)

機関による支援

対象

対象外

特定技能でどのような仕事ができるのか?

では、特定技能1号・2号はどのような外国人に与えられる在留資格なのでしょうか。入管法は次のように定めています。

特定技能1号特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能2号特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

(引用:出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について

母国における学歴は不問ですが、特定技能2号の方が特定技能1号よりも高い技能が求められます。

特定産業分野に含まれる業種は、以下の14分野です。

・介護
・ビルクリーニング
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・建設
・造船・舶用工業
・自動車整備
・航空
・宿泊
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業

つまり、特定技能1号の在留資格を持っている場合、これらの14分野の業種であれば仕事に就くことができます。一方、特定技能2号になると、この14分野のうちで受け入れが可能なのは、建設と造船・舶用工業の2分野のみです。ただし、分野ごとに従事できる業務が決められていますので、分野別運用方針で定められていない業務には従事できません。たとえば介護分野の場合、利用者の入浴や食事、排せつの介助というような身体介護のほか、これに付随するレクリエーション実施などの支援業務は実施可能ですが、訪問サービスは対象外になっています。他にも建設分野の場合は、従事できる業務は左官や屋根ふき、内装仕上げなど11個の区分に限られています。特定技能の在留資格を持った外国人労働者の受け入れを検討している企業は、自社の事業分野で従事可能な業務を、事前に確認しておく必要があります。

(参考:出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について』分野別運用方針について)

特定技能外国人を雇用するには

実際に企業が特定技能外国人の受け入れをする場合、どのような手続きが必要になるかを確認しておきましょう。特定技能外国人を受け入れ、支援する企業のことを「特定技能所属機関(受入れ機関)」といいますが、この「受入れ機関」になるためには、次の4つの基準を満たす必要があります。

①労働時間が日本人と同等、または報酬額が日本人と同等以上など、外国人と締結する雇用契約が適切であること
②労働法令違反がないなど、受け入れ機関自体が適切であること
③外国人が理解できる言語での支援が可能など、外国人の支援体制が整っていること
④生活オリエンテーションや公的手続き機関への同行、日本語学習機会の提供など、外国人を支援する計画が適切であること

上記全ての要件を満たすことで、企業は特定技能外国人を受け入れることができます。

また、「受入れ機関」には義務も発生します。これらを怠ると外国人の受け入れができなくなるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令などを受けることがあるため、注意が必要です。

①取り決めた報酬を適切に支払うなど、外国人と締結した雇用契約を確実に履行する
②外国人への支援を適切に実施する(登録支援機関に委託することも可能)
③出入国在留管理庁への各種届出は期日を守って提出する

では、特定技能外国人が就労開始するまでに、どのようなフローが必要になるのでしょうか。すでに日本国内に在留している外国人を受け入れるケースと、これから来日する外国人を受け入れるケースでは、多少手続きが異なります。

ケース①:日本在留者の手続きフロー

日本在留者

まずは日本国内に在留している外国人を受け入れるケースです。

受け入れる外国人と特定技能雇用契約を締結した後、在留資格変更許可申請に必要な「1号特定技能外国人支援計画」を策定します。1号特定技能外国人支援計画とは、日本で働く外国人に対して、仕事以外に日常生活や地域社会の一員として生活していくにあたり、どのような支援を実施するか計画を立てるものです。支援計画の主な記載内容については、省令により10項目が定められています。具体的には、銀行口座の開設手続きの補助や役所手続きの同行、日本のルールやマナーを説明することなどが挙げられています。詳細は『在留資格「特定技能」について(出入国在留管理庁)』もご参照ください。

「受入れ機関」のみで外国人支援を行うことが難しい場合には、登録支援機関に外国人支援の全部または一部を委託することも可能です。その場合は、登録支援機関と委託契約の締結をしましょう。
次に地方出入国在留管理局にて、在留資格変更許可申請をするために作成した支援計画を提出します。申請は原則外国人本人が行います。

そして無事、在留資格の変更許可が下りたら就労開始です。日本で生活する上でのルールやマナー、公共機関の利用の仕方などを説明する生活オリエンテーションの実施や、日本語学習の機会提供などの各種支援を計画通り行い、雇用契約の変更や支援計画の変更、実施状況などの各種届出は、期日を守って行いましょう。

ケース②:来日外国人の場合の手続きフロー

来日外国人の場合の手続きフロー

海外から来日する外国人を受け入れる場合にも、外国人労働者と特定技能雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画を策定するまでの流れは同じです。その後、地方出入国在留管理局にて作成した支援計画を提出し、在留資格認定証明書交付申請をしましょう。在留資格認定証明書を受け取ったら外国人に送付し、入国のための手続きを実施してもらいます。無事日本に入国した後は就労開始となりますので、生活オリエンテーションなどの各種支援は入国後に遅滞なく行いましょう。

契約時に注意すること

特定技能外国人と契約するにあたり、注意すべきポイントが幾つかありますので、企業の人事・採用担当者の方はしっかりと内容を押さえておきましょう。

届出方法は?

「受入れ機関」が行う届出には、随時届出が必要なものと四半期ごとに届出が必要なものに分けられます。各種届出は、管轄の地方出入国在留管理局の窓口へ直接持参、または郵送での提出が可能です。きちんと届出をしなかったり、虚偽の内容を届け出たりすると、指導や罰則の対象となりますので注意が必要です。

随時届出が必要なもの・特定技能雇用契約に係る届出(新たな契約の締結、変更、終了した場合)
・支援計画変更に係る届出
・登録支援機関との支援委託契約に係る届出(新たに締結、変更、終了した場合)
・特定技能外国人の受入れ困難に係る届出
・出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為(不正行為)に係る届出
定期的に届出が必要なもの
※四半期ごとに
翌四半期の初日から14日以内に届出
・特定技能外国人の受入れ状況に係る届出(特定技能外国人の受入れ総数、氏名や性別などの情報、活動を行った日数や場所、業務内容など)
・支援計画の実施状況に係る届出(相談内容および対応結果など)
・特定技能外国人の活動状況に係る届出(報酬の支払状況、離職者数、行方不明者数、安全衛生に関する状況や受入れに要した費用の額など)

それぞれの届出書様式は法務省『出入国管理及び難民認定法関係手続』からご確認ください。

雇用するにあたり整えるべきこと

特定技能外国人を受け入れるにあたり、企業には次の3つの対応が求められます。

整えるべきこと

●社内への事前説明
まずは、社内に特定技能外国人を受け入れることを事前に説明しておきましょう。特に配属される部署の従業員に対しては、どのような業務を行うことができるのか、その業務に関する知識や技術はどのくらいあるのか、日本語はどのくらい理解できるのかなど、業務を円滑に進める上で重要な事柄について共有しておくとよいでしょう。

●受け入れのための環境整備
職場に早く溶け込んでもらうために、業務マニュアルや職務分担表・会社のルールなどの文書を母国語に翻訳したり、イラストを追加してわかりやすくしたりするなど、日本語が堪能ではない外国人が理解しやすいように工夫することが大切です。すでに外国人労働者を雇用している場合には、サポート役として研修の補助をしてもらうなど、フォロー体制を整えておくのもよいでしょう。

●生活のサポート
最後に、日本での生活面の充実をサポートすることです。母国を離れ、言葉や文化が異なる慣れない土地で暮らすのは、不安でいっぱいでしょう。会社のレクリエーションを企画したり、地域のイベントに一緒に参加したり、外国人労働者が会社の社員や地域住民と良い関係を築けるような配慮が必要です。

その他注意点

外国人労働者が支障なく働くためには、環境整備や生活面のサポートも大切ですが、雇用する前に「在留資格に問題がないかどうか」を必ず確認してください。不法就労とわかった上での受け入れはもってのほかですが、たとえ企業側が不法就労の事実を知らなかったとしても罰則の対象となりますので注意しましょう。

(参照:『日本就労者の本音◆外国人材の定着率向上に必要なマネジメントやコミュニケーション法』)

【まとめ】

入管法改正により「特定技能1号」と「特定技能2号」の在留資格が新たに設けられ、外国人労働者の幅広い受け入れが可能になりました。労働力不足が現実味を帯びてきた今、企業は特定技能外国人の受け入れを積極的に行っていく必要があります。受け入れる企業は必要な届出をした上で、外国人労働者のために環境を整えることが大切です。また、社内での対応が難しい場合には、登録支援機関を活用することも一つの手です。どのような業務を任せることができるのか、受け入れた企業にどのような義務があるのかなど、特定技能外国人の受け入れに関する概要をしっかりと把握し、企業の即戦力となってくれる外国人労働者の受け入れを進めていきましょう。

(制作協力/コピー&マーケティング株式会社、編集/ダイレクト・ソーシング ジャーナル編集部)

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